『皮脂分泌』についてのかずのすけ的考察② ~「刺激誘引説」と「平衡状態説」~ | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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続きになっていた『皮脂分泌』についての記事になりますよ!

 

なかなか難しくってかなり悪戦苦闘してますが頑張って書いていきます…(;^_^)ゞ笑


『皮脂分泌』についてのかずのすけ的考察① ~一般論と消費者意識との乖離~




前回、

 

現在科学的に確実と認められている皮脂の増加因子は「性ホルモン」によるものだけ、という話をしました。

 

しかし前回記事のラストで紹介したアンケートのように一般消費者の実感としては「それ以外にもあるのでは?」という声も多いです。

 

 

 

そこで、実は最近になって皮脂は他の外的要因でも増えるのではないか、とする研究が進められるようになっていまして、

 

今日はそんな最新の知見を交えつつかずのすけの仮説をご紹介したいと思います!

 

 

 

最初に予め注意ですが、

 

紹介する研究自体もあくまで「可能性がある」という程度で確実にそうと言える根拠はまだありません。

 

また後に出てくる仮説2つはあくまでかずのすけの独自見解となりますのでご了承くださいませm(_ _)m

 

 

 




◎皮脂はどうやって生成されているのか?


…と、最新の知見のお話をする前にこれだけはどうしてもご説明したくて

 

頑張ってイラストを作ってきました…笑

 

 

 




これは先日の勉強会で岡部さんに頂いた資料をもとに作成したものです。

 

岡部さんのホームページにも似たものがあるのでそちらもよかったらご覧になってみてください!

 

 



皮脂は『皮脂腺』から出てくるのは皆さんもご存知かと思いますが、

この皮脂腺の中がどうなっているのかまで知っている方は少ないのではないでしょうか。

 

実は僕ですらこの勉強会で初めてはっきりと把握したくらいです(笑)

 

 

 

 

皮脂はこちらのイラストにあるように、

 

 

まず皮脂腺の内膜(基底膜)で『皮脂腺細胞』が作られ

 

この皮脂腺細胞がその内部に皮脂を造成していきます。

 

最終的には溜まった皮脂で皮脂腺細胞の膜が破れて皮脂が出てくる…。

 

 

という流れです。



イラストではわかりやすいように未熟な皮脂腺細胞を青で、

 

皮脂が溜まった皮脂腺細胞をオレンジ、破れた皮脂腺細胞を黄色で書いてます。

 

 

 

このように皮脂は細胞の発育によって生成される、というプロセスを持っているため

 

そんなにすぐに作られるものではないから

 

多少強く洗ったところでいきなり皮脂が増えるということはない

 

 

従来はそんなふうに考えられてきたと岡部さんはおっしゃっていました。

 

 

 

ただ僕はこの皮脂生成の機構を見たときに

 

「細胞が関与しているなら、もっといろいろな条件で細胞の生成速度や細胞の生成量が変わっていきそうだな…」

 

と感じたのです。

 

 

というのも、

 

この機構が基底層で作られる「角層細胞」の成り立ちとなんとなく似ているんですよね。

 

角層細胞はいろんな条件で細胞生成速度が変わる(ターンオーバーが早くなったりする)ので、

 

 

皮脂腺細胞だって同じようなことが起こったってなんら不思議ではないぞ?と思いました。

 

 

 

確かに直ちにに変化はなかったとしても、

 

生成される皮脂腺細胞の数自体はかなり変動するらしいですし

 

皮脂腺そのものも活発化して大きくなったりするそうです。

 

 

つまり時間さえかければ皮脂腺細胞が多く作られるようになって、

 

やがて皮脂が増えることも考えられそうだと僕は思うのです。

 

 

 

 

 

◎最近の研究に基づく「新たな知見」について

 

 

 

そこで、いろいろと資料を探したところ

 

最初に「洗浄」と「皮脂分泌」でいろいろ探してもほとんど資料がなかったというのは前回話した通りですが、

 

ひとつピンときて「刺激と皮脂分泌」「炎症と皮脂分泌」などのワードで検索してみました。

 

 

するといくつかの文献がヒットしたわけですね。

 

 

例えば「培養脂腺細胞における皮脂産生・分泌の分子機構」などがそのひとつです。

 

最近になって発明された「ハムスター脂腺細胞」を使って研究が進められていまして、

 

これが発明されたことで最近は皮脂の研究がさかんです。

 

 

 

こちらによると現在では以下の3つの因子による皮脂増加の可能性が記載されています。

 

  • アポトーシス依存的&非依存的皮脂分泌機構
  • アクネ菌による皮脂産生・分泌促進機構
  • 紫外線による皮脂分泌促進機構

 

アポトーシスっていうのは「細胞死」のことでダメージを受けた細胞を強制的に破壊して別のなにかに役立てたり、逆に予めアポトーシスさせるために作られる細胞もあったりします。

 

 

ただ論文中でもこのアポトーシス関連についてはいまいち判然としないのでここでは飛ばしますね(;^^A

 

 

気になったのはあと2つで、

 

 

『ニキビの原因になる「アクネ菌」が増殖するとそれと合わせて皮脂も増える』

 

 

という研究データがあるのだそう。

 

 

皮脂を食べるはずのアクネ菌が皮脂腺内に存在していた方が皮脂が増えるというのだから驚きですが、

 

今の所そのメカニズムは完全には明らかになっていないのだそう。

 

 

ただもう一点、皮脂腺内にアクネ菌がいると『炎症』を誘引するシグナル物質が増えていたのだそう。

 

 

 

ここから予想するには2つの要因がありそうです。

 

・アクネ菌が皮脂を食べるからより多くの皮脂を出そうとする?

・炎症によって皮脂腺細胞が活発化する?

 

という二点。

 

 

 

またもう一点の

 

『紫外線(UVB)を照射すると皮脂分泌が活性化する可能性がある』

 

というのも面白いですね。

 

 

これは皮膚に存在する外的ストレスに反応する機構(HPA axis)が皮脂腺にも存在しており、

 

UBVの照射でこれが活発化することが確認されているのだそうです。

 

 

結局UVBも刺激の一つなので、

 

上のアクネ菌に関しても

 

皮脂腺内で皮脂腺細胞を刺激する何らかの要因があると皮脂の分泌が促進される

 

ということを示唆しているのではないかな?と僕は思うのです。

 

 

 

結局アポトーシスも刺激を受けると起こることが大半なので、

 

1つ目のアポトーシス誘導による皮脂の分泌にも関与してきそうですね。

 

 

 

 

◎皮脂分泌の「刺激誘引説」について

 

 

 

というわけで、これらの研究の内容を俯瞰してみるに、

 

僕の考える仮説のひとつがこちらです。

 

 

  • 皮脂分泌は「刺激や炎症」に反応して促進される可能性がある

 

 

ということ。

 

 

これは角層細胞のターンオーバーと同じくで、

 

角層細胞も刺激や炎症に反応してターンオーバーを早めて新しい健康な角質を作ろうとします。

 

 

皮脂線細胞も同じように、

 

何らかの刺激が細胞に伝わる(例えばアクネ菌の増殖やUVBなどもそのひとつ)と、

 

皮脂を増産するような機構が発生する可能性があります。

 

 

 

 

ただ、皮脂腺細胞は刺激を受け取るにはかなり深いところ(真皮の奥)にあるので、

 

単純な摩擦とか皮膚表面での簡単な刺激はすぐには届かないものと考えられます。

 

 

 

 

ですが継続的な肌の摩擦強力な洗浄力の洗顔肌に刺激になりやすいスキンケアを続けていくと、

 

微弱にでも刺激を受け取って皮脂腺細胞が活発化していく可能性は否定できません。

 

 

つまり長期間のお肌への刺激の蓄積は長い時間をかけて徐々に皮脂量を増やしていく可能性があると僕は思います。

 

 

 

 

実際に慢性的な炎症状態だと皮脂が増えるような気がしますね。

 

角栓毛穴もそうだし、脂漏性皮膚炎やニキビなんかも言われてみれば…という感じ。

 

 

 

これが

 

皮脂分泌に関するかずのすけの持論のひとつ

 

「刺激誘引説」です。

 

 

 

 

 

 

◎皮脂分泌の「平衡状態説」について

 

 

 

そしてもう一つ考えられるのが、

 

  • 皮脂分泌はある程度の『平衡状態』を維持している
 

という風に考える説。

 

 

 

 

「平衡状態」とは簡単に言えば『バランス』をとっているということ。

 

 

 

 

 

角層は上のイラストのように角層中に皮脂をある程度吸収することができます。

 

 

皮脂と似た組成の『油脂類』が角層に浸透しやすいのはこのためで、

 

 

十分な皮脂量を保持した角層だと何らかのシグナルなどを発して皮脂の分泌が抑制され

 

逆に角層が皮脂を含んでいない(もしくは皮脂を保持できる角層がない)

 

皮脂の分泌が促進される可能性があります。

 

 

 

これが「平衡状態」

 

 

つまりたっぷりあれば出さないし、少なくなればその分出す。

 

というバランスを常に維持しようとしているのではないか、ということです。

 

 

 

そもそも皮脂は肌のバリア機能の一旦ですので、

 

バリアの一旦である皮脂が失われればそれをすぐに補給しないと肌が荒れてしまいます。

 

 

しかし皮脂は過剰になるとこれもニキビや過酸化脂質によって肌荒れの原因になるので、

 

多すぎも良くないわけです。

 

 

だから本来の皮脂は「多すぎず少なすぎず」を維持するように作られれているはずです。

(思春期や生理時期にはこれが乱れてしまいますが…)

 

 

 

 

皮脂腺は袋状になっているので袋の中に皮脂が満たされている状態では新しい皮脂腺細胞は作られにくくなるものと考えられます。

 

 

 

先程は「何らかのシグナル」とは書きましたが、

 

 

皮脂が出るか出ないかの判断は意外と単純なものかもしれないと僕は思っています。

 

 

一つは『角栓』です。

 

皮脂を分泌する毛穴には大小いろいろではありますが角栓が存在します。

 

角栓は皮脂と角質の混合物なので、目に見えない毛穴でも内部に小さな角栓は必ずあります。

 

 

角栓はその名の通り「栓」なので皮脂の過剰分泌を抑制する『蓋』の役割をしているのではないか?と僕は考えています。

 

 

 

 

そのため、この角栓を除去してしまうと皮脂の分泌と皮脂腺細胞の生成をせき止めていた蓋がなくなるので、

 

一時的に皮脂が多く出るようになってしまう…ということ。

 

ただ角栓はその後自然に再生されるので、やがて皮脂量も落ち着いていきます。

 

 

 

 

あともうひとつは『角層の浸透圧』が関係しているかも?と言う気もしています。

 

 

 

さっきのイラストにあるように角層は一種のスポンジ状の構造をしているので、

 

毛穴の出口はスポンジで囲まれていると考えてください。

 

 

 

このスポンジが水分も油分もほとんど含んでいないスカスカ状態だと、

 

皮脂線から皮脂を吸出しやすくなるとは考えられないでしょうか。

 

 

逆にスポンジが十分な水分や皮脂を含んでいれば、それ以上吸収できないので皮脂の分泌も抑制されます。

 

 

 

実際に別の研究では「洗顔によって除去された皮脂は2時間程度で元の状態に戻る」という記述があり、

 

2時間で元に戻ったら、その後は皮脂の分泌は抑制されていると考えるのが妥当です。

 

 

 

 

 

通常の肌であればこの働きにより皮脂の分泌量は正常に維持されるはずです。

 

 

肌の状態が正常ならば、これもすぐに明らかな皮脂量の増加には結びつかないはずです。

 

 

 

しかしこれも、

 

慢性的に乾燥状態が継続してしまったり、角栓を頻繁に除去してしまうと

 

常に皮脂腺から皮脂が分泌され続ける状態になり、

 

皮脂腺細胞も活発に作られるようになってしまい…

 

 

 

徐々に皮脂腺で作られる皮脂量がそもそも多くなって

 

平衡状態が皮脂過剰状態に偏ってしまうのではないか?

 

という風に考えることもできます。

 

 

 

皮脂腺内の皮脂が100で、角層の皮脂保持量が100でバランスがとれていたのに、

 

皮脂線の皮脂が200になれば、角層側にもその差分が漏れてきてしまいます。

 

 

脂性肌やニキビ肌や角栓毛穴などの根本の原因になりそうです。

 

 

 

以上が「平衡状態説」の説明になります。

 

 

 

まぁ実はこの平衡状態説は僕が大昔から唱えていたものを今回のお話を聞いてブラッシュアップしたものなんですけどね(^^;)

 

 

 

 

◎刺激誘引と平衡状態以外にもいろいろありそう…

 

 

 

というわけで今の所僕の思う皮脂の分泌機構について頑張って書いてみました。

 

この記事をまとめるのは非常に大変でした…。。苦笑

 

 

 

これを考えると前回の記事で紹介したアンケートで半数以上が「過剰洗浄によって皮脂が増える気がする」と答えていた理由もなんとなくわかるのではないかと思います。

 

 

また逆に「皮脂量に影響しない気がする」という人も少数いたのは、

 

単純に肌の状態が健康な人だと多少の刺激や洗浄では皮脂量が増えるとまでは実感できない人も多いということでしょう。

 

 

さらに「皮脂量が減る気がする」という人も3割ほどいらっしゃったのですが、

 

これはおそらく元々の肌質や加齢などで皮脂の分泌が少ない人がいて、

 

何度も洗えば当然乾燥してしまうよね…という実感から来た回答だったのではないかと予想しています。

 

 

こういう方々の場合は逆に皮脂が少ない乾燥肌悩んでいる人もいるかと思います。

 

少なくとも今回の皮脂増加要素ではあまり効果的に皮脂を増やす方法とは結びつかないかなとは思いますが…。。。

(洗浄や刺激はもちろん肌に負担ですし、UVBやアクネ菌などもってのほかですし;)

 

 

 

 

また今回は僕の持論で刺激誘引と平衡状態のお話をしましたが、

 

他にもアクネ菌の影響で皮脂量が変動したなどのことを考えると実は皮膚常在菌の影響も何らか有り得そうですし、

 

その他にも外的要因で皮脂量を操作する方法はあるのではないかとも思います。

 

 

(これは今日は書けませんが医薬部外品でも「皮脂抑制効果」みたいな作用が認められてきていますし)

 

 

 

 

先程も話しに出てきたように、最近になってようやくハムスターの脂腺細胞を使った実験がいろいろできるようになってきてますので

 

今後あっと驚く皮脂分泌に関する新事実が明らかになるかもしれません。

 

 

今後の研究に期待!という感じですね!(^_^)ゞ







 

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