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前回ブログで少し触れたのですが、
22日の夜に「新型コロナウイルスに効果ありの界面活性剤」が公表された件について
詳しく解説をしていきたいと思います。
◎経産省主導で「新型コロナウイルスに効果ありの界面活性剤」が公表
まず概要について軽く説明していきます。
話題の元はこちらです。
▶新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します~物品への消毒方法の選択肢が広がります~
5月22日の夜に、かねてより新型コロナウイルス対策に利用できる成分の検査を経産省より委託されていた「NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)」が、
その評価試験の結果から新型コロナウイルスに効果ありと判断される界面活性剤を5種類公表しました。
その界面活性剤が以下の5つの成分です。
そしてこの成分が「配合されている」製品のリストが上記ホームページにて公開されています。
▶界面活性剤が含まれる製品リスト
「住居用洗剤」が主ですが、該当の成分が配合されている「食器用洗剤」も記載されています。
食器用洗剤の場合は、以下の方法で「薄めて」使用することが指定されています。
また、上記の洗剤はあくまでもの清浄に使用するもので、
手指・皮膚には使用できないためご注意ください。
成分によっては、吸入すると呼吸器や粘膜に刺激になるものがあります。
安全性の観点から既製品となっているもの以外はスプレーでの噴霧は控えましょう。
というわけで概要については以上です。
ここからは試験内容や製品リスト等についての危惧点、
選別された界面活性剤の特性や推奨できる商品などについて言及していきます。
◎「手洗い」で使用する場合もこの5つじゃないとダメなのか?
最初に話題にしたいのは、
今回の試験は一体どういった用途を想定したものだったのか?
という話になります。
NITEさんのホームページの記載どおり、
今回の試験は「物品の消毒」を前提にしたもので、
こちらはNTEが公表している試験法の内容(国立感染症研究所)ですが、
「界面活性剤溶液にウイルス液を加えて、20秒から5分間でそれぞれ反応させ、界面活性剤溶液を除去した後に残存したウイルスの感染価を測定する」
というものです。
(もうひとつ北里大学の研究もありますが、方法は多少違えど概要は似たようなものでした)
つまり、「成分に数秒から数分接触」したときの抗ウイルス効果を測っているものです。
これは、「水洗を伴う洗浄」などの用途は想定していないことに注意が必要です。
また、界面活性剤の「濃度」についても、
今回は「0.01~0.2%」という非常に低濃度での試験を行っており、
あくまで「ごく低濃度でウイルスに対して効果を発揮する成分」を選出した形になります。
何が言いたいのか?というと、
今回のNITEの発表で界面活性剤がウイルスに効果を示すという情報を受けて、
ネット上では「今更か」というような意見を言う人も散見されました。
元々界面活性剤によって新型コロナのようなエンベロープタイプのウイルスが除去できることは、有識者界隈では常識でした。
一般市民にもかなり広まっており、
「普通の石けん」など、界面活性剤が用いられている製品であれば
十分な手洗い等を行うことでウイルスを失活させることができる
これは、既に知られた内容とも言えます。
▶ハンドソープが品薄?手洗いでのウイルス対策は「普通の石鹸」や「ボディソープ」でも代用できます
しかし、今回の試験で明らかになったことはこの「手洗い」によるウイルス除去とは全く別の意味だと理解する必要があります。
そもそも手洗いによってウイルスを失活させるのは、
あくまで界面活性剤の作用によって「ウイルスを洗浄除去する」という効果が大半で、
単純な「界面活性剤との接触」によってウイルスが失活していると言い切れるものではありません。
つまり「水でしっかり流さないと効かない」という可能性が残っていたわけです。
これに対して本試験は、単純に界面活性剤と接触させて放置しただけで、
水洗を行わず(樹脂による除去)、ウイルスの失活を認めました。
(しかもインフルエンザウイルスでの代用ではなく、新型コロナウイルスそのものを使用して)
これはかなり大きな違いといえます。
また、手洗い時に使用する界面活性剤の濃度は、
薄くても1%以上と、それなりの高濃度の場合が大半です。
例えば、水洗であれば問題なくウイルス失活効果が見込めると言われている「純石けん」については、
今回行われた試験では十分な効果を発揮しなかったことが明らかになりました。
以前「その他の陰イオン界面活性剤と比較して1000倍ほどのウイルス失活効果があった」というシャボン玉石けんさんの記事が出回った時期がありましたが、
▶コロナにも? 自然素材石けんは合成洗剤の「1000倍のウイルス破壊力」
新型コロナを用いた試験ではこの結果は否定されています。
(石けんについての記事でも書きましたが、「ごく低濃度の石けんではそこまでの効果は期待できないはず」、と僕が危惧した通りでした。)
そもそも石けんは他の陰イオン界面活性剤に比べて低濃度での効果が低い成分ですので、
1%に満たない濃度ではさほど強いウイルス耐性は見込めません。
(普通に手を洗う濃度であれば問題なく効果があると僕は思います)
このように、界面活性剤には種類によってごく低濃度では抗ウイルス効果が期待できないものがあるため、
今回の試験では、その中でも「ごく低濃度で効く成分」を選定したという形になっています。
勘違いしないで欲しいのは、
1%以上の濃度で水洗を伴う「手洗い」であれば、
ここに挙げられた5つ以外の成分でも問題なくウイルスを失活できるはずなので
その点はご注意頂くと良いでしょう。
決してこの5つの成分でなければ手洗いしても意味がないというわけではありません。
今回の試験はあくまで「接触させて拭き取る」などで失活させることを想定した試験内容です。
◎今回の界面活性剤が「手指や皮膚への使用不可」の理由
そして、上記と少し繋がりますが、
今回公表された成分は手指に触れるには不向きの成分ばかり
ということも皆さんには知っていてもらいたいです。
元々、「界面活性剤」という成分は我々の生活の至るところで利用されており、
種類だけで言えば1000や2000で済まない膨大な種類の成分があります。
これは「水と油を混ぜ合わせる性質」を基本的に保有するため、
【化粧品】などにも普通に入っています。
何ならクリームなどでは1%以上の濃度で入っているというケースも少なくありません。
上記5種類の成分が0.1%とかで効果を示しているということであれば、
1%も入っているなら普通のクリームでも効きそうなものだと思いませんか?
しかし、普通の化粧品のクリームでは1%や5%界面活性剤が入っていてもウイルスには効かない可能性が非常に高いです。
これは、界面活性剤はその種類によってそれぞれ効果の強さや毒性の強さ、洗浄力の高さや手肌への刺激、細菌・ウイルス等への影響の強さがバラバラだからです。
そして、0.1%程度でウイルスの消毒効果がある、と言われるような成分は、
やはり界面活性剤としての効果も強力であり
手肌に触れるには適していない成分ばかりなのです。
実際に今回の成分は、いずれも肌に触れる化粧品には基本的に用いられていないものばかりです。
(塩化ベンザルコニウムだけは振り切って「殺菌剤」として使用されていますが…)
そればかりか、
手洗い用のハンドソープなどにも用いられていません。
殆どがもっぱら家庭用洗剤や住居用洗剤、衣類洗剤などに使用されているものです。
例えば、「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na」という成分は、
1960年ごろに食器用洗剤に多用されていた成分ですが、その後「手荒れ」の影響が深刻化して徐々に国内での配合が控えられていった成分です。
(↑「LAS」というのが直鎖アルキルスルホン酸Naのことで、1960年移行徐々に切り替えられました。)
「陰イオン界面活性剤」と呼ばれる洗剤類の中では最も古く、
洗浄力や皮膚刺激も最も強い部類の成分として知られています。
現在も一応食器用洗剤の主成分として入っているものが多少残ってはいますが、
洗剤業界としては手に触れるものにはもう使わないようになっているので
今の洗剤界隈では非常に低品質の製品と言っても過言ではないようなものです。
(手に直接触れない衣類洗剤としてはやや商品数が多いです)
加えて「塩化ベンザルコニウム」は、
一応手指用消毒剤である「オスバン」の有効成分「ベンザルコニウム塩化物」と同じものです。
まぁ一応手指に使えることにはなっているものの、
これも手荒れをものすごくしやすい成分で、医療機関でもできれば使用しないようになってきている製品だったりします。
あと、ごく低濃度で殺菌消毒効果があるというように、界面活性剤の中では指折りに経口毒性や細胞毒性が強い成分でして、
かつて点滴にて投与することで殺人にも利用されたという曰く付き成分でもあります…。
小さいお子さんやペットなどへのリスクを考慮すれば、一般家庭でそのへんを拭きまわるような使い方には適していないと思います。。
(特にお肌が弱い人とかは、荒れやすいので注意。家具とかに残るのも個人的には嫌です。)
他の3成分は後に詳説しますが、
いずれも毒性や刺激については比較的安全性が高いものの、
脱脂力や洗浄力にとても長けていたり、手指消毒や洗浄用で使用するにはいまいちな成分ばかりです。
なので、安全性の観点を考慮すれば、手指や皮膚に使用することが出来ないというのもうなずけるでしょう。
現状では物品消毒よりも手指消毒の製品が欲しいと思う人が多いとは思いますが、
くれぐれも皮膚や手指の消毒用に用いることは控えて下さい。
◎濃度不明製品多数…?経産省公表の製品リストに疑問
あと、これは僕自身かなり疑念を持っている点なのですが、
先程紹介した以下の製品リストについてなのですが
そもそも今回公表された界面活性剤は
- 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
- アルキルグリコシド(0.1%以上)
- アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
- 塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
- ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)
試験によって効果が得られた濃度に従い上記のような「濃度」の指定があるんです。
しかし、実は上記に並んでいるリストの中には
、その成分の含量が詳しく記載されておらず、
実際にその濃度ちゃんと入っているかどうか不明な製品
がサッと見るだけでも相当数見つけられます。
例えば、リストに記載されている花王さんの「ガラスマジックリン」という製品。
製品リストには「アルキルグリコシド」が入っていると記載があります。
しかし、製品の背面表記では「0.4% アルケニルコハク酸カリウム塩」としか書いてありません。
こういった洗剤類は「家庭用品品質表示法」という法律で、
3%以上配合されている界面活性剤はその名称と濃度を記載しなければならないというルールがあり、
3%以上入っていない場合は一番配合量が多いものを書く必要があります。
今回はこの界面活性剤が一番多いということを意味していますね。
で、一応花王さんは全成分の表記をホームページでしてくれているので
それを見ると確かに一応「アルキルグリコシド」の表記はあるものの、
配合濃度は書いてありません。
(3%以下は記載の義務がないため)
ですので、確かに「含まれてはいる」ものの、
有効濃度が入っているとは断定できないわけです。
(もしかしたら、メーカーに聞いて有効濃度入っていることを確かめている可能性も無きにしもあらずですが、、多分なさそう)
花王さんの場合は全成分を書いてくれているだけマシで、
メーカーによっては全成分が全くわからないというものもあります。
そのため、
「このリストに記載されていればウイルスにちゃんと効く」とは言い切れないのではないか?
…と僕は危惧しています。
できるならば、きちんと成分表を確認して、
ちゃんと有効濃度入っていることが確実である製品を探す方が良いと思います。
◎食器用洗剤を薄める場合も、濃度が十分かどうか初心者には判断が難しい
また、類似の内容ですが、
食器用洗剤を薄めて使用する場合についても
「小さじ0.5~1杯を500mlの水で薄めて使え(約100~200倍希釈)」というかなりアバウトな方法が紹介されていますが、
これもこのように薄めればその製品の界面活性剤濃度が十分有効濃度に達するとは一概には言えないと思います。
食器用洗剤の成分濃度は各メーカーでまちまちです。
30%入っているものがあれば、5~7%程度のものもあります。
仮に5%しか入っていない製品の場合は、100倍に薄めると0.05%になってしまい、
(このくらいの製品があるかどうかは詳しく知りませんが…;)
ものによっては有効濃度を下回ります。
こういうリスクを考慮すると、予め規定濃度入っていることが確実な製品を使用した方が良いといえます。
◎「湿らせて拭き取る」よりも、「吹き付けて1~5分放置して拭き取る」方が効果的
さらに、食器洗剤を薄めて使用する方法では、
「雑巾などに湿らせて対象を拭き取り、5分ほど待って水吹き→乾拭き」という非常に面倒くさい方法が紹介されていますが、
これはこの試験が「ウイルスと接触させて5分放置で効果があった」という結果に基づいています。
ただ、「湿らせて拭く」のでは、ウイルスと十分な接触があるのかかなり微妙な気がします…。
できれば
スプレー式の製品をしっかりその部位に吹きかけて、数分後拭き取る
という方法のほうが確実にウイルス消毒ができると思います。
そういう意味合いでも、予めスプレー状に製品化されているものが適していると僕は思います。
これらのことを総合すると、以下の記事のようにメディアが「ジョイやママレモンで」という風にタイトルに書いてしまうのは問題があると思います。
▶新型コロナは「ジョイ」「ママレモン」でも除去できる 経産省が有効な界面活性剤を公開
食器用洗剤を薄めて使用するのは初心者向けではなく、誤った使用法をする人が出ないかとても心配です。
(しかもママレモンは今や絶滅危惧種の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na主成分という…)
◎オススメの界面活性剤と製品
というわけで僕的に一般家庭で使いやすそうなものをいくつかピックアップしてみましたので、
紹介してみます。
まずご家庭で特に低リスクに使えそうな界面活性剤としてオススメなのは、
・アルキルアミンオキシド
・アルキルグリコシド
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル
の3つです
「両性イオン界面活性剤」もしくは「非イオン界面活性剤」というタイプの成分で、
毒性や刺激がとても少ないことで知られています。
(ただし、脱脂力がとても高いので、単品での手指洗浄には不向き)
万一小さいお子さんやペットなどが舐め取ったり、指で触ってしまっても、危険が少ないです。
いずれもとても毒性が低い成分なので、今回の試験で対ウイルス効果が認められたのは驚きました。
(大体殺菌性や抗ウイルス効果があるものは毒性が強いので…)
おそらくこれらの成分はごく低濃度でも効果を発揮する性質があるので、そのおかげかと思います。
僕の一番オススメは、やはり「かんたんマイペット」で、
主成分は「アルキルアミンオキシド」0.2%です。
界面活性剤濃度も低すぎず高すぎずでちょうどよく、泡が立ちすぎないのが良いです。
(ちなみに、実は主成分はエタノールなのでアルコールによる消毒効果も見込めるかも)
拭き筋なども残りにくく、非常に使いやすいです。
さらにアルキルアミンオキシドは「0.05%」とごく低濃度で、かつ「1分」で効果を発揮しているため、
0.2%であれば数十秒でも十分な効果がある可能性があります。
(一応1分くらいは待ちたいですけどね)
同じくアルキルアミンオキシド1%配合の
「油汚れマジックリン」も優秀です。
ちょっとアルカリが強く、泡立ちも結構良いのでマイペットに比べるとやや使い方が難しいですが、
これも1%と高すぎない濃度ですので、比較的良いと思います。
あと、これはちょっと手元にないのですが
「スクラビングバブル キッチンフリー」
というのも良さそうです。
「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」が0.8%ですので、十分な濃度です。
使用したことがないので、使い勝手は存じませんが…(^^;)
最後に「アルキルグリコシド」という成分は、
中でも皮膚刺激がとても低くて手に触れうる「食器用洗剤」によく配合されています。
(ただしこれも「脱脂力」がとても高いです;これで手を洗うとめちゃ乾燥します。。)
ただ、食器洗剤そのものは30%とかあるので薄めないとまともには使えないので、うーんと思っていましたら、
「キュキュット クリア泡スプレー」
は、「アルキルグリコシド」が5%でスプレー式のものです。
1%くらいまで薄めても良いのかな~とも思いますが、
他のものに比べれば使いやすい製品だと思います。
というわけで、かずのすけ的にざざっと該当製品を見渡してみて
「確実に有効濃度の該当界面活性剤が含まれている」
「成分の毒性や刺激などが比較的低い成分が使われている」
「一般家庭で利用しやすい形態である」
などの条件に当てはまる製品をいくつか紹介してみました。
もちろんすべてを見られたわけではないので、他にもあると思います。
以上、駆け足の説明でしたが参考になれば幸いです。
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