『アラサー男子の老化ウォッチング』へようこそ。
これは、私がアラサーに突入してから逐一メモっていた心身の老化を、アラサーのうちに書き残しておこうというただの思いつきです。
せっかくみんなで見ないことにして済ませていた老化のはじまりを、よせばいいのにほじくり返します。
毎週日曜日に一本ずつアップしていく予定。
薄~い目で、ご覧いただけたら幸いです。
アラサー男子の老化ウォッチング⑱とっさに体が動かない
高校生の時分、自転車で登校中に、車に当てられたことがあったんです。
そのとき世界のぜんぶがスローモーションになって、地面に倒れるとき、どこにどう手足をついて、衝撃を分散させればいいか、瞬時にわかっておもしろかったものでした。おかげですり傷くらいで済み、私は冷静に運転手の連絡先を聞いてから、ふつうに登校。
ふだん使っていない身体能力が瞬間的にフル稼働したようなあの感じは、ちょっと快感ですらありました。
そんなわけで、自慢じゃないが反射神経はあるほうだと思ってたんですが……。
20代も半ばを過ぎたある日、家で自炊していたときに、うっかり包丁を落としたことがありました。
私は家ではだいたい素足で、スリッパもはきません。とっさに、「あ、あぶない」と思ったんですが、足が1ミリも動かなかったんです。
包丁の先端はつま先をはずれて、床にドスンと落ちました。ひやっとした。考える前にピッと飛び退くことが、できなくなっている。
またあるときは、顆粒の中華だしのビンを、手をすべらせて落としたことも。
若いころなら、落としたものをそのまま空中でキャッチするくらい、ちょちょいのちょいでした。
ところが今はどうですか。「あー」とか「んー」とか思うだけ。やっぱり体が動かない。
脳は指令を出してるのに、それが身体に伝達するのが遅いんですよ。ひとりの部屋で、心を無にして、顆粒だしの散らばった床を掃除したのは言うまでもありません。
もう最近は、何か落としても、落ちてゆくままにしてる。
でもこの先があるのかもしれないと思う。
とっさに体は動かなくても、まだ認識くらいはできてますからね。
ここで私の今後の老化予想ですが、そのうち現状を認識するのにも、ものすごーく時間を要するようになって、そしてゆくゆくは、現状を認識し終える前に逝けたりするんじゃないでしょうか。
痛みが伝達する前に、死がきっと私をかっさらってくれる。
たとえば、車にぶつけられて地面に落ちるよりも早く、私の命が落ちているとか!(笑)(←いや笑えねー)
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