前記事で、日本円両替のスプレッドの高さについて書いた。
売価格0.5、買価格0.64、スプレッド28%。
米ドルは81.59と89.16で、スプレッド9.2%。
他の通貨と比べても、円の両替手数料はダントツで高い.
円の両替手数料は、なぜこんなに高いのか、考えてみた。
両替手数料は、需要、リスク、市場での流動性などによって決まる。
1. 両替手数料(スプレッド)の仕組み
両替所で提示される「売り価格」と「買い価格」の差を「スプレッド」と言う。
このスプレッドが、両替所や金融機関にとっての利益となる。
売り価格:両替所が通貨を売る価格(日本円を現地通貨に換える価格)
買い価格:両替所が通貨を買い取る価格(現地通貨を日本円に換える価格)
スプレッドの幅は通貨ペアごとに違う。
2. 日本円と米ドルのスプレッドの違い
米ドルは世界で最も取引量が多く、流動性が高い。
貿易や投資、観光など、すべての場面でドルが使用される。
だからドルは頻繁に売買され、両替所は簡単に手に入れることができる。
インドでもドル需要が高いから、スプレッドを狭く設定できる。
一方、日本円は信頼性は高いが、インドでの需要は高くない。
円を両替する人は少ないため、取り扱いリスクが大きくなる。
これにより、円を両替するコストが増加し、スプレッドが広がる。
在庫リスクの差が、スプレッドの差となる。
3. 為替レートの安定性
米ドルは安定しており、短期間で急激な価値変動が起きにくい。
日本円は「安全通貨」と言われるが、国際市場では経済や政策の影響を受けやすく、
短期的な変動リスクがある。
このリスクを両替所がスプレッド(手数料)に上乗せする。
4. 日本円の信用力は高いのか?
日本円は長らく、世界的に信頼され、安全通貨として言われてきた。
しかしもはや、安全通貨ではない。
日本円が安全資産だったのは、貿易収支は長らく黒字だったから。
しかし、日本では近年、貿易赤字となる月も出てきている。
これは、製造業界の企業が海外に拠点を設けるケースが増え、
輸出ルートが「日本から海外」ではなくなりつつあるからでもある。
だから必ずしも、日本の競争力がなくなったことにはならないが
円の信用力という点では影響していると言える。
それにしても、円安とスプレッド高のダブルパンチ。
なんとかならないものか。。
米ドルに対して円安なだけでなく、アジアの他の通貨と比べても一人負けの状態で、
この2年で円が勝っているのは、トルコ:リラ、アルゼンチン:ペソ、ロシア:ルーブル
という有り様だ。
この流れは、今のところ変わる気配はない。
対策できることといえば、できるだけ米ドルを持つことだ。
海外で、現地通貨が余った際、円に変えず、ドルに変える。
そうすれば、次にどこに行っても困らない。
かつて日本人がアジアに旅行すれば、王様になれた。
生きている間に、もう、そんな日は来ないんだろうな。。
知らなきゃ知らないでいいのだが、なんだかなぁ。
少しでもアレを経験できたことを幸運としておこう。
最後に、国別のビックマック価格を記す。
2024年1月時点でのビッグマック価格は、
スイス8.17米ドル(約1,315円)、アメリカ5.69米ドル(約916円)、ユーロ圏5.87米ドル(約945円)、シンガポール4.96米ドル(約798円)、韓国4.11米ドル(約661円)、タイ3.78米ドル(約608円)、中国3.47米ドル(約558円)。
日本は3.04ドル(約489円)。
かくなる上は、物価の安い国、日本で生活できることを素直に喜んでおこう。