大東亜戦争時の日本軍の特別攻撃隊(以下特攻)と、イスラム・テロ組織による自爆テロを同じものだと言うことを耳にすることがあります。反日の誉れ高い田嶋陽子氏のように、特攻は自爆テロのはしりだと主張するような腐った人間のような人もいます。

 

実際には、特攻と自爆テロというのは全く性質の異なるものです。それは、攻撃対象と作戦実行者の精神性をみれば明らかです。

 

 

特攻の攻撃対象は、あくまでも戦っている相手国の軍隊です。特攻というのは、戦時国際法のルールの範囲内で行われている行為です。攻撃される側も、自分達が攻撃される可能性があることを自覚しており、攻撃に対する備えをしています。

 

一方、自爆テロというのは非戦闘員が攻撃対象で、まさか自分達が攻撃される目に遭うなど思ってもいません。当然、攻撃に対する備えなどはほとんどせず、突然攻撃に晒されることになります。

 

そもそも、人を殺すことは犯罪行為です。但し、軍人が軍事行動として敵兵を殺すのは殺人罪にはなりません。特攻により相手国の軍人を殺害しても、殺人罪に問われることはありません。しかし、自爆テロは殺人罪に該当します。

 

ちなみに、戦時国際法の代表的なルールとして、以下のことがあります。

 

①軍事目標以外への攻撃禁止(降伏者、負傷者、民間人等の攻撃禁止)

②休戦旗を掲げながら戦闘する行為

③遭難信号を不正に発信する行為

④赤十字旗を掲げながらの軍事行動

⑤軍事的必要性を超える無差別な破壊や殺戮

⑥捕虜虐待の禁止

⑦対人地雷使用の制限

⑧化学生物兵器使用の制限

⑨開戦に先立つ戦線布告義務

 

特攻というのは、相手からすれば戦闘行為をしているというのは明白です。ところが、自爆テロは、戦闘行為をしていることを攻撃対象に示すようなことはしていません。そんなことをしたら、作戦が遂行できない可能性があるからです。そういったことからも、自爆テロというのは非常に卑怯な攻撃のやり方だと言えます。

 

 

特攻と自爆テロは、何のために作戦を実行しているのかというのも全く異なっています。

 

特攻隊員は、自分の家族や故郷を守りたいという想いで特攻をしていました。自分自身の死と引き換えに米軍に打撃を与えることで、少しでも米国の攻撃を遅らせたり弱めさせたりできると考えていたのです。

 

特攻隊員は心のうちでは、できれば死なずに戦うことができていればと思っていたでしょうし、死ぬことを恐れていた人もいたでしょう。

 

しかし、特攻隊員の遺書を見ると、死にたくないとか死を恐れているような言葉はほとんどありません。そういったことを遺書に書いて、それを自分の家族が見たら、どんな想いをするのかを考えていたからだと思います。

 

例えば、自分の息子が死を恐れていることが遺書に書いてあるのを読んだら、いたたまれない気持ちになるのではないでしょうか。たとえ建前であっても、自分は死ぬのは怖くない、自分は日本のために任務を全うするのだと書いてあれば、随分と家族の気持ちは変わってくるような気がします。

 

死にたくないということは、遺書に書いていなくても家族なら十分に理解できることですし、遺書を読めば行間からそのことは滲み出てきます。

 

特攻隊員は洗脳されていたから遺書にネガティブなことを書かなかったと主張する人がいますが、そのようなことを言う人は思慮が足りず遺書の行間を読むことができないのでしょう。日本人の考え方が分からない外国人なら仕方ないかもしれませんが、同じ日本人で理解できない人は日本人の心を失ってしまったような人だと思います。

 

話を元に戻します。イスラム・テロ組織の自爆テロを実行する人というのは、どういう思いを抱いているのでしょうか。

 

自爆テロによって死ぬことは、イスラム教では聖戦をした殉職者となり天国に行けることになっています。

 

イスラム教では、生きている間の生き方や信仰への忠誠や貢献によって天国に行けるか地獄に行くのかが決まります。地獄に行くことになれば、死後も苦しみを味わうことになりますので、イスラム教徒は地獄へ行くことを非常に恐れます。

 

但し、殉教者であれば、人の道を外れた生き方をしていたり信仰していなかったりしても天国に行けることになっています。自爆テロで死ぬと、死後の世界では天国に行って快適に暮らすことができるのです。

 

つまり、自爆テロというのは他者のためというよりも、自らのためという側面が強いのです。

 

このことからも、特攻と自爆テロが全く異なる性質のものだというのが分かります。特攻と自爆テロを同一視することは、特攻隊員に対して非常に無礼なことだというのが理解できるのではないでしょうか。

(関連の記事)

○A級戦犯とは
○東京裁判とは裁判と呼んでいいのか?
○いわゆる南京大虐殺について
○慰安婦問題における反論方法
○日本から戦争賠償金を取った国
○慰安婦は高給取りの戦時売春婦だった
○戦前の日本は本当に暗黒時代だったのか?
○国益を損なう外務省の誤訳
○「竹林はるか遠く」を読んで
○原爆投下は人体実験だった
○現在も残るプレス・コード


こちらをクリックしてください!