この夏のある日、ニューヨークシティの北方ハドソン川沿いにあるBeaconという街に日帰り旅行してきました。ブログには書いてなかったのですが、今日、まだNYに来て間もない同僚から、週末どこか電車でいける穴場的な観光地はないかと相談されたのでBeaconを紹介したついでに、このブログでも取り上げたいと思います。

 

Beaconはグランドセントラル駅から電車で1時間半くらいのところにあります。ぎりぎりマンハッタンへの通勤圏内で、この辺りからマンハッタンまで通勤通学する人たちもいます。週末には逆にマンハッタンから観光客が訪れる日帰りデスティネーションでもあります。ニューヨークシティとの位置関係は下の地図をご覧ください。電車でBeaconに向かうときは左側の窓際に席を取ると、終始車窓にはハドソン川の光景が広がります。日本から来る観光客がわざわざ足を運ぶようなメジャー観光地ではないですが、DIA Beaconというモダンアートの美術館があり、綺麗に整備された古い街並みが推しです。

 

 

グランドセントラル駅からメトロノース鉄道で1本と気軽

 

私が行ったのはもう3ヶ月前の真夏の時期。このブログにも登場するゲイ友SさんMさんカップルが主催する日帰り小旅行に参加しました。まず見所であるDia Beacon美術館に行きました。モダンアートなどを所蔵するDia Art Foundationの参加の美術館の一つで、2003年にオープンした比較的新しい施設です。ニューヨーカーの間でも意外に知られていなくて、私も今回誘われてはじめて知りました。

 

 

東京のチームラボみたいで面白いよ、と言われたので参加を決めたわけですが、チームラボと似てるのは館内の一部の照明くらいで、基本的には全くコンセプトが違いました。チームラボみたいに刺激はないけれど、混雑してなくてゆっくりするにはいい場所です。前衛的芸術作品に造詣の浅い私とDにとってはやや退屈でしたが、我々マンハッタン中年おかま軍団のグループツアーの案内をしてくれたボランティアの女性の話がとても上手で思わず引き込まれてしまいました。もちろん、彼女の話も面白かったのですが、私は展示物の内容よりも、彼女のバックグラウンドに興味があって、ちょこちょこ質問してしまいました。


彼女はチェコの出身で、旦那さんの仕事の関係でこの辺りに居着いたらしい。アート関係の学位を持っていて、プラハのギャラリーでも職員をしていたので、旦那さんの転職でアメリカに来て自分も就職活動したけど、フルタイムの仕事が全然見つからないのでボランティアで始めたらしいです。いわゆる駐在妻みたいな立場だと、これまでの教育や経験が無駄になるし、自分の人生を生きてる気がしないということで、ここで3年ボランティアやってきたそうです。それで近々やっと職員の試験を受けられるそうです。こういう博識な人が、地域のボランティアで頑張っているところにアメリカの底力を感じます。日本の元プリンセスが、コネでマンハッタンのメトロポリタン美術館で仕事を見つけようと画策して結局失敗していましたが、アート関係の仕事の厳しさがわかりますよね。話は横道に触れましたが、以下、館内の様子です。

 

我々の他にもう一組ゲイ軍団がいた。右奥の学生風の人たち

 

我々のガイドの女性。地元のボランティアだって。

 

 

ゲイ友Mさんは主催者なのに途中で脱落してスマホタイム

 

こんな巨大なオブジェ、どうやって館内に入れたんだろう

 

戦時中の旧日本軍の施設のようなオブジェ(?)

 

その後は、美術館の近くにあるハドソン川河岸に広がる公園でランチピクニックしました。以前来たことのあるゲイ友によれば、人も少なくて座ってマッタリするには最高の場所のはずでしたが、夏休み終盤の週末であり地元の家族連れや、我々のようなマンハッタンから来たグループでかなり混雑して、結局ぐるぐると1マイルくらい歩いて場所を確保しました。みんなワインとかスナック持ち寄りでワイワイやろうというのが目的だったのですが、場所探しで歩くのに疲れたのと、数日前の雨でまだ地面が濡れていてそれほどリラックスするような感じでもなく、残念ながら不発に終わった感じ(だから取り立ててブログにはしなかったのですが)。でも、こういうイベントを一生懸命プランニングしてくれるSさんMさんには恐れ入ります。今年は私は転職して初めての夏、Dも大統領選挙絡みで例年に比べて意外に多忙で時間も労力がなくて、こうして友人たちがお膳立てしてくれた企画に乗っかるのがせいぜいでした。

 

 

混雑で座る場所が見つからず歩きまくる

 

このあたりには金持ちも多いようでマリーナもある

 

アメリカでは基本的に公共の場でアルコールを飲むことは禁止されていますが、この街にたくさんの税金を納めているであろう高額納税者の住民は許されるのか、河岸のマリーナ付近や川に浮かんだ自家用ヨットの上で酒盛りをしている人たちもありました。という我々のグループも、カップルで1本ずつワイン持って来ていて、SさんMさんは紙コップまで準備してくれてました。何も持ってこなかった我々はやや肩身の狭い思いもあってか、途中で退散して散歩に出ました。こういうゆるいグループ、いいですね〜。

 

さてさて、Beaconは美術館以外何もない街だと思いきや、小綺麗なダウンタウンがあってまさに雑貨屋さんやカフェも並んでいました。公園飲みではなくて、最初から街歩きの方が良かったとDと話しつつ、レインボーフラッグを掲げたお店をのぞいたり、歴史的建造物をリノベしたカフェでくつろいだりしました。こじんまりとした繁華街をすぎると、ハドソン川に流れ込む支流のような川が流れていて、水辺が周囲の建物などと一体化した独特の景観になっていてまるで、この界隈全体が野外美術館のようだと思いました。下にその光景の写真を貼っておきます。この日は夜にマンハッタンで夕食の予定があったので、5時過ぎのグランドセントラル駅行きの電車に乗らないと間に合わず、それほど長居できませんでしたが、また日を改めて戻ってこようとDと話しました。

 

 

 

Beaconの駅で電車を待っていたら、先ほどまで一緒に行動してたゲイ友たちも駅に着いて同じ電車を待つことになりました。用事があるからと言って退散した手前、なんとなく気まずかったのですが、そう思ってるのは我々くらいで、主催のSさんMさんはじめ誰も何も気にしてなさそうでした。私とDのように、個人主義だけど1匹狼的になりきれない者にとって、こういう付かず離れずのグループは居心地が良くてありがたいです。

 

3ヶ月も前の出来事ですが、秋のハドソン川流域は紅葉が見事です。マンハッタン在住の方や、NYへの旅行時に目新しい観光地をお探しの方も楽しめるデェスティネーションだと思いますので、興味を持たれた方はぜひ。