高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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60.あのとき親と話しておけば…という後悔のケア方法

 

こんにちは。
高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。

 

日々ご相談を受ける中で、多くの方が涙ながらに口にされる言葉があります。

 

「もっと早く母と話しておけばよかった。」
「父と本音を語り合う時間を持たないまま、会えなくなってしまいました。」
「施設に入る前に、いろいろ確認しておけばよかったと悔やんでいます。」

 

親が高齢になると、体調や判断力が急に変化することがあります。
そのとき初めて、「あのとき話しておけばよかった」という後悔が一気に押し寄せてくるのです。

 

今日は、そんな「親と話せなかった後悔」にどう向き合い、少しずつ心を癒していくかについてお伝えします。

 


親と話せないまま迎える日々が残す「心の痛み」

 

親子の会話は、ただのやり取りではありません。
それは、お互いの存在を確かめ合い、つながりを深める大切な時間です。

 

だからこそ――

  • 親に伝えたい想いがあった
  • 相談したいことがあった
  • 感謝を言葉にしたかった

そのどれもが叶わないまま、親との関係が閉ざされてしまうと、心には深い痛みが残ります。

特に次のような場面で後悔は強まります。

  1. 親が突然入院したとき
    もう会話できない状態になり、伝えたいことが言えなくなる。
  2. 施設や病院で面会制限が続いたとき
    会えない時間が積み重なり、「伝える機会」を失ってしまう。
  3. 親が認知症で意思疎通が難しくなったとき
    もう昔のように話せない現実を突きつけられる。

「もっと前に言っておけばよかった」
そんな後悔が、心を締めつけます。

 

 


後悔は「愛情の証」

 

まずお伝えしたいことがあります。
それは、後悔するのは、親を大切に思っていたからこそだということです。

 

もし親との関係に全く関心がなかったなら、後悔は生まれません。
後悔が強いほど、それは親を想う気持ちが深かった証でもあるのです。

 

「あのとき話しておけば…」
この想いは、あなたが親との絆を大切にしていた証拠です。

 

後悔を完全に消そうとせず、「これは私が親を愛していた証なんだ」と認めてあげることが、癒しの第一歩になります。

 


後悔を和らげるための3つのケア方法

 

ここからは、具体的に心をケアするためのステップをご紹介します。
少しずつ取り入れることで、後悔が静かに和らいでいきます。

 


1. 想いを「言葉」にして出す

 

心の中で繰り返すだけでは、後悔はますます大きくなります。
言葉にして外に出すことが大切です。

  • ノートに書く
  • 手紙を書く(渡せなくてもOK)
  • 声に出して話してみる

例えば、こんな風に書いてみましょう。

「お母さん、本当はあのとき、こう言いたかったんだよ。」
「お父さん、ありがとう。あなたのおかげで今の私がいます。」

 

これは誰に見せる必要もありません。
自分のために言葉を紡ぐことで、心の中にたまった想いが少しずつ整理されていきます。

 

 


2. 仏壇や写真に語りかける

 

もし仏壇や写真があれば、それに向かって話しかけてみましょう。

 

「今日はこんなことがあったよ。」
「あのとき言えなかったけど、ありがとう。」

 

これは心理学でいう「継続する絆(continuing bonds)」という行為です。
亡くなった後も、親との関係は形を変えて続いていきます。
語りかけることで、心の中にあるつながりを感じやすくなります。

 


3. 第三者と想いを共有する

 

後悔は、一人で抱え込むとどんどん重くなります。
信頼できる友人やカウンセラー、専門家に話すだけでも、心が少し軽くなります。

 

「親に会えなかった後悔なんて、誰もわかってくれない。」

そう思うかもしれませんが、実は同じ経験をした人は多くいます。
 

自分の気持ちを言葉にすることで、「私だけじゃないんだ」という安心感が生まれます。

 

 


後悔を「感謝」に変えていく

 

後悔は時間を戻すことができないからこそ苦しいものです。
でも、その後悔の中には必ず感謝の気持ちが隠れています。

  • 「あのとき伝えられなかった感謝」
  • 「もっと一緒に過ごしたかったという想い」
  • 「親と過ごした時間への愛情」

後悔の言葉を少しずつ感謝の言葉に変えてみましょう。

「話しておけばよかった」から
「話したかったほど、大切に思っていたんだ」へ。

この視点の変化が、心を静かに癒してくれます。

 


Aさんのケース:言えなかった「ありがとう」

 

50代女性のAさんは、母親が突然入院し、そのまま会話ができないまま旅立ってしまいました。

 

「母に一度でいいから“ありがとう”と言いたかったんです。でも、その機会を失ってしまいました。」

Aさんは深い後悔に苦しみ、毎日涙が止まらなかったそうです。

 

そこで、カウンセリングの中でAさんは「母への手紙」を書くことにしました。

便箋に、母に伝えたかった想いを一つずつ丁寧に書き出していきます。

書き終えた後、Aさんは涙を流しながらこう語りました。

 

「言えなかった“ありがとう”を、今やっと伝えられた気がします。」

その日から少しずつ、Aさんの表情は穏やかになっていきました。

 


これから親と向き合うために

 

もし、まだ親がご健在であれば、今日からでも小さな会話を重ねていきましょう。
「いきなり本音を語る」必要はありません。
日常のちょっとした会話からで構いません。

  • 「今日は寒いね。」
  • 「最近はどうしてる?」
  • 「ありがとう。」

これらの言葉が、後悔を減らすための第一歩になります。

 

 


まとめ:後悔は愛情の裏返し

 

「あのとき親と話しておけば…」という後悔は、とても深く、簡単には消えません。
しかし、その後悔は、親を大切に思う気持ちがあったからこそ生まれたものです。

 

今日お伝えした大切なポイントを振り返ります。

  1. 後悔は、愛情が深かった証拠
  2. 言葉にして外に出すことで心が整理される
  3. 仏壇や写真への語りかけで、親との絆を感じる
  4. 第三者に話すことで孤独感が和らぐ
  5. 後悔を少しずつ感謝の言葉に変えていく
     

最後に

 

親との会話は、人生にとってかけがえのない宝物です。
 

それが叶わなかった後悔は、簡単には消えません。

けれど、その後悔を抱えて生きることは、同時に親への深い愛情を抱き続けることでもあります。

 

どうか、自分を責めずに、その想いを少しずつ外に出していってください。
 

そして、これからの日々を「感謝」とともに生きていけるよう、優しく一歩ずつ進んでいきましょう。

 

「あのとき話せなかったけれど、今、心で伝えているよ。」

その想いは、きっと親の心にも届いています。

 

 

 

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