105円読書 -24ページ目

ジェミニ・ナイヴ C列の少女たち 著:きむらひでふみ

ジェミニ・ナイヴ C列の少女たち

きむら ひでふみ:著 gimik:企画原案
学研 ISBN:4-05-903508-4
2006年3月発行 定価578円(税込)









人気アニメ「キディ・グレイド」を手がけたアニメ・クリエーター集団gimikが手がけた小説作品ということで、とある組織のエージェントとして活躍する2人の女の子が、宇宙を股に掛け、ドタバタアクションを繰り広げるという…「キディ・グレイド」そっくりな内容なSFもの。

温泉レポートでもなんでも、マルチにこなす美少女アイドル・コクーンと、美人マネージャーのクリサリスにはもう一つの顔が…。2人は報酬と引き換えにどんな依頼でも請け負う「G・M・B」(ガンビット)と呼ばれる非合法組織のエージェントだったのだ。

「キディ・グレイド」もそうだったけど、元をただせば、高千穂遥の「ダーティペア」のノリだよね、これ(笑)ただ、腕力だけで解決するんじゃなくて、特殊能力が使えるって設定は、やっぱり「キディ・グレイド」だ。

トータル160ページ強しかないので、わりとスラスラと、ササっと読める内容。人気水着デザイナーの要人警護と、ギャンブル大会へ潜入するSF版“カジノ・ロワイヤル”(笑)な話の2エピソードで構成されている。

ライノベなんで、後藤圭二のイラストに助けられてる部分が大きいかなって思う次第。萌え萌えな2人の丁々発止なやり取りは確かに楽しいが、もう少しひとつの事件を深く掘り下げてほしいかなと、物足りなさを感じる。

1、2時間で読める内容なので、続編も一緒に入手したから、続けて読んで見ちゃおうかなって思ってるところです。






個人的採点:55点







下北の殺人者 著:中町信

下北の殺人者

中町信:著
講談社 ISBN:4-06-185581-6
1994年1月発行 定価509円(税込)









ベテラン推理作家、中町信の推理小説…現在は絶版だが、Amazonのマケプレなどでは格安入手できるので、古本で探すべし!

出版社の県人会メンバーが行った、グループ旅行のツアー中に殺人事件が起きたのだが、実は、その少し前にも、同じ県人会メンバーの女性が不審死を遂げる事件が起きていた。メンバーは社内で、宝くじのグループ買いをしており、彼女がその管理を担当していたのだ。そして今回の旅行直前に、実はその宝くじで三千万円の高額当選をしていたことが発覚し、そっくりその金が行方不明になっていたのだ。容疑者はツアーメンバーの中にいると、皆が疑心暗鬼になり、事件や現金の行方の探り合いを始める…。

2時間サスペンスの原作になりそうな、トラベルミステリー的な推理小説でありながら、叙述系トリックで、あっと驚かせるのが上手な中町信。今回も、その妙技は健在で、何かありそうだぞと疑いながらも、まんまとその術中にハマってしまう。

それこそネタバレにつながるので多くは語れないが、シンプルでありながら、奥がけっこう深い。フェアな伏線もいっぱいあり、作中の登場人物同様、推理する楽しみがしっかりあり、推理小説らしい醍醐味がしっかりと味わえる。推理小説ってやっぱ面白いなぁって、もう一度、考えさせてくれるのが中町信。

当たるわけないけど、当たった時が大変。やっぱり宝くじのグループ買いなんかするもんじゃないよ。自分もグループ買いでは失敗したことがあって、学生の頃から宝くじは好きで買ってたんだけど、たまたまスクラッチくじを、いつものように5枚買ったんだ。そしたらさ、一緒にいた何人かの同級生が、もの珍しそうにしてて、自分もやりたいから1枚分投資する。だから当たったら山分けしろなんて言いだした。そしたら周りのヤツも、オレも、オレもって収拾がつかなくなったので、自分+3人…自分が400円分で、ほかのやつらが200円ずつ投資したら、運がいいのか、悪いのか、一万円当たっちゃったんだ、そんな時に限って。なぜか自分は二口分出したのに、4等分で2500円。お前らなら、普通に考えて、俺4000円だろ!と主張したんだけど…トボケられてしまった。以来、家族でも一緒に宝くじを購入するというのはしていない。絶対、喧嘩になるから、宝くじのグループ買い、共同購入はやめた方がいいよ。当たった時に後悔するから…っていう苦い思い出をちょっと、思いだしてしまった。






個人的採点:70点






名探偵症候群 著:船越百恵

名探偵症候群

船越百恵:著
光文社 ISBN:4-334-07607-6
2005年3月発行 定価940円(税込)









このブログを書き始めた頃にデビュー作の「眼球蒐集家」を読んだ船越百恵の二作目(だと思う)。キャラなどは心機一転だが、コメディタッチのミステリという路線は継続。その度合はますます過剰気味。

ゴールイン間近だと思っていた恋人にフラれた直後に、幼馴染から結婚パーティーの招待を受けた三十路すぎの独身OL、相原茅乃。同じく招待を受けてる両親から、恋人同伴で出席せよと命ぜられ、エスコートサービスから派遣された美青年・刑部芯をニセの恋人に仕立て上げるのだが、なんとパーティー会場で殺人事件が発生してしまう。

ミステリとしては正直ガックリの駄作…無駄が多すぎて、つまらない。妄想癖な主人公など、三浦しをんのエッセイのパクリみたいで、それが延々と続き、中盤まで事件らしい事件が起きない。主人公がバカミス系の暴走推理を繰り広げた後、とってつけたような解決編。

伏線らしきものは存在するが…読者の推理力を試されるような展開ではなかった。“わたしの彼は殺人鬼なのでしょうか?”という意味深なフリ、ミステリアスな刑部芯の正体も、ストレートすぎるしなぁ、おい。

ミステリー、推理を楽しむというよりは、軽快な文章で綴ったラブコメですコレ。デビュー作の方が、ミステリーとしてはもうちょっと面白かった。






個人的採点:50点






エクスプローラー 覚醒少年 著:北山大詩

エクスプローラー 覚醒少年

北山大詩:著
富士見書房 ISBN:4-8291-6336-4
2006年1月発行 定価630円(税込)









富士見ミステリー文庫で募集している、ヤングミステリー大賞の入賞作品で、これが著者のデビュー作らしい。抜群の透視能力を有する少年や、聴覚や嗅覚が異常発達した少女が…その特殊能力を利用しエクスプローラーと呼ばれる、探し屋をしているが、自分たちの生い立ちにまで関係する陰謀に巻き込まれるというお話。

孤児だった透は施設を抜け出したのだが、その後、ひょんなことから透視能力に目覚める。一人で生き抜いていくために金を稼がなきゃいけないと気付いた透は、偶然見つけた、インターネットの非合法探し物サイト“エクスプローラー”で募集していた、依頼をこなすエクサーに登録。多額の報酬と引き換えに、依頼された探し物を見つけ出すのだが…テロ事件の爆弾探しから、自殺した遺体まで何でもありだ。そんな透が気になったのが“宇宙人を捜しています”という奇妙な依頼広告。その直後、不思議な少女を2人目撃し、“宇宙人探し”の依頼を思い出すのだが、少女のうちの一人が、同じ高校に通う先輩だった!この少女と関わったことから…透の周囲があわただしくなる。

高校生が主人公なので、ライノベお約束な学園ものなのかなぁって思ってたんだけど…学生生活の描写は控え目だった。けっこう壮大なストーリーが隠されており、すでに続編も何作か発表されているとかで、これ1本では終わらないような謎な部分も含ませています。

超能力を駆使して金は稼ぎたいが、一方では平穏無事に学生生活もエンジョイしたい少年少女たちが巻き込まれる壮大な陰謀…キャラ設定などはいかにもライノベチックだが、ストーリー展開などは、ミステリアスで、ドラマチックでテンポもけっこう良い。

自分がけっこう好きな深見真の「ヤングガン・カルナバル」っていう、高校生殺し屋集団の作品があるんだけど、あれの超能力版みたいな作品かな?「ヤングガン・カルナバル」みたいに、アクション、ミステリーな要素と、学園ものの要素の按排がもう少し良ければ、もっと面白くなりそうな気配。続編シリーズ化されているということは、今後はそういった展開も望めるのかなと?

たぶん、新人の作家さんだと思うんだけど、文章も読みやすく、好きなタイプの書き手だと思いますね。






個人的採点:60点






M.G.H 楽園の鏡像 著:三雲岳斗

M.G.H 楽園の鏡像

三雲岳斗:著
徳間書店 ISBN:4-19-905160-0
2006年6月発行 定価720円(税込)









2000年に発刊され、第1回SF新人賞を受賞した作品が徳間デュアル文庫で再登場…作者のあとがきによると文庫化に際し、多少の手直しを加えたが、物語などには大きな変更はないそうだ。

従妹の舞衣の計略で、偽装結婚させられる羽目になった大学院の研究助手・鷲見崎凌…実は舞衣が新婚カップルを対象にした宇宙旅行招待のプレゼントに応募してあり、見事当選していたのだ!2人は、日本初の多目的宇宙ステーション“白鳳”に滞在することになったのだが…トラブル発生。なんと無重力空間に死体が漂っているのを発見してしまったのだが…その死体は、まるで数十メートルの高度から墜落したかのような惨状だった。はたして、事故か、それとも殺人事件なのか?

SF新人賞ってくらいだから、ジャンルはSFで間違いないんだけど…舞台設定が近未来の宇宙ステーションってだけで、実は中身は殺人事件の犯人探しをする本格推理小説でもある。最近ではライトノベル中心に活躍している作家であり、今回の文庫も徳間デュアル文庫での発売、アニメ調のイラスト付きだが…本格的なSF小説ファン、推理小説ファンの人でも満足できるSFミステリーの傑作に仕上がっているので、表紙の見てくれに騙されないように。

論理的な解釈…主人公が理数系のアプローチで物事を進めていくあたりは、森博嗣のミステリーなんかにも通じる部分があるし、この作品の中ではミラーワールドと称されていた、コンピューターによる仮想空間の描写なんかは、ちょっと「攻殻機動隊」っぽいとこもある。で、基本設定は「プラネテス」のようなハードSF。

ライノベなんかも書く作家さんなので、キャラクターもとっつきやすく、親しみやすいものが多く…偽装結婚する羽目になる、二人のラブコメとしても楽しめる。ただ、追々…この二人の複雑な関係が明らかになってくるんだけどね…結婚生活はどうするのか?っていうラブストーリーとし追いかけていっても面白いかもしれないね。






個人的採点:70点






ナース 著:山田正紀

ナース

山田正紀:著
角川春樹事務所 ISBN:4-89456-747-4
2000年8月発行 定価600円(税込)









山田正紀の「ナース」…まだまだ白衣の天使を看護婦と呼んでいたころの作品ですね(笑)7人のナースが、航空機事故の現場で、遭遇する地獄絵図。のっけからハイテンションのホラー作品。

日本赤十字社の病院に勤める7人の看護婦たちは、航空機墜落事故の現場へ派遣されたのだが、その現場は、警察も、自衛隊も、他の医者や坊さんたちも…男たちが逃げ出す程の壮絶な場所だった。墜落の衝撃でバラバラになった人間の遺体がなぜか動き回り…襲いかかってきたのだ!?異形の者か、宇宙人の仕業か?

冒頭からノンストップで繰り広げられるバトル系のホラーです…七人の侍ならぬ、七人のナースが、真っ白な救急車を駆って闇の中を疾走、この世の観念を超えた異形の存在(途中からルシファーと命名)と、対峙するんだけど、職業倫理や職業意識を最優先させて…戦い抜いていく。

医療の現場で人の生き死にを毎日のように体験しているナースは、どんな人間よりも強いってことですよ。ホラーという題材を借りて、看護婦改め看護師さんたちの大変さを実感しましょう。これは白衣の天使へのエールです(笑)

本当に匂ってきそうな臭そうな文章など、グログロ描写は半端じゃないっす。B級映画を見ているようなノリ、勢いとテンポで読ませるホラーエンターテイメントの佳作。






個人的採点:70点






クラムボン殺し 著:中島望

クラムボン殺し

中島望:著
講談社 ISBN:4-06-182501-1
2006年10月発行 定価903円(税込)









中島望の「クラムボン殺し」…クラムボンとは、小学校でも教わる、宮沢賢治の作品に登場する正体不明の存在で、アメンボなど微生物ではないかとか、いろいろな説がある。作品の主人公の一人が小学校教諭であり、事件が起きるのが小学校内。作中の授業シーンで、クラムボンについて語っている。

私立小学校の女性教師七浦陽子は、一人暮らしの自宅に何者かが侵入した痕跡を見つけ、ストーカーではと疑う。世間では、陽子と同年代の一人暮らしの女性ばかりを狙った“眼球抜き連続殺人”が起きており、犯人は捕まっていない。陽子は自分が次の被害者になるのではないかと思い…チラシを見た探偵社に調査を依頼するのだが、その直後に、勤務先の小学校で、猟奇殺人が発生する。

著者初の本格ミステリーだという「クラムボン殺し」…眼球くりぬきの連続猟奇殺人に、見立て殺人と本格要素は充分だが、著者らしい、バトルホラーっぽい要素も残っており、生粋の本格派に認められるかどうかは微妙な線…?

思わぶりせな犯人の独白なども挿入され、けっこう本格としてはフェアに描かれているので、真相にたどりつくのは容易。どんでんがえしも用意されているが、そちらも、予想の範囲内で驚きは少なかった。

小学校の女性教諭が殺人鬼におびえるなど、冒頭はかなり期待させられたのだが…ガチガチの本格推理に比べると、ちょっと物足りなかった。エンターテイメントとしては面白くは読めるので、これで、綾辻や島荘のような先達の本格推理作家のようにあっと驚く結末が用意されていたら、本格推理として満足できるのに、ちっともったいない。






個人的採点:65点






秘密の花園 著:三浦しをん

秘密の花園

三浦しをん:著
マガジンハウス ISBN:4-8387-1366-5
2002年3月発行 定価1,470円(税込)









三浦しをんの「秘密の花園」を読む…カトリック系の女子高に通う3人の女の子の話で、それぞれに、人には言えない繊細な秘密があるという感じの内容。自分はハードカバー版で読んだが2007年3月に新潮社で文庫化された模様。

カトリック系の女子高に通う3人の少女…母親を亡くしたばかりの那由多は、夏期講習を受けた予備校で知り合ったボーイフレンドと付き合ってみるが、なんだかシックリこない。他の同級生とは距離を置いているが、本好きという共通項から、中学で仲良くなった那由多とは気が合う翠。そんな2人の関係に憧れを抱いているお嬢様の淑子は、誰にも相談できない恋に夢中になっているのだが…。

語り手がスイッチしながらも、時系列は一方向にのみ進み、物語が進んでいくという構成。当初は、那由多視点の話だけが雑誌に掲載されたそうなのだが、残りの2人の視点を追加して、長編化したのだそうだ。

他人の容姿であり、人柄であり、人望であり…何でも自分にないものには憧れちゃうのは人間だれにもあることだろう。それが多感な思春期の女子高生だったら、さらに顕著に現れるのではないだろうか?表面上は仲良く付き合っている友達という関係なんだけど、心の中ではいろいろな感情が渦巻いてたりしてるのね。

そういった繊細な感情と、彼女たちの秘密でいっぱいな日常を描いた物語。時折、ほかの作品の“オタクな妄想”に近い発想も出てくるが、もうちょっと大人な感じ。背伸びして大人になろうとしている感じとでもいおうかな…いまどきの女子高生の実態をリアルにクールに描いてるんじゃないだろうかと、おじさん世代は思ってしまう(笑)

3人の性格や気持ちを読み解き、理解して…想像力で補わなきゃいけないようなところもあるので、カタルシスが味わえるような単純なラストにはなっていないので…人によっては物足りなく感じてしまうかもしれませんね。

男から見ると、大人の女性も女子高生もすべてひっくるめて、“謎”であると…いうことでしょうか(笑)


文庫版 秘密の花園  新潮社  2007年3月発行 定価460円(税込)






個人的採点:65点






EDGE 【エッジ】 著:とみなが貴和

EDGE 【エッジ】

とみなが貴和:著
講談社 ISBN:4-06-275537-8
2006年10月発行 定価600円(税込)









講談社文庫の「EDGE」…もともとは講談社X文庫ホワイトハートという、女の子向けライトノベルから出ていたそうなのだが、一般文庫でリニューアル発売。巻末の解説で、大森望が太鼓判を押していたので読んでみた。初出は1999年だそうだ。最近の出版業界では普通の本をライノベ風イラスト(漫画風、アニメ風)カバーにして、若い人を騙そうとするパターンと、逆にライノベを、一般文庫として地味目にリニューアルし、大人に買わせようとするパターンが流行りみたいですね。

都庁やレインボーブリッジなど東京にある高層建築物を狙った爆破事件が相次いで起こっているが幸い、死者はでていない。巷では犯人のことを“黄昏の爆弾魔=ラグナロク・ボマー”と呼び、注目されている。そんな事件に、警視庁が白羽の矢を立てたのが…天才心理捜査官・大滝錬摩。錬摩はある事件を機に、プロファイラーの仕事から遠ざかっていたのだが、3年ぶりに捜査共助課の桜井警視正から呼び出される。

男のような容姿のやたらクールな女プロファイラーと、過去の事件の後遺症で、外見はれっきとした大人なのだが、精神が幼児のように後退・退化してしまった青年が超能力並の特殊能力を発揮して…連続爆弾魔と対峙するという設定に、ややライノベっぽさを感じるものの、エンターテイメントミステリーとして、大人も読める充分なクオリティ。

都庁、レインボーブリッジなど東京中の建築物を爆破しまくる犯人。主人公側は突飛な設定も飛び出すが、年老いた母親の介護に疲れた、くたびれた男が、実は爆弾魔であると冒頭から語られ、その屈折した心理描写などもよく描けているので、しっかりとドラマ部分を盛り上げるのに成功している。

東京の街の様子などがよく描けているので、ほんと、設定がもう少しリアルだったり、警察側の捜査をもう少し克明に描いてあったりしたら、もっとハマれただろうなぁって思う。

今現在は講談社文庫の方で2巻目まで出ているらしいが、まだ古本でGETできておらず。大森氏いわく、早く続きが読みたきゃ、ホワイトハート(女の子向けライノベ文庫)で揃えろ!その勇気がなければ、講談社文庫に収録されるのを祈れ!だそうだ(笑)






個人的採点:65点






ストーカーズ 著:友成純一

ストーカーズ

友成純一:著
角川春樹事務所 ISBN:4-89456-739-3
2000年8月発行 定価650円(税込)









最近、今頃になってハマってしまった友成純一のホラー。変態ストーカー大集合…一人の美女をこんなにもいっぱいの変態さんたちが狙っていたのか!?って展開が凄すぎ。

住宅街のアパートで美人OLが殺された…全裸にされ、臓器を取り出され…さらに子宮まで持ち去られていたという。近隣の住人たちは、この凄惨な事件に驚きながらも、興味を抱く。そして彼女を狙っていたストーカーの存在が明らかになるのだが、それは一人や二人ではなかった!?

ストーカー同士のニアミス…殺人の犯人以外にも、変態がいっぱい。ある人物か、ストーキング目的で女の部屋に忍び込んだら、相手の女はすでに変わり果てた姿になっていた。変態同士の妙な拘りと駆け引きで…事件は錯綜していく。

エログロ描写は満載だが…序盤は、ホラーといえど、ミステリーサスペンス風に物語は進行。真犯人が捕まって、終わるんだろうなぁなんて予想していたんだけど…一筋縄ではいかないのが、やはり友成純一。

終局へ向かって、関係者や変態さんたちが…事件現場に舞い戻ってきたと思ったら、さらにもっと凄いオチもあった!?

死体解体、カニバリズムなど、友成節絶好調の変態描写も相変わらず強烈ですが…普通のサラリーマンから、公務員だって、芸能人だって…痴漢や性犯罪で捕まっているのも現実の世の中ですからね…周りは変態ばっかっていうのも、あながちフィクションだとも言えないっすよ。そういう怖さも実感できる物語です。

この間読んだ「凌辱の魔界」よりは鬼畜描写はおとなし目だが、物語性などはこちらの方が面白く描かれていた。






個人的採点:75点