公会計の動向 -65ページ目

奨学金予算を削減しようとしている財務省

 FujiSankei Business i.は10月29日に「財務省 奨学金事業の見直し検討 遊興費転用の学生増加で」を掲出。

 記事は、財務省が20年度の奨学金事業予算を削減する方針を固めたと報じる。同事業費が年々増額を続ける一方で、奨学金を遊興費に転用する学生が目立ち、苦学生支援という奨学金本来の意味が薄れつつあるためと記事は伝える。奨学生数は、19年度に全国の大学・短大生の3分の1に当たる114万人に達し、同事業予算も年々増加を続けており、同事業を所管する文科省は、20年度概算要求で奨学金関係予算で前年度比約210億円増の1439億円を求めたとのこと。これに対し、財務省は「苦学生でない人が同事業の対象に入っている」と指摘しており、無利子奨学金に比べ審査基準の緩い有利子奨学金を含めると所得1344万円以下の世帯が対象となり、大学生などの子供を抱える世帯の約8割が条件に当てはまるとか。学力基準も緩く「手を挙げれば大体、奨学金がもらえる」(主計局)のが現状とのこと。財務省の資料によると、奨学金を電話代や海外旅行費など勉学以外の目的に使う奨学生が増加する一方で、勉学費や書籍購入費は大幅に減少しており、また、奨学生の増加に伴い奨学金が回収できなくなる例が続出していて、17年度末の時点では、14万件が不良債権化し、18年度には延滞債権総額が2000億円を超えたとか。旧育英会の奨学金事業を引き継いだ「日本学生支援機構」が回収を進めているが、18年度に扱った1万件のうち、約半数の4395件は居所不明などの理由で未解決のままとのこと。財務省は、この対策として「機関保証」の義務化などを検討しており、この機関保証は奨学生が毎月一定額の保証料を「日本国際教育支援協会」などの保証機関に支払い、返済が滞った場合、同機関が本人に代わり国に返済する制度とか。文科省は「事業費の不足で、貸与の条件を満たしていても奨学金を受けられない学生が毎年いるのが現状」として予算増額の必要性を強調するが、財務省は「納税者に説明できるとは思えない」としていると記事は伝える。

調布市の別途経理金の調査結果

 日刊スポーツは10月23日に「調布市の不正経理総額は約90万円」を掲出。

 記事は、東京都調布市(長友貴樹市長)が23日、市納税課で7月に不正経理が発覚したことを受け調査した結果、8~19年に納税者不明の税金を裏金として管理するなど、少なくとも市の11部署で計約90万円の不正経理があったと発表したと報じる。金は、経理ミスで金額が不足した場合の穴埋めに使われ、現在は約40万円が残っており、私的流用は確認できなかったとのこと。市は長友市長ら幹部や職員計14人を減給、4人を戒告とする処分案を10月末開会の臨時市議会に提出するとのこと。市の依頼を受けた公認会計士らの調査によると、不正経理の大部分は納税課の約71万円で、窓口で市税を受け取った職員が、市で保管すべき「納付済通知書」を誤って納税者に渡してしまい納税者が分からなくなった税金や、職員が1泊の出張旅費を2泊分請求し、差額を裏金に回したケースもあったとか。残り10部署には、窓口業務での釣り銭ミスでできたとみられる裏金が計約20万円あったが、資料が残っておらず詳細は不明とのこと。

ETC強行突破が増加している

 読売は10月20日に「ETC強行突破96万件、首都高では被害3億円」を掲出。

 記事は、全国の高速道路で18年度、料金所のノンストップ自動料金収受システム(ETC)の開閉バーを強行突破するなどした不正通行が過去最多の約96万1000件に上ったことが、国土交通省のまとめでわかったと報じる。過去5年間で3・4倍強に膨れ上がっており、高速道路会社各社では、車両ナンバーや運転者を特定できる高性能カメラの導入を進めるなど監視を強化しているが、特定が難航し、摘発は進んでおらず、国交省では「逃げ得を許さない態勢にすべき」として、各社に指導する方針と記事は伝える。国交省によると、高速道路の不正通行件数は、ETCの本格導入が始まった13年度は約28万3000件だったが、15年度に約47万1000件、16年度約69万件、17年度約94万8000件と急増しており、高速道路のETC利用率が60%を超えた18年度は、計約96万1000件となったとか。18年度の内訳は、首都高速が最も多く約36万7000件、阪神高速約25万9000件、東日本高速約12万8000件の順で、料金所に高性能カメラの設置が進んだ阪神高速は初めて減少に転じたが、他の5社は、17年度に比べ2~31%増えていたとのこと。不正通行の手口としては、ETC専用レーンでウレタン製の開閉バーを突き破ったり、前を走る車に接近し上がったバーが下りる直前にすり抜けたりするほか、料金収受員のいる有人レーンを突破したりする事例も含まれているとか。不正通行で料金を徴収できなかった被害額については、一律料金制の首都高速と阪神高速の場合、約2億9500万円と約1億7000万円で、東日本など残る4社は、高速道路に入った地点を特定できないため、不明とのこと。各社によると、警察当局による不正ドライバーの摘発は18年以降、少なくとも45件あるが、多くのケースでは運転者を特定できていないのが現状とか。各社は不正防止の切り札として、昨年から、料金所に高性能カメラの導入を進めているが、阪神高速の設置率が約90%であるのに対し、中日本高速は来春までの設置予定分を含めても約15%にとどまっており、その他の各社は、設置率そのものを公表していないとの由。また、首都高速の場合、料金所に不正通行の「取締隊員」を配置し、監視の目を光らせていても、不正が後を絶たないとか。国土交通省道路局では、「不正通行は、債務を返済している各社の経営を圧迫しかねず、公平性の観点からも、見過ごすことはできない。各社は不正防止のために万全を期すべきだ」としているとのこと。

随意契約の状況

 読売は10月17日に「国の16機関で随意契約6割、契約先に天下り1万人」を配信。

 記事は、中央省庁など国の機関が18年4~12月に締結した契約件数のうち、随意契約が6割近くを占め、その支払総額が1兆3770億円に上ることが会計検査院の調べでわかったと報じる。随意契約では予定価格に対する契約額の割合が97・3%と高く、契約先で所管する財団法人など962法人に約1万人の省庁OBらが天下りしていることも判明したとか。検査院は「契約の競争性や透明性の確保に努める必要がある」と指摘していると記事は伝える。検査院によると、省庁や国会、裁判所など16機関が18年4~12月に締結した工事(250万円以上)や物品購入(160万円以上)など計14万1990件の契約のうち、56・5%の8万294件が随意契約となっており、予定価格に対する契約額の割合は97・3%で、競争入札を実施した場合の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)86・3%に比べ、11ポイントも上回っていたとか。一方、全契約に占める随意契約の高いのは、文部科学省(95・2%)、経済産業省(90・8%)、外務省、内閣、国会の順で、文科省は「価格競争に向かない調査研究や教科書購入などの契約が多い」ことを理由に挙げているとのこと。また、財団法人や社団法人など随意契約先の公益法人1223法人のうち962法人には、16機関などのOB9993人が役職員として再就職しており、OBの数が多いのは、国土交通省(3515人)、厚生労働省(1921人)、農林水産省(965人)などと記事は伝えるが、職員数に比例する面も多いと思われる。財務省は17年以降、各省庁に随意契約見直しの通達を出している。随意契約が多い現状について、「各省庁が見直している最中で、今後の推移を見守りたい」(主計局)としているとか。

三セク損失補償の原則禁止を明記する研究会報告書

 毎日は10月18日に「三セク損失補償:原則禁止を明記--総務省研究会方針」〔七井辰男〕を掲出。

 記事は、第三セクターの債務を自治体が肩代わりする「損失補償」のあり方を検討している総務省の「債務調整等に関する調査研究会」が17日に、損失補償は他に事業達成の手段がないなど「特別の理由」がない限り行わない、とする方針を盛り込んだ中間報告書をまとめ、これを受けて総務省が、契約手続きのガイドラインを年度内に策定すると報じる。報告書は、これまで自治体が民間のようなリスク判断ができなかった反省を踏まえ、事業は民間資金を利用して民間に施設整備などゆだねるPFI方式などの活用をまず検討すべきだと強調しており、三セクを実施する場合は金融機関からの借入金でなく、自治体からの補助や貸し付け、出資で行うことが適当だとし、損失補償は原則的に行わないとの方針を明記したとのこと。また、損失補償契約を結んだ場合は、自治体は議会と住民に「特別の理由」や財政負担への対応策を明らかにするよう要請しており、貸し倒れリスクに対応するため、自治体が一定額を引当基金として積み増すことも提言したとか。

5千億円から9千億円で国民年金の支給水準を生活保護並みにできる

 日経は10月12日に「年金受給額上げ、5000億―9000億円必要・生活保護並みで厚労相」を掲出。

 記事は、舛添要一厚生労働相が12日、衆院の決算行政監視委員会で、国民年金の受給額を生活保護レベルに引き上げるには「5000億―9000億円の財源が必要」との試算を明らかにしたと報じる。公明党の福島豊衆院議員の質問に答えたもので、単身・高齢者世帯への生活保護支給額は都市部で月額約8万円で、これに対し、国民年金は40年満期で保険料を支払い続けても月額6万6000円と低く、舛添厚労相は国民年金の最低額引き上げの検討が必要だとしつつも、「問題は財源をどうするか」と慎重な見方を示したとか。

河川堤防の耐震性向上へ

 朝日は10月11日に「堤防の耐震性、現地調査へ 「阪神級」に備え国交省」を掲出。

 記事は、大地震による堤防決壊で、都市部に深刻な水害をもたらす恐れがあるとして、国土交通省が、全国の1級河川にあるすべての堤防の耐震性能について、近く現地調査に乗り出すと報じる。主に土砂でできた古い堤防は災害に弱く、7年の阪神大震災以降も震度5程度の中規模地震に耐える強度で設計されたため、近い将来起きるとされる南海・東南海地震などに対する強度不足が指摘されており、同省は、2級河川を管轄する自治体にも速やかな点検を呼びかけているとのこと。「河川構造物」と呼ばれる水門、堰などの土木構造物のなかでも、堤防は大半が土砂でできており、改修でも上に土砂を積み重ねるだけの例が多く、地震などに弱いことが知られていて、同省近畿地方整備局が8月に示した淀川水系河川整備計画の原案でも、淀川の堤防は今のような高度な構造計算を使って設計されていないことから、「防災上の信頼性が十分とはいえない」とされたとか。水門など鉄やコンクリートでできた構造物には従来、中規模地震(レベル1)では壊れない、とする耐震性能の基準があったが、土砂でできた堤防は対象外だったが、阪神大震災で淀川堤防約2キロが崩壊し、宅地に水が流れ込んで人命が失われる二次被害の危険性があったことから、国交省は7年3月、点検マニュアルを作成し、堤防にも同じ耐震性能を求めたとのこと。だが、土木学会が13年に、大規模地震に対応した耐震基準の見直しを要望しており、16年に国交省が検討会を設置して、今年3月、大地震を想定した「河川構造物の耐震性能照査指針案」を策定したとの由。指針案では、すべての河川構造物に関東大震災級のプレート地震や阪神大震災級の直下型地震の揺れ(レベル2)で一部が壊れたとしても機能が保てるような強度を求めており、国管理分だけでなく、自治体管理分にも同じ基準を適用するよう呼びかけているとのこと。国交省によると、国が管理する1級河川の堤防の長さは利根川1434キロ、淀川345キロ、木曽川446キロなど、計1万3000キロで、点検終了までの期間は未定だが、浸水の恐れが大きい地域を優先する方針とのこと。国交省の担当者は「人口が集中する都市で堤防が崩れて浸水すれば、インフラなどに大きな打撃を与える。早急に取り組みたい」と説明しているが、補強費用については「概算でも出しておらず、いくらかかるのか正直分からない」としているとのこと。

国立大学法人で会計検査院の指摘を放置

 朝日は10月11日に「会計検査院の指摘放置 5国立大病院 給食の随意契約」を掲出。

 記事は、五つの国立大学付属病院が、11年度の会計検査院の決算検査で見直しを求められていた患者への給食業務での随意契約を、現在も続けていると報じる。5病院はいずれも、今後一般競争入札などに切り替えるとしていると記事は伝える。5病院は東京医科歯科、千葉、東京、岡山、広島の各大学病院で、いずれも随意契約の相手は各病院内に事務所がある財団法人で、大学職員のOBが役員を務めているケースもあったとか。中でも悪質だったのが東京医科歯科大で、同大は給食のほか、財団法人にベッドメークや白衣の洗濯などの業務を委託しているが、この財団法人は、給食以外の業務でマージンを取り、実際の業務は別会社に再委託していたとのこと。


公表資料:大学病院における患者給食業務の実施に当たり、委託料等の算定方法を適切なものにするよう是正改善の処置を要求し及び外部委託の契約方式について随意契約から一般競争契約に移行するための適切な措置を講ずるよう改善の意見を表示したもの

日経が独法についてピントはずれの調査をしている

 日経は10月12日に「独立行政法人、隠れ損失6000億円・日経調べ」を掲出。

 記事は、日本経済新聞の調べによると、独立行政法人(独法)が18年3月末で繰越欠損金とは別に約6000億円の「隠れ損失」を抱えていると報じる。建物や機械などの資産価値が減った分を費用として収益から差し引く減価償却をせずにすむ独自の会計基準を採用しているためで、繰越欠損と合計した損失は2兆2000億円に達しており、将来は損失穴埋めのため財政負担が発生する恐れもあると記事は伝える。独法は、効率経営を目指して政府の事業を分離・独立して運営する法人で、13年以降、国の機関や特殊法人などが衣替えして、現在102の法人があり、透明性向上や効率化のため民間並みの企業会計を導入したとされているが、減価償却は民間と違う会計処理をしているとのこと。


 記事が特定償却資産の資本剰余金減額を問題にしているのであれば、ちょっとピントはずれ。むしろ、基準がおかしいという主張なら分かるが……。調査といっても、資本剰余金の項で区分表示されている累計額を合計しただけの話と思われるし……。


「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」

第11章 独立行政法人固有の会計処理

第86 特定の償却資産の減価に係る会計処理
独立行政法人が保有する償却資産のうち、その減価に対応すべき収益の獲得が予定されないものとして特定された資産については、当該資産の減価償却相当額は、損益計算上の費用には計上せず、資本剰余金を減額するものとする。(注64)

<注64> 減価償却の会計処理について
1 独立行政法人が固定資産を取得するに当たっては、国は、国有財産の現物出資あるいは施設費の交付等を行うことができるものとされている。ところで、業務運営の財源を運営費交付金に依存することになる独立行政法人においては、資産の減価部分については通常は運営費交付金の算定対象とはならず、また、運営費交付金に基づく収益以外の収益によって充当することも必ずしも予定されていない。更に資産の更新に当たっては、出資者たる国により改めて必要な措置が講じられることになるものと想定される。このような場合においては、減価償却に相当する額は、むしろ実質的には資本の価値の減少と考えるべきであることから、損益計算上の費用には計上せず、独立行政法人の資本剰余金を直接に減額することによって処理するものとする。この取扱いは、取得時までに別途特定された資産に限り行うものとする。
2 このような資産に係る減価償却相当額は、各期間に対応させるべき収益が存在するものではなく、また、独立行政法人の運営責任という観点からも、その範囲外にあると考えることができる。これを損益計算上の費用としてとらえることは、独立行政法人の運営状況の測定を誤らせることとなり、通則法44条を適用する上での計算方法として適当ではない。
3 貸借対照表の資本剰余金の区分においては、「第86 特定の償却資産の減価に係る会計処理」に基づく損益外減価償却相当額の累計額を表示しなければならない。この累計額は、独立行政法人の実質的な財産的基礎の減少の程度を表示し、当該資産の更新に係る情報提供の機能を果たすこととなる。

三セク損失補償の契約について手続厳格化の方向

 朝日は10月12日に「民間並み厳格さ要求へ 総務省 三セク損失補償の契約」を掲出。

 記事は、総務省が、第三セクターの債務を肩代わりする「損失補償」契約を自治体が金融機関と結ぶ際の基準や手続きについて、民間金融機関の融資のレベルまで厳格にすることを新たなガイドライン(指針)に盛り込む方針を固めたと報じる。同省の「債務調整等に関する調査研究会」が指針作成を進めており、来週にも正式に決める見通しと記事は伝える。新たな指針では、一般企業に金融機関が融資する場合と同様、事業の収益性をはかる流動比率などの指標を示すよう求めることを検討しており、同省は15年の指針でも損失補償を原則行わず、やむを得ず行う場合でも返済の見通しや確実性を示すよう求めていたが、民間並みに経営状況を住民や議会に示すよう求めることで三セクの財務状況の透明性を高める狙いとか。一方、損失補償の金額や比率を制限することは見送る方向で、総務省は自治体財政健全化法成立を受け、三セクも含む自治体財政の健全さを測る「健全化判断比率」を確定する作業を進めており、現段階で制限額を具体的に設定するのは困難と判断したとのこと。