2021年9月26日、初めての長州遠征2日目。この日のネタで記事にしているのは、U部興産伊佐セメント工場の橋、大棚隧道、徳佐川橋梁、佐波川ダム、釣山隧道。今宵ご紹介するのは、時系列では大棚隧道と徳佐川橋梁の間で通りすがりに見つけて緊急停止した物件。
いきなり、ドン。
まったくノーマークだった、コンクリートローゼ橋!現在地こちら。
橋好きにしか共感してもらえないとは思うが、特定の地域を除けばこの型式の橋、決してありふれてはいないのだ。わたくしのこれまでの経験値でも、これまでで(たぶん)8件しか出会えていなくて、ここはその7件目…だったはず。そのうち記事にしてるのは、八七瀬橋、万年橋、御門前橋。
サイド気味アングルで。
山口県道293号萩長門峡線を南下していて目に飛び込んできた瞬間に、思わず目を疑った。
この遠征ではけっこうしっかりと下調べをしていて、行きたい物件がわりと明確だったのだが、それでもやっぱりこういう通りすがりの素敵な拾い物が。いや~、こういうのがあるからやめられない。
で、下調べでお世話になったQ地図様では拾えなかった理由は、見つけてすぐに判明していた。
石組み風の立派な親柱に掲げられた銘板には、
「中国電力株式会社 長門峡発電所」と。そりゃあ企業の占有橋なら載らないはずだわ。
ちなみに、右側の親柱も同じく発電所名の銘板が取り付けられていたが、なぜか銘板の形がこれとは違ってもう少し横長なもの。冒頭の写真をよく見ていただくとわかると思うが、なぜ左右で形が違うのか謎だ。
その長門峡発電所が、
対岸に見えている。水圧鉄管も。これには写っていないが、鉄管上部にはサージタンクも見て取れた。
この発電所は昭和28年9月の発電開始ということで、
この橋もおそらく同時期に完成したと思われる。こういうクラシカルな意匠、素敵だ。
その制限重量は
23tとか。すんごいな。
近年の多くの発電所と同様に、
ここも無人での遠隔管理ということで、このような非常電話も。
さて実は、本橋が希少なコンクリートローゼ橋であることと同じくらいに、わたくしに刺さったポイントがあった。
それが、こちら。
横構に掲げられた「長門峡水力發電所」。
旧字の「發」はさらに崩された文字になっている。左端のビリビリマーク(笑)が素晴らしすぎるが、これは中国電力の旧社章なのだとか。
しかもお気づきだろうか。これ、モザイクタイルで描かれているのである。なんとオシャレな。
そして個人的に特筆すべきポイントは、左端。
よく見ていただきたい。旧社章部分、マークの丸みに合わせて枠が少し膨らんでいるのである。ミスなのか仕様なのかはわからないけど、この仕上げの細かさには感動した。
これを見れば、やっぱり扁額だと言い切っていいと思える。完全に別仕立てで取り付けられているもんなあ。
橋上から望む、
阿武川上流方面。
そしてこちら、下流側。
この「窓」もコンクリートローゼのいいところなんだな~。
ちなみにこの川が、萩市と山口市の市境となっているようで、発電所が所在しているのは山口市である。
さて、橋のドンツキはもちろん、
完全シャットアウト。
「この柵の内側にはいつも6万ボルトの高圧の電気が流れています」から始まる「お願い」の掲示。ええ、もちろん立ち入りなんてしませんよ。
「後退進入禁止」っていうのは、バックで入ったらそういった機器に接触したりとか危ないから、だろうか。
ゲート前からの、振り返り。
さすが耐荷重23t、なんかすべてが骨太でマッチョですな。骨密度高そうな。
そういえば、
横構のみが色が違う。補修されたのか。
最後に、上流側からのサイド気味アングルで。
橋脚もゴツけりゃ桁もゴツイ。
こんだけ桁がゴツイなら、これもうローゼ橋じゃなくてランガー橋なのかもしれない…つうかたぶんそうなのだが(笑)、ここは我が主観的判断でローゼ橋としておく。
つまりローゼ橋って言いたいだけなんだが(笑)。
ひとつ間違いないのは、わたくし非常に気に入ったってこと。
以上。