「化学物質」の意味 | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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「化学物質」

という言葉の意味には色々なものがありますが、

一般消費者の間ではこの言葉に関して大きな誤解が蔓延しているように思います。


 

 

 

 

 



「化学物質」

のフレーズには何となく嫌なイメージがつきまといます。


これはこれまで多くのメディアが、

「化学物質は危険である!」

という情報を発信してきたからだと思われます。


化学物質は

僕達の体を蝕み、

地球の環境を破壊し、

重大な病気の原因となり、

生態系に様々なリスクを与える。



化学物質=毒!


のような扱いで様々なメディア雑誌、ホームページで取り上げられます。


一般消費者がこの言葉を取り違えるのは仕方のないことかもしれません…。





そもそも『化学物質』とは、

本来の意味は


1.原子、分子および分子の集合体や高分子重合体のような、独立かつ純粋な物質[1]。混合物や不純物が多いものは除外される。特に化学が研究対象とするような物質[2]。

2.元素または化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物


というのが元々です。





しかし我々がよく知って耳にする「化学物質」の意味は、

3.人工的、あるいは工業的に合成した物質。天然物に対する概念として用いられる。



の方ですが、本来「化学物質」という言葉にはこの意味は無いのです。


広辞苑ではこの意味の存在に言及した上で「元々この意味は無い」と指摘している

Wikipediaにも記載がありますね。




元々は純粋な化合物化学的な物質単品を指す言葉であったのに、

メディアなどの取り扱いによって3.のような意味が生まれたのでしょう。


このような呼び方は色んな点で問題があります。



一般的には

化学物質=合成物質 ↔ 天然物質

のように捉えられていますが、

これがまず大きな間違いです。



 

 

 

 

 



例えば「水」は、

代表的な化学物質です。


「H2O」という化学式で表せ、様々な反応などの媒質として機能します。


草や花の組織は「セルロース」という高分子化合物が主成分です。

また緑色の色素は「クロロフィル」と呼ばれる緑色色素で、

赤や紫の色は「アントシアニン」、青色は「インディゴ」という色素です。


先日白斑事件を引き起こした「ロドデノール」という化学物質は、

シラカバの樹皮に含まれる成分です。


かといえば果実に含まれる「ビタミンC」という栄養素は、

「L-アスコルビン酸」という化学物質ですし、



岩石は珪酸塩金属酸化物炭酸塩などの混合物で、


空気には窒素、酸素、二酸化炭素など大量の化学物質が含まれています。





化学物質という言葉はなぜか有害な物質を指す言葉のように捉えられていますが、


そもそもこの世に存在するものは全て、化学物質の集合体なのです。




だからこそ「化学物質は危険!」という考え方ははじめから大間違いであり、


化学物質には当然、危険なものもあれば安全なものもあるわけです。

毒のような効能を示すものもあれば、

生命にとって栄養素となる化学物質も存在します。




天然に存在する植物だって化学物質の集合体に変わりありません。

植物の持つ「香り」も「色」も「形」も、

全て化学物質によって作り出されているのです。


匂い成分だけを取り出せば、

それが「精油(エッセンシャルオイル)」として化粧品などに利用されますが、

その化学成分ひとつひとつに名があり性質があり化学構造を持つのです。





例えば合成化学物質で作った染料天然の染料があったとして、

どちらも同じような染色の性質を持つなら

それは何かしらの化学物質の効能ということです。

自然のパワーのような不思議な力ではなく、単なる化学反応の結果です。



例えば天然染料の「ヘナ」には、
2-hydroxy–1,4–naphthoquinone(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)

 

という化学物質(染料)が含まれています。



合成でも天然でも「染料」という化学物質が含まれていることには変わりなく、

そこには似たようなリスクがあって当然なのです。




この辺のことを取り違えていると本当に色んなところで様々な誤解を生みます。


『化学物質』というのは何も怖いものではなく、

その辺にありふれたものなのです。


水も空気も大地も花も、

僕らの体も携帯電話もPCも紙もプ
ラスチックも全部全部、

それは全て化学物質によって作られてます。





だから

「化学物質無添加」とかよく聞きますが、


そんなものがあったとしたらそれは『真空』ですからね。


絶対にあり得ない話なのです。






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