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21Aug
- 近況報告
  本当は数年前のGさん宛のメッセージを最後にするつもりでおりましたが、あれから色々あり、ブログをアップすることにしました。これが最後です。最後にするする詐欺ではなく、本当に最後です。あれから私は２０１８年にプロの通訳案内士としてデビューし、少しずつ仕事が増えてきて、これから本格的に忙しくなるぞ！　体調管理に気をつけないと、と張り切っていた矢先に、コロナにより２０２０年４月以降の仕事がすべてキャンセルになってしまいました家族や友人が「せっかく苦労して資格を取って、さぁこれからって時にこんなことになって、大丈夫！？」と私のメンタルを心配してくれた。「人生は想定外の連続。今まで期待しては突き落とされだったから、平気」って強がっていたけど、内心、「あー、またか～　そういえば、あのときもこうだったな、ああだったな」と過去の苦い出来事ばかりが思い出され、負のスパイラルに陥りそうになっていた。この負の感情から脱却するにはどうすればいいだろう？？？と考えた結果、新たに高い目標を設け、達成しよう！と決意し、四半世紀振りに、過去連続１０回不合格になった英検１級に再再々、、、、チャレンジして、合格しよう！！！と心に決めた。そして、「①勉強してから１年以内に一発で合格する。②勉強にはあまりお金をかけない。③受験することを周りに伝える」という条件を課した。家族には、「英検１級を受験して、合格します！」と宣言。今はありがたいことにネットで様々な受験に有益な情報を無料でゲットでき、活用させていただきました。英検１級業界のレジェンドといわれている方々には感謝の気持ちでいっぱいです。勉強を開始してから９ヶ月目で受験、一次試験の当日びっくりするようなアクシデントがあったけど、筆記試験に無事合格　二次試験は二度目のチャレンジでで無事合格しました。初めての二次試験は極度に緊張しましたが、リベンジ回では、リラックスして臨めました　一次試験対策は、エッセイのみオンライン英会話の先生方にプルーフリーディングしていただきました。Yで鍛えた英文ライティングスキルが活かされ、エッセイライティングでは９割近く取れ、リーディングとリスニングのミスを挽回できました。二次試験対策では、オンライン英会話、専門学校の先生方、オンライン勉強会のメンバーたちにどれだけお世話になったかわかりません。独学では絶対に合格できなかったと思っています。ほんと、誰かと一緒に勉強するのって、楽しいそしてこのブログで一番報告したいことがあります！！　今年の１月、Gさんが見つかりましたーーーGさんの名前を以前より時々、ネットで検索していたのですが、ご本人らしき方を発見して、勇気を出してメッセージを送ったところ、ご本人でした！！Gさんはとても喜んで、懐かしがってくださり、翌月、オンラインでお姿を拝見して、お話もできました。変らず、凜として美しく、感無量でしたオンライン英会話の先生が、「諦めなければ、何か方法は見つかる」とおっしゃっていましたが、諦めなくて良かった。Gさんとお話ができてすごく嬉しい　実際にお会いできる日も遠くないと信じています。皆様も夢や希望がございましたら、諦めないで、どうか願いが叶いますように。
17Nov
- 2017年3月末　Gさんへ
  ＊当ブログはこの記事でもって終了します。今までご覧下さった方々、いいね！やペタを押してくださった方々、誠にありがとうございました。あと一人、どうしても合格を伝えたい人、それは1990年春のH通訳案内士養成スクールのクラスメートで、秋の英検準一級の2次対策で出会ったGさんだ。Gさんの連絡先を書いたアドレス帳は実家に置いてある。合格がわかった後、実家に帰省し、持って帰ってきた。手紙にしようか迷ったが、Gさんもご自身の合格の報告を電話してくれた。なので、私も電話しよう。久しぶりに声が聞きたい。話したい。ドキドキしながら番号をプッシュし、プルルという音を聞く。緊張はピークに達している。「もしもし」としわがれた男性の声が聞こえてくる。Gさんではなく、爺さんが電話に出た。お父さんは他界されたと聞き、年の少し離れたお兄さんがいると聞いたけど、もしかしてお兄さんか？「あの～、Gさんのお宅でしょうか？」「違います」えーっ、違うの～！！　でも無理はない、あれから27年も経っているのだから。「時々、Gさんの名前でかかってくるのだけど、引っ越されたようですよ」いつくらいからですか？と尋ねると、五年程前からです、と。引っ越し先は知りませんか？と無茶苦茶なことを尋ねてしまった。わかりません、との答えが返ってくる。当然だ。謝罪して、電話を切った途端、体の力が抜けた。Hで一緒だった共通の友人とも20年近く疎遠になり、受験から距離を置いているかもしれないのに連絡しづらい。おまけにおそらくその友人もGさんと疎遠になっている可能性が高い。どうしよう………。前から考えていた方法を実行しよう！　限りなく可能性は低いけど。訳あって離ればなれになってしまった人を探し出し、再会させてくれる、涙脆いTさんが司会するあの番組に応募しよう！綺麗な桜の便せんを買い、Gさんとの思い出話や会いたい気持ちを訴えて投函した。それからしばらくしても番組からは連絡はなかったため、またもう一度お願いの手紙を出した（2017年10月頃）。実家の母は「縁のある人とはまたいつか必ず会えるよ」という。GさんへF（旧姓）です。大変ご無沙汰しておりますが、いかがお過ごしでしょうか。やっと今年、通訳案内士試験に合格しました。Gさんに合格の報告ができることをとても嬉しく思っています。お互いがむしゃらになって勉強したり、くだらないことで笑い合ったり、27年も経つのにあの頃のことが鮮明に目に浮かびます。ほんと、Gさんの言う通り、青春していたなぁと。今でも少しも変わっていないです。その節は励ましてくださって、一緒に勉強してくださって、アドバイスしてくださって、本当にありがとうございました。Gさんとお会いしたいです。会って積もり積もったお話をしたいです。お会いできる日が必ず来ると信じています。
- 2017年3月12日　やっと
  ハイアットリージェンシーで開催のH通訳案内士養成スクールの合格祝賀会に参加する。和装で参加したかったけど、日帰りのため、お言葉に甘えて平服で参加する。新宿駅―ホテルのシャトルバスが走っているということで、ホットペッパーで見つけた新宿駅付近の美容院でヘアーセットをお願いする。美容師さんはとても親切な方で色々とアクセスや界隈のオススメスポットなどを教えてくれた。通訳案内士の合格祝賀会に参加の話をするが、美容師さんは通訳案内士資格の存在を知らないという。他でも話してきたが、「へぇ～、そんな資格があるんですね」という反応が多い。司法試験や会計士試験等に比べて知名度が低いのが残念だ。「かつては外国語版司法試験と言われるほどの難易度で、合格率が３％台くらいの時もあったんですよ」というと、「ええーーっ！　合格率が３％って聞いただけで、受ける気なくしますね。受験する人、凄い」と美容師さんはいう。「私が勉強を始めた頃は合格率が９％ぐらいで、上がっていた頃だったんですよ。それから段々と下がって、３～４％台にまで下がりました。でもまぁ100人いたら3人は通るから。その3人の中に入るのにどうすればいいかって考えるかなぁ」というと、相手はほーっと感心したような目でこちらを見る。エラそうなことを言ったが、自分がその３％の中に入れる自信はない。ただ、97人落ちるではなく、3人通るという良い方に目を向けるだけだ。何かチャレンジしたり、楽しいことを始める時、いつもの妄想癖が出て、上手くいっている自分の姿を妄想してしまう。一旦妄想が始まると異次元にワープしたかのように、電車を乗り過ごしたり、反対方向に乗ったり、料理を焦がしたり、その癖は直らない。根が楽観的なのかもしれない。何か悪いことが起きたらオロオロ、アタフタして、怯えたチワワのようにブルブル震えるけど、良いことに関しては厚かましいというか、心臓に毛が生えてるんじゃないかと思う。ハイアットのウェイティングルームは熱気で溢れていた。恒例の合格祝賀会の記念写真撮影前に名刺交換。戴いた名刺を見て、遠方から来ている人たちが多いのに驚いた。北海道や九州からも来ている。今まで合格祝賀会での集合写真を悔しく、寂しい思いをしながら眺めてきたけど、自分がこの集合写真の中に入るとは。長かった。こんなに長い時間がかかるとは思いもしなかった。ほんとはもっと早く合格するつもりだった。H通訳案内士養成スクールに行こうと決めたとき、『もしかしたら大枚はたいて勉強しても合格できないかもしれない。それでも構わないか』と問いかけ、納得の上で勉強を始めた。『１、2年で合格する』、『それか合格できないか』という、０か１００かの選択肢しか考えず、勉強を始めた。『合格するのに10年、20年、30年とどれだけ時間がかかっても構わないか』ということは視野になかった。「なぜ合格できないんだろう？」「どうしたらいいんだろう？」自分に問いかけながら勉強してきた。今一つだけ言えるのは、人それぞれその人その人のタイミングがあって、私には合格するのに長い時間が必要だったんじゃないかなってことだ。山あり谷あり、笑ったり、泣いたり、怒ったり、喜んだり。長い道のりだった。カリスマティーチャーU先生を真ん中に、写真撮影ではピースサインをするよう強いられ（？）、渋々する。ほんとはある民放ドラマでヒットしたダンスポーズでキメたかったんだけどなぁ。あのダンス、外国人観光客に披露できたらと練習するが全然その通り踊れない。パーティにはT道場の高僧先生も招待されていた。Amazing！！今までSkypeで通話していただけで、まだ一度も会ったことはない。Lineで「どこですか～？」と聞いたらロビーにいるという。部屋を出て、ロビーに向かうと、いた！！　SkypeやYou Tubeで見た、そのまんまだ。やっぱり自他ともに厳しく凜とした人はオーラが違うな。飲食、歓談、スピーチ、手品、楽器演奏、じゃんけん大会趣向凝らした数々のプログラムにTime flies like an arrow.歓談中、U先生、U先生と先生を探す。どうしても伝説の先生に直接お礼を伝え、握手し、一緒に記念写真を撮ってもらいたいのだ。主催者の先生は方々で誰かに捕まっていたり、ウロウロしていたりで中々見つけられない。やっと見つけたのもつかの間、お礼、写真をバタバタ済ませると、「じゃ」と言ってまた先生は場所を離れようとする。ここで握手してもらっていない！！ことにハッと気づき、鬼の形相で、「先生握手してください」ともぎ取るほどの勢いで先生の手を握りしめた。先生きっと怖かったやろうな。試験に受かったのは良いものの、横のつながりがほとんどなく、これからどのように団体や旅行会社にアプローチしたら良いか、わからない。情報交換の場があるのって、いいな。おまけに親切で気が利く人が多い。人人人（これで山のように３つの字を合わせて人だかりを意味する漢字になってくれへんかな）と人だかりに関西在住者を見つけるのに難儀する中、見つけて引き合わせてくれた人もいれば、U先生を見つけられなくて、「U先生を見ませんでしたか？」と参加者に尋ねまわっていた私に、パーティ終了後、「先生は見つかりましたか？」と気にかけてくださった人、じゃんけん大会で負けてばかりの私に先生のじゃんけん法則をそっと教えてくださった人などなど、新たな素晴らしい出会いに恵まれた。パーティに参加して良かった～。
- 2017年2月10日　遅かりし新年会
  T道場の高僧先生がご自身主催のライングループに入らないかと声をかけてくれ、ありがたく仲間に入れてもらう。色んな情報が入ってきて嬉しいな。私も有益な情報をアップしよう。情報は共有するに限る！今日はM元部長、Sさんとの遅かりし新年会。待ち合わせ場所のお店前に集合のため駅から歩く途中、ラインの着信音が鳴った。通訳案内士仲間が関東方面で通訳案内できる方急遽募集しているという。私は合格したばかりだし、遠くて下調べも出来ないし、無理。関東方面に通訳案内士の知人もいない。MさんやSさんにも尋ねてみよう。少し早めに着いたので、付近を散策する。お堂を見つけ、ろうそくに火を灯し、手を合わせる。通訳案内士としての仕事が上手くいきますように。この界隈で働く人たちを守ってくれますように。久しぶりに3人での再会を喜ぶ。みんな外見はすっかり変わったが、中身はそのままだ。お店に入ってすぐに通訳案内士試験合格を伝え、誰か関東でガイドの知人はいないかと尋ねたが、残念ながら二人ともいなかった。MさんもSさんもすごい頭脳の持ち主で、話を聞くと、親兄弟姉妹もすごい。Sさんの兄弟姉妹の出身校の話をMさんに伝え、みんな勉強ができるってすごいなぁと言うと、大学名を初めて知ったMさんは、「じゃあ兄弟姉妹の中でSさんが一番あかんなぁ」とハハハと笑う。内心『余計なこと言って！』とハラハラしたが、肝心のSさんは「そうですね」ハハと合わせて笑う。他の人が言ったらヒヤッとすることでもMさんが言うとトゲがないというか憎めないというか、許せてしまうのがMさんの人徳だろうな。二人に実家の愚痴を聞いてもらう。先日実家で退院した母がキャスター付きの透明の引き出しボックスからなにやらゴソゴソ探している最中、突然、キャスター部分がポキッと折れ、１ｍ２０ｃｍほどのキャスターがスローモーションで倒れかかってくるというハプニングがあった。突然の出来事にまるでコントを見ているようだった。倒れたキャスターは洗面台に当たり、母は無事だった。「こんな時にこんな目に遭って、弱り目に祟り目や！」と母はヒステリックにわめいていたが、「こんな重たいキャスターが自分の方に倒れてこなくて良かったやん。不幸中の幸いやで」と慰めた。２０年も使っていたキャスター引き出しだから劣化しても当然だ。早速ネット等で調べ、新しい物を購入した。前に使っていた物よりかなり小さく、書類を処分せざるを得なくなった。「これも捨てる。あれも捨てる」と母は中身をきちんと確認せずに急いでポンポンゴミ袋に投入した結果、とても大事な書類まで捨ててしまった。なので、父と一緒に市役所に行き、再発行の手続きを取った。再発行請求書の「どこでなくしたか？」の質問に、「家」と書く父。「家だけではちょっと。せめて家の中と書いてもらえますか？」と市役所の人。すると父は「家ノ中」となぜか「の」はカタカナに。「なぜ再発行が必要ですか？」と聞かれ「なくしました」と答える父。「それでは紛失と書いてください」と市役所の人が言うと、「ふんしつのふんって米へんやったかな？」と父。「それは、粉飾決済の粉や！」と私が言うのと、「糸へんです！」と市役所の人が言うのが同時だった。父は学生時代、どんな風に過ごしていたんだろうそんな話をＭ元部長とＳさんににすると、Ｍさんは、「僕もなぁ、この間、ビール買いに行って、ビールコーナーにアサヒとキリンがあって、どっちかを買おうとして、『アサヒのキリンください』って言ってしまったんや！　そしたら、店の人が「はぁ？」って顔して、自分でも最近何言ってんのかわからなくなってなぁ～。年取ったらそんなもんや」と言う。Ｍさんは変わらずどこまでも優しい。おまけに「僕、金持ちやから奢ったるわ」と高い懐石ランチを二人の美女に（とMさんは常日頃から言っています。Mさんにとって女性は皆美女のようです）ゴチしてくれた。Mさんは仁徳のある人でもある。
- 2017年2月５日～8日　通訳案内士試験の結果　その後
  空を見上げて手を合わせ、黄泉国の留美ちゃんに合格を報告する。きっと守ってくれていたんだ。口述試験で私が自信を持って、笑顔で応答できるようそばにいて助けてくれたんだ。いつも願い事を叶えてくださるお地蔵さんに報告しようと一人で家を飛び出した。祠の前には綺麗な仏花がお供えされていた。偶然にもろうそくには火が灯され、お線香も立っている。タイミング良く、私が来るのをわかっていて用意してくれていたかのようだ。合格を祝福してもらっているようで嬉しかった。T道場の高僧先生にお礼をしようと、ネットでお酒を探す。「K（お酒の銘柄）は上手いですな～」とYou Tubeで呟いていたので、Kを選び、翌日到着便で発送手続きを取り、お礼のメールを送った。後日、高僧先生から「この度は私の一番好きなものをお送りくださり、ありがとうございました」との返信があり、吹き出した。やっぱりお酒がいいんやな。ミカン（仮名）、H通訳案内士養成スクール、オンライン英会話でお世話になったΔ、マンゴー（両方とも仮名）、Native Camp、Nara Visitor Centerにメールで報告する。ΔのK先生はまるで自分のことのように喜んでくださった。この先生は私の他にも通訳案内士試験の合格者を出したという。ソフトで可愛い見た目と芯の強さ、自分が男性だったら惚れてしまうだろうな。Native Campにはまた必ず戻るからねと言いながらも、叶わず受験した。今年8月ある事情により、1ヶ月のみ再開し、受講した先生に個別にお礼を言った（まだ全員には言えていないから、また再開したときにすべての先生にお礼を告げよう）。皆さん、おめでとうと歓喜してくれて、感激した。残念ながらJ先生は退職されていた。A先生は、「前に会話した時よりずっと自信を持って会話している」と褒めてくださった。人気者のZai先生は中々レッスンが取れないので、予約して受講し、「私のこと憶えてる？」と聞くと「もちろん。千円札や5千円札、一万円札の人物について話してくれたよね。○○（忘れた）についても話したよね」と懐かしそうに、笑いながら過去のレッスン内容について言う。やっぱり人気講師は違うな～。Zai先生は話していて、すごく楽しいし、元気になる！　8月一ヶ月間の受講回数200回超。まさに国内留学だ。受講生全員が私みたいやったらスクールどうなっているやろう？？　一次試験の受験会場で出会ったKさんにもメールで報告すると、自分も嬉しいと喜んで下さった上、色々と今後のアドバイスしてくださり、何かわからないことがあればいつでも相談して下さいと。ほんまにいい人やな～。YのT.Tにもメッセージを送ったら、「おめでとう。すごく嬉しい。てっきり諦めていたかとおもっていたけど、続けていたんですね」とすぐさま返事があった。これだけあかんかったらやっぱり心が折れてしまう人が大半なんかな。Nara Visitor Centerからは某さんがわざわざお返事をくださった。またどこかで会えるといいなと思っていたら、偶然にもまったく別の場所で後日再会した。お茶を飲みながら色々と話すといくつもの共通点が見つかり、本当に驚いた。レモン（仮名）には今までずっと案内を送ってくれていたことへの感謝を述べ、送付をストップしてほしいと伝えた。電話口のスタッフさんは変わらずソフトな口調で感じが良い。あと一人、どうしても合格を伝えたい人がいる。
- 2017年2月５日　通訳案内士試験の結果が届く
  日曜日。昼食後、和室でゴロンとなり、夫と一緒にテレビを観ていると、インターフォンが鳴った。「僕出るわ」「いい、私が出る」夫を制し、玄関へ行く。郵便局員が立っている。簡易書留が届いた。A4の封筒。国際観光振興機構からだ。通訳案内士試験合否通知という字が目に飛び込んだ。前年度はこの１／３程の大きさで、ポストに入っていた。中を開けると、合格証が入っていた。「合格していた」声が震えた。「ほんまに～？　良かったなぁ」と夫は言う。今日が休日で良かった。夫に一番に伝えることができて嬉しい。それと私自身、自分の合格を一番に知ることができて良かった。今から32年前、本命の大学の合否発表の日、母と一緒にキャンパスに向かった。今はどうなのかわからないけど、当時は合格者番号がキャンパスに貼り出されていた。その直前に合格した大学の合格通知が一日遅れ、しかも書留か何かだったのにDoor to doorではなく、ポストにポンと合格通知が放り込まれていたのだ。合格の確信を持っていたのに通知が来ないことでパニックになり、大泣きしたという苦い経験から発表を見に行くことにしたのだ。キャンパスに入り、掲示板に近づくにつれて足が震えた。「怖い、怖い」と青ざめる私に母は「じゃあ、ここで待っていて。お母さんが番号見てきてあげるから」と言い、私の返事を待たず、母は掲示板へ走った。「合格や！！」と興奮して叫ぶ母に二人でワーっと歓喜した。私は自分の合格を一番に知ることができなかったのだ。そのことがずっとネックになっていた。すぐさま実家に電話すると母が出た。「合格したよ」というと、母は、「おめでとう。良かったなぁ」と言って泣いた。「子どもの頃、英会話を習いなさいって言われた時、最初はイヤでイヤで、習っても全然ダメで、テストをしても同級生の中で一番点数が取れなくて。会話はあかんかったけど、中学に入ってから文法や読み書きを習い始めてから英語ができるようになって。でも英語を好きになったのは英会話を習ったのがきっかけやったんやなぁって。お母さんが英会話を勧めてくれたからやなぁって。自分からやりたいって言ったピアノもバレエもすぐにやめてしまったけど、英語だけは続けることができた」話しているうちに泣けてきた。バレエは可愛いシューズやウェアを母が買いそろえてくれたにもかかわらず、3回行ってやめてしまった。これぞ3日坊主。ピアノは全然練習していかない私に先生が激怒し、「帰ってちょうだい！」と追い出された経験があった。恥ずかしいにも程がある。英語だけは何とか細々とでも続けることができた。「自分のことで心配をかけて時間を取らせてしまって、もし不合格だったら申し訳ないと思っていた。お父さんとも家でどうなっているのかな～って言っていたんやで。お父さんに代るわな」父が電話に出た。「おめでとう。お父さんも嬉しいわ。もう嬉しいから切るわな」父も泣いていた。電話を切った後、「この間、三人（父、夫、私）で食事に行って、アンタがトイレに行ってる間、お父さん、僕にこっそり『結果はどうでしたか？』って聞いていたんやで」と夫は微笑む。心配していたんやで、と。「そうやったんや。お父さんも何もコソコソ聞かなくたって、黙っていてくれていたらいいのに。Sちゃん（夫）、私が合格しても落ちてもどっちでもいいと思っていたんとちゃう？」「僕も合格していたらいいと思っていたよ。口に出しては言わなかったけど」プレッシャーにならないよう、無関心を装ってくれていたんだ。
16Nov
- 2017年2月２日　官報で通訳案内士試験合格者名の発表が一週間先延ばしになる
  明日の官報の通訳案内士試験合格者名の発表が一週間先延ばしになったとの内容のメルマガがH通訳案内士養成スクールのU先生から送られてきた。U先生はかゆいところに手が届くというかほんまに行き届いているな～。でも一週間先延ばしになろうが、私は見るつもりはない。母の退院後、変わらず毎週実家へ帰り、家事をする。両親はもうそろそろガイド試験の結果が出ているんじゃないかと気にしているようだが、口に出さない。私も話題にしない。みんなが気にしつつも、あえてそのことには触れないというぎこちない雰囲気がこの頃流れ、気詰まりだ。
- 2017年2月上旬　夫の檀那寺で
  19の頃も33の頃も厄払いをしなかった。次の女の厄年は60だけどそれまで待てない。あまりの災難に見舞われた去年の厄を落としてしまおう。夫の実家の檀那寺に連絡する。11月に祈祷してもらってから目の周りの青あざが大分薄れ、今ではすっかり消えた。厄払いは初めてで、緊張する。準備が整うまで事務所（？）で待たせてもらい、名前、住所、年齢を書く。厄年でもないのになぜ？って不思議がられたので、実は昨年色々としんどいことが起こりましてと話した。たすきのようなものをかけ、大きな数珠を持ち、お堂でお経を唱えてもらい、お守りを授かった。大丈夫、大丈夫だ。目には見えない存在が必ず守ってくれる。
- 2017年1月下旬　仙人上司M部長とSさんと新年会の約束を取り付ける
  大手電機メーカーの派遣社員として働いていたときにお世話になった仙人上司M部長とは別の上司を交えて、お花見や美術館に行ったり、夫と一緒に山荘に度々お邪魔したが、近年年賀状とメール交換のみになっていた。本社の元社員でキャリアウーマンSさんから数年ぶりに年賀状が届き、「良ければご連絡ください」とメルアドも書いてあったので、二人に「遅かりし新年会をしませんか？」とメールすると、すぐさまOKの返事をもらった。私の勝手な判断で、有無を言わせず、場所は北新地の懐石料理店を選んだ。夜だと払えない値段だが、昼間だとリーズナブルにランチが楽しめる。こちらのお店は過去に二度お盆休みのためと予約を入れていたけど友人の身内に不幸があったためキャンセルし、縁がなかった。今回は3度目の正直で予約を入れることができた。母が常日頃から強運の持ち主と一緒に行動しないかん！と言っていたが、M部長とSさんはものすごい強運の持ち主だと思う。もちろん運だけではない、二人ともたゆまぬ努力をし、その努力を結果に繋げることができるのだ。二人と会ったらきっと運のお裾分けしてもらえるよねという意地汚い、黒い腹で二人に声をかける。日程は2月10日に決まった。その頃には通訳案内士試験結果通知は届くだろう。
- 2017年1月１７日　通訳案内士試験合格発表（インターネット）
  インターネット上で通訳案内士試験合格発表がされる。去年は2月中旬だったのに1ヶ月弱ほど早くなった。前年度の番号あるよねと思いながら自分の番号を探し、なかったときのショックを引きずっている。もうネットでは見るつもりはない。発表されているのにあえて見ないというのは意思の力が必要だなって思う。だが、気になる＜不合格だった時のショックの大きさ、なので、見ない。合格もしくは不合格通知が郵送されるまで、待つことに決めたのだ。
- 2017年　元旦　夫の実家にステイ
  今年は自分の実家訪問は無理ということで、年末年始は夫の実家で過ごした。2日は総勢17人が集まる。女子大生のWちゃんがスマホの顔交換アプリを始めた。自分の化粧の濃い顔と弟の角刈りの髪型の合体には吹き出した。「オネエや～。いそう、いそう」とみんなで笑う。子どもたちって、ちょっとしたことや何でもないことで笑うんだな。下歯槽神経や舌神経損傷は稀だが、親知らず抜歯でもなることがある。甥っ子姪っ子たちが同じ被害に遭わないことを祈る。散々だった2016年がやっと終わった。1年が５年のように感じられた。今年は良い年になりますように。
15Nov
- 2016年12月中旬～年末　実家にて
  通訳案内士口述試験後、英語からは離れた。もし不合格だったらもう受験しない。この先どうしようか考えられないが、それだけは決めていた。下歯槽神経損傷というレアなアクシデントに遭い、一寸先は闇だというのがわかったから。一日、一日、自分のできることをするだけで精一杯だ。できることがあるというだけでもありがたいなと思う。行き詰まっている人たちに「人生設計はどうしていたの？」と問い詰める声をたまに聞くが、設計図を描いたってシナリオ通りに行かないのっていうのが身をもってわかった。人生に予定調和はないのだ。見上げると空の青さが眩しい。下を向くと道ばたに生える草花が輝いている。そんな存在が奇跡のように思える。この世には当たり前なんてないんだ。毎週1日か2日、自宅で作った料理を数品持って実家に行き、家事や地域包括センターの方と面談する。実家にいる時間は限られているので、できる限りのことをしたい。何も考えず、ただ体を動かしてクタクタに疲れて、自宅に戻ると夜は泥のように眠った。
- 12月2週目某日　母退院
  母の退院の日、父の車に叔父も乗ってもらい、荷物を積んで帰宅する。私は部屋を予め暖めておき、待機。ただボンヤリと待つのは時間がもったいない。どうせなら労働しよう！　部屋をクリーナーで掃除し、年末に向けて窓ガラスを拭く。1階は自宅で一泊したときに拭き終えていたので、2階の窓を拭いていると、母が帰ってきた。インターフォンを鳴らしても中々私が出てこないからイライラしている。「窓ガラスを拭いていた」というと、「そんなんどうでも良いのに。家の中に中々入られなくて、このしんどいのに」と母は鬼のような形相をしている。酸素の機械の使い方を説明してくれというので、前もって業者から母の入院中聞いていた通り作動しようとしても動かない。「おかしい」「おかしい」とみんなでワーワー言うと、さらに母のイライラは加速し、「こんな大の大人が3人（叔父、父、私）もいて、何聞いていたんよ！」と怒鳴った。少ししてコンセントが外れていることに気づく。掃除したときにクリーナーのコンセントをここから取り、酸素の機械に繋げておくのを忘れたのだ。「何やってんのよ。もう！　私がどれだけ苦しくてしんどいかわからないのか！」と母が怒るので、もういい加減にせーよ！と今までずっと我慢していたが、ついに私もキレてしまった。「そんなのわかるわけないやろう！！　甘えんのもいい加減にせー！！！」と思い切り母の顔を睨み付ける。心根が優しくて辛抱強い叔父は私たちのやりとりをハラハラしながら眺めていた。自宅で仕事から帰ってきた夫に一連の出来事を話した。「往復3時間以上かけて実家と家を行き来して、掃除や料理や洗濯、買い物とか家事労働だけでも疲れるのに、母のイライラや父への暴言でダブルにしんどいわ」言いながらふとあることに気づき、夫の手の甲をつねった。「イタタタタ、何すんの！」と夫は叫ぶ。「私にはあなたのその（つねられた）痛みはわからない。相手の痛みや苦しみに思いを馳せることは大事だけど、本人にしかその痛みや苦しみはわからないんや」愚痴を聞かされるだけでなく、痛い思いもさせ、夫には申し訳ないことをした。例を挙げるんだったら自分の手の甲を思い切りつねればよかったな。
- 2016年12月5日　通訳案内士口述試験翌日
  数日分食べられるよう父の食事の用意をするが、実家の台所はそこそこスペースがあるため、料理はサクサクはかどる。おまけにカレーを2食分くらい作れば、3回分くらいに分けて食べてくれるから大助かりだ。父はチャーハンが大好物で、「何か食べたいものある？」と何度か聞いたら「チャーハン」といつも答える。簡単なので助かる～。「昨日の昼、何食べた？」と尋ねると「チャーハン」「夜は？」「残りのチャーハン」と好きなものであれば、何食同じものが続いても文句を言わないから楽だ。家の中は父が毎日コロコロやクイックルで掃除しているので、キレイだが、やはり掃除機はかけたい。１F、２Fとも掃除機をかけ、風呂場もトイレも丁寧に掃除したら、父は、風呂場があまりにもキレイになっていたからびっくりしたという。一人でいるときはちゃんとやっているくせに、誰かやってくれる人が現れると、「右腕や腰が痛いんや！」と言って、途端に動かなくなった。
- 2016年１２月4日　通訳案内士口述試験終了後
  終了後、小教室へと案内された。前年度の何となく通ったんじゃないかなという感覚は今回、全くなかった。去年の審査官は二人とも笑顔でネイティブの審査官はスピーチも質疑応答でも「良いね」と繰り返し言ってくれていたから。それでも落ちたのだ。合否はまったくわからない。審査官と神のみぞ知る、だ！　運を天命に任せている。これで試験が終わったから、当面母の看護と実家のことに気持ちを向けよう。解散後、通訳案内士団体がチラシを配っていたかどうか忘れた。配っていたかもしれないけど、シケた顔して歩いていたからパスされたのかもしれないな。帰りの電車の中でスマホをいじり、H通訳案内士養成スクールのブログを怖々と開き、受験後の感想を読む。通訳はそばと干潟の問題しかアップされていなかった。もしかしたら最初から2種類の問題しか用意しておらず、前後の受験生と交互に出題されていたのかもしれない。1回の時間帯で4種類もの問題を作成するのは大変だろう。しかし、干潟の問題、難しい。イヤと言うほどガイド関連の単語を詰め込んだが、干潟って単語使わないから何て訳したら良いかわからない。最寄り駅から歩いて帰宅する。昼食を作る元気もなく、近所のカジュアルフレンチレストランでランチしようと夫に提案した。食事中、夫は「どうだった？」と遠慮がちに尋ねるので、「あまりできなかった」と首を振った。合格基準は6割とのことだが、100％満足できるものでなければ「できた」と答えられない。ランチ後、母のことで手伝いがあるため、夫と一緒に車で実家に向かい、私だけ一泊する。
- ヘアドネーション
  数日前（2017年11月）、お風呂から上がり、ドライヤーを当て、いつものごとく妄想しながらプラスチックのロールブラシでといていると、ブラシが髪に絡みつき取れなくなってしまった。また髪を濡らし、リンスを付けて滑りを良くしても取れない。仕方がないからジョキっと髪を切り落とした。一部10センチほど短くなった。くくっていてもどうしても目立ってしまう。なので、長らく切っていなかった髪を切ることにした。2015年早春に南堀江のオシャレなカフェで開催されたYのイベントに美容室Cが出店していた。その美容室ではヘアドネーションをしているということで、「髪が伸びたら行きますね」と話していた。昨日（2017年11月14日）実家の手伝いに行った帰りにCへ。美容室というよりインキュベーションボックスのようで、斬新なレイアウト。こういう雰囲気の美容室は初めてだが、何か別のイベントもできそうってワクワクする。事情を話し、「一部短いところがありますが大丈夫ですか？」と尋ねるが、「送り先の方が判断しますが、使えないところだけよけると思いますよ。30センチ必要ですが、構いませんか？」と聞かれ、OKと答える。バッサリ切るのはまったく問題ないが、長い間カットを怠っていた上、トリートメントもしてこなかったので、髪はかなり傷んでいた。傷んでいても、パーマを当てていても、カラーしていてもドネーションできるとのことだが、こんな傷んだ髪、white elephant（無用の長物）にならないだろうか。ここでQuestion!　動物を使った英語の表現をどれだけ思い出せますか？例えば、let the cat out of the bag（秘密をばらす）、poor as a church mouse (とても貧乏)、rain cats and dogs（土砂降りの雨）、straight from the horse's mouth（信頼できる情報）などなど。白い象がなぜ無用の長物なのか、長年疑問に思っていたが、これを機に調べてみると面白い逸話が出た。ネコをカバンから出すのがなぜ秘密をばらすの意味になるんだろう？　ネコがカバンから飛び出して飼い主の秘密を吹聴しまくったのだろうか？　ネコっておしゃべりなのか？　狐や狸が人に化けるって話は聞くけど、ネコも化けるのかな。化け猫っていうけど。まぁどうでも良いが、調べてみると別の答えが出た。ヘアドネーションは初体験でドキドキする。髪を数本の束にまとめてカットするところをゴムでくくる。そしていきなりジョキだ。背中まであった髪がおかっぱになる。市松人形みたいだ。え！？まさかこのまま放置されないよね、と一瞬不安になるが、後で揃えていきますからねと美容師さんに言われ、ホッとする。チョキチョキと髪を滑らせるハサミの音に汚れた（？）心が洗われるようだ。耳下くらいの長さにキレイにスッキリ治まった。これでシャンプー、リンス量も減るし、ドライヤーにかける時間も電気代も減る。エネルギーも家計費もエコだ。美容師泣かせの癖毛にさぞや悪戦苦闘されるかと思ったが、切りやすい癖毛だと美容師さんは言ってくださった。願掛けの意味でも髪の毛を伸ばし、願いが叶ったら切るつもりでいたが、先に髪を切ってしまったので、これはもう願いを叶えるしかないな。
13Nov
- 2016年12月4日　通訳案内士口述試験
  前年度とは違う審査官だ。25年ほど前にH通訳案内士養成スクールで一緒だったある女性が初めて受けた英検の口述試験で不合格になり、次回1次免除の口述試験はガイド試験と重なって、受験できず。一次免除ラストチャンスの口述試験で初回と同じ面接官に当たり、再度不合格になったというアンビリーバブルな恐ろしい話を聞いた。結局、振り出しに戻り、一次試験から再受験し、3度目の口述試験で別の面接官に当たり、無事合格されたという。私も前年度と同じ審査官に当たったらどうしようと思っていた。前年度なぜ不合格になったのか理由はわからないが、同じ審査官だということで緊張に拍車がかかって顔がこわばり、言葉が出てこないということもある。前年度はその前年度（2014年）とはちょっと異なる点（生年月日や住んでいる場所を聞かれたり、一分経過の合図がなかったり）があり、不安を隠せず戸惑いながら答えていたが、今回は去年と同じだろうと見込んでいたため、リラックスして笑顔で詰まることなく、名前も生年月日も住んでいる場所もハッキリと答えることが出来た。第一印象って大きい。良い印象を審査官に植え付けよう。私はガイドなのだ。メモ用紙は一枚だけだった。前年度は複数枚あったような気がしたが。この紙の表裏を使ってメモを取るんだ。足りなくならないよう慎重にメモ取りせな。日本人審査官が通訳文を読み上げた。「そばは………」ナチュラルスピードだ。第２次口述試験対策特別セミナーでKさんが読み上げてくれたスピードより速い！　だが、明瞭に読み上げて下さったので聞き取りやすかった。それにしても長い！！　このスタイルの試験がスタートした頃と比べて、文章が長くなっている。前年度も私の当たった通訳は結構長くて、一つの句をメモ取りできず、訳せなかったが、今回は名詞や動詞、形容詞、副詞、すべてメモが取れた。急いで書き、判読しづらいところもあったが、頭に残っていた。手と耳と脳の回路が繋がったから。長いが、素直な文章だったので訳しやすい。前年度は気が回らなかった時制まで気を配り、現在形より現在完了形の方が良いと思ったところで完了形にする。前年度は一カ所訳しそびれた分をフォローしようと、訳にない余計な情報をわかりやすくするために加えたが、返って減点されていたんじゃないかな。今回は余計なことはせず、大意要約ではなく、読まれた文章通り丁寧に訳した。訳しやすい言葉が並んでいたが、一つ「痩せた（ここではbarrenがふさわしいと思います）土地」の訳に苦心し、barren（不毛な）という単語が出てこなかったので、別のそれらしき言葉で代用する。ミカン（仮名）のスタッフの方が直前アドバイスで、とにかくわからない単語が出ても、それに近い言葉を当てはめ、止まってタイムオーバーになることだけは避けるようにとメルマガに送ってくれたからだ。文の区切りまでさっと訳して、次の訳文を考えるためにポーズを入れ、メモと審査官の顔を交互に見ながら1分以内に訳し終え、最後にニッコリと笑った。内心必死だったが、必死感を顔に出さぬよう、悟られないようにするのにも必死だった（W必死！）。最後のニッコリに効果があるといいんだけど。次はスピーチ。審査官から3枚の紙を渡された。ラムサール条約　御朱印　盆栽だ。ラムサール条約はとてもじゃないけど上手く説明できそうにないのでパス。御朱印か盆栽で迷った。盆栽はミカンでスピーチの練習をし、H通訳案内士養成スクールのX００選にも載っていたので、スピーチはできるが、育てたこともなく周りにやったことのある人はいないので、質疑応答で困るかもしれない。御朱印はミカンで四国88カ所巡りについてスピーチの練習をしたので、そこからなんとか繋げられるかな。御朱印巡りをしたことはないが、質疑応答で仏教や神道の違いなどについて質問されるかもしれない。その辺りは説明できるし、清水寺も西国33ヵ所に含まれているから上手くこちらに誘導できるようにすれば良い。迷った挙げ句、スピーチで十分説明できそうな盆栽を選んだ。前年度と同じ轍を踏むまい。ダラダラと事実を説明するだけで時間オーバーだけは避けよう。まずは本題の盆栽はどんなものか、いつ頃始まったのかを説明し、個人的な感想について述べ、外国人観光客云々で締めくくり、時間内に抑えた。正直やったことがないから言えることも限り困った。だが、困ったときこそ笑顔だ。質問はネイティブからのみ。幸いにも意地悪い突っ込んだ質問はなく、シンプルなものばかりだったが、前年度の審査官と比べて話すスピードが速い。聞き取れなかったところは”I beg your pardon?”と笑顔で尋ねる。”I don’t know.”は禁句と言われていたので、はっきりしないところは、I think…と言って説明し、スピーチで伝えられなかった追加の情報を入れる。日本人審査官もネイティブの審査官も前年度とは異なり、表情をあまり顔に出さないタイプで、反応がわからなかったが、ミカン（仮名）で一緒だったJさんを真似て、（心の中ではお慈悲モード）笑顔とアイコンタクトを絶やさず、今まで指摘を受けてきた“L”と”R”の発音の違い、“W”や”Th”の口の形などを意識し、大半はシンプルな単語や表現を使いながらも、『今までものすごく勉強してきました』とわかってもらいたくて「えっ！？　こんな単語も知っているの？」って言葉をちょっとだけ盛り込んだ。日本人審査官に「終了です」と言われ、「今日はありがとうございました。良い一日を」と英語で言い、おじぎをして教室を後にする。
- 2016年12月4日　通訳案内士口述試験当日②
  建物の中に入り、受付を済ませ、番号札をもらう。トイレを済ませ、大きな教室で待機する。U先生もO先生も高僧先生も就職試験同様スーツ着用が好ましいと言っていたが、黒や紺、グレーのリクルートスーツの方はあまり見かけなかった。どちらかというとカジュアルかセミフォーマルな服装が大半だ。女性は白やベージュ系の洋服を着ている人がちらほらいた。中には着物の方もいる。○ー○～X―Xまでの方、移動して下さい、と言われ、小教室へ移動する。そこでもしばし待機する。私語は慎むようにと言われた通り、誰もトイレへ行きたいと言う以外喋らない。そして再度番号を呼ばれて別の教室の前の椅子に座る。廊下は暗い。中で面接が行われていると思うと、ドキドキする。カバンの中のものを出せないため、ギュッと握りしめ、「Rちゃん、助けてね」と心の中で唱えた。前の人が教室を出て、少ししてから呼ばれ、中に入る。
12Nov
- 2016年12月4日　通訳案内士口述試験当日①
  朝いつも起きる時間と同じくらいに起きる。前年度は電車のトラブルなどを想定して、かなり余裕を持って家を出たが、今回は朝一番の試験のせいか、ギリギリではないが、指定された時間に間に合うように支度をする。目の周りの青あざも薄くなり、同系色のアイシャドーでごまかしたらわからなくなった。今日着ていくワンピースとの相性もバッチリだ。痩せたこととワンピースの色から体が引き締まって見える。この色は自分にとってラッキーカラーだと星占いに書いてあったのをずっと前に読んで覚えていた。ロングヘアーは黒のバナナクリップでまとめるつもりだ。そのままクリップを留めて、髪の毛がパラパラと落ちてきたら見苦しい。なので、一旦ゴムで髪をくくってからバナナクリップで留めようとすると、ポキッとバナナクリップが壊れてしまった。受験日の朝に壊れるとは縁起でもない。何か暗示しているんかな。イヤ、これで厄を落としたと思えば良い。ただ、どうしよう………。ゴムを外してバナナクリップで留めようとするが使えない。バナナクリップは一つしかない。前年度語呂合わせの縁起担ぎで使った髪留めは縁起がないので、使うのをやめる。他に適当な髪留めはないか、、、探すと見つけた。近所のエスニックレストランで見つけたバリ産のゴム付き髪留め。茶色い葉っぱの飾りがシックだ。従姉妹のRちゃんのお葬式の式次第を鞄に入れる。表紙にはRちゃんの満面の笑みが写っている。いつも願い事を叶えて下さる近所のお地蔵さんのところに行き、「どうか今日一日、力を出し切れますように」とお願いする。スマホも持参するが、最初の時間帯とあり、試験の情報は入ってこないから電源を切る。前日、メルマガで送ってくれた、H通訳案内士養成スクールのU先生やミカン（仮名）の事務の方による当日の心構えを反芻する。両方ともすごく参考になった。T道場の高僧先生も試験日間近にメルマガを送って下さった。が、心の余裕がなくて、いずれもお礼の返信を送ることができなかった。外は晴れ。去年より1週間ほど早い日取りだが去年同様暖かい。これが最後のチャンス。今日は面接ではない。私は通訳案内士。審査官は大切なお客様だ。笑顔とホスピタリティで日本を好きになって、日本に興味を持ってもらえるよう、今まで学んだことを思い切り伝えよう。
11Nov
- 2016年12月3日　　2度目のチャレンジ！　通訳案内士口述試験前日
  いよいよ明日が本番。もうここまで来たら開き直るしかない。といっても緊張するし、不安に変わりはない。「後半ほとんど勉強できひんかった。こんなんで受験して大丈夫かな」と不安になり夫に漏らすと、「今まで積み重ねてきたことが力になってるんとちゃうかな」と夫は淡々と言う。ほんとだ。今まで26年間、中断した時期もあったけど、続いてきたじゃないか。そのことに自信を持ったらいい。去年は試験当日のためにわざわざスーツを新調したが、今回は買わなかった。皆から「その服素敵」と褒められたワンピースを勝負服に選ぶ。自分の体に合う洋服が一番だ。昨年度の口述試験で不合格がわかってから今年の口述試験まで10ヶ月もあるんだ、長いなーと思っていたが、医療事故に遭って病院通いを余儀なくさせられたり、母の入院もあり、あっという間に試験前日になってしまった。しかし、なぜ自分はこんなに通訳案内士試験や通訳案内士の仕事にこだわるのだろう？　専門学校通学や勉強のために多額のお金（といっても交通費等を含め100万円以内におさまっているが）やエネルギー、時間を投入したからか。意地のためか。それもある。だが、原点は大学1年の頃、京都御苑のお土産屋さんで春か秋の一般公開時に1日アルバイトをした時のある出来事がきっかけじゃないかなって思う。現在（2017年11月）では京都御所は通年一般公開になったが、当時は春と秋の5日間だけだった。混雑が予想されると、一日だけ学生アルバイトの募集があり、応募した。訪問者は日本人だけでなく、外国人もいた。東南アジア系の人たちが多かった。当時は英語を話す機会もなく四苦八苦しながら拙い英語で接客した。すると服装から判断して多分インドネシアから来た中年カップルの女性が突然、私に赤い綺麗なエスニック調のハンカチを差し出し、”For you.”と言って、プレゼントしてくれたのだ。お土産屋のおばちゃんに、「いただいてもよろしいでしょうか？」と尋ねると「いいんじゃない」とのことだったので、ありがたく頂戴した。彼女はなぜ初対面の私にハンカチをプレゼントしてくれたんだろう？　拙い英語で必死になって応対する私をいじらしく思ったのだろうか。彼女の厚意に感激し、彼女には何もお返しできなかったけど、それから道に迷ったり、電車の乗り方、切符の買い方などで困っている外国人を見かけたら声をかけている。日本にいて安心して、楽しんでもらって、日本をもっと好きになってほしいから。

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