昨日は猛暑の中

塾の会議のために横浜へ。

 

有隣堂書店に寄ってから

ディスクユニオンに回り

Amazon に出品されていて

目をつけておいたCDが

まだ棚にあったので

買ってきました。

 

それがタイトルにも書いた

《オンブラ・マイ・フ

〜ベスト・オブ・アンドレアス・ショル》です。

 

《オンブラ・マイ・フ〜ベスト・オブ・アンドレアス・ショル》

(キングレコード KKCC-8022、2001.10.30)

 

ハルモニア・ムンディ・フランスが

リリースしたCDの中から

25タイトルを選んで出した

《究極のエレガンス

 ハルモニア・ムンディ・フランス・ベスト25》

というシリーズの1枚。

 

ライナー小冊子の裏表紙や

ジャケ裏(ケース裏側のジャケット)には

Harmonia Mundi France,

Les plus belles musique

(最も美しい音楽)

と書かれており

KHM 100027

というカタログ番号も

併記されておりますので

原盤の方の企画かもしれません。

 

 

アンドレアス・ショルが

ハルモニア・ムンディ・フランスから

リリースした2枚のうち

《わが涙よ、あふれよ

 17世紀イギリスの民謡とリュート・ソング》

(これが当時の邦題)をメインに据えて

ヘンデル作品集から2曲抜き出し

カップリングとしたものです。

 

邦題では

ベスト・オブ・アンドレアス・ショル

とは謳われていますものの

原題はより正確に

Folksongs & Airs anglais baroques

: Dowland, Campion, Haendel

というタイトルがついてますね。

 

原題を訳せば

《フォークソングとイギリス・バロック・アリア

 〜ダウランド、キャンピオン、ヘンデル》

となりましょうか。

 

 

録音は

《イギリスの民謡とリュート・ソング》

収録分が1996年4月で

リュート伴奏が

アンドレアス・マルティン。

 

ヘンデル集からのアリア2曲が

1998年10月で

器楽伴奏は

ベルリン古楽アカデミーです。

 

 

ライナー小冊子には

斉藤基史による解説と

歌詞の訳が載ってますけど

原詩が載っておらず

それどころか曲名の原題も

載っておりません。

 

今でこそ検索すれば

ある程度調べがつくとはいえ

出た当時は

ネット環境も整っておらず

その時に買っていたら

かなり不興を買っていたかも。

 

 

歌詞の訳は

民謡とリュート・ソングが

佐々木勉訳で

ヘンデルは三澤寿喜。

 

佐々木の訳は

オリジナルCDの邦盤に

載っていたものでしょうけど

三澤の訳は全音楽譜出版社の

『ヘンデル・アリア選集1

(オペラ編)』から

となっています。

 

ヘンデル・アリア集も

邦盤が出たはずですが

そのときからすでに

全音楽譜出版社から

取られていたのかどうかは不詳。

 

 

以前、ご紹介した

ポール・エスウッド(CT)と

ユルゲン・ヒュープシャー(lute)の

こちらのCD

 

 

に収められている

〈三羽のカラス〉や

〈バーバラ・アレン〉を

ショルの歌で聴くことができます。

 

そしてもちろん

ダウランドの〈流れよ、わが涙〉も。

(本盤では〈わが涙よ、あふれよ〉

という邦題ですけど)

 

 

ショルの歌声は

いかにもな裏声という感じではなく

素の声(胸声)なんだろうな

と思わせるところがあり

嫋々とした弱々しさを

感じさせることがありません。

 

したがって

輪郭がくっきりとしていて

歌詞がクリアに聴こえます。

 

確かにそれは

魅力的ではありますが

もう少しケレン味が欲しい

という気がしないでもなく

うまくいえなくて

ファンの人には申し訳ないんですけど

なかなか説明が難しいですね。

 

 

〈わが涙よ、あふれよ〉は

YouTube に

音源がアップされていますので

以下に貼り付けておきます。

 

 

この当時のショルの風貌は

優しいお兄さんという感じで

声もそれを彷彿させるものが

あるような気がしています。

 

 

それにしても

いくら廉価盤とはいえ

原詩はともかく

原タイトルまで載っていないのは

なかなか辛いところ。

 

昔はそういうことは

気にしなかったものですが……。

 

民謡と分類されている

〈三羽のカラス〉が

トーマス・レイヴンズクロフトが

採譜したものなのかどうかも

気になったりしてます。

 

そんなこんなで

最初にリリースされた

邦盤を見つけたら

買っちゃうかもなあ。(^^;ゞ

以前、ジョン・ダウランドの

〈流れよ、わが涙〉を

カウンターテナーが歌う

動画を紹介しました。

 

 

その際、ご紹介した動画のひとつ

イェスティン・デイヴィス(CT)と

トーマス・ダンフォード(lute)の演奏を

収めたCDを見つけました。

 

それがこちら。

 

《メランコリーの芸術〜ダウランド:リュート歌曲集》

(英 Hyperion: CDA-68007、2014.3.6)

 

録音は

2013年4月6日〜8日に

サフォーク州にある

ポットン・ホールで

行なわれました。

 

輸入元は東京エムプラスですが

カタログ番号は原盤のものなので

上では原盤のリリース元を

記載しています。

 

東京エムプラスからの

リリース年月日は

同社のサイトに

商品自体が載っておらず、不詳。

 

 

こちらの盤は

昨日(月曜日)猛暑の中

批評系同人誌の印刷・製本を頼むため

お付き合いのある出版社に行った帰り

御茶ノ水駅そばの

ディスクユニオンに寄った際に

目にとまったものです。

 

ちなみに歌詞対訳や

ライナー解説の対訳などは

添付されていません。

 

裏面全体を覆うキャップ

(タスキ、オビ)に

曲名の訳と短い解説文が

載っているだけです。

 

 

さっと聴いてみた印象としては

デイヴィスの歌声は

やっぱり嫋々とした感じで

線が細いという感じが拭えません。

 

ダウランドの曲自体が

メランコリックなので

なおさらそう感じさせるのかも

しれませんけど。

 

 

代表的なリュート歌曲の他に

リュート独奏曲も4曲ほど

演奏されています。

 

〈ラクリメ〉や

〈常にダウランド、常に悲しく〉など

本来はコンソート(合奏)で

演奏される曲が

独奏で演奏されているのは

ちょっと珍しいかも。

 

 

ダンフォードは

以前ご紹介したことのある

デザンドレが歌うヴィヴァルディの

〈松明と毒蛇を携え、ものものしく〉で

伴奏を務めていた際

まるでポップスかロックのような

それこそ、ものものしい演奏でした。

 

 

それが印象に残っていることもあり

ダウランドで繊細な弾きっぷりを

聴かされると

なんだか物足りなく

感じてしまうという。( ̄▽ ̄)

 

 

YouTube に

本盤に収録されている

〈ラクリメ〉の演奏が

アップされていたので

以下に貼り付けておきます。

 

 

例によって

「動画を再生できません」

と出ますので

アドレスも貼っておきます。

 

 

 

マイクが遠いためか何なのか

あまりにも幽[かそ]けき音色ですけど

リュートっぽいといえば

リュートっぽいかもしれませんね。

 

前にも書いた通り

バロック・リュートだと思いますが

ライナー小冊子のどこにも

使用楽器については

書かれてないようです。

 

残念。

 

 

なお、

ライナー小冊子の表紙でもある

ジャケットに使用されている絵画は

オランダの画家 Pieter Godde の描いた

A Young Student in his Study

という画題の絵だそうで

日本語に訳すなら

《研究室の若き学徒》

という意味になりましょうか。

 

顔色が悪く目が虚ろで

まさにメランコリーそのもの

という感じの絵ですけど

学究の徒の目が

なぜここまで死んでいるのか

とか思っちゃったり。( ̄▽ ̄)

前回の記事にも書いた通り

ジャン=クリストフ・グランジェの小説

『ミゼレーレ』の下巻には

元刑事リオネル・カスダンが

アスンシオン福祉教育協会という

コロニーの少年聖歌隊が行なっている

コンサートを聴きにいく

という場面があります。

 

当のコンサートは

コロニーの敷地外にある

近隣の教会で行われるんですけど

にもかかわらず

演奏される曲目のうち

ペルゴレージの《スターバト・マーテル》が

ピアノ伴奏版になっていました。

 

もちろん地方の小さな教会なら

オルガンがないところも

あるでしょうけど

教会でのコンサートであれば

オルガン伴奏でもいいじゃない

と思わずにはいられませんでした。

 

そしたら

ピアノ伴奏版を探してる時

少年合唱団が

弦楽合奏とオルガンの伴奏で歌う

動画を見つけましたので

以下に貼り付けておきます。

 

 

2013年10月19日

モスクワ国際音楽ハウスでの

ライブ演奏で

歌っているのは

スヴェシニコフ少年合唱団

だそうです。

 

指揮者や器楽奏者は不詳。

 

 

スヴェシニコフ少年合唱団は

規模が大きく(人数が多く)

弦楽合奏も加わっているので

グランジェの小説に出てくる

少年聖歌隊のコンサートと

かなり雰囲気は違うでしょう。

 

それでも前回の

アルメニアの少女合唱団に比べれば

少年聖歌隊を偲ばせるものが

あるかもしれない

と感じたりもしました。

 

 

ところで

《スターバト・マーテル》に

合唱が加わるバージョンについては

これまでにも当ブログで

何度か取り上げました。

 

 

 

 

 

この中では

エマ・カークビーが参加している

少女合唱団盤と

キャスリーン・フェリアー盤が

ロシアの少年合唱団の演奏に

近い感じです。

 

カークビー盤とフェリアー盤は

1927年にリリースされた

チャールズ・ケネディ・スコット編曲版を

使っていると思われるわけですけど

今回のロシアの少年合唱団の演奏が

同じ楽譜を使っているのかどうか

よく分かりません。

 

 

上に貼った動画では

ソリストが歌い終わると

会場から拍手が送られてますが

子どもが歌うコンサートって

こういうもんなんでしょうか。

 

グランジェの小説のように

田舎の小さな教会で

地元の人を相手に行う場合なら

そういうことがありそうな気も

しなくはないですけど。

 

グランジェの小説では

残念ながら途中で

カスダンが

寝落ちしてしまい

どういう状況だったのか

分からないのでした。( ̄▽ ̄)