続きです。これまでのお話。
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「なんで俺の "お母さん" とやらは、呼んでも来ないんだよ」
スサノオはふてくされて、仰向けに寝て空を見上げていた。
自分は『三貴子』の一柱なのに。
あんな小鳥や小鹿でさえ、"お母さん" とやらが迎えに来るのに。
「なんで俺の "お母さん" とやらは、呼んでも来ないんだよ」
ぶすっとした表情で空を見上げているスサノオの元に
小鳥がやってきた。
「おい。俺も "お母さん" って呼んでみたけど、
何も来なかったぞ」
「スサノオノミコトにはお母さんがいないのかな?
それとも……」
「それとも?」
スサノオは小鳥に訊き続けた。
「ご兄弟がいらっしゃったでしょう?
その順番でお母様が教えにいらっしゃっているのかも!」
「…………」
スサノオは考えた。
アマテラスが最初。
次がツクヨミ。
そして最後が自分。
「そうかもしれない……」
スサノオは空の太陽を思った。
アマテラスの統治する時間の太陽は
いつだって出ている時はまん丸で、輝きを放っている。
「それって、完成してるって事なのかも」
スサノオは光り輝く太陽の姿を思い出して、そう言った。
さすがは最初に生まれたアマテラスだ。
"お母さん" が教えたから、あんなにいつでも丸く
光り輝く存在になれているのか!
スサノオはそう思った。
***
「そう考えると、ツクヨミはまだ完成していないな……」
月は満ちては欠けるを繰り返していた。
そして細くなった月は、何も存在しない闇夜も創り出す。
闇夜となる新月を、スサノオは未完成だと感じていた。
***
明るく照らしてはいるが、太陽のようではない月を見ていた。
「お母さんはツクヨミを教えている最中なのか。
ツクヨミがアマテラスのように完璧になったら、
きっと次こそ俺の番」
スサノオはそう思うたびに嬉しくなった。
そうだよ。だからだよ。
生まれた順に "お母さん" は教えているんだ!
「俺も早く "お母さん" に教えて欲しいな……」
スサノオは溢れる強い光を放つ
己の姿に憧れた。
***
だがツクヨミの統治する夜の月は、不安定だった。
満ちるがまた少しずつ少しずつ欠けていく。
そして糸のように細くなって、また真っ暗な夜を呼ぶ。
「………何やってんだよ」
スサノオは月の姿を消失した黒い夜空を見上げながら、
少しイライラしていた。
***
スサノオは満月のたびに期待し、
今度こそは今度こそはとときめいた。
だが月は
残酷だった。
いつまで経っても
いつまで待っても
太陽のように完全な姿を継続できなかった。
「……………」
それでもスサノオは待っていた。
ツクヨミだって頑張っているはずだ。
だからなくなってもまた満ちることを月は繰り返している。
スサノオはただただ信じて、
己の元に "お母さん" が来るのを待っていた。
《続く》
この『⛩【菊と稲荷】スサノオ神楽』は、日本神話をベースに降りてきたシーンを
菊田フィルターで書いています。ベースとなるお話はこちらをお読み下さい。
<"国学院大学 古事記学センター"様サイト>
⛩【菊と稲荷】スサノオ神楽:BGMのご紹介
美しくて切ない感じもありつつ、神話に想い馳せる曲です。
ヘビロテで聴きながら、物語を書いています。
なんか古代って感じなんですよねー。カリンバの旋律と、ナオコさんの声が……。
ダイジェスト版ですが雰囲気伝わりますので、ぜひお聴き下さい。
CDはこちらで入手可能です♡
もちろん菊田もお取り寄せ済みです。古代の空気感をお取り寄せ♪
こちらもBGM。今の自分のテーマ曲です。
この曲に勇気もらって、スサノオ神様を書いています!
歌は上でご紹介の『Tonal Nostalgia』のコヤマナオコさん*
星読みもされるBlogはこちら→『サウンドアルケミスト*コヤマナオコ』
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*2020年冬の連載『愛しの狛犬』はコチラです。
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※2020年5月はお休みでした。今後の予定も未定です。
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