公会計の動向 -134ページ目

地方議会のチェック機能

 8月4日付け日本経済新聞地方経済面15面に「地方議会を問う(2)働かぬチェック機能――行政との「なれ合い」映す」〔大阪地方部 石黒和宏〕の記事。

 記事は、地方自治体の職員厚遇問題の震源地となった大阪市の市議会与党の自民、民主、公明の幹部議員らは、市職員の互助組合連合会を通じて条例で定めていないヤミ年金が支給されていた問題について、「連合会という組織があることすら知らなかった」と弁明しているが、市が5年度から11年間にわたって、保険料の一部として計3百億円もの公費を支払っていた連合会は本庁舎7階の「総務局分室」の看板がかかった部屋で作業していて、その一つ上の階に市議会議場があると報じる。また、議員にも地下鉄やバスの無料パスの支給が続いていたことが今春明らかになり、市議会与党はパスを返上し「ゼロからの出発」(自民幹部)を誓うが、市政の監視役のはずが、実は厚遇問題の当事者だっただけに風当たりは強いと記事は評する。山形市では、職員厚生会が公金を含む積立金約2億円を原資に「元気回復券」と称して職員2500人に旅行券などを配ったのが今年判明したが、市から提出された、厚生会の補助金約1500万円を削減する補正予算案を議会は可決したものの、全議員が参加する本会議での一般質問は見送り、委員会審議で済ませたとか。記事は、686市(合併があった市を除く)の市長が15年中に議会に提出した議案7万3732件のうち原案通り可決された割合が98.9%に上るという全国市議会議長会の調査データを、行政の動きをどこまで目を凝らして見張っているのか、疑いたくなるようなデータであるとしている。

経産省が産業再配置促進費補助金の廃止を決意

 日経は4日に「工業再配置促進法を廃止へ・経産省方針」を配信。
 記事は、経済産業省が、地方への工場移転に補助金を交付する「工業再配置促進法」を廃止する方針を固めたと報じる。「日本列島改造論」を掲げる田中角栄首相(当時)が提唱して昭和47年に制定された法律で、地価の安い地方への工場進出が一般的になり、補助金を出し続ける意義が薄れたと判断し、来年の通常国会で同法の廃止を提案することにしたとのこと。中川昭一経産相が同日の衆院経産委員会で「時代に適合しない部分があり、法律廃止を検討する」と表明したとか。


 会計検査院は、16年11月に国会へ提出された15年度決算検査報告に「産業再配置促進費補助金について 」の検査状況を記載しており、その概要 を次のように述べている。

 産業再配置促進費補助金は、工業の集積の高い地域から低い地域への工場の移転等、工業の再配置を促進することなどを目的として交付されるもので、工業と地域社会との融和を図る上で一定の役割を果たしてきたと考えられる。一方、本件補助制度は、昭和48年度の発足以来30年が経過し、国土開発や工場立地をとり巻く環境は大きく変化している。これらを踏まえ、本件補助金の役割や成果を検証するとともに、工場立地等に対する企業や地方公共団体等の動向、工業再配置に係る各種施策のその後の状況等について検査した。
 検査したところ、本件補助金の交付実績は、平成14年度までの累計では1266億円となっているが、この間、昭和50年をピークとして減少傾向が続き、本件補助金以外の工業再配置関連施策はほぼ終了している状況となっている。また、新たな工業再配置計画は、前計画の終了後未だに策定されていない状況である。さらに、制度発足当初に比べ工場誘致に力を入れる地方公共団体が増加するなど、工業再配置に対する住民、企業、地方公共団体それぞれの意識や対応には変化がみられる状況となっている。
 したがって、本件補助金は、関係各方面の意見等も踏まえつつ、その有効性について十分検討するとともに、各種の施策・事業をより効率化・重点化する観点から、適切な評価を行い、今後の経済産業省における地域経済施策に反映させていくことが肝要である。

 この検査報告を参考にして15年度決算を審査した参議院決算委員会は、審査を終えて17年6月に行った 平成15年度決算審査措置要求決議 で「29 産業再配置促進費補助金の見直しについて」として財務省と経済産業省に対して次のように要求している。

 工業再配置促進法に基づく産業再配置促進費補助金(以下「促進費補助金」という。)は、工業の再配置を工場等と地域社会との融和等に配慮しつつ促進するため、市町村、道府県及び企業を交付対象者として、工場の移転又は新増設と密接な関係を有する(1)環境保全施設(緑地、公園等)、(2)福祉施設(スポーツ施設等)、(3)その他の施設(販売促進・展示施設等)の整備を対象に交付されている。その交付実績は、初年度の昭和48年度から平成15年度までの累計で約1,271億円となっている。バブル崩壊後の大型経済対策が行われた一時期を除けばおおむね減少傾向が続いており、ピーク時である昭和50年度の約72億円と比較すると、平成15年度は約4億円(予算額約7億円)と1割以下の水準にまで落ち込んでいる。なお、平成16年度予算額では約5億円、平成17年度予算額では約3億円と更に落ち込んでいる。
 促進費補助金については、補助金によって整備された町の研修施設が県内企業の新設した工場から10キロメートルほども離れている、補助金申請のときは存在していた工場が交付のときには倒産していた、また、整備された施設の利用度が見込みに比べ1割以下と著しく低くなっている事例がある等の問題がある。
 さらに、東大阪市及び尼崎市については、市からの要望もあり、構造改革特別区域計画において移転促進地域からの除外に係る特例基準で認定されたことを受け、移転促進地域から除外されており、また、工業再配置促進法で求められている工業再配置計画についても、前計画の終了後、経済産業省において、いまだに策定されていない。
 促進費補助金については、その交付実績が長年減少傾向にあり、また、創設から30年超を経て、経済社会情勢が変化したことをも踏まえ、時代のニーズにこたえるべき政策という意味で柔軟に対応していく必要がある。また、平成17年度の予算執行調査で促進費補助金が取り上げられていることから、その結果をも踏まえ、財務省、経済産業省が十分に協議した上、促進費補助金を見直すべきである。

 そして、財務省は17年6月の予算執行調査の結果 として「本補助金については廃止を含めた抜本的な見直しが必要である」と述べている。

山形県知事が献上品の簡素化

 共同は8月2日に「皇室への献上を削減 サクランボ、山形県知事」を配信。
 記事は、山形県の斎藤弘知事が2日の記者会見で、知事交際費の支出を抑制するため、毎年皇室に献上している山形特産のサクランボ経費を削減したことを明らかにしたと報じる。これまで、天皇家と宮家にそれぞれ4キロずつ8個献上していたのを3キロずつに減らし、きり箱を段ボールに変えるなど包装を簡略化したとのこと。特定の農家に発注していたことも改め、農協に発注することにしたとも。これによって約60万円の経費を半分の約30万円に減らしたとか。斎藤知事は「支出項目を調べたら、意外と献上額が大きかった。形式にとらわれなくても経費を圧縮できて良いのでは。サクランボはこれまで同様、県内の立派なもの」と話したと記事は伝える。

6月末時点で税収が前年比2.3%増

 時事は8月1日に「6月末の税収2.3%増=財務省」を配信。

 記事は、財務省が1日発表した6月末時点までの17年度税収実績が、前年同月末比2.3%増の2兆9423億円となったと報じる。企業業績の好調を背景に、法人税が堅調に推移したとのこと。


公表資料:租税及び印紙収入、収入額調(平成17年度6月末)

16年度の地方税収が出揃った

 8月1日付け日本経済新聞朝刊28面に「地方の税収、景気で明暗――首都圏好調、4県は減(景気東西南北)」〔地方部 加治木一彦〕の記事。

 記事は、都道府県の16年度税収額が出そろい、総額は4年ぶりに増加していて、特に東京、神奈川、栃木の1都2県は二ケタ増だったが、逆に島根、高知、長崎、徳島の4県はマイナスとなり、明暗が分かれたと報じる。税収の伸びは企業業績の改善に伴う法人2税(法人事業税、法人都道府県民税)の増加によるところが大きく、各地域の景気の実情を色濃く反映する結果となったと記事は費用する。総務省がまとめた都道府県税の決算見込み額(速報値、法定外税、超過課税を含む)によると、16年度税収の全体額は15年度比で5.8%増の14兆4870億円で、うち法人2税の合計は4兆9865億円で、13.1%増とのこと。11.6%増の2兆9098億円(23区の法人区民税、固定資産税などを除いた額)で、伸び率1位になった東京都の税務担当者は「都心の再開発さまさまだ」ともらしているとか。運輸・通信業が伸びたほか、品川、六本木といった地域の再開発が活発で、不動産業からの税収が伸び、税滞納者からの取り立てを強化して徴収率が過去最高になったことも寄与したとのこと。一方、伸び率2位の神奈川県(10.3%増、9477億円)は「メーカーさまさま」で、自動車など製造業の業績好転が追い風となり、法人2税の合計は同23.5%増の3246億円と3年ぶりに3千億円台を回復したとか。大手メーカーの事業所が集積している栃木県は、法人事業税が27.5%も増えており、ゴムが4.9倍、自動車など輸送用機械が2.5倍に増えたのが目立っていて、税収全体では10.1%増の2276億円だったとか。逆に税収が3.0%減と減少率1位になった島根県の幹部は「建設が厳しい」とため息をついており、全体額は579億円で゛、公共事業の減少などを背景に建設業からの税収が減ったのに加え「金融機関の不良債権処理の影響」(県税務課)もあり、法人2税は2.8%減ったとのこと。減少率2位の高知県(2.9%減、542億円)の税収にも建設不況が影を落としていると記事は伝える。

16年度主計簿締め切り

 7月30日付け日本経済新聞朝刊5面に「昨年度剰余金、1兆1972億円」の記事。
 記事は、財務省が29日、16年度の国の一般会計決算の確定値を発表したと報じる。歳入は税収額が前年度補正後の見積額を1兆5480億円上回る45兆5890億円となり、歳出は超低金利で国債の利払い費が7635億円抑制されるなど使い残しが1兆3888億円発生し、最終的に1兆1972億円の純剰余金が発生したとのこと。


公表資料:平成16年度一般会計決算の概要(剰余金)  [PDF ]

毎日が橋梁談合の損害額を試算

 毎日は7月27日に「<橋梁談合>公団ルート2年間、無駄な支出236億円」を配信。

 記事は、鋼鉄製橋梁(きょうりょう)建設工事を巡る談合事件の日本道路公団(JH)ルートで、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑の対象となった工事での無駄な支払いを公正取引委員会の推計値から試算したところ、約236億円に上ることが分かったと報じる。東京地検特捜部は、公団副総裁の内田道雄容疑者(60)を同法違反ほう助容疑と、不必要な支出で公団に約5000万円の損害を与えた背任容疑でも逮捕したが、工事自体に巨額な無駄遣いがあった実態が浮き彫りになったと記事は評する。道路公団ルートでは、大手中心の談合組織「K会」(17社)と後発組などで作る「A会」(30社、15年度は32社)が、15年度に公団が発注した44件約473億円分の工事と、16年度の52件約796億円分の工事で談合したとして、談合の調整役で横河ブリッジ前顧問の公団元理事、神田創造容疑者(70)ら5人も逮捕されている。一方、公正取引委員会は昨年3月「独占禁止法改正案の概要」を公表しており、この中で、10~14年度の5年間の主な入札談合事件について、立ち入り検査前と検査後の落札価格の平均下落率を推計したところ、18.6%下がっており、公取委はこの差額を「談合による不当利得」と位置づけているとか。この推計値を基に、公団ルートで立件された工事の不当利得を計算すると、15年度は約88億円、16年度は約148億円で、2年間の合計は約236億円となったと記事は伝える。既に起訴された国土交通省発注工事で同様に試算すると、不当利得は15、16年度の2年間で計114億円、公団ルートでは、国交省ルートの約2倍の公費が無駄に支出されていたとも。

東大が53億円の黒字

 共同は7月26日に「東大、“黒字”53億円 法人化後初の04年度決算」を配信。

 記事は、東大が26日、経常利益が約53億円に上ったとする16年度決算を公表したと報じる。決算は昨年4月の法人化後初めてで、予算通りにお金を使うだけの法人化前と変わり、企業会計にならった公表になったと記事は伝える。東大は「法人化で財政運営がより弾力化できるようになった。経常利益が出たことで年度をまたいだ事業にも支出できる」としているとか。決算によると、収入は、運営費交付金861億円や病院収入300億円のほか、授業料や入学金など計1771億円あり、経費は人件費が791億円で最も多かったとか。経常利益が出たのは、物品調達の効率化による経費削減で、運営費交付金の一部を浮かせることができたためで、このほか経営する家畜病院の収益アップもあったとのこと。

16年度の財投運用結果

 日経は7月28日に「04年度の財投、2兆1850億円使い残し・住宅公庫向けは急減」を配信。

 記事は、財務省が28日、16年度に計画した財政投融資(財投)のうち、使い残し額が2兆1850億円になったと発表したと報じる。15年度の半分以下に減ったものの、減少分の大半は財投計画を大幅に縮小した住宅金融公庫向けで、住宅公庫を除いた使い残し額は高止まりしているとのこと。財投資金を使う特殊法人の役割低下を示しており、特殊法人の統廃合論議にもつながりそうだと記事は評する。財務省が同日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)財政投融資分科会で明らかにしたとか。財投で計画通りに資金が使われないのは、特殊法人の事業が予定ほど進まなかった場合などで、使い残し額は6年度以来の低水準とか。機関別で最も使い残しが多かったのは国民生活金融公庫の5554億円で、金融不安の後退で零細企業向けの安全網融資が減り、15年度より2400億円増えたとか。これに市町村など地方公共団体、中小企業金融公庫、日本政策投資銀行が続いているとのこと。


公表資料: 平成16年度財政融資資金運用報告

省庁が手数料を取って業務を受託するという説明がメディアを通っている

 共同は7月25日に「総買い付けの1%経産省へ ユニセフから、不正流用で」を配信。

 記事は、経済産業省の杉山秀二事務次官が25日の記者会見で、国連児童基金(ユニセフ)からの委託管理費が不正に流用されていた問題について「(発展途上国を支援するための物資の)総買い付け額の1%が、業務代行の経費としてユニセフから経産省に支払われていた」ことを明らかにしたと報じる。ユニセフもこの日、同様の見解を発表し、経費は「合法的な合意」に基づいて支払ったとの認識を示したとのこと。経産省はユニセフの委託を受けて昭和36年から45年ごろまで、途上国支援用のワクチンや学校建設用資材などを購入していたとか。経産省は、ユニセフから支払われた業務代行の経費の総額や、合法的な合意に基づく経費が裏金としてプールされた経緯を調査中と記事は報じる。杉山次官は、財務省など関係省庁やユニセフと調整し、この資金を適切に処理する考えで、「ユニセフに寄付する形で返還することもあり得る」としているとか。


 国家機関が他機関の仕事を受託することはあり得ないし、外国の依頼を受けて活動するなら法的根拠が必要だろう。したがって、「ユニセフの委託を受けて」は何らかの間違いと思われる。普通は、通産省所管の公益法人が受託する形を採るのではないか。