あれは東京新宿の伊勢丹デパートだったと思いますが、コカ・コーラ社のサンタクロースを描いた画家ハッドン・サンドブロムの展覧会がありまして、その時にはじめて、現代のサンタクロースのイメージを決定づけたのが、この画家であることを知りました。もう何十年も前のことになりますが、その当時にはその様に言われておりましたけれども、現在では、コカ・コーラ社のサンタ以前にサンタが赤い服を着ていたことが知られるようになりました。やはりネットの威力は大きいと思います。その気になって検索すればだれでも、ほしい情報にたどり着くようになりましたからね。
けれどもハッドン・サンドブロムの描いたサンタクロースが、素晴らしく素敵で、紅白の衣装のサンタクロースの意匠を世界的に広めた貢献者であることもまた間違いのない史実ではないかと思われます。ハッドン・サンドブロムが描いたサンタクロース作品は、1931年から1964年までの間に約40点以上、初登場は米国の雑誌「サタデー・イブニング・ポスト」だったそうです。その作品は見ているだけで、そっても幸せな気分になります。この作品が広告に使われていたとは、よき時代だったものです。
さてそのコカ・コーラですが、これもアメリカで発明された世界初のコーラ飲料と言われておりますが、なぜコカという名前がついているかと云いますと、コカインの成分が入っていたからです。Wikipediaにもそのような記述があります。表現としては法律で禁止されるまでは微量ではあるがとありますね。まあコカ・コーラの成分やレシピ自体がトップシークレットだそうですから、実際なにが入っているかわかりませんけれども。コーラには中毒性があるといいますか、わたしなどは一度飲み出すとずっと飲まずにはいられなくなります。
というお話はおいときまして、ハッドン・サンドブロム以前に、これまたアメリカのイラストレーター=トーマス・ナストが、週刊誌「ハーパーズ・ウィークリー」において、それまでのものとは違う恰幅のよくニコニコした赤ら顔のサンタクロースを描いて大変な人気を得たそうです。
ここで確認しておきたいたいのですけれども、このようにクリスマスにまつわる様々なイメージというのは、だれか一人の創作なのではなくて、様々な人の手を経てきているということなのです。しかしアメリカでクリスマスのイメージは決定的なものになっておりますね。
そして当たり前のようですが、クリスマスやサンタクロースには著作権がなく、これから先もだれでもが、そのイメージを育てていく余地がある。商品の広告に使われましても、サンタクロースがコカ・コーラ社の独占だとはだれも思っていないでしょう。
このようにクリスマスというのは、サンタクロースという想像上の架空の聖人を中心とする現代の神話と云えると思います。民話や神話はげんっだいにおいてはローカルなものになっておりますが、こうして世界中でクリスマスという習慣の中で息づいているのでした。