左右社から出ている、緊急事態宣言下の日記×60人以上。ものすごいボリューム。どの日記も、選べないくらい、本当に良かった。

私はこの本を読んで、ちょっとわかったような気がする、コロナが奪ったもの…というか、資本主義社会のなかで人間がなくし、そしてコロナ禍で顕在化した問題が。

それは想像力の欠如だと思う。弱肉強食の資本主義社会では、人間を人間たらしめているものを殺さないとやっていけなかったんだな。

みんな紛れもなく人間の営みをそれぞれ一所懸命生きていて、どんな人にも毎日の生活があり、大切な人がいる。当たり前のことがわからなくなる、それが緊急事態。それでもそういうことに想像が及び、思いやりを持てるようになることが、こういう状況下ではなにかの助けになると信じたい。

そしてこの本は、この緊急事態のなかで、心の余裕を持てない人にも、想像の代行をしてくれるような気がする。本って、そういう可能性もあるんだなぁと、光を見るような思いで読んだ。


●コロナ読書(隠居の本棚より)


 

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