宅建Tシリーズについては、序章をご覧ください。

※2025年の新・基本テキストについては、こちらの記事をご覧ください

① そもそも宅建試験(宅地建物取引士資格試験)とは?

P: 当シリーズは、もともと60代のSさん(派遣社員としてフルタイム就業中)が、

 目的:リタイア後に今の家・土地を売って、トカイナカへの移住(住み替え)を目指す

 手段:売買に役立つ知識を、宅建士の受験テキストから効率よく得る

をコンセプトに始まりました。

途中で、Sさんが宅建試験にも挑戦したいと考えはじめ、25年度に受験も予定されているわけですよね。

S: 受験はしますが、今のところ「合格」は26年度をめざしています。

なので、早期の合格を目指すという方は、即④をご覧ください。

P:さすがに、独学での早期合格は難しいと?

S: 単純に合格をめざすだけなら、今の時期(2月上旬)から10月の試験日まで、約260日。勉強時間が300時間として、平日1時間、休日2時間でクリアできる計算になります。

でも、私の場合は 「自宅を売って、新居を買う」=不動産売買に役立つ知識を得る が、あくまでも「めざすゴール」です。

しかもリタイアは今のところ数年先の予定なので、大まかに、

  24年度→「自宅を売って、新居を買う」=不動産売買のための知識を、宅建士の受験テキストをベースにまとめ、当ブログでアウトプットする。

  25年度→実際に受験。宅建試験の過去問で知識をチェックする(過去問を解くと、宅建士全般の正確な知識がいやでも身につく)   

  26年度→宅建合格を目指しつつ、実際に住み替えのための自宅売却先や、移住先を本格的に検討。

と考えています。

そもそも、当ブログを読んでくれる方は、65歳までの継続雇用(25年4月から義務化)、そして70歳までの就業機会確保(〃努力義務)を見据えて、「次」を考えようという50から60代のプレシニア層が多いと思いますので、この3か年計画のペースで良いかと思ってます。

P: Sさんは、大学で民法を学んでいたので宅建試験の勉強時間300時間との見積でしたが、法律初心者の場合は、独学だと600時間以上、資格スクールなどに通う方は400時間が目安と聞きます。

合格率も15~18%とのことで、そもそも簡単な試験ではないですよね。

S: すでに不動産の実務をされている方が受験するパターンも多いので、合格者の多くは「関係者とその予備軍(就活生など)」だと思います。

宅建試験については、↓

 

 

P: 幸い、筆者の仕事は資格試験とは無縁ですが、当ブログのエンジニアZくんシリーズのレギュラーで、大手メーカー・エンジニア3年目のZくんの職場は、昇進試験の代わりに某公的資格を取得しないといけないそうで、やはり「法律用語に苦戦した」といってました。

Zくんの大学でも、大学の教養科目の「法学入門」と、1・2年の工学部必須科目が重なっていて、そもそも法学関係は受講できなかったそうです。

② 法律初心者が民法を学ぶためのお助け本(25年2月改訂)

S: 24年度は、序章で宅建士の受験テキストの中でも、初心者向けに分かりやすい「基本テキスト」をご紹介(写真、下が分冊の権利関係)

さらに、25年度は、宅建27で、新・基本テキスト(写真:上)を使う理由をご説明しました。

ただ、Pくんから、「引き続き、合格のトリセツ使ってます」という話も聞いていまして、民法がまったく初めての方のお助け本としては、あらためて「合格のトリセツ」(権利関係)をおすすめしたいと思った次第です。

 

P: 一般的な民法入門書を読んだことがないので、比較はできないんですが、「宅建試験」に関心があるとか、筆者のように今の住まい(賃貸)や将来の自宅(中古マンション)についての知識を身に着けたいけど、まったくの法律初心者だから…という方は、下のリンクから内容が一部見られます。

イラスト多めでとっつきやすいですよ。

https://online.lec-jp.com/images/goods/pdf/TD09746_t.pdf

S: 「合格のトリセツ」の内容は、良くも悪くも「基礎知識」なので、そこから「宅建試験合格」まで目指す方は、上の「合格テキスト」。

そして、今年度の合格を目指すかたは、プラス「過去問集」が必須です。

 

③まずは図書館で探す

S: 宅建の「権利関係」=民法、不動産登記法等を勉強するには、やはり

  ・物権

  ・債権

などの基本概念と基本用語を理解しておくことが大事だと思いますが、上記のテキストでは、民法の体系については書いていません。

一方で、本格的な法律本 ↓(あくまで例です)で、そもそも物権とは~と語られても、初心者は困りますよね。

 

P:そうです!

S:そういうときは、まず近くの図書館で、民法関係で自分が分かりやすいと思った「入門書」を探して、1冊通読することをお勧めします。いったん、民法等の基本的な考え方が理解できると、基本テキストを読んでいても、点(個別の用語)が線でつながる、つまり関係性が分かるようになるので、丸暗記するより結果的には効率的に、権利関係の学習がすすむはずです。

その際の注意点は、最近は民法の改正がけっこうあるので、なるべく新刊に近い本からチェックしましょう。

P: Sさんのお勧めの本は↓ でしたが、2019年刊行、つまり、当シリーズでよく話題になる、民法2020改正前の本ですよね。

 

 

S: この本の特長は、民法の重要な概念ごとに「具体例(問題)」をあげて、その解決のためには、民法の概念を道具としてどのように使えばよいか? を、分かりやすく説明している点です。 

上記の基本テキストでも、「心裡留保」はじめ、いろいろ具体的な事例で紹介してくれていますが、「物権」については、この本の方が事例が多く、説明も詳しいです。「担保物権」「債権」についても同様です。

民法改正を念頭におきつつも、「基本概念」を身につけるためには、一読して良いかなと思います。 ※補足3

P: 筆者は「心裡留保」でギブアップしたので、そこに「担保物権」とか「債権」、さらに「相隣関係」? 次々に用語が出てきて??が膨らむばかりなんですが…。

S: 上の本(民法のツボと~)の、不動産関係の事例があがっている項目、たとえば

 ・詐欺による取り消しと登記(だまされて土地を売却)

 ・契約の解除と登記(売買を解除したけど第三者に売られた)

 ・弁済の提供と供託(大家が家賃を受け取ってくれない)

 ・配偶者居住権(夫が死亡しても住み慣れた家に住み続けたい)

などを読んで、それでも難しいと感じた方は、無理に宅建試験合格までめざす必要はないでしょう。

ここに、「登記」というワードが出てきますが、「登記」「相続」は司法書士に相談できますし、深刻な法律トラブルは弁護士に相談できます。

そして、家の売買(住み替え)に関する基本事項は、宅建01のようなステップで、これから当シリーズで解説の予定です。

P: 参考として、直近の令和5年度の宅建試験問題(問1・部分)です。

ちなみに、2問目にでてますね~「相隣関係」。実際に、過去問を見ていただいて、試験に挑戦するか? はご判断ください。

④ 「負けない」ための準備

P: 上の本(民法のツボと~)を読むと、「相続」も含めて、不動産に関係する事例が、ずいぶんたくさん出てきますね。

S: やはり、金額が数千万円単位と大きいので、法律的なトラブルになりやすく、受けるダメージも大きいです。

S家は、自宅を売ってその代金で新居を買う前提なので、借入金(債権債務)や、担保物権(抵当権)、利息などの話は、後回しになりますが、「住宅ローン」や「つなぎ資金」等で家の購入を考えている方は、少なくともここであげたキーワードは理解しておくと安心です。

また、序章でも触れたとおり、S家では自宅の登記上の所有者が「おじいちゃん」のままでした。幸い「遺産分割」でもめることはなさそうで、あとは、一連の手続きの手間だけなんですが…。

「相続」は何かともめやすいので、P家(Pくんのお父さん・お母さん)も備えておきましょう。

P:筆者の故郷だと、むしろ「空き家」が問題になっていて、いずれはSさんに教えてもらった「相続土地国庫帰属制度」のお世話になるかもしれません…。

S: 制度はどんどん変わると思いますので、Pくん自身が相続するころにはどうなっているか分かりませんよ。

P: でも、こういう制度があることを知っているか、知らないかの差は大きいですよ。

そして、Sさんがわざわざ宅建試験の受験まで視野に入れてるのは、こういった「住み替えに関する情報の量と質」をアップするためなんだろうなと、感じました。

ちょうど「孫子」に、「戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし」という言葉があって、Sさんは

 

 

「負けない」ための準備をされているのだと。

S: 「60代から終の棲家を見つけるのに、後悔はしたくない」と考えているのは、事実です。

そのために、自分でできるだけの準備はしようと。

あと、Pくんが紹介した上の記事を読んでて、「ルール3 自分だけで頑張らず優秀な人を頼る」はその通りだと思います。先ほど挙げた、司法書士や弁護士がそうですね。

また、宅建士についても、私自身が商売をするわけではなく、信頼できる・優秀な宅建士に売買を頼みたいからこそ、こういう取り組みをはじめたわけです。

 

⑤ 今年度中の宅建士合格を目指すなら

S: 一方で、就活や転職、現に業界で働いているなどで、どうしても今年度中に宅建士試験自体の合格を目指したい=勝ちたいなら、スク-ルに通学しろ…とまでは言いませんが、私だったら、時間(効率)とお金(コスト)を天秤にかけて、WEB(通信)講座を利用します。

P: タイパ(タイムパフォーマンス)の観点から、筆者も「業務命令」で勉強する羽目になったら、多分そうするでしょうね~。ちなみに、スタディングの通信講座では、生成AIが個別指導するらしいです。※補足2

S: もう、そういう時代になりましたか…。

宅建通信講座の比較情報も、ネットでいろいろ見つかりますので、検討してみてください。

 

・補足1 「相隣関係」

 隣家から伸びた柿の木の枝を、勝手に切るのは違法(旧・民法233条1)だが、タケノコは切りとっても良い(旧・民法233条2)という規定は、Sさんの学生時代から有名だったそうで、「S:ついに改正(2023年4月施行)ですか~」「P:変更にそんなに時間がかかるものなんですか?」という感想でした。しかし、民法の条文が、現代語化(明治以来、カタカナ・文語体→ひらがな・口語体)されたのが、平成17年と聞いて、え!?

・補足2

Google Bard(生成AI)に、「宅建士とは? 」と聞いてみたら
『宅建士とは、「宅地建物取引士」の略称で、不動産取引の専門家を指す国家資格です。不動産の売却や購入に関する実務や法律上の専門知識を持ち、公正な不動産取引をサポートします。<中略>
宅建士は業務独占資格でもあり、不動産取引における重要事項の説明や、重要事項説明書への記名・押印、契約書への記名・押印ができるのは宅建士だけです。』→2024年2月時点の回答…Sさんの指摘によれば、2022年施行の宅建法改正で、「記名」だけで良くなった(つまり押印不要)そうです。ちなみに、書類が紙だけでなく「電磁的方法」もOKになったなどの改正もありますが、これらはいずれSさんが記事にまとめる予定です。

「宅建試験の通信講座(インターネット利用)でお勧めはありますか?」「宅建の効率の良い勉強法は?」なども質問してみまして、かなり納得できるアドバイスがもらえましたが、上記のように、回答を鵜呑みにしないで注意する必要があります。

 

・補足3 Sさんが図書館で見つけたお勧め本 

「新しい民法がわかる本」 太田雅幸監修

「落語でわかる民法入門」 森幸太

 

【写真】

上:筆者(小平市・なかまちテラス 設計:妹島和世) 中:Pixabay 下:筆者(港区・虎ノ門ヒルズ)

 

【BGM】

S選曲:Roxy Music 「More Than This」

P選曲:Alexandros 「Todayyyy」

 

※宅建Tシリーズについては、序章(前の記事)をお読みください。

A:住み替えのスタートからゴールまで

①売りと買いのタイミング 『買い替え特約』

P: 今回は、S家が、今住んでいる東京・多摩地区の家を売却して、新しい家に住むまでの大筋を紹介して、その過程で、宅建の知識がどう役立つか? をSさんに解説してもらいます。

 

前回記事(序章)が、絵で言えば構図段階だったのが、今回はスケッチ(素描)という感じですか?

S:そうですね。

家の住み替えのステップについては、ネット記事もたくさんあるので、まずそちらを読んでいただくとよいでしょう。

たとえば、下記を参考にすると、まず

 

 

 A:家を売る

 B:家を買う

のタイミングが検討課題になります。

自動車などとは違って、希望通りの土地&住宅がすぐに見つかる保証はないですからね。

今のところ先に家を売って、もろもろの経費を引いた残金の範囲内で新居を購入する「売却先行」を考えていますが、そこで出てくるキーワードが「買い替え特約」。上の記事の説明 ↓を引用すると

『買い替え特約とは、指定した期限内に希望価格で旧居が売れなかったときに新居の購入を白紙にしてもらえる約束』

宅建試験では、民法の「履行遅滞(停止条件付契約)」や、宅建業法の「不動産売買契約書(37条書面)」に関連する内容です。

記載例が ↓

 

 

P:……こういう『契約書』の内容を理解するために、宅建の勉強が必要だというわけですね?

S:そうです。上の「契約書」の文例を見ると、「権利関係」の勉強は、契約トラブルの防止のためにとても大事なんだと実感できると思います。

 

② 家を売る その前にトラップ! 「不動産登記法」と法改正

P:では、売る→買うの順番ですすめるとして…。

S:実は、「売る」前に、大事な手続きがあったんですよ…。

P:何かトラブルですか?

S:トラブルではなく、トラップというか…、土地と建物の登記上の持ち主が「おじいちゃん」のままだったので、その変更をする必要がありました。

P:「登記」ですか…。

S: そもそも「不動産の登記」とは? からを、「不動産登記法」で勉強します。

 下↓ の説明が、宅建試験とも連動していて分かりやすいと思います。

 

 

宅建試験での出題は1問ですが、S家の不動産の売却をするには土地と建物の「所有権移転登記」が絶対必要です。

また、24年4月から不動産登記法の改正により、「相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない」ことになりましたので、S家と同じように、ずっと土地と建物の登記上の持ち主が亡くなった方のまま…というご家庭は、27年3月までに、登記の手続きをする必要があります。

P: 相続がからむケースも多いので、そもそも「所有権って?」はじめ、ここは別記事(宅建03~05)でまとめる予定です。

③ 家を誰に売る?

P: ようやく家を売る準備ができたとして…。

S: 実は、「家を売る」と言っても3パターンあるんですよ。

『仲介』『買取』『個人間売買』です。

普通は不動産業者の「仲介」ですね。宅建試験では「仲介手数料」関連で2問出題されるのをはじめ、そもそも宅建業者ができる業務など、重要な項目が複数あります ★。

P:以下、★の内容は独立した記事を予定しています。

S: 宅建試験には出ていないようですが、「買取」は首都圏の立地の良い場所の土地を持っている方なら、注目です。

P: 建売業者などが、直接、売主から買い取るケースですね。

 

 

S: そうです。家の売却は、売る側としては値段勝負なので、宅建試験とは別にネットで売値の調査をすすめます。

ただし、土地の売却相場というのは、宅建試験の「地価公示法」「不動産鑑定評価基準」を理解していれば、だいたい見当はつくので、ここも宅建試験では、毎年1問(上記のどちらか)の出題なのですが、独立した記事にする予定です。★

P: 序章で触れた、宅建業法の「3大書面」

 ・宅建業法35条書面(重要事項説明書)
 ・同 34条書面(媒介契約書)
 ・同 37条書面(契約書)

も、独立した記事になりますよね?

S: 逆に、この書面をしっかり読めるようになるために、わざわざ宅建の試験勉強まで考えているわけで。

宅建の試験でも、「住み替え」計画でも、ここがけっこうなヤマ場だと思います。

なので、各書面を35-その1とか、枝番つきで解説することになりそうです。★

ちなみに、35条書面は「売主」には交付されません

④ 売買にかかる諸費用と税金

P: 無事に不動産が、n千万円で売れたとして、不動産業者への手数料とかもろもろの費用が掛かるわけですよね。

初歩的な質問で恐縮ですが、消費税はかかるんですか?

S:自宅を売ったときなどは、売却代金は消費税の課税対象にはなりませんが、

 ・不動産業者の仲介手数料
 ・司法書士への報酬(不動産登記の手続きを頼んだ時)

などは、消費税の対象となるようです。

売った時にかかる税金は、所得税(譲渡所得税)ですが、自宅を売った時にはいくつか特例があって、宅建試験でもこの特例から1問でるケースが多いようなので、買ったときにかかる税金や、印紙税、固定資産税などと併せて独立した記事にする予定です。なお、宅建03で相続登記の「登録免許税」については簡単にふれました。★

P:税金、仲介手数料、司法書士への報酬以外にかかる費用は? 

S:宅建試験と直接関係ないですが、引っ越し費用や保険料(火災保険、地震保険)も検討課題です。

あと、今の家の築年数が〇十年なので、中古住宅になるか? 土地のみ(取り壊し費用発生)か、古家付き

https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00221/

物件として売るのか? も悩ましいところですね。

さらに断捨離! 中古家具は売れるのか? 粗大ごみになるか? で、数十万円単位のプラス/マイナスがありそうです。

⑤ 家(土地)を探すには?

P: 新居を探すときは、不動産業者(仲介業者)に依頼する予定ですよね。
S: そうです。ただ、中古住宅かマンションを購入の予定なので、ある程度、場所と値段を絞り込んでからインターネットのサイトでいい物件が見つかれば、そこの業者に申し込むつもりですので、土地や建物についての知識が大前提になります。
この辺りの知識は、宅建試験の「免除科目」と言って、不動産業界に勤めていて一定の講習を受ければ50問中5問免除される範囲に含まれています。
P: 不動産業界に勤めていて一定の講習を受けた方は、最初からプラス5点のアドバンテージがあるわけですね。
S: ただ、「買う側」からすれば、この免除科目にけっこう大事な内容が含まれています。
まず、「景品表示法」。不動産業者の誇大広告やおとり広告を取り締まる規定がいろいろありまして、たとえ建物完成後、いつまで「新築」と書いてよいか?
P: 物件の名前に、「代官山ヒルズ」などと地名を入れてよい基準や、所要時間(徒歩/自転車)など、ここは筆者が賃貸物件を探すときの参考になりそうです。
S: あと、土地や建物の知識も出題されますが、新居の立地で一番重視したい項目は、地震・火災・水害・土砂災害にあう危険性が低い場所。中古建物も、耐火性・耐震性は、大事なポイントです。
ここは、宅建法35条の重要事項「ハザード・マップ」はじめ、都市計画法や建築基準法、盛土規制法など、宅建試験の出題範囲に別々に出てきますが、「買い手」の立場でまとめる予定です。★
P: 立地(住みたい? 場所)については、余談でけっこうおもしろい場所
 ・千葉県流山市(S)
 ・神奈川県相模原市(P)
  ・東京都あきる野市(P)
 ・岡山県・牛窓(瀬戸内市)(S)
が挙がりましたので、こちらも短いブログ記事にしたいと思ってます。★

⑥ 一戸建てかマンションか?

P:  今のところは、新居を、中古一戸建て、マンションのどちらにするか検討中だそうですが、ここの決断も大きいですよね。
S: そうです。
集合住宅といっても、今Pくんが住んでる賃貸アパートと、所有マンションとでは、けっこう違いがありまして、そこは宅建試験でも「建物区分所有法」で出題されます。ここも、出題は1問なんですが、私としては、一戸建てとマンションのメリット・デメリットを比較するのに重要な知識ですので、枝番つきで紹介する予定です。 ★ 

⑦ どの地区・地域に住むか?

S: あと、宅建の勉強をはじめて、住む場所を決めるのに、「用途地域」が重要だと感じました。
今の家は、「第一種低層住居専用地域」で、典型的な住宅街なんで、中古一戸建てなら、やはり低層住居専用地域内で探すと思います。
P: 筆者が住んでいる場所は、Sさんに調べてもらって「中高層住居専用地域」と聞いて、なるほど周りにマンションとかが多いですね。
S: 用途地域は、ある程度住みたいエリアを絞ったら、「○○市 用途地域」で検索すると、市や都県の該当ページで確認できます。東京都だと、

 

 

おわりに

P:今回は、Sさんに、自宅を売って新居を買うまでの見通し(あくまで検討中の段階)と、そのために必要な知識が、宅建試験の科目とどう関係するかを語ってもらいました。
S: 大学1年生が、卒論構想を語る…みたいな内容なので、間違いがありましたら、コメント欄で教えてください。
P:次回は、予定どおり「独学で宅建試験合格を目指すには?」です。
 
【画】Pixabay VANK_NGN作  
【写真】筆者 撮影場所:麻布台ヒルズ、立川市

【BGM】

S選曲:Christopher Cross 「ニユーヨーク・シティ・セレナーデ」

P選曲:The Academy Is 「About a Girl」

 

●2026年1月追記

2025年度の宅建試験を受験されたSさんが、宅建の知識を住み替えに役立てる(宅建合格はめざさない)というコンセプトで、

「宅建t:住み替えに役立つ宅建」を始めました。その第1回「01 再始動」はこちらから ↓

 

 

P: 2019年に「50代の就活」をされて、現在も派遣社員として某機関で就業中のSさんが、24年度「宅建試験」に挑戦されるというので、新シリーズ「宅建T」を始めます。

※当シリーズは、あくまでも「宅建試験勉強中」での執筆ですので、誤りなどがありましたら、コメントでご教示ください。

 

Sさんのプロフィールは、以前も

 ・一時期、東京農工大学工学部情報工学科 K研究室で非常勤のお仕事
 ・当ブログ監修者
 ・80年代に、地方国立大学を卒業(文系)

 ・情報テクノロジー×教育関連の専門職

と紹介していますが、これまで、不動産業界にはまったく縁がなかったですよね。

S: 仕事としてはそうです。ただ、Pくんも、「借り手」として、これまで何回か不動産屋さんのお世話になってますよね。それに、私の場合は、親戚の相続がらみで、実際に登記の手続きの手伝いをしたり、税金の相談に同行した経験があるんですよ。

 

A: 「住み替え」にチャレンジ

① トカイナカへの移住を考える

S: そして今度は、自分や家族のリタイア後を考えると、今住んでいる家を売って、もう少し郊外のいわゆる「トカイナカ」に移住しようか? などと考えはじめまして。

P: 筆者は、いま「3Dプリンタ住宅」に注目しています。

X(旧Twitter)で、セレンディクス社の紹介もしているんですが、この住宅に問い合わせが多いのが、60歳以上の方だそうで。

23年8月には、「Fujitsuboモデル」の限定販売が開始されました。

 

S:  記事中に、「持ち家でも『築30年を超えたので夫婦2人用にリフォームしよう』と考えたところ、1000万円近くかかる」とありますが、そのとおり!

今住んでいる所(東京都多摩地区)で建て替えるよりは、家を売って、一部は貯蓄、残りの資

金で

 ・便利な駅前の中古マンション購入

 ・トカイナカの築浅の中古住宅

 ・トカイナカの土地に、ローコスト住宅(Fujitsuboモデルも候補)を新築

などの選択肢を検討中です。

いずれにせよ、住宅の売り買いのときは、不動産業者のお世話になるわけですが、金額が〇千万円の取引ですから、掃除機を買うようなわけにはいきませんよね。

P: 筆者も数回「引っ越し」をしていますが、十万円くらいの賃貸でも、数か月は悩んで決断しました…。

②立地を検討すると…ハザードマップ、35条書面

S: 家のリフォームは、信頼できる建築士の知人がいるので心配ないんですが、見知らぬ場所に土地を買うとなると、どんな基準で判断したらよいのか? を考えまして。

P: 賃貸だと、Yahoo!不動産が「AIアシスト検索」サービスを22年から始めていますが、ChatGPTといえど、不動産価格の評価は、まだ「勉強中」の段階のようですね。

S: 武蔵小杉のタワマンや、秋田市中心部の冠水など、これまでの予想を超えた大雨などの心配もあります…。あと、地震!

P: 秋田市の災害があった後、Sさんへ洪水や内水(下水道などから水が溢れる水害)の危険度については、国土交通省のサイト(ハザードマップポータルサイト)で確認できると、お知らせしましたよね。

S: そこで初めて「ハザードマップ」を知りまして、調べるうちに、不動産取引のときに、水害ハザードマップを提示して、所在地の位置などの説明することが、20年から義務化された。

そして、ほかにもいろいろ、不動産の契約前に、買い手/借り手に対して、宅地建物取引士が説明しなければならない「重要事項」があることがわかりました。

宅建業法の第35条に規定されているため、宅建業界で「35条書面」と呼ばれる文書です。

内容は、

 

 

P: 上のページの表をざっと見た感じ、けっこう項目が多いですね。

筆者も、今の部屋を借りるとき「建物の賃貸」の「重要事項」の説明を聞いたはずなんですが…。

S: 賃貸なら、引っ越しできますから、そこまで気にしないと思いますが、たとえばPくんが、30~50万のPCを買うときは、徹底的にスペックにこだわりますよね。GPUの発売予定チェックも欠かさないとか。

①でも言いましたが、家の売り買いは、その約100倍のお値段になるんですよ!

なので、スペック(不動産の重要事項のチェック)については、Pくんの数十倍の労力をかけてこだわってもよいかな? と思ったわけです。

 

B: 宅建試験の参考書で住み替えに必要な知識は十分だと思う

P: その「知識を効率よく身につけるための手段」が、宅建試験の参考書だったわけですね。

S: そうです。私は3000円で、下の基本テキストを買いました。

 

そもそも宅建試験って? レベルの初心者にもとっつきやすそうな多色刷りで、内容もわかりやすそうでしたので。

※2025年は、「合格テキスト」を、新・基本テキストとして使います。

詳しくは、

 

① 「住み替え」検討に必要な重要知識

P: 受験生が持ち運びしやすいように、分冊になっていますね。

S: 宅建試験の試験分野は、大きく3分野。

  (1)権利関係

  (2)宅建業法

  (3)法令上の制限/税/その他

宅建業法の分冊だけでも、150ページ以上の分量があり、テキストの厚みは3.5センチ。

ただし、「住み替え」に必要な知識にしぼれば、せいぜい1/3くらいです。

くわしくは、次回以降に説明しますが、一番重要なのが、先に挙げた

   宅建業法35条書面(重要事項説明書)

と、

   同 34条書面(媒介契約書)

   同 37条書面(契約書)

の3大書面です。

たとえば、家と土地を売るときは、さすがにメルカリではなく、不動産業者に買い手を探してもらいますよね。

P: 「空き家」などについては、インターネットを活用したサービスがいろいろありますが、普通に売れる物件だと、まずは業者に声をかけるでしょうね。

 

S: どういう業者を選べばよいか? はスキップして、業者に依頼するときには、契約形態にも

  「専属専任媒介契約」:1社に媒介(販売)を任せる

  「専任媒介契約」:1社に媒介(販売)を依頼(自分で買い手を見つけてもOK)。

  「一般媒介契約」:複数の会社に媒介(販売)を依頼

の3種類があります。

 

 

P: 「理系就活」での、

  推薦=推薦状は同時に2枚はもらえない。内定辞退はできない。

  自由応募=何社受けてもよい

のようなイメージですね~。

S: 一見すると、複数業者に頼める 「一般媒介契約」がよさそうですが、「就活」と同様、専任媒介契約の方が、業者が熱心に対応してくれるようです。

P:反面、上の記事に書いてある「囲い込み」や「両手取引」などには注意が要りそうですね。

S: そういう宅建業者の手の内を知るためにも、最低限必要な知識が「宅建試験」の「宅建業法」の分野で網羅されているわけです。

P: 『彼(宅建業者)を知り、己を知らば、百戦して殆(あやう)からず』ですか。

②法令上の制限と税

S: その「己を知る」部分が「法令上の制限/税/その他」分野になります。この分野にも

 都市計画法

 建築基準法

 国土利用計画法

 農地法

 税

など、知っておくべき知識がいろいろ含まれています。

 

C: なぜ宅建試験合格まで目指すのか?

P: 宅建試験の参考書1冊で、不動産取引についての知識が効率よく身につきそうですが、そこから、宅建試験合格を目指すようになった理由は?

S: 先ほども言ったとおり、「家の売り買い」は、数千万単位の取引なので、23年の年末から、けっこう真剣に「参考書」を見たりしていますが、やはりある程度体系的に、知識を身に着けたいと思いまして。

昨年は、流行語大賞は逃しましたが、「生成AI」が話題になりましたよね。
23年9月の時点で、司法試験・短答式の一部で、合格者の正答率を上回る回答ができるAIが登場しています。
これから、生成AIが暗記や計算などの作業を代替してくれる時代になって、今の10代~は進路を含めて”何を学ぶか?”考えなくてはなりません。では60代の自分は? と思ったときに「とりあえず学んでみよう」と思ったわけです。

GOALまでのみちすじ…プログラミング的思考

さらに、私が今関わっている教育関係の仕事のキーワードに、「プログラミング的思考」があります。

令和の小学生は、授業でこういうこと ↓を習ってます。

 

このソニーのページにも書いてますが、

「プログラミング的思考」では、STARTからGOALまで、最適(効率的)な道筋でたどり着くことをめざします。

そのためには

 ・ものごとを正しく認識する力

 ・対象を適切に分解(ブロック化)し、一般化する力

 ・このブロックを正しく組み立てる力

などが必要になります。

P: 「ものごとを正しく認識」は、正しい知識を身につけるってことですね。

S: 理系の大学生は、昔から知らず知らずこういう訓練を受けているので、たぶんPくんも仕事に活用していると思いますよ。

で、今回のゴールは「住み替え」なわけですが、そのゴールまでのステップを分解すると、準備段階で、けっこう「正しい知識を身につける」部分が重要だと感じました。

さきほどもふれたように、24年以降もますます進化する生成AIですが、生成AIのいうことを鵜呑みにして、我が家の建物・土地の売買をしようとは思いませんよね?

そこで「不動産取引について、正しい知識を、効率よく身につける」を、中間ゴールとしたときに、「宅建試験」にチャレンジしてみようか? と思った次第です。

ただし、あくまで最終目的は「住み替え」なので、24年10月の試験を受けるかどうか? は、まだ検討中ですが…。

P: 今回、はじめて聞いたんですが、Sさんは大学で文系のなかでも民法のゼミで単位を取られていたそうで(ほかに社会学ゼミ)。

宅建試験の3分野のうち、

  (1)権利関係=法律 とくに民法 (試験50問のうち14問)

や、(2)宅建業法(20問)など、法律関係の学習にあまり困らないという、有利な点がありますよね。

筆者は、「権利関係」で、いきなり「虚偽表示」「心裡留保」などのワードを見て、戦意喪失したんですが…。

なので、宅建試験まで受けるか?? を迷った方は、まず「権利関係」の分冊を読んでみてください。

 

次回は、「住み替え」のステップをSTART~GOALまで俯瞰して、そこで必要になる知識(勉強すべき内容)を、もっと詳しくSさんに解説してもらう予定です。

次々回は、仮題「効率よく宅建試験の独学をするには」。

 

■補足:トカイナカ

 

 

<写真>筆者 撮影場所:港区・虎ノ門ヒルズ、国立市

<BGM>

P選曲:RIP SLIME 「黄昏サラウンド」

S選曲:ティロリミックス YOASOBI 「群青」×Vaundy 「花占い」 

 

 

P: 前回記事に引き続き、21卒で大手メーカーにエンジニアとして入社したZくん、Dくんと話していきます。

前回、日立製作所の「ガクチカ質問の廃止」について触れました。

では今後、企業は面接でガクチカの代わりに、何を質問するか? ですが、タイトル通りの質問を、まずDくんにしてみたら、3秒くらいで、
「え? シュレディンガーの猫でいいですか?」

筆者は10秒かかりましたが、真っ先に思いつきますよね。

では、”物理関連禁止”でZくん。

Z: 「円周率は3.14だが、円周率は3.14ではない

P:  この記事を読んでる理系の方は、数学関連も禁止で、考えてみてください。

ネットで検索すると、

 

とか、すぐにいろいろ出てきます。
就活生のみなさんは、ネット上の「答え」を覚えるのは無駄ですので、あらかじめ言っときますね。

D:  と言うと?

P: 筆者が、もし面接官だったら、上のように、「物理法則禁止」などと、深堀りして質問します。

たとえば、

 この文章は一行目だが
 この文章は一行目ではない

なら、「Aに、”この”などの指示語をつけるのは禁止で」とか。
Z: Bに指示語をつけるのはOKですか?

P: 面接官が知りたいのは、今みたいに逆質問をするか? とか、就活生のとっさの判断力、対応力だと思います。

以前の当ブログで、「とんでも質問」を話題にしたことがありますが、下 ↓の就活対策サイトの記事では、回答例まで載ってますね。

回答例をまねるとかは、かえって危険ですが(企業も研究している)、そもそもどういう意図で質問をしているのか? が分かれば、変わった質問にも対応できると思います。

Z: ③の「企業のHPを見ての感想」などは、文系でも理系でも、対策をしていて当然だと思いますが。

 

 

 

Z: ちなみに、タイトルの質問を、当ブログ監修のSさん(現在も某公共機関で就業中)へしておいたんですが、

  派遣社員は組織の職員だが

  派遣社員は組織の職員ではない

という答えでした…

D: メーカーの開発関係部署では、機密が多すぎて派遣社員は雇えませんが(だから、新卒を採って長く働いてもらおうとする)、情報システム関連の部署には、SES(客先常駐ITエンジニア)の方がたくさんおられるようです。
P: IT業界ですと、大企業子会社などでも、グループ内他社へSES契約で派遣 ということもありますので、とくに文系の方は企業研究のときに気をつけてください。

Z: 23卒(4月1日入社)の方は、

 試用期間中は社員だが

 試用期間中は社員ではない

とも言えますかね?

P: 試用期間は、法律的には「解約権留保付労働契約」というらしく、試用期間といえど、そう簡単には解雇はできないようです。解雇されるまでは「社員」ですので、新入社員の方は、安心? してください。ちなみに、内定は、「始期付解約権留保付労働契約」だそうです。

法律関係は「執行猶予」とか、「AはBだが AはBではない」ネタの宝庫のように思います。

D: もし、ぼくが面接官でしたら、
 愛は言葉だが
 愛は言葉ではない

の回答者なら「採用」しますね。

P: では、面接官Dくん
 AIは愛を語れるが
 AIは愛を語れない

はどうですか? この話題は、次回記事「対話型AIと教育」へ続きます。

 

【BGM】

P選曲: 安全地帯  「I Love Youから始めよう」
写真提供 Pixabay

 

 

 

 

P:21卒でメーカーに就職したZくんとDくんが、4月からいよいよ入社3年目ということで、理系の
  ①23卒新入社員
  ②24卒/25卒 就活生(一部、文系)
  ③理系をめざす大学受験生(高校生)
へ、伝えたいことを話してもらいました。
(Zくん、Dくんの簡単なプロフィールを文末にまとめています)。
今回は、第1弾、4月から新社会人/新入社員になる方と、 ②24卒/25卒理系(一部、文系)でメーカーを志望する就活生へのアドバイス。
【目次】
(1)メーカーは、桃栗3年、柿8年? 
(2)ワークライフバランスは?

(3)24卒/25卒へ、OB訪問&インターンシップ参加の勧め

 (3-1) 25卒は要注意!!理系の就活スケジュールも大幅に前倒し

(4)「ガクチカ」がなくなる?

(5) マッチング採用は仕事(適所)選びだ
 (5-1)仕事選びの観点1 収入と可処分時間


(1)メーカーは、桃栗3年、柿8年? 
P: まず、この時期(3月)は、大学院の修了式や引っ越しで忙しいし、マッチング採用の方以外は、いわゆる「配属ガチャ」の心配をしてる方も多いと思います。
文系の営業職だと、何か月かの研修の後に、いきなりC支店配属とか言われることもあるそうですが、理系では就活の「技術面接」の段階で、自分がどの辺のポジションでの採用を想定なのか? けっこう分かるのでは?
Z: 面接の最中は、受け答えに必死で、そこまで考える余裕はなかったです。
あと、実際、入社して分かったんですが、内部の異動に連動して、新人の配属先が変わることは珍しくないってことですね。
P: △△部署は、□□製品担当のつもりで採用したが、部署内で退職や役職者の人事異動があって、連鎖的に新人まで波及するという、あるあるですね。
ただ、メーカーのエンジニアだと、下は24歳の新人から上は65歳の再雇用の方まで、金太郎あめのように並んで、キャリアを積んでいくイメージなんですが。
D: ぼくの職場にも、この道数十年のエキスパートがたくさんおられますが、さすがに担当製品は、時代につれて変わってるようです。
それに、製品自体の生産中止とか、会社単位で吸収・合併というパターンもありますし。
P:
ペンタックス(旭光学工業社)はカメラ・レンズで知られていますが、現在は、
 ・カメラ関連 →リコーイメージング株式会社
 ・内視鏡など医療関連 →HOYA株式会社 
 ・眼鏡レンズ →セイコーオプティカルプロダクツ
にそれぞれペンタックスブランドが引き継がれています。
当然、多くの技術者が、それぞれの会社に移籍したはずです。
Z:ぼくの会社は、本人が希望すれば、今の職場や担当以外にもけっこう行けるみたいで、現に、ぼくのグループからも30代の先輩が、昨年転出されました。
その穴埋めか? 22卒の新人が1人配属されました。
P:では、Zくんの担当する仕事も、2年目で変わったの?
 実験装置αのお世話係だったのが、装置βの担当にかわり、αは新人fくんの担当になりました。
 「桃栗3年、柿8年」といいますが、一番高度な装置εの主担当が8年目の先輩ですから、そこまでは「お世話係」のポジション。担当機器がスライドしていく見通しです。
ぼくの職場だと、全部の装置を使いこなせるようになって、ようやく一人前って感じですね。
上の方は、けっこうリモートワークできるんですが、ぼくらは、ほぼ毎日、出勤の生活が続きそうです。
D: ぼくの職場も、いろいろな機材がないと仕事にならないので、管理職以外は、実験データをまとめたり、技術レポートを書いたりするとき以外、リモートワークは無理ですね。
P: その昔も、情報工学の学生は、自宅に高性能のPCがあれば、研究室に行く必要はとくになかったですが、機械工学、電気・電子、化学などのみなさんは、遅くまで実験室に張り付いてましたね~。



(2)ワークライフバランスは?
P: 技術開発職だと、リモートワークは難しいというのは、分かりました。

あと、新入社員が気になっている点のひとつは、ワークライフバランス。ぶっちゃけ、残業時間とか、ブラックな職場か? ホワイトな職場か? という点だと思いますが。
Z: いまのところ、ワークライフバランスに関しては満足しています。
D: ぼくの会社だと、会社というより、部署の違いの方が大きいですね。
同期でも、担当する製品によっても、違いますし、研究寄り(長期)か、設計寄り(他部署から無茶ぶり…)か? などでずいぶん違いがあります。
P: 大学でも、同じ□□学科で、研究室によってブラック/ホワイトの差がありましたからね。
Z: ぼくの所属チームの業務は、年単位のため、残業なしの時期と、仕上げの繁忙期との差がすごいですね。
P: やはり大学/院で、卒論・修論を、締め切り前に徹夜で書いた経験が生きてますか?
Z: 卒論・修論は、基本個人プレーですが、仕事はチームプレイという違いは大きいです。

締め切り前に、夜遅くまで職場でわいわいやってると、チームの一員になった感はありますね。新人fくんも、そんなことを言ってました。
P:ものづくりの仕事だと、単純な「作業時間」では測れない、「仕事のやりがい」の要素が大きいでしょうね。ただ、就活生が、それを事前に知るのは難しいですが。



 

(3)24卒/25卒へ、OB訪問&インターンシップ参加の勧め
Z: ぼくは、コロナ騒動の影響で、OB訪問に行けたのはG社だけですが、けっこう職場の雰囲気などもイメージできましたので、これから就活の方は、できるだけたくさんのOBに会うことをお勧めします。
D: ぼくは、研究室に来られたOBルートで、推薦ー早期選考ルートで入社を決めたので、あんまり就活をしてないんですが、ほかに複数のOBが研究室訪問に来られて、プレゼンの熱意の差で、「あ、この会社(入社した会社)だったら大丈夫そう」と思いました。

ぼくも、もし今の職場がブラックだったら、会社命令で研究室訪問しても、後輩へ積極的にはすすめないと思います。
P: Dくんの場合は、「逆OB訪問」というか、会社がわざわざ「この専攻の研究室」へと、ピンポイントでOBを派遣してましたよね。
たとえば、定年退職だと1年後に職場の人員が1名減ることを確実に予測できますから、人事としては、そこに新人を補充したい。でも、機電系は昔も今も確保が難しいので、とにかく早期に囲い込む…というパターンだと思います。

なので、わざわざOBが研究室に来られたときは、たとえその会社がマッチング採用をしてないとしても、○○専攻の研究が生かせる仕事に就ける可能性が高いので、まずはOBの話に食いついてみましょう。
Z:インターンシップもおすすめです。ぼくの職場も昨年、短期インターンシップを受け入れましたが、やはり「空き」が出そうな他グループが対応してました。たとえ、数日間でも「ああ、インターンシップに来てた学生だな」と印象に残りますので、確実に1次(人事)、2次(技術)面接では有利になると思いますよ。役員面接は、別次元ですが…。

 

(3-1) 25卒は要注意!!理系の就活スケジュールも大幅に前倒し
P: インターンシップといえば、もう25卒ですね…。

今年は、Zくんたち21卒のときより、就活スケジュールが前倒しになって、現時点(23年3月)で、内々定率30%超。22卒は、17.6%でしたから、出足が早いですね。
そして、
別の調査では、24卒理系の内々定「41.1%」、23卒が同27.0%だったので、25卒理系は、3月で50%まで伸びるかも?
D: ぼくら21卒は、1・2月の選考を「早期選考」と呼んでましたが…。今年も3月1日が採用広報解禁日ということで、ニュースに出ていましたけどね。

Z: Dくんら21卒機電系についての過去記事では、機電系特化型就活サイトUnivaが、春休みころまでイベントを開催していましたが、今年は1月下旬が、業界研究セミナーのラストでした!!   24卒向けは、昨年5月からセミナーなどが始まり、11月が「業界研究イベント」のピークでしたので、25卒はGW明けからWEBサイトのチェックをして、コロナ後の就活早期化に乗り遅れないようにしましょう。

24卒でNNTの方は、Zくんと話した、面接のアドバイスをご覧ください。

 

 


(4)「ガクチカ」がなくなる?
P:あと、24卒以降で注目なのは、
日立製作所(以下、日立)が「ガクチカ(学生時代頑張ったこと)」の質問を廃止するという話題ですね。
文系は、コロナ禍で、サークルやバイトができなかったため、具体的なエピソードが書けない。
22・23卒理系は、「学業」・「研究」をガクチカに書いて切り抜けた人も多いと思いますが、そうなると「研究概要」と別にする意味がない。
D: では、ガクチカの代わりに、何を質問するんですか?
P: 日立は、応募者の志望職種やキャリア志向を見定める「プレゼン選考」(最終面接時の5分間)を、新たに導入するそうです。
Z: 理系の最終面接では、自分の研究のプレゼンは当たり前で、ぼくも10分ほどの発表を、計4回やりましたけど、文系もですか?
P: 実は、日立では、22年7月から、社内の全職種・階層ごとに、仕事内容や責任などを定義した約450種類のジョブディスクリプション(JD、職務記述書)を作成して、全社員へ適用していくそうです。
日本の会社では、とくに文系の場合、異動や転勤などのジョブローテーションをしていくメンバーシップ型(適財適所)でしたが、日立は、ジョブ型(適所適財)を掲げるそうですから、このJDをベースに、文系の方にも最終面接のプレゼンを考えてもらうのでしょうね。
D: それでは、文系でもマッチング採用が、増えるんですかね?

(5) マッチング採用は仕事(適所)選びだ

(5-1)仕事選びの観点1 収入と可処分時間
P: 理系とくに機電系のマッチング採用については、以前、Dくんに話してもらいましたが、そもそも日本企業で「ジョブ型雇用」を採用し始めたのは、
新聞報道だと、
  日立製作所、パナソニックHD、三菱ケミカル、資生堂、JR東日本、SOMPOホールディングス
など、一部の大企業です。

ガクチカを廃止する企業は増えても不思議ではないですが、文系のマッチング採用ができるのは、上記の「ジョブ型雇用」採用企業くらいでは? と思います。
ちなみに、全社員ではなく、高度な技能を持つ一部の人材や、専門職の賃金を上積みするという「一部ジョブ型雇用?」は、IT関連では珍しくありません。
新卒採用でも、以前から
NECなどは、優秀な研究者に、新入社員でも年収1000万円以上を支払う制度を導入していました。  
D:
とくに、AI関係ですね…。
P: 世間では、コンサル業界は高収入ということで、理系でも志望される方は少なくないと思いますが、知り合いからの業務メッセージ送信時刻は、午後11時とか普通ですからね。
24、25卒が、これから、志望企業・業界を決めていくときに「可処分所得と、可処分時間とのバランス」は、けっこう大事な要素です。

(5-2)仕事選びの観点2 キャリアパス
P: エンジニアの場合は、残業時間などの数値とべつに、「忙しさ」の感じ方の、個人差も大きいと思いますが。
Z: 定型的な仕事ではないので、「課題」について、実は休みの日なんかにも、ぼんやり考えていることはよくあります。アルキメデスの「エウレカ」みたいな、劇的なことはありませんけど。
P: 学生のみなさんも、とくに卒論や修論のテーマを決めるときなどに、「あるある」な経験だと思います。
エンジニア職や研究職、IT系の企画職など、非定型の仕事の宿命ですので、そういう仕事に、自分が向いているか? という自己分析も大事ですよね。
大学時代に、工作センターへ日参していたZくんや、Dくんのように「ものつくり」が好きで、今も楽しく? その仕事をやってる方は、もうそのままエンジニアの道を進んでいただくとして。
Z: もしも、配属された部署の仕事がなんか向いていないな? と思ったときに、ぼくの会社だと、上司と相談して、けっこうあっさり異動できるようです。
P: 大企業だとほかの部署への異動もけっこう簡単だし、あと、理系は、データサイエンス系へキャリアチェンジする奥の手もあるので、エンジニアとして入社しても、「社内転職」はいろいろできると思います。
逆に、他部署から異動してくるパターンはないの?
Z: 他部署から、ぼくたちの所への転入希望があれば別ですが、業務自体が、とにかく専門知識がいるので、基本は新人を入れて育てる。
どうも入職10年目あたりで、国内外の他組織へ2~3年出向するようですが、事業自体に問題がなければ、ずっと同じ事業部内でポジションがスライドする感じです。
P: Zくんが新人のころ、「大学の研究室」に雰囲気がそっくりと言ってましたが、24歳の新人から64歳のベテランまで、同じ研究室に在籍というイメージですね。
もちろん、大学でも、○○連携とか、企業や自治体と組んだプロジェクトに参加して、外の関係者とつきあうわけですが。
D: 研究者やエンジニア職の場合、「実験機器」と切っても切れない関係になるので、働く場所も、同僚も「ほぼ同じ」というのが、良い点でもあり、弱点(ガラパゴス化)でもあるかな?
P: ものづくりの場合、製品ジャンルは同じでも、中身は数十年たてばまったく違いますよね。
3月下旬、インテル社の創業者の1人、ゴードン・ムーアさんが亡くなりましたが、インテルCPUの歴史↓をみると、4004 4ビット⁉ とあらためて驚きます。
 
https://www.sanosemi.com/history_of_Intel_CPU_techspecs-mini.htm
筆者は、最近3Dプリンタでの建設・建築に、興味をもってまして、Twitterをブックマーク代わりにして、動向をチェックしています。
ゼネコンの大林組から、スタートアップ企業のセレンディクス、Polyuseなどですね。5年でどこまで進むか? 楽しみです。
D:
2人暮らし用のフジツボモデルで500万円ですか? 
P: 前に、Dくんと話題にした
YKK APあたりの住宅部材メーカーには、直接かかわってくるかもしれません。
あと、チャットGPTについては、会社の業務もそうなんですが、「教育・受験」への波及が大きそうなので、引き続き二人と話す予定です。



 

【プロフィール】
・Z
都立進学校(自校問題作成高校)から、首都圏国公立大学の工学系学部へ進学。
自大学の大学院を修了。

研究開発の仕事がしたいと思って20年6月まで就活を続けて、苦戦(1勝6敗)しましたが、21年4月、大手メーカーの研究開発職に
現在、首都圏(海のある都県)の某市在住。

賃貸物件をさがすときに、「通勤ルートに、お惣菜の充実したスーパーがある立地を選ぶべし」という筆者のアドバイスを守ったおかげで、なんとか生活できているそうです。
・D
地方の(自称)進学校から、Zくんと同じ大学の工学部機電系学科へ進学。
自大学の大学院を修了。

OBルート→推薦で早期選考(20年2月)で就了。21年4月、大手メーカーの開発設計職に。
現在、関東圏の某市在住。学生時代から、自炊で問題なく生活できているそうで、
近くに新鮮な野菜の直売所がある、トカイナカ生活がけっこう合ってるそうです。


中間・最終写真 Pixabay ほかは筆者
【BGM】
Z選曲 フジファブリック×フレデリック 「瞳のランデヴー」
D選曲 Misty Tone 「ひとひら」 feat.石野理子
P選曲 I don't like Mondays 「WOLF VIBES」