コロナ読書シリーズ。
ヤマザキマリさんのコロナ禍エッセイです。
まず表紙。あの暇さえあれば世界中を飛び回っているアクティブなヤマザキさんが、じっと座っている…。そんなヤマザキさんが、コロナ禍で日本から出られなくなり史上最強に家にいる今だからこそ、考えたこと。
ヤマザキさんの本を読むことの楽しみは、豊富な国際体験から導かれた文化比較(メインはイタリア×日本、そしてアメリカ、ポルトガル、シリアなど)からの思考の広がりです。
イタリア人は不安を感じると一刻も早く払拭しようとする、そのためPCR検査に人が殺到し、それが集団感染や医療崩壊につながった。政府や報道を信じない国民性、それが歴史的・地理的に培われてきた経緯、疑念を持つことの創造性。結果的に人がたくさん死んでも、それすら歴史の養分にして乗り越えようとするしぶとさ。
対して日本は終始政治家の発言が曖昧で、優先順位もよくわからず、それでも人々は空気という戒律に従い、文化的に人との接触が少ないこともあってか、結果的にはイタリアやアメリカに比べたらコロナ感染者が低い。
…などなどを読むにつけ、なんか日本が悪いとか、欧米がいいとかいう単純な比較がどーでもよくなってくる。
ヤマザキさんは歴史オタクでもあるからして、疫病でボロボロになったあとにルネッサンスが起こったこと、しかし人々が精神的・経済的に荒廃したときというのは、ヒトラーやムッソリーニなどの独裁者も現れることを力説。
誰にとっても、何もかもうまくいかない時期だけど、他人を責め立てることにエネルギーを使うのをやめ、また歩き出すときのために何ができるか考える方へとスイッチが切り替わる。いま読まれるべき本!!
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・『東京、コロナ禍。』初沢亜利
・『アンソーシャル ディスタンス』金原ひとみ
・『コロナと生きる』内田樹、岩田健太郎
・『パンデミックの文明論』中野信子、ヤマザキマリ
・『寂聴先生、コロナ時代の「私たちの生き方」教えて下さい!』 瀬戸内寂聴、瀬尾まなほ
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