通訳案内士口述試験後、英語からは離れた。もし不合格だったらもう受験しない。この先どうしようか考えられないが、それだけは決めていた。下歯槽神経損傷というレアなアクシデントに遭い、一寸先は闇だというのがわかったから。一日、一日、自分のできることをするだけで精一杯だ。できることがあるというだけでもありがたいなと思う。

行き詰まっている人たちに「人生設計はどうしていたの?」と問い詰める声をたまに聞くが、設計図を描いたってシナリオ通りに行かないのっていうのが身をもってわかった。人生に予定調和はないのだ。

見上げると空の青さが眩しい。下を向くと道ばたに生える草花が輝いている。そんな存在が奇跡のように思える。この世には当たり前なんてないんだ。

毎週1日か2日、自宅で作った料理を数品持って実家に行き、家事や地域包括センターの方と面談する。実家にいる時間は限られているので、できる限りのことをしたい。何も考えず、ただ体を動かしてクタクタに疲れて、自宅に戻ると夜は泥のように眠った。