高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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78.「LINEの既読がつかない」ただそれだけで眠れない夜

 

――はじめに
通知は来ない、トーク画面は静かなまま。

たった一つの青いチェックが付かないだけで、胸の奥がざわつき、眠りの入口から何度も押し戻される。

 

あなたは弱いわけでも、神経質でもありません。人の心は「わからなさ」に最も敏感です。

 

専門家としてお伝えしたいのは、既読がつかない夜に起きていることをやさしく言葉にし、あなたの側に戻せる工夫がちゃんとある、ということです。

 

 


既読がつかない夜、心の中で何が起きているのか

 

私たちの脳は、宙ぶらりんの情報を嫌います。

答えのない問いが生まれると、足りないピースを「最悪の想像」で補い、不安を正当化しようとします。

 

交感神経が優位になり、心拍は少し上がり、まぶたの裏で会話が再生される。

これは“異変を見張る”ための自然な反応ですが、長く続くと眠りを遠ざけます。


ここで大切なのは、相手の行動を変えようとする前に、あなたの夜に「終わり方」を作ること。

終わらない問いを、いったん“今夜はここまで”と囲い直すだけで、からだは眠りの態勢を取り戻します。

 


エピソード①:一行で締める人(綾さん・仮名)

 

綾さんは、離れて暮らす母の既読がつかない夜、布団の中でスマホを握りしめたまま朝を迎えてしまうことが続きました。

 

ある夜、彼女はルールを一つだけ決めます。

日付が変わる前に一行のメッセージを送り、それで終えること。


「今夜は風が強いね。温かくして寝てね。また明日。」
送ったら機内モードにし、スマホを部屋の外に置いて歯を磨く。

 

最初の数日は不安が暴れましたが、一週間もすると身体が“このやり方で今日をたたむ”ことを覚えました。

 

数日後、母から「最近、寝る前の一言が楽しみ」と返ってきます。

既読の有無ではなく、綾さんの“終わり方”が夜を守ってくれたのです。

 

 


エピソード②:現在形のメモを残す人(徹さん・仮名)

 

徹さんは、きょうだい間の調整で父への連絡が滞り、メッセージは届いているのかすら不安でした。

焦りと怒りが混ざる夜、彼はSNSの非公開ノートに短い現在形の記録を置くことにします。


「22:10 湯のみから湯気。返事はまだ。でも、ここで待っている。」
「23:05 窓の外に雨の匂い。今日はこのへんで灯りを消す。」


この“現在形のメモ”は、相手を動かすためではなく、自分の夜を穏やかに締めるための言葉です。

 

やがて父からまとめて返信が届いたとき、徹さんは勢いで責める代わりに、「届いていたならよかった」と一行で返せました。

 

記録のおかげで、関係の温度を下げずに済んだのです。

 


眠れない夜のための、やわらかな作法

 

長い説明は要りません。夜に効くのは、短い所作と言葉です。


まず、あなたの「合図」を作りましょう。

湯のみを一度だけ温める、窓の鍵を確かめる、電気を一つずつ落とす。

合図の最後に、短い一文を自分に向けて言います。
「今夜の私の役目はここまで。」
 

もし相手に一言だけ送れるなら、内容は“情報請求”より“現在の共有”を。
「今日は金木犀の匂い。おやすみ。また明日。」
返事を求める形を避けると、相手にもあなたにも、眠りに向かう余白が残ります。

 

送信後は通知を切るか、スマホを寝室から離して置く。

これは“無視”ではなく、“心の見張り番を下がらせる”ための工夫です。

 

 


既読=関係の評価、ではない

 

青いチェックは便利ですが、関係のすべてではありません。

電波、端末、アプリの仕様、体調、生活のリズム——どれも既読の前に横たわっています。

 

既読がつかない夜に「愛されていない」「拒絶された」と結論づけるのは、疲れた心が選びやすい近道です。

けれど、関係は一つのサインで測れない、長い往復でできています。


不安が強まるときは、思考の主語を「相手」から「私」に戻してみてください。
「読んでくれない」ではなく、「読まれたか分からないと私は不安になる」。
この言い換えが、あなたの夜をあなたに返してくれます。

 


朝に向けた短い儀式

 

眠れない夜ほど、翌朝の自分に小さな“受け皿”を用意しておくと回復が早まります。

枕元にメモを置き、寝る前に一行だけ明日の自分に宛てる。
「起きたら白湯。ベランダで空気を吸う。」
 

朝、メモを一つずつ実行し、最後に昨夜の不安へ短く返事を書きます。
「ちゃんと起きたよ。今日もやれる範囲でやる。」
 

夜の不安に“朝の私”が返事をする——この往復は、既読の有無とは別の手応えをあなたに渡します。

 

 


発信者としてのやさしい置き方

 

もしあなたがSNSで思いを共有したいなら、誰かを責めず、誰かを巻き込まず、あなたの内側だけを語る文章を選びましょう。
「既読がつかない夜、私は台所の灯りを一つ残して眠ります。ここで待っているという印に。」
 

この種の投稿は、同じ痛みを抱える人にとって安全な避難所になり、あなた自身の呼吸も守ります。

反応が少なくても構いません。

言葉は世界に向けた通知であると同時に、あなたの心に刻む“終わりの合図”だからです。

 


おわりに

 

「LINEの既読がつかない」——ただそれだけで眠れない夜がある。

その事実は、あなたが相手を大切に思っている証です。

大切に思うからこそ、今夜は自分の側にやさしい終わり方を用意しましょう。
 

もしよかったら、灯りを一つ落とす前に、一行だけつぶやいてください。
「今日はここまで。おやすみ、また明日。」
 

その一行が、今夜の不安にそっと布団をかけ、あなたを朝へ連れていってくれますように。

 

 

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