今週末はメモリアルデー祝日の3連休。夏の始まりとされますが、雨が降ったり止んだりの愚図ついた空模様で、ゲイ友主催のハイキング&バーベキューはキャンセルになりました。そのかわりに今夜マンハッタンのバーで飲むみたいだけど、出不精な旦那Dが嫌がり、我々は不参加で自宅引きこもりです。
ということで私も部屋でアメリカの社会的トピックでブログ書いてます。
久々にMET(メトロポリタンオペラ)でチャイコフスキーの名作オペラを鑑賞したことをブログに書きました。そこで、ちょっと考えさせられる出来事が起きました。
私と旦那Dで観た「エウゲニ・オネーギン」は5時間近いプログラムで、3部構成、2回のインターミッションのほか、第1幕と第2幕では舞台シーン変更のための小休止が入りました。こういう時に近くに座っている人同士で自然発生的に会話が始まったりするのはアメリカでよく見かける光景です。Dは平均的な白人男性の風貌、さらにいい人安全オーラを放っているタイプなので、こういう時に高い確率で見知らぬ人に話しかけられます。
1回目のインターミッションのとき、案の定、私とDの前に座っていた高齢の貴婦人がDに話しかけてきました。ちなみに、席の配置は、Dが通路の席に座っていて、その隣が私、私の隣にはアジア人の中年女性、さらにその隣は彼女の息子と思われるティーンエイジャー風。きっと、貴婦人はDが1人できてると思ったのか、私には話しかけてきませんでした。私も会話に入るきっかけもないので、黙っていました。貴婦人の隣には、彼女の付き添いの方で安定のフィリピン女性。付き添い人の分のオペラのチケットまで買っているということは、この貴婦人、きっとリッチな人なんだなと思いました。アッパーイーストサイドあたりにお住まいだろうか。私はトイレで席を外しましたが、貴婦人とDはずっと話していたようでした。
そして2回目のインターミッション。今度はDがトイレに行ってしまい、貴婦人は私と、私の隣に座ってたアジア系女性に話しかけてきます。多分、私とこのアジア人女性が夫婦だと思ったみたいです。
貴婦人「あなたのご主人、このオペラの指揮者に似てますね。」
アジア女性「私の主人?」
貴婦人「(私を見て)このオペラの指揮者のティムール・ザンギエフにそっくり」
私「マエストロはロシア人で私は日本人ですよ。」
貴婦人「目の当たりとか、オリエンタルな雰囲気がそっくり。(今度はアジア人女性をみて、同意を求めるように)ね?」
アジア女性「あの、私はこの方の妻ではありません。私は息子と2人で来てます。息子はジュリアード(音楽学院)で声楽習ってるの」(←自慢?は外さない)
彼女の息子は、我々の会話に全く興味を示さずスマホに熱中。ジュリアードにいる割には、親に連れられてきた感じたっぷり。貴婦人は目の前のアジア人3人が家族でないと知り混乱したのか、またまた状況が飲み込めないのか、私と指揮者ティムール・ザンギエフ氏が似てると繰り返すばかり。仕方なく話に付き合います。
この高貴な雰囲気よ、、
言われてみればアジアと白人のハーフっぽくも見える
私「もしかしたらマエストロは、ロシアでも中央アジアに近い地域の出身なのかもしれませんね。ロシア南部やキルギスタンとかカザフスタンあたりには朝鮮系やモンゴル系を祖先に持つ住民もいるんです。日本人もモンゴロイドの一種と言われているので、それで似てるように見えるのでは?チンギスハンの時代に、モンゴル人がロシア辺境を支配して、、、、、(と、この地域の話を続けた)
貴婦人「、、、詳しいのね。」(←私がそんな史実や地域研究的な話をしたら、乗ってこなかった)
隣のアジア人女性は、私とカップルと間違えられたのが心外だったのか、会話には入ってきませんでした。貴婦人は、これ以上話は盛り上がらないと思ったのか、「このインターミッション、まだ20分もあるの」と言って、お手伝いさんのフィリピン女性を伴って席を離れました。
今度は、今まで黙っていた隣のアジア人女性がぼそっと、あの老人は人種差別主義者だと口にしました。
アジア女性「She is so rasist(あの人、すごく人種差別主義者、、、)」
私「え?そうでしたか、何か言ってましたっけ?」
アジア女性「あなたの目元のこととか。それにオリエンタル、って言葉も差別用語なんです。」
私「はあ、、、」
アジア女性「私たちが家族だって決めつけてたし」
私「すみません。私が最初に違うって言えば良かったですね」
アジア女性「いいえ、決めつけてたのはあのお婆さんですから」
(会話を続けていいかどうか迷いましたが、少し置いて、私の方から)
私「息子さん、ジュリアードなんですね。すごい」
アジア女性「(待ってました!とばかりに)ええ、そうなの。この子、小さい頃から音感が良くて、楽器もすぐに覚えて、、、この夏はソウルに行って、その後、ミラノに留学してイタリア語覚えて、、、、」(堰を切ったように、自慢が延々とつづく)
ソウル、という地名が聞こえたので、韓国系でしょう。完璧なアメリカンアクセントなので、韓国系アメリカ人。休憩中ずっと自慢話聞かされる恐れがあるので、トイレに行くふりして席を離れました。
第3幕開始5分前の合図で、席に戻ると貴婦人と旦那はまた楽しそうに世間話してました。親子にしか見えない感じで自然に話してる。韓国系と思われる女性は手持ちぶさだな雰囲気。そしてオペラ歌手を目指してるという息子さんはスマホゲームに熱中。METの劇場内は電波が悪いのによく続けてるなと皮肉の一言も言ってやりたいくらい。
最終場面が終わって、スタンディングオペレーションの最中に、貴婦人と介添人のフィリピン女性は退場してしまいました。終演後の出口の混雑を避けるためと思われます。METは自分の庭、的な素早さ。オペラ観劇慣れてるんでしょうね。去り際、「お話できてよかったわ」とDの手を軽く触って行き、私にも目を合わせてさよならの合図をしてくれました。もし私への差別意識があったら、こんなことしないでさっさと立ち去るはず。
ステージに俳優陣が全員出てきたあと、貴婦人が私と似てると主張してたマエストロ・ティムール・ザンギエフ氏も登壇しましたが、、、、「似てねぇ〜よ」。笑。私とは全く似てないですね。確かに、言われれば、白人とアジア人のハーフみたいに見えなくもないけれど、少なくとも純ジャパの私と彼は似てませんでした。それより、たった32歳でこの世界の大舞台にいる事実に感嘆。そして彼の貴賓あふれる高貴な雰囲気。俗物な私と一緒にされる方が迷惑でしょう。私が32歳の時なんて、アメリカで就職したばかりで、同僚の英語すらまともに聞き取れないような日々でした。
32歳とは思えない貫禄。METのインスタからの写真
マチネなので終演後も外はまだ明るく、旦那Dと私はコロンバスサークル界隈をふらふらしながら、貴婦人と私と私の隣に座ってたアジア系女性との顛末を話しました。
結論から言って、私はあの貴婦人がアジア人に対して差別意識や敵意を持っているとは思えなかったし、私は全く嫌な思いもしませんでした。それどころか、20歳近い若い新進気鋭のマエストロと似てるなんて言われて逆に光栄でした。(何度も言います。実際には似てません。)
確かに、アジア人の前で、目の形をコメントするのは微妙で、できれば避けた方がいいです。なぜなら、アジア人をバカにする意味で吊り目ポーズをするのは差別行為とされていますので。でも、実際目元が涼しげに見えるのはアジア人の特徴でもあり、あの貴婦人はその事実を元に、私と指揮者の目元が似てると言っただけです。私と彼女を最初カップルだと勘違いしたのだって、周囲から見たら、きっとほとんどの人がそう観るだろうし、家族だと決めつけたことに関してはちゃんと謝ってたし。それを言ったら、あの貴婦人とうちの旦那なんて、親子にしか見えませんでした。
残念ながら、あの韓国系女性にとっては、貴婦人の一連の言動が差別と映ってしまったようです。でも、私は、息子をジュリアードの声楽部門に通わせて、オペラ観劇させてる行為が、むしろこの国のアジア系教育ママの典型にしか見えなかったです。あの息子さん、私が見る限り、休憩中はずーっとスマホゲームしてました。観劇中までは彼の様子は観察してなかったけど、心からオペラ楽しんでるようには見えませんでした。そんな彼を将来METで主役張れるような歌手にしたいのだろうか。こういう親が、オーディションでいい役に息子が選ばれなかったり、いい成績とれないと被害者妄想で学校に怒鳴り込んで、人種差別だ、とかいうのかな〜などと思ってしまいました。
舞台芸術において韓国系の進出は目覚ましいが、、
この絵の方が自然。エウゲニ・オネーギン主演俳優。
METだけじゃないけど、アメリカでオペラ観ると、中世ヨーロッパ貴族の歌劇の主要キャストに、黒人やアジア人がキャスティングされていることがあります。アジア人は大抵韓国系の歌手です。オーディションを勝ち抜いて役を獲得してるんだろうから、それだけ層が厚いだろうけど、私的には妙な違和感を感じます。例えば中世イタリア人の役を韓国系が演じるのって、リアリティー云々を通り越して、シュールにすら見えます。私がこの話すると、意識たかい系の白人代表である旦那は「人種差別だよ」というのですが、、、。でも、日本の時代劇で戦国武将、例えば武田信玄役を白人男性が演じるとか、安土桃山時代のお姫様の役を黒人女性が演じるとか、一体何がしたいんですか?となってしまうと思うのですが、いかがでしょう。韓国人だって、抗日戦線の戦士役に、例えば青い眼のイギリス人俳優が選ばれたりしたら激怒するだろうし。世界に目を向けると、白雪姫シリーズの最新作で、白雪姫をラティーノ女優が演じて、興行成績は大コケ。ネガティブな話題ばかりで、作品は置き去りで、人種差別論の物騒な議論にしかなりませんでした。
こんな感じで、エンタメ、芸術界のダイバーシティと人種差別の線引きって難しいなと思ったMETでの出来事でした。この話題、人によって受け止め方が違って、親しい友人はもちろん、旦那とすら話すのは憚られますが、せっかくなので、本音を投稿してみました。