パックスナチュロン ハンドクリーム 成分解析 | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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パックスナチュロン ハンドクリーム 成分解析

 

 

  水分補給:★★☆☆☆
  油分補給:★★★★★
保湿持続性:★★★★☆
 伸びの良さ:★★★☆☆

酸化安定性:★★★☆☆
   しっとり感:★★★★☆
 サラサラ感:★★★☆☆
敏感肌適正:★★★☆☆

  価格適正:★★★★☆+(70g:548円) 



無添加石けんで有名な『パックスナチュロン』のハンドクリームです。

 


とある成分を別の成分に変えて頂くだけでごり押ししたくなるくらい万人にオススメできる製品に化けるんですが、

 

メーカーの方向性的に多分今後もこの処方を変えることは無さそうかと思います…(^_^;)

 

 

つまり良い点と悪い点が明確なアイテムなので、その辺りを中心に解説していきます。



本品は全成分数が10個のみという、とてもシンプルな構成のハンドクリームになっています。

 

 

グリセリンは低刺激の保湿成分で、水分を補給する効果がありあす。

 

ただハンドクリームで重要なのは配合されている「油分」で、

 

本品の場合は

 

「ホホバ油、スクワラン、ハイブリッドヒマワリ油」


という三種類の油分が配合されていますね。

 

この油分の構成がこのハンドクリームの最も素晴らしいポイントです。



人間の皮脂は「ワックスエステル」・「スクアレン」・「油脂」の3つの油分が混合して主成分となっています。

 

市販される多くのハンドクリームはミネラルオイルなどの炭化水素油やシリコーン類で

 

皮膚の表面を覆って保護する「保護作用」のみを持ったものが主流です。

 

しかし本来人の皮脂は上記三種類の油分の複合成分のため、

 

炭化水素油などだけでは皮脂の代わりとして働くことができません。

 

 

その点において、こちらのハンドクリームでは

 

  • ワックスエステルの一種である「ホホバ油」
  • スクアレンを安定化させた「スクワラン」
  • 肌の保湿効果に優れる油脂の一種として「ハイブリッドヒマワリ油」

 

という油分が適切に配合されているため、

 

保護効果だけでは足りない手荒れの保湿にとても最適な油分構成となっています。

 

 

手荒れが酷い状態になるとまず皮脂の分泌が正常にできなくなってしまうので、

 

ある程度状態が悪くなっている場合は保護効果のみのハンドクリームではなく、

 

こういった皮脂の類似成分を配合したハンドクリームを使用した方が有効です。

 

 

その点においてはこちらのパックスナチュロンハンドクリームは非常に優秀といえます。

 

何よりお値段がお求め安いので、気兼ねなく使えるというのも好評価できるポイントです。





ただし、

 

是非改善して欲しいな…と思う良くないポイントが一点あります

 

 

全成分を見ると、保湿成分の「グリセリン」の次の表示が、

 

『カリ石けん素地』

 

となっているのに気づくと思います。

 

 

これはまさに液体石けんに用いる成分そのものなのですが、

 

つまり「石けん」が全成分のうち2番目に配合量が多いのです。

 

 

このように石けんを用いてクリームを作る方法を「石けん乳化」というのですが、

 

現代ではほとんどのメーカーがやらない先史時代的な乳化方法です。

 

 

 

石けんも界面活性剤の一種なので乳化作用があるのですが、

 

本来石けんというのは「陰イオン界面活性剤」といって洗浄用の界面活性剤で、

 

乳化作用に優れる成分ではありません。

 

 

 

そのため石けんを乳化剤としてクリームなどを作ろうとすると、

 

本品のようにとても配合量が増えてしまうというデメリットがあるのです。

 

 

また石けんは弱アルカリ性の洗剤ですので、肌に良い成分か?というと微妙な部分があります。

 

一応乳化状態にある石けんは刺激などは出にくいのですが、

 

高濃度なので汗などをかいて溶液中に溶け出すと刺激になる懸念があります。

 

また皮脂と反応して分解する…という意見もありますが、

 

それはあくまで皮脂がちゃんと出る場合です。

 

 

そのため、極度の敏感肌やアトピーなど、刺激を感じやすい人には

 

石けんの刺激が油分の保湿効果を上回って肌に合わない可能性も否定出来ません。

 

 

 

 

これを乳化力に秀でた非イオン界面活性剤などを配合すれば、

 

界面活性剤そのものの配合濃度も抑えられますし、刺激の懸念も少なくなるので

 

より良い製品になるのではないかと僕は思います。

 

 

 

 

ただ、非イオン界面活性剤はその全てが合成成分なので、

 

長く合成界面活性剤と対立してきた歴史のあるパックス(太陽油脂)さん的には

 

そういう成分を使用するなんて考えられないのかもしれません(-_-;)

 

 

 

今では石けんよりも良い成分や乳化法が多数確立されているので、

 

古い成分や方法にいつまでも拘る必要があるのかどうか。

 

その辺はとても気になる製品でした。

 

 

 

使用感的には伸びはあまりよくないですが、べたつきが少なく使いやすいクリームです。

(ただ石けん乳化のせいか、なんとなく粉っぽい?印象です。)

 

個人的にはちょっとだけ刺激を感じましたので、

 

アトピー体質などで刺激に弱い人は肌に合うかどうか注意して使ってみてください。

 

 

ちなみに、よく口コミで「臭い」と言われているのですが、

 

僕はにおいはあまり感じませんでした(^_^;)


その点は個人差がありそうです。






(ナチュロンハンドクリーム)
太陽油脂(株)
70g 864円

全成分
水、グリセリン、カリ石ケン素地、ホホバ油、スクワラン、ハイブリッドヒマワリ油、キダチアロエエキス-2、トコフェロール、ヒノキチオール、エタノール


ナチュロンハンドクリーム

合成界面活性剤、合成防腐剤、合成着色料を使用していない、石けんで乳化したハンドクリームです。

アロエエキス、オリーブスクワランなどのうるおい成分を配合。
ぬり心地はサラっとした感触で、伸びがよく、スーっと肌になじみ、しっとりが持続します。
いつでも使いたいときに、香りやベタつきを気にせずに使えますので
水仕事やクッキング時には特におすすめのハンドクリームです。
※無香料



 

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