今回は、機電系の専攻(大学院)を修了。今年の春、メーカーに入社(開発・設計職)して、関東圏の某市に住んでいるDくんとオンライン対談しました。 ※1
前回記事まで主役のZくんとDくんは、同じ学部の友人で、Dくんは20年2月、学科OBルートの推薦応募・早期選考で、コロナ騒動に巻き込まれる前に内々定。
一方、Zくんは、コロナ禍の下、オンライン選考第1期生として紆余曲折のすえ、6月下旬にNNT(無い内定)を脱出しました。
●1 過去:就活時 機電系の守備範囲はやっぱり「広い」
P: 23卒・24卒向けの記事のために、Zくんと話していたら、実はZくんが就活を苦戦(1勝6敗)した原因の一つは、
・無意識に職種を研究開発職に絞っていた
・その割に、研究開発職志望としてのアピールが足りなかった
じゃないか? ということで、前回は理系の職種全般を紹介する記事を書きました。
その中でメーカーが「歓迎」する職種別の「専攻」をみていたら、やっぱり機電系の守備範囲は抜群に広いですね~。
D: そうですね。前回記事に出ていたYKK APをみると、研究は素材開発の基礎研究(材料系)や窓構造(建築系)などですが、機電系は、開発/設計職種~生産技術までいろいろな仕事内容が挙がっていますね。
●2 現在:入社前後 メーカー技術系の募集枠は「狭い」
Z: Dくんは、推薦応募でしたが、ジョブマッチング採用ではなかったので、一般応募のZくん同様、配属先は入社するまで分かりませんでしたよね。
D: さすがに引っ越しの都合があるので、3月以前に「場所」だけは教えてもらってました。
あと、ぼくの場合はOBルートなので、話を聞いたOBと同じような仕事をすると思い込んでいましたね。
結果として、担当製品はまったく違いますが「想定の範囲内」でした。
実は入社&配属されて分かったことですが、ぼくの部署は周りのグループと順ぐりに新人が入るらしく、ぼくは 『あと2年間は新人のまま…』 と、遠回しに言われています。
P: つまり、「空き」がない年は、Dくんの専攻の学生は採用されにくいと?
D: ジョブマッチング採用ほどシビアではないと思いますが(後述)。
「そういえば技術面接や最終面接では、現ポジションを前提に質問されていたな~」と、今になって気が付きました…。
P: Dくんのときは、わざわざ研究室までOBがピンポイントで勧誘に来たわけですから、その「空き」を埋めようとしてた可能性がたかいですね。
ただ、●4でも触れるように、機電系の場合は、採用後に配置できる部署がとても広いので、「とにかく機電系を確保しよう」という会社もあると思います。その点は、●4 でまた。
●3 未来: 機電系23卒・24卒へのアドバイス Plam A:希望企業・職種を狙うには
・3-1 ジョブマッチング採用
P: 「なろう系」ではないですが、もし今のDくん(メーカーの中の人)が、23・24卒の就活生としてやり直すなら、また「推薦」を使いますか?
D: (苦笑)受験と就活はやり直したくないですね…。
ぼくは、大学時代の専攻に直結する仕事・職種(開発設計職)に就けてよかったと思ってます。
ぼくと同じように「仕事内容」を就活の優先軸にしたいと考える方は、機電系の場合は「ジョブマッチング採用」を活用すると、確実に希望部署へ配属されるので、まずそちらを考えては?
P: ジョブマッチングについては、日立製作所(以下、日立)が、採用HPで「そもそもジョブマッチングとは? 」から、くわしく紹介してくれてます。
ちなみに、日立は「学校推薦」でなく、一般応募でのジョブマッチング応募も受け付けていますが、これは以前の記事で触れた「トヨタ自動車」などと同様、業界トップ企業(内々定を出せば他社へ逃げない企業)だからで、2番手以下の企業では最初から推薦応募必須か、後付け推薦でしょう。
D: 日立の場合は、推薦応募:希望順に3部署まで。一般応募:希望順に2部署まで応募ができますね。
どんな募集枠(マッチング単位)があるか? は、ログインしないと分かりませんが、おそらく●2で話した「空き」がなければ、そもそもマッチング単位のリストには載らないでしょう。
P: そして、細分化されたマッチング単位では、応募人数は少ないけれどハイレベルな争いが待っています。
枠から漏れた人材(落とすには惜しい)への敗者復活戦として、日立では、セカンドチャンス(一般)、サードチャンス(推薦)を用意しているわけです。
D: 一般応募もできるといっても、おそらくリクルーター(OB)ルートで「推薦」応募する学生を、早期選考(2~3月)して、そこで埋まらなかった枠を一般応募と、セカンドチャンス組で争う(以下For NEXT)…という構図になると思います。
・3-2 OB(リクルーター)ルートは秋から?
P: 日立はHPに『リクルーター推薦がないとジョブマッチングに進めない』と、はっきり書いています。Dくんが入社した会社のように、先方からリクルーター(OB)が来るか? は分かりませんが、Dくんの学科OBの就職実績リストに日立は載ってます。
もし、就活生Dくんが、日立に応募したいと思ったら、遅くとも10~11月には、OB訪問をしていたと?
D: あくまで、21卒のぼくの会社の場合ですが、10~11月ころにOBが来校。
水面下でいろいろあって、2月に早期選考というスケジュールでしたので、今(12月)にリクルーターがついてないと、23卒は厳しいと思います。
24卒だったら、22年夏インターン参加を考えますね。
・3-3 自分からOB訪問もお勧め
P: では、この時期(12月)からの23卒は?
D: 機電系で、「推薦を使う」かつ「研究職にこだわらない」なら、変に焦る必要はないでしょう。※2
ぼくの研究室の同期6人は、あえて自由応募でがんばった1名を除いて、「推薦」で大手企業(売上高1兆円以上)に入りました。
中でも、Xくんは「推薦」応募で2社落ちましたが、5月に推薦応募した大手メーカーに採用されて、開発設計職に就きました。※3
年末年始にある程度企業研究をして、どうしても入りたい会社があれば、2月中までにOB訪問(オンライン含む)することをお勧めします。
なんといっても、中の人から内部情報(守秘義務に触れない範囲)を聞けるので、たとえば総合職一括採用の会社でも、OB自身が経験したポジションを中心に、仕事の中身や、面接時のアドバイスなどですね。
P: もし後輩が来たら、さきほどの「空き」の話は教えてあげますか?
D: そこは、「禅問答」のように、かなりぼかした言い方をすると思います。
実際、ぼくがOBと話した内容でも、今思い出すと合点がいくことはあります。
P: 社会人になると「ほうれんそう(報連相)」は当たり前ですが、さらに「そら・あめ・かさ」が重要です。詳しくは下記 ↓
OBとしては、「空模様までは教えてあげるから後は自分で考えろ」ということですね。
D: それに近いです。とはいっても、後輩ですから守秘義務に触れない範囲で話はしますよ。
総合職一括採用の会社でも、OB自身が経験したポジションを中心に、仕事の中身や、面接時のアドバイスなどですね。
当然、ぼくみたいな新人よりは、10年くらい上の先輩が話しやすくかつ情報も豊富だと思います。
P: 最近は、コロナ騒動や、OB訪問アプリを使ってリクルートG社員が起こした事件があったせいで、OB訪問は学校のキャリアセンター経由か、人事一括管理(紹介)のパターンが多いので、まずそこから調べましょう。
●4 未来: 機電系23卒・24卒へのアドバイス PlanB:入ってもよい企業を考えておく
P: ●3では、Dくんが自分の希望した職種(開発設計職)に就くために必要な準備を、アドバイスしてくれました。
しかし、機電系+推薦カードを使っても、お祈りされることはあるわけで。
D: ぼくも、身近で(研究室の同期Xくん)で目の当たりにしましたので、やはり転生したら慎重勇者並みの準備は考えたかも?
P: …少なくとも、Plan B(代替案)は考えておきましょう。
「入りたい企業・職種」ではなく、「入っても良い企業・職種」です。
たとえば、前の記事で挙げたYKKを例にすると、
機械系で「解析技術職種」 商品の構造解析・流体解析・振動解析・騒音解析
電気電子系で「電装開発・制御・画像処理システム開発職種」 商品を生産する設備(機械)の電装開発・制御システム開発・画像処理システム開発
などがあります。
YKKですと、金属・材料系のイメージが強いので、逆に、機電系で、解析や画像処理関係の専攻の方の応募は少ないのでは? と思います。
D: 画像処理の学生がまず思いつくのは、キャノンやNEC、医用画像。あとは、半導体露光とかかな? YKKの上記職種、やりがいがありそうですね。
P: さらに、機電系の奥の手といえるのが、「生産技術職」です。※4
たとえば、人気食品メーカーのミツカンの下記特設サイト ↓
化学系の企業はもともと、機電系座談会など、特設ページ多いですが。
そして、Univa(機電系特化型就活サイト)では、今年は、「機電系勤務地別セミナー」を各地区で実施するようです(例 関東↓)
D: 「職種」ではなく、「勤務地」(実家の近く)にこだわりたい方は、検討の余地ありですね。
ぼくは、地方から首都圏の大学へ進学、出身県にUターンするつもりはありませんでしたので、今の関東圏某市で満足しています。
P: 最後に、エンジニアに聞いた、「企業選びの軸」 就活時点と、やりなおすなら ↓
「給与」の話は、面接では聞けないと思いますが、OBだと聞きやすいでしょう。
機電系以外の、「一般応募」については、引き続きZくんに話してもらう予定です。
Dくんもまたよろしく。 ※5
※1 自転車で行ける範囲に、スタバがあるくらいの場所だそうです。
※2 大手企業の研究職ポジションは、「大東亜帝国以下」ならぬ、「準旧帝大以上」の争いになります
※3 Xくんについては、「少なくとも僕(Dくん)よりコミュニケーション能力も、成績も上」だそうです。
※4 「鎧を三つ貰おう。着る用。スぺア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」
しかし、 ↓ のような事件が起きると、多重バックアップは必須かも(そもそも、バックアッププログラムの改修作業中のミスで、28TB分は完全消失!?)
※5 Dくんの上京時には蔦屋書店・六本木のスタバで接待の予定。
【BGM】
D選曲 milet×Aimer×幾田りら 「おもかげ」
P選曲 サカナクション 「ワンダーランド」
写真提供 文章中間・末をのぞいてPixabay
文章中間(紅葉)、末尾写真:筆者