コロナ読書シリーズ。

漫画家のヤマザキマリさん、脳科学者の中野信子さんの対談本です。

歴史的に疫病のパンデミックには何度もさらされてきた人類。そのたびに文明がどのように変化してきたか、を、みなさんいいですか、なんと古代ローマ時代から振り返るという(笑)、ものすごいタイムスパンの本。

しかしそこは博学なお二人のこと、現代と古代、西洋と東洋の違いを考慮に入れつつ、来たるべき新しいルネッサンス(再生)の展望へと語り尽くして超おもしろい!

以下、メモ。

・日本人はコロナとの共生を前向きに受け入れようとするが、欧米人は戦う相手とみなす。自然に屈服することへの屈辱感があり、それを超克することが進歩だと考える。

・イタリアなどヨーロッパの学校では、人と同じことをするのは想像力の欠如とみなされる。個性や独立心を重視し、長いものに巻かれない人が評価される。それが顕著に出たのが各国首脳の演説。例→ドイツのメルケル首相「開かれた民主主義のもとでは、政治において下される決定の透明性を確保し、説明を尽くすことが必要です。私達の取り組みについて、できるだけ説得力ある形でその根拠を皆さんに説明し、発信し、理解してもらえるようにします」

・イタリア人は新奇探索性が高く、相手が自分と同種の人間だったら触発されないし、知性を豊かにしてもらえない。→私は本を読むとき、新奇探索性が高いときと低いときあるな〜。

・危機に際しては、人間は理性で判断するのを放棄するようになる。正しいかどうかの検証には、時間と労力というコストがかかるから。

・東京は、ものすごい人口がいるけど、家族でも世代別で異なるレイヤーで生きている。これもコロナが広まりにくい遠因では。イタリアのような大家族は家族内感染で亡くなる高齢者が多い。

・古代ローマ人は、庶民も貴族もみんな、風呂で大事な議論をした。丸裸で、筋肉を弛緩させ血流をよくし、すると戦う気持ちがゼロになる。この効果を知ってるから、ローマ軍が遠征すると、まずそこに浴場を作る。お風呂外交セロトニン大作戦。

・イタリア人は、不安や疑念や屈辱や失敗を乗り越えて、経験値として取り込まないと人間としてうまく機能しなくなる、という意識が根付いている。そうやって成熟していくことをよしとする。

・近年、ツボ、鍼灸、瞑想など東洋的な技術への欧米人のアプローチが盛んだが、今までの科学至上主義とは異なる原理で人間が動いてるのかもしれない、と考え始めてるのでは。

・アレハンドロ・ホドロフスキー→チリの詩人、映画監督、作家、タロットカード研究家。

・個性を殺すと、組織は弱体化すると欧米人は考える。でも、このコロナ禍で、日本の「空気による戒律」がもしコロナ制御に一役買ってるとしたら…。→パンデミックには強い?でももし空気戒律がそもそも間違ってたら全員感染てことじゃ…。

あー、学校にこんな先生がいたら毎日通うの楽しみになっただろうな〜。


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