秘密の花園 著:三浦しをん | 105円読書

秘密の花園 著:三浦しをん

秘密の花園

三浦しをん:著
マガジンハウス ISBN:4-8387-1366-5
2002年3月発行 定価1,470円(税込)









三浦しをんの「秘密の花園」を読む…カトリック系の女子高に通う3人の女の子の話で、それぞれに、人には言えない繊細な秘密があるという感じの内容。自分はハードカバー版で読んだが2007年3月に新潮社で文庫化された模様。

カトリック系の女子高に通う3人の少女…母親を亡くしたばかりの那由多は、夏期講習を受けた予備校で知り合ったボーイフレンドと付き合ってみるが、なんだかシックリこない。他の同級生とは距離を置いているが、本好きという共通項から、中学で仲良くなった那由多とは気が合う翠。そんな2人の関係に憧れを抱いているお嬢様の淑子は、誰にも相談できない恋に夢中になっているのだが…。

語り手がスイッチしながらも、時系列は一方向にのみ進み、物語が進んでいくという構成。当初は、那由多視点の話だけが雑誌に掲載されたそうなのだが、残りの2人の視点を追加して、長編化したのだそうだ。

他人の容姿であり、人柄であり、人望であり…何でも自分にないものには憧れちゃうのは人間だれにもあることだろう。それが多感な思春期の女子高生だったら、さらに顕著に現れるのではないだろうか?表面上は仲良く付き合っている友達という関係なんだけど、心の中ではいろいろな感情が渦巻いてたりしてるのね。

そういった繊細な感情と、彼女たちの秘密でいっぱいな日常を描いた物語。時折、ほかの作品の“オタクな妄想”に近い発想も出てくるが、もうちょっと大人な感じ。背伸びして大人になろうとしている感じとでもいおうかな…いまどきの女子高生の実態をリアルにクールに描いてるんじゃないだろうかと、おじさん世代は思ってしまう(笑)

3人の性格や気持ちを読み解き、理解して…想像力で補わなきゃいけないようなところもあるので、カタルシスが味わえるような単純なラストにはなっていないので…人によっては物足りなく感じてしまうかもしれませんね。

男から見ると、大人の女性も女子高生もすべてひっくるめて、“謎”であると…いうことでしょうか(笑)


文庫版 秘密の花園  新潮社  2007年3月発行 定価460円(税込)






個人的採点:65点