最も安全で効果的な除菌剤…?!「次亜塩素酸水」とは | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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先月の記事で【アルカリ電解水】というものの話をした際に、

 

「水だけ」なのに汚れが落ちる?不思議の水【アルカリ電解水】の真相に迫る



「似たようなアイテムで『次亜塩素酸水』というものがあるのですが、これは一体どういうものなのでしょうか?」

 

という質問を沢山頂きました。

 

 

 

 

この「次亜塩素酸水」についてインターネットなどを使ってささっと調べてみると、

 

  • ノロウイルスなども含めた強力な細菌にも効果的!
  • 直接肌や目に触れても影響がない!
  • 有機物と反応するから消臭効果もある!
  • 分解しやすいので残留しない!
  • 万が一飲んでも安全!
  • 有機物と触れるとただの水になるから安心!

 

 

などなどのように

 

まさに【万能の除菌剤】のようなことが囁かれています。

 

 

 

僕もちょくちょく小耳に挟んでいたので数年前からちょっとずつ調べていたものだったのですが、

 

本当にここにあるような素晴らしいアイテムなのか?

 

というのも含めて僕なりに考察してみたいと思います。

 

 

ただしご質問頂いた方の多くが感じているように、

 

凄く複雑な内容なので僕も中々結論を導くのが難しかったのですが…。

 

 

かなり難しい化学の話も入ってくるとは思いますが、

 

できるだけ簡略化して皆様にお伝えできれば良いなと思います!




◎「次亜塩素酸」とは何か?


「次亜塩素酸水」について聞いたことがあるという人も多いと思いますが、

 

中には初耳という人もいるかもしれません。

 

 

 

実は「次亜塩素酸(じあえんそさん)」という成分はとても身近なもので、

 

一番手近なものだと『水道水』に含まれています。





水道水の殺菌剤として知られている通称「塩素消毒剤」は、

 

正式名を「次亜塩素酸カルシウム」といいます。

 

 

 

次亜塩素酸のカルシウム塩で、殺菌作用があるのでごく微量(日本では1mg/Lまで)を水道水に溶解させて清潔を保っています。

 

プールで使用している塩素消毒剤も同じものです。

 

 

 

他にも、『塩素系漂白剤』にも利用されていて、

 

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「次亜塩素酸ナトリウム」という成分がその主成分です。

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「次亜塩素酸」という成分は強力な『酸化剤』と呼ばれる物質で、

 

【酸化作用】を及ぼすとタンパク質や色素が壊れるため

 

殺菌作用や漂白作用を持ちます。

 


メカニズム的にはオキシクリーンの記事でも説明した、

 

「過酸化水素」と同じ機構です。

 

過酸化水素もワイドハイターやオキシクリーンに配合されていて漂白効果を持っていますし、

 

【オキシドール】という消毒剤としても利用されています。

 

 

 

つまり『酸化作用』を持つ物質は強力な殺菌効果と漂白効果を持つわけですね。

 

 

次亜塩素酸はそういった成分の一種です。

 

 

 

 

 

◎「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」などの違いは?

 

 

 

 

ただし注意したいのは、

 

今日のテーマである「次亜塩素酸水」とさきほどから例に出している「次亜塩素酸カルシウム」や「次亜塩素酸ナトリウム」は、

 

同一の成分を含有している仲間ではあるものの、

 

効果や作用に違いがあり、同じものではありません。

 

 

 

具体的には以下のような違いがあります。

 

 

【次亜塩素酸水】

・強酸性、弱酸性、微酸性の3パターンがある

・一般的に言われる「次亜塩素酸水」は微酸性(pH=5~6.5)のもの

・食塩水の電気分解によって陽極側に生成される水

・高い殺菌作用を持ちつつも人間には低刺激&低毒性である

・食品添加物(殺菌料)として厚労省の認可を受けている

・安定性が低く、長期保存できない

 

【次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)水溶液】

・次亜塩素酸と水酸化ナトリウムとの塩(中和物)で、アルカリ性である

・水酸化ナトリウム水溶液に塩素を通じて生成する

・高い殺菌作用&漂白作用に、アルカリ性による腐食作用を持つ

・強力な殺菌力を持つが、人の皮膚や粘膜にも刺激が強い

・安定性が高く密栓すれば長期保存も可能

 

(次亜塩素酸カルシウムもナトリウム溶液と性質はそう変わりません。)

 

 

 

 

まず「次亜塩素酸水」は、【食塩(塩化ナトリウム)水の電気分解で陽極に生成された水】のことと定義されています。

 

 

これは聞き覚えのある人もいるかもしれません。

 

実は、前に説明した【アルカリ電解水】と密接な関係があります。

 

 

アルカリ電解水では食塩水を電気分岐して陰極側に生成された水を使用していましたが、

 

次亜塩素酸水では逆の「陽極」側に生成された水を使用しているのです。

 

 

「次亜塩素酸水」と「アルカリ電解水」は言うなれば背中合わせの関係というわけです…。

 

 

 

ちなみに、塩化ナトリウム水溶液を電気分解すると陽極には【塩素】という物質が発生するのですが、

 

この物質は水に溶けると微量の「塩酸(HCl)」と、「次亜塩素酸(HClO)」の2つの成分に分かれます

 

 

なので酸性の「次亜塩素酸水」が出来上がる、というわけですね。

 

 

 

また原理上は、両者は化学特性は違うものの、溶けている物質は同じでpHが違うだけ、というのがその実態です。

 

そのため次亜塩素酸ナトリウムを塩酸などの強酸で中和するだけでも同じものを作ることができます。

(論文の検証用などでは有効塩素濃度などを調節しやすいためかこの方法がよく使われています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の違いで重要なポイントは沢山ありますが、

 

一番分かりやすいのは「皮膚刺激の有無」だと思います。

 

 

次亜塩素酸水も刺激が全く無いわけではないのですが、

 

次亜塩素酸ナトリウム水溶液は結構薄めてもはっきりとした皮膚刺激があります。

 

 

これは次亜塩素酸ナトリウムがアルカリ性になっているためで、

 

人の皮膚はアルカリ性で腐食されてしまうことに起因します。

 

 

まぁつまりアルカリ電解水が皮膚刺激強力だよ、というのと同じ話です。

(さらに漂白効果なども付与されるのでより皮膚刺激強いです。)

 

 

 

 

対して次亜塩素酸水は、市販流通している整水器で生成されているものやパッキングされているものは、

 

どれも大体pHが6~7の間くらいでアルカリによる腐食作用がありません。

 

故に明らかな皮膚刺激を感じることがほとんどありません。

 

 

実際、次亜塩素酸水の安全性データシートを確認しても、明らかな皮膚刺激や目刺激などは確認されていません。

 

 

 

 

◎次亜塩素酸水の有効濃度と殺菌力

 



殺菌剤にはその効果を発揮できる菌類やウイルスなど微生物に色々と違いがあります。

 

 

これは健栄製薬さんのホームページに公開されているものですが、





例えば「オスバン」などに使用されている「塩化ベンザルコニウム」(毒性が結構強い殺菌剤で有名)

は、効かない菌が結構多いですが、

 

【次亜塩素酸ナトリウム】などは濃度にもよりますがとても様々な細菌やウイルスに効果的な殺菌剤です。

 

濃度もある程度(0.02%以上)あればノロウイルスなどにも効果があります。

 

(エタノールは中間くらいです)



なので殺菌剤の効力としては「次亜塩素酸ナトリウム」は最も強力な部類と言えます。

 

 

 

 

では【次亜塩素酸水】の殺菌力がどの程度なのか…

 

 

厚生労働省の食品添加物成分規格を参考に、

 

57ppm、pH5.2の「微酸性次亜塩素酸水」の殺菌力の比較図を作って見ました。

 


 

実際のデータが一般人が解読するのは中々難しいと思ったのでこんな感じに作り替えてみました。

 

 

 

最も強力な部類である次亜塩素酸ナトリウムも、0.02%と薄い濃度にしてしまうと

 

芽胞細菌や黒カビなどにはイマイチ効果が薄くなってしまいますが、

 

 

微酸性次亜塩素酸水57ppm(つまり0.0057%)とさらに薄い濃度でも、

 

全ての微生物種に有効性を示しています。

 

 

 

つまり殺菌力で比較すると、

 

次亜塩素酸水は低濃度にも関わらず最強クラスの殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウムを凌ぐ効果を有しているということになります。

 

(ただ資料を読んでいると30ppm以下だと有芽胞菌には効きにくくなるようです。)

 

 

 

 

なぜより濃度が薄く、アルカリ性でも無いのに殺菌力が高いのか?

 

これには諸説あるみたいですが

 

今のところ

 

  • 次亜塩素酸ナトリウムでは次亜塩素酸は「次亜塩素酸イオン(OCl-)」の形で存在していて、マイナス帯電性が膜透過性を邪魔してしまい、細胞浸透性が低い。
  • 次亜塩素酸水では「次亜塩素酸(HClO)」のまま存在しているため膜透過性が高く、容易に細胞内に入り込んで菌類の細胞内に損傷を与えられる。

 

という理論が一番有力のようです。

 

以下の図は

 

「次亜塩素酸による洗浄・殺菌機構と細菌の損傷」

福﨑智司, 日本食品微生物学会雑誌26, p.76-80, 2009

 

という文献からの引用です。

 

 

イメージはこんな感じですね!↓

 

 

アルカリ性になると次亜塩素酸はイオン化してしまうので、膜透過しにくくなります。

 

 

中性付近ではそのままの次亜塩素酸なので、透過性が高いということだそう。

 

 

 

◎次亜塩素酸水の皮膚刺激・粘膜刺激性が低い理由

 

 

また、皮膚刺激が少ないのもこれで説明がつきます。

 

 

 

つまり次亜塩素酸水は溶存次亜塩素酸の量が50ppm(0.005%)程度と、

 

非常に薄いのです。



本来酸化作用が強い溶液はそれだけでも皮膚刺激がありますが、

 

次亜塩素酸水はもの凄く濃度が薄いため皮膚刺激を及ぼすほどの量に達していないのです。

 

 

これがもしも1%とか、少なくても0.1%くらい入っていた場合、それはもちろん皮膚刺激が懸念されます。

 

ただし通常利用されている微酸性次亜塩素酸水(10ppm~80ppm)だと極薄い濃度で、

 

微生物類には特異的に働くため、低刺激でかつ強力な殺菌剤として働くと考えられます。

 

 

 

(ちなみに次亜塩素酸ナトリウムは次亜塩素酸そのものの殺菌力が低いので、濃度を増やしたり、アルカリ剤の腐食作用に頼る必要が出てくるので強力な刺激性があります。)

 

 

 

※またメーカーによっては「次亜塩素酸は生体内でも利用されている殺菌剤だから人間には無害なのだ」という説明をしているところもあったのですが、これについては明確なエビデンスを見つけることが出来ませんでした。

 

 

 

 

◎安全性も高く、殺菌力も非常に高い「次亜塩素酸水」…重大な弱点

 

 

 

というわけで、

 

【次亜塩素酸水】

 

という物質についてその概要を解説してみました。

 

 

とても安全性が高く殺菌力も優秀というこのアイテム、

 

出来ればみんな使った方が良いんじゃないか!という感じを受けたかもしれません。

 

 

まぁ実際飲食店などでは実用化が大分進んでいるみたいで、

 

生牡蠣なんか食べに行くと小瓶に入れて「消毒に使って下さい」と渡されることもありますね。

 

 

 

効果は確かにあり、安全性も非常に高いと言えそうです。




しかし、この成分が注目され始めたのは実は2005年くらいからで、

 

既に台頭から15年近く経過しているにも関わらず

 

あまり一般家庭に浸透していないように思いますよね?



これだけ素晴らしいものなのになぜかうまく浸透しないのには、

 

もちろん重大な理由があります。


今回はとても長くなってしまったので次回、

 

実際に購入した商品なんかもお見せしつつ…

 

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次亜塩素酸水の重大な弱点に迫って行けたらと思います!





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