EDGE 【エッジ】 著:とみなが貴和 | 105円読書

EDGE 【エッジ】 著:とみなが貴和

EDGE 【エッジ】

とみなが貴和:著
講談社 ISBN:4-06-275537-8
2006年10月発行 定価600円(税込)









講談社文庫の「EDGE」…もともとは講談社X文庫ホワイトハートという、女の子向けライトノベルから出ていたそうなのだが、一般文庫でリニューアル発売。巻末の解説で、大森望が太鼓判を押していたので読んでみた。初出は1999年だそうだ。最近の出版業界では普通の本をライノベ風イラスト(漫画風、アニメ風)カバーにして、若い人を騙そうとするパターンと、逆にライノベを、一般文庫として地味目にリニューアルし、大人に買わせようとするパターンが流行りみたいですね。

都庁やレインボーブリッジなど東京にある高層建築物を狙った爆破事件が相次いで起こっているが幸い、死者はでていない。巷では犯人のことを“黄昏の爆弾魔=ラグナロク・ボマー”と呼び、注目されている。そんな事件に、警視庁が白羽の矢を立てたのが…天才心理捜査官・大滝錬摩。錬摩はある事件を機に、プロファイラーの仕事から遠ざかっていたのだが、3年ぶりに捜査共助課の桜井警視正から呼び出される。

男のような容姿のやたらクールな女プロファイラーと、過去の事件の後遺症で、外見はれっきとした大人なのだが、精神が幼児のように後退・退化してしまった青年が超能力並の特殊能力を発揮して…連続爆弾魔と対峙するという設定に、ややライノベっぽさを感じるものの、エンターテイメントミステリーとして、大人も読める充分なクオリティ。

都庁、レインボーブリッジなど東京中の建築物を爆破しまくる犯人。主人公側は突飛な設定も飛び出すが、年老いた母親の介護に疲れた、くたびれた男が、実は爆弾魔であると冒頭から語られ、その屈折した心理描写などもよく描けているので、しっかりとドラマ部分を盛り上げるのに成功している。

東京の街の様子などがよく描けているので、ほんと、設定がもう少しリアルだったり、警察側の捜査をもう少し克明に描いてあったりしたら、もっとハマれただろうなぁって思う。

今現在は講談社文庫の方で2巻目まで出ているらしいが、まだ古本でGETできておらず。大森氏いわく、早く続きが読みたきゃ、ホワイトハート(女の子向けライノベ文庫)で揃えろ!その勇気がなければ、講談社文庫に収録されるのを祈れ!だそうだ(笑)






個人的採点:65点