キャスリーン・フェリアーという
イギリスのコントラルト歌手が
ペルゴレージの
《スターバト・マーテル》全曲録音で
歌っていることを知り
以下のディスクを Amazon で購入して
聴いてみました。
(伊 Urania: URN-22.323、2007.5.22)
リリース月日は
タワーレコード・オンラインに
拠りました。
原盤は
イギリスのデッカ・レコードから
1946年から1952年にかけて
リリースされたレコードで
それをリマスタリングした
2枚組になります。
「キャスリーン・フェリアー
ザ・バロック・レパートリー」
というタイトルから分かる通り
ペルゴレージだけでなく
バッハやヘンデルを併録。
Amazon のジャケ写では
左側の柱部分が写っていないため
2枚組かどうか判断がつかず
全曲録音ではないのではないかと思い
当初、買うのをためらっていました。
ところが
思い切って注文して
届いたのを見ると2枚組で
《スターバト・マーテル》は
全曲録音だったという。
《スターバト・マーテル》収録盤は
ユニバーサルから
日本流通盤も出ていますが
とっくのとうに廃盤なので
中古で探すしかなく
本盤に収録された楽曲であれば
日本語の対訳がなくとも
鑑賞に差し支えがないと思い
中古輸入盤の購入に踏み切った次第。
ちなみに届いたものは未開封盤でした。
《スターバト・マーテル》の演奏は
コントラルトのキャスリン・フェリアーと
ソプラノのジョーン・テイラーおよび
ノッティンガム・オリアナ合唱団で
ロイ・ヘンダーソン指揮
ボイド・ニール弦楽合奏団が
器楽伴奏を務めています。
ちなみに
フェリアーの項目によれば
ロイ・ヘンダーソンは
バリトン歌手にして指揮者で
声楽教師としても活躍し
フェリアーを教えています。
《スターバト・マーテル》の録音は
1946年5月8日と28日で
自分の知る限り、同曲の
最も古い録音だと思います。
したがって
スクラッチノイズが目立ちますし
古楽演奏に慣れた耳からすると
演奏は必ずしも
最上のものとはいえません。
ただ、
本盤を聴いて驚いたのは
合唱付きであることに加え
その合唱が入るパターンが
以前、当ブログでご案内の
エマ・カークビーが参加している
同じだということでした。
以前、ちょっと
ネットで調べてみたんですけど
どうやらイギリスの合唱版は
チャールズ・ケネディ・スコットが編曲し
1927年に出版された
Start Mater: for female voices and strings
という楽譜を使っているようです。
for female voices
とあることから分かる通り
少女合唱団で歌うのは
スコット編曲版の
オーセンティックな演奏
ということになるわけです。
フェリアーが参加している盤の
ノッティンガム・オリアナ合唱団も
女声のみのようですね。
ちなみに
編曲者のケネディは
オリアナ合唱団の
創設者でもあるようです。
ケネディ編曲版にはどうやら
Beatrice E. Bulman による
英訳の歌詞も
ついていたようですが
さすがに英語で歌う演奏は
聴いたことがなく
録音されているのかどうか
不詳です。
イギリスの古い慣習として
バッハのマタイ受難曲などを
英訳で歌うことがあり
本盤のカップリングになっている
フェリアーが歌うバッハも
英語での歌唱だったりします。
それを思えば
ペルゴレージの英訳版があっても
おかしくはないわけですが
さすがにラテン語は
学校で習うこともあって
ラテン語のまま歌われる
ということなんでしょうか。
ちなみに
本盤でカップリングの
ロ短調ミサ曲からのアリアも
ラテン語で歌われています。
英語で歌われる
《スターバト・マーテル》を
怖いもの見たさ(聴きたさ?)で
ちょっと聴いてみたい気も
しますけどね。( ̄▽ ̄)