高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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80.「あなたも、親に会えていますか?」と問いかける投稿

 

――はじめに
SNSに小さな問いを置くことは、告白であり、招待でもあります。

 

「あなたも、親に会えていますか?」——この一行は、人を裁く刃にも、寄り添いの灯にもなりえます。

 

専門家としてまずお伝えしたいのは、問いの効用は“言い方”と“置き方”で決まるということ。

罪悪感をあおらず、比べさせず、ただ「いまここ」の気持ちを確かめ合うための問いに整えると、あなたの投稿は見知らぬ誰かの夜を温めます。

 

 


問いは、相手を試すためではなく「居場所」を示すために

 

問いかけの力は、答えを迫ることではなく、安心して沈黙できる場をつくることにあります。

 

返事がなくても大丈夫、どんな答えでも歓迎する、という“前提のやさしさ”を文章ににじませると、読んだ人は自分の歩幅で近づけます。

 

問いの直前か直後に、あなた自身の現在形を少しだけ添えてください。

「今日は駅前の金木犀が強く香った。ふと、母に会いたくなった。」この一文が、問いを“試験”から“対話”へと変えます。

 


エピソード①:彩さんの「沈黙にも席がある」投稿

 

彩さん(仮名)は、離れて暮らす父と会えない日が続き、焦りと自責のあいだで揺れていました。

 

ある夜、彼女は次のように書きました。
「あなたも、親に会えていますか。私は今日は行けなかった。駅までの道に冷たい風。もしよかったら、“会えた”“会えていない”“迷っている”どれでも、心の中で○をつけてください。返事はいりません。」


コメントは多くありませんでしたが、翌朝、古い友人から短いメッセージが届きました。

 

「実は会えていない。あなたの『返事はいりません』に救われた。」彩さんは気づきます。

問いの価値は反応の数ではなく、読んだ人の中に起きる静かな動きにあるのだと。

 

彼女はその後も、自分の近況に小さな問いを添えるスタイルを続け、家族内の連絡もやわらかく回り始めました。

 

 


エピソード②:健介さんの「呼びかけが橋になる」体験

 

面会調整が難航していた健介さん(仮名)は、きょうだいとの関係がぎくしゃくし、発信を避けていました。

 

けれど、命日が近づいたある夕暮れ、彼は短い文章を置きます。
「あなたも、親に会えていますか。僕は今日は行けなかった。代わりに母の好きだった黄桃の缶詰をあけた。」
 

その夜、離れて暮らす姉から久しぶりに連絡が来ます。

「黄桃、覚えているよ。来週なら一緒に行けるかも。」健介さんは、問いが“責め”ではなく“橋”になりうることを実感しました。

 

事実と感情を静かに置くと、人は自分の歩幅で応えられる。問いは相手を引っ張る縄ではなく、渡れる幅のある板であるほど、関係は傷つきません。

 


罪悪感を呼び出さないための言葉づかい

 

問いは、わずかなニュアンスで棘を持ちます。

 

「どうして会いに行かないの?」には、相手の過去と事情を否定する影がさします。

代わりに「いま、あなたはどんな場所にいますか」「会えた日も、会えない日もあるよね」と、選択肢の幅をあらかじめ開いておきましょう。

 

比べさせない、急かさない、正解を一つにしない——この三つの姿勢が、問いを安全にします。

 

そして必ず、自分の現在形を添えます。

「私は今日は会えなかった。でも、台所にひと皿ぶん空けた。」自分に向けた誠実さが、読み手の防御をゆっくり下ろします。

 

 


「語りすぎずに届く」ための小さな工夫

 

プライバシーや家族内の事情が絡むとき、詳細の説明はむしろ関係を固くします。

写真の代わりに匂いや音、手触りを一行だけ添えると、想像の余白が生まれ、読み手は安全な距離を保てます。

 

「湯のみの底で光が揺れた」「洗濯物の柔軟剤が、母の匂いに似ている」——これで十分に温度は伝わります。

問いは、説明の後ろではなく、こうした感覚のすぐ隣に置くと、やさしく響きます。

 


返事が来ないときの“終わり方”

 

問いかけのあと、通知を待ち続ける夜は誰にでもあります。

その夜のために、あなた側の“終わり方”を準備しましょう。

 

灯りを一つ落とす、湯のみを温める、窓を一枚拭く。小さな所作を区切りにして、自分に向けて一行だけ書くのです。

「今日はここまで。明日も、同じ問いを胸の内に置いておく。」問いは相手に投げっぱなしにしないほうが長持ちします。

 

あなたが自分に返事を返すと、関係の温度は保たれます。

 

 


問いの“育て方”

 

同じ問いを繰り返すときは、季節や時間帯、あなた自身の歩幅に合わせて、少しずつ衣替えをさせてください。

「あなたも、親に会えていますか」から、「会えない日、あなたは何をしていますか」へ。「今日は私は駅まで歩いたよ」へ。

 

問いと現在形がともに育つと、あなたのタイムラインは“比べ合いの場”ではなく、“伴走の道”になります。

 

反応が少ない日も、問いは見えないところで効いています。

読んだ人が静かに画面を閉じ、台所で湯気を見つめる——その変化は、数字には表れません。

 


おわりに

 

「あなたも、親に会えていますか?」と問いかける投稿は、勇気のいる営みです。

けれど、それは誰かを裁くためではなく、自分と相手の心に“座る場所”を用意するための小さな家具づくり。

 

もし今夜、あなたが一行だけ何かを置けるなら、こう始めてみてください。


「あなたも、親に会えていますか。私は今日は行けなかった。でも、この湯気の向こうで、たしかに想っています。」
 

問いは、返事を強要しないとき、いちばん遠くへ届きます。

あなたのやさしい一行が、見知らぬ誰かの静かな夜を温めますように。

 

 

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