義父が介護施設に入ってからというもの、親孝行な旦那は義父の身の回りの世話のためほぼ毎月帰省しています。大体木曜や金曜の夕方に出て日曜に戻ってくるというスケジュールで、そういう週末の私のお楽しみの一つが、妥協のない日本的生活に浸ることです。日本人の友達と食事したり、旦那が食べそうにない食材で日本食作ってみたりしてます。そして、マンハッタンで日本の映画を上映してる時は映画鑑賞プラス新しい日本食レストランの開拓が定番中の定番の過ごし方です。特に最近マンハッタンでは、古い作品から新作まで、常にどこかで日本映画を上映してるような状態が続いていて、ニューヨーカーの目を通した日本を感じる機会に恵まれています。
特に今月は当たりの月でした。ウエスト・ヴィレッジにあるお気に入りミニシアターIFCセンターから送られてきたメール見てたら、日本映画上映予告がいくつかあって、その中でも1998年公開の「Love&Pop」という映画が気になりました。渋谷を舞台に援助交際をする女子高生が主人公というストーリーと紹介されていて、どうかな?と思ったものの、カバーに掲載されていた写真に大好きな女優・仲間由紀恵を発見したので、やはり観に行きました。
仲間由紀恵は主演ではなく、主人公の通う高校の親友の一人という役柄でしたが、オーラとか美しさとか総合的にもう頭ひとつ抜けてる感じでした。主演じゃないのに、映画のポスターはまるで主演のような扱いになっていたのはやはり、彼女が客を呼べるスターだからでしょうか。あの頃からコメディエンヌ路線が得意だったんだなと感心。仲間由紀恵の以外の有名どころでは、若かりし頃の浅野忠信も出ていました。今や彼もハリウッドスター。彼が出て来た時、会場から驚きのささやきが聞こえて来ました。
話は映画自体に戻り、最初は援助交際の女子高生の話ということで、残酷な性虐待シーンがあったら嫌だなと思ったらそれほどでもなく、30年も前の作品と思えないほど新鮮で普遍的な人間愛に満ちた映画でとても良かったです。スクリーン数が限られているミニシアターでは1週間のみの公開が多い中、リバイバル公開後、1ヶ月以上にわたるロードショー公開になっているのが驚異的です。この日私が見た回も8割方席が埋まっていて、ほぼ観客は20代〜30代くらいの若いアメリカ人ばかりでした。もし今東京でこの映画を公開したら、東京に住む若い日本人は観に行くのだろうかと思うと、ニューヨーカーの文化的好奇心はさすがだなと思います。
まだ10代の頃の仲間由紀恵が美しい、、
映画館の前に掲示したあったポスター
私、知らなかったのですが、この映画の監督・庵野秀明氏は、超人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズの作者で、「Love&Pop」はその庵野監督の実写映画デビュー作とのこと。映画館にきてた若いアメリカ人たちはきっと庵野監督のファンなんだろうなと思いました。私は、日本のアニメーションはあまり見ないので「エヴァンゲリオン」については、名前は知っていたけれど、程度の知識。今回「Love&Pop」にとても共感したので、「エヴァンゲリオン」をはじめ、庵野監督の他の作品にも興味を持ちました。そして、こうしてアメリカ生活を通して、アメリカ人の視点から、庵野監督の世界観に触れることになったのは興味深いと思います。
また、IFCセンターでは今週も日本関連の映画の上映が目白押しです。今週は、オウム真理教の実態に迫る映画の上映が始まっています。ドキュメンタリーなどを扱う名門映画祭の一つであるサンダンス映画祭への正式出品作品で、長編ドキュメンタリー映画『AUM :The Cult at the End of the World(邦題:オウム:世界の終末のカルト)』です。チケットの売り行きがいいようで、既に追加上映が決まっています。地下鉄サリン事件が発生したのは1995年3月20日。あれからもう30年の月日が過ぎた今、海外でこうしてオウム真理教関連の事件が脚光を浴びていることは、ほとんどの日本人は知らないことでしょう。この映画も、日本での上映は未定とのこと。このブログで以前紹介した伊藤詩織さん監督の映画『Black Box Diaries』もそうですが、海外での発信が先行して、日本人が知らない日本社会を題材にした映画は結構あります。何らかの力が働いて日本での配給会社が見つからないのかもしれませんが、オウムの事件などは日本にいる日本人の多くが興味ある内容だと思うので、日本でも公開されればいいと思います。
『AUM :The Cult at the End of the World(邦題:オウム:世界の終末のカルト)』
こんな映画もリバイバル上映されるようです
日本愛に満ちたIFC館内のポスター
そして映画の後は、ラーメンが食べたくなって、界隈のラーメン屋を探索。この辺り、ほぼ数ブロック毎に日本食レストランがありますが、入れ替わりが激しく、IFCセンターに映画観に来る度ごとに新しいお店がオープンしている感じがします。今回もそんな発見がありました。偶然路地裏で見つけたのが、北海道から進出してきた「麺恋・佐藤」さん。アパートが立ち並ぶ裏通りでひっそりと営業しています。よくもこんなところに、と思いましたが、夕食には少し早い時間にもかかわらずお客で賑わっていました。店構えや、メニュー配置などで日本人がやってるんだなとすぐにわかるお店でした。
日本人経営とすぐわかる店構え
まるで日本のラーメン屋のカウンターにいる気分
ひっきりなしに客が吸い込まれていく
アパートの1階にひっそりと佇むお店。まさに隠れ家
さて、肝心のラーメンの方はというと、「この店のラーメンはとても熱いです」という注意書きが示すとおり、日本のラーメンと同様、スープは熱々のまま提供されました。アメリカでは一般的に、ぬるいスープのラーメンが好まれる傾向がありますが、迎合しないのはさすが、味に自信があるからでしょう。あとは、この辺りのお客が日本のラーメンのお作法に追いついてきたともいえます。北海道といえば、私は味噌味を思い浮かべるので、味噌ラーメンをオーダーしました。スープにもコクがあって飲み干せる味。チャーシューは厚切りで、トッピングも充実してます。また煮卵とキャベツも追加オーダーしました。まさに日本の味。こういう正統派なラーメン、久々に食べました。リピート確定です。隣に座ってたアメリカ人が食べてた醤油ラーメンの香ばしい香りが魅惑的だったので、次は醤油ラーメンを頼んでみたいと思っています。この日お店にいたのは、日本語ペラペラなアジア系のおじさんと、日本人女性の店員さん。こういうお店、ぜひ応援したいです。
日本で食べるラーメンと限りなく近い味
熱々注意の張り紙
ということで、庵野秀明作品観て、隠れ家ラーメン屋で小腹を満たす日本にどっぷりと浸かることのできた週末でした。まさにマンハッタンで感じる日本。またこのブログを書いている最中にも、マンハッタン内の別の映画館で日本作品上映の宣伝メールが来ました。次の週末は旦那がいるので、家でゆっくり過ごそうと思いますが、NYの桜が満開になる4月中旬にまた旦那が留守にするようなので、お花見をテーマに一人遊びを画策したいと思います。













