【タイトル】
ワイルド・スピード/MAX(原題:Fast & Furious)
【概要】
2009年のアメリカ/日本合作映画
上映時間は107分
【あらすじ】
ドミニクは交際していたレティが殺されたことを受けて復讐を誓い、一方でマイアミでの活躍でFBI捜査官になっていたブライアンは麻薬犯罪を犯すブラガを捕まえようとしていた。彼の運び屋になるためのレース会場でドミニクとブライアンは再会を果たす。
【スタッフ】
監督はジャスティン・リン
音楽はブライアン・タイラー
撮影はアミール・モクリ
【キャスト】
ヴィン・ディーゼル(ドミニク)
ポール・ウォーカー(ブライアン)
ジョーダナ・ブリュースター(ミア)
ミシェル・ロドリゲス(レティ)
ジョン・オーティス(カンポス)
ラズ・アロンゾ(フェニックス)
ガル・ガドット(ジゼル)
【感想】
ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーがシリーズ1作目以来の共演を果たしたシリーズ4作目は、シリーズとしては最大となる3億6千万ドルを叩き出した。ちなみに、ミシェル・ロドリゲスとラズ・アロンゾは同年「アバター(2009)」でも共演している。また、ガル・ガドットの映画デビュー作でもある。
本作はドミニクやレティらが、トラックで運んでいるガソリンを強奪する場面から始まる。ガソリンを奪われるドライバーを思いやる視点は当たり前のように一切なくこのシークエンスは終わる。このシリーズは基本的に犯罪者が主人公なので、それよりももっと悪い犯罪者を登場させて、そいつらを映画内の悪役に仕立て、彼らをやっつけるという構造である。だとしたら冒頭に善人に迷惑を掛けるという場面は不要だと思う。「主人公に共感させたい」とか「実は良い奴」と思わせたいのなら、このオープニングの時点で大失態を犯している。
こんな犯罪集団なのだから、レティが殺されてしまったとしてもドミニクは何もできない存在であるべきだ。そこでドミニクが復讐に走ると死体の山ができるだけだ。どうも彼らに感情移入しづらい。犯罪者が主人公でも共感できる物語はいくらでもあるが、ドミニクはあまりにも良いところが感じられない。「チクらない」とか「仲間を守る」とかは当たり前過ぎて、もう少し他に「良い奴」である側面を出すべきだと感じる。
それから、本作でシリーズ1作目以来の共演となったヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーの本作での関係性はシリーズ1作目の関係性が肝となるのだが、やはり1作目での描き方があまりにも弱かったので、本作で彼らがするやり取りは重みが感じられない。シリアス路線でやっていきたいのだろうが、これくらいならライトなコメディ路線のほうが良かったと思うが、それはヴィン・ディーゼルが許さないんだろうな。
また、最終的に犯罪者のブラガを捕まえたとして所詮はドミニクも犯罪者であり、FBIへの協力を考慮しても懲役25年喰らっているわけだ。ただ、そんなドミニクが刑務所へ移送されるところへブライアンらが助けに来るところで映画が終わる。ブラガを捕まえてから逃げるように促すブライアンに対して「もう俺は逃げない」と言ったのは何だったのか。ブライアンが助けに来ることで、「お前は懲役25年喰らうほど悪くないよ」と言いたげだが、いやそんなことはないと思うぞ。刑務所に入ることですべて解決しないにしても、あれだけ大暴れして人も死んでいるのだから刑務所入りくらいはドミニクだけでなく周囲のブライアンらも素直に受け入れるべきだろうに。
そして、本作の一番の問題点は、後の作品から遡って評価が下がるところだ。次回作以降のネタバレになるが、本作で死んだレティは実は生きていることが後の作品で明らかになるのだ。本作のドミニクの行動原理はレティが殺されたことに対する復讐である。これはミシェル・ロドリゲスというアクション映えする女優をシリーズで使い続けたいというマーケティングの部分が優先されたのだと察するが、シリーズを通して観ているファンに対しても失礼だと思う。だったらこのキャラクターを死なせなければ良いわけで、こうなるならドミニクが刑務所に入ってシリーズ終了の方が良かったんじゃないか。久しぶりに主要キャストが復帰したことでシリーズ最大のヒットを飛ばしたんだから止められないよな。
【関連作品】
「ワイルド・スピード(2001)」…シリーズ1作目
「ワイルド・スピードX2(2003)」…シリーズ2作目
「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006)」…シリーズ3作目
「ワイルド・スピード MAX(2009)」…シリーズ4作目
「ワイルド・スピード MEGA MAX(2011)」…シリーズ5作目
「ワイルド・スピード EURO MISSION(2013)」…シリーズ6作目
「ワイルド・スピード SKY MISSION(2015)」…シリーズ7作目
「ワイルド・スピード ICE BREAK(2017)」…シリーズ8作目
「ワイルド・スピード / ジェット・ブレイク(2021)」…シリーズ9作目
「ワイルド・スピード / ファイヤーブースト(2023)」…シリーズ10作目
「ワイルド・スピード / スーパーコンボ(2019)」…スピンオフ
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ジャスティン・リン監督による音声解説
映像特典
├NGシーン
├マッスルカーの魅力
├輸入車の魅力
├オリジナル・キャスト再結集
├ドライビング・トレーニング(ヴィン・ディーゼル)
├国境の町:メキシコ・ロケ
├「ロス・バンドレス~盗賊たち」
├石油強奪シーンの撮影
├レースとチェイスへのこだわり
├ハイオク・アクション:スタントの裏側
├「ワイルド・スピードMAX」ビデオ・マッシュアップ
├ミュージック・ビデオ“Blanco”by Pitbul feauturing Pharrell
├予告編集
├隠しコンテンツ(カメラを思い出に)
<ULTRA HD+BD>
収録内容
├上記BDと同様