エクスプローラー 覚醒少年 著:北山大詩
エクスプローラー 覚醒少年
北山大詩:著
富士見書房 ISBN:4-8291-6336-4
2006年1月発行 定価630円(税込)
富士見ミステリー文庫で募集している、ヤングミステリー大賞の入賞作品で、これが著者のデビュー作らしい。抜群の透視能力を有する少年や、聴覚や嗅覚が異常発達した少女が…その特殊能力を利用しエクスプローラーと呼ばれる、探し屋をしているが、自分たちの生い立ちにまで関係する陰謀に巻き込まれるというお話。
孤児だった透は施設を抜け出したのだが、その後、ひょんなことから透視能力に目覚める。一人で生き抜いていくために金を稼がなきゃいけないと気付いた透は、偶然見つけた、インターネットの非合法探し物サイト“エクスプローラー”で募集していた、依頼をこなすエクサーに登録。多額の報酬と引き換えに、依頼された探し物を見つけ出すのだが…テロ事件の爆弾探しから、自殺した遺体まで何でもありだ。そんな透が気になったのが“宇宙人を捜しています”という奇妙な依頼広告。その直後、不思議な少女を2人目撃し、“宇宙人探し”の依頼を思い出すのだが、少女のうちの一人が、同じ高校に通う先輩だった!この少女と関わったことから…透の周囲があわただしくなる。
高校生が主人公なので、ライノベお約束な学園ものなのかなぁって思ってたんだけど…学生生活の描写は控え目だった。けっこう壮大なストーリーが隠されており、すでに続編も何作か発表されているとかで、これ1本では終わらないような謎な部分も含ませています。
超能力を駆使して金は稼ぎたいが、一方では平穏無事に学生生活もエンジョイしたい少年少女たちが巻き込まれる壮大な陰謀…キャラ設定などはいかにもライノベチックだが、ストーリー展開などは、ミステリアスで、ドラマチックでテンポもけっこう良い。
自分がけっこう好きな深見真の「ヤングガン・カルナバル」っていう、高校生殺し屋集団の作品があるんだけど、あれの超能力版みたいな作品かな?「ヤングガン・カルナバル」みたいに、アクション、ミステリーな要素と、学園ものの要素の按排がもう少し良ければ、もっと面白くなりそうな気配。続編シリーズ化されているということは、今後はそういった展開も望めるのかなと?
たぶん、新人の作家さんだと思うんだけど、文章も読みやすく、好きなタイプの書き手だと思いますね。
個人的採点:60点