フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -18ページ目

日本人が英語を話すのを、当たり前にするために。 (年始ご挨拶)

あけましておめでとうございます。
この2012年に取り組むことを、ここに書きたいと思います。

オンライン英会話「レアジョブ」では、昨年4月から外部の有識者をお招きし、
英語教育について毎月議論してきました。
「オンライン英会話のあるべき姿とは、どのようなものか」
「日本人1000万人が英語を話せるようになるためには、どうしたらよいか」
などを議論してきました。

オンライン英会話は、留学して行く語学学校とは大きく異なると考えています。
留学は非日常です。
留学は、どこか別の国にいき、英語を勉強するために毎日学校に行きます。
単純に学習の効率だけを追求したハードなカリキュラムも可能です。

しかし、オンライン英会話は日常の生活の中にあります。
毎日忙しい中で、どうやったら英語を続けていけるのでしょうか。
だらだら過ごす誘惑に勝つには、どうしたらよいのでしょうか。

そのカギは楽しむことだと、僕は考えています。
英語を上達するには、英語にたくさん触れることが不可欠ですが、
日常生活の中で続けるためには、効率がよいだけでは不十分で、
楽しめるかどうかが重要です。

レアジョブで生徒様が最も楽しんでいらっしゃるのは、
特定の教材を使わずに生徒様と講師が自由に話す、
フリーカンバセーションのレッスンです。
フリーカンバセーションを楽しむには、生徒様と講師のマッチングが重要だと考えています。
例えば、僕は歴史の話ができる講師が好きですが、CTOの中村はそうではありません。
どのような講師たちが最適か、ひとりひとりの生徒様にあった講師数十人をオススメしたり、
一度気に入った講師を繰り返し予約したりできるよう、環境を整えていきます。

次に大事なのは、教材を使ったレッスンです。
TOEIC教材やDaily News article教材など、レアジョブに教材は500個以上あります。
今後はSituational grammarという考え方を取り入れ、
教材で学んだことをフリーカンバセーションで試すという好循環が加速できるよう、
実際の会話で役に立つ教材を今後は強化していきます。

また、個別のレッスンの向上だけでなく、
英語学習全般についても生徒様の助けになるよう、努力してまいります。
「なんのために英語を勉強するのか」
「どれくらいの英語レベルまで上達したいのか」
「そのなかで今自分はどこにいるのか」
「オンライン英会話は、どのように受講すればよいか」
「オンライン英会話以外に、どのように英語に触れればよいか」
「自分と同じ境遇にいる人と切磋琢磨するには、どうしたらよいか」

生徒様をはじめとする皆様のご支援で、
レアジョブは幸いにしてオンライン英会話の最大手になることができました。
講師だけでなく、優秀なスタッフもたくさんあつまってくれています。
このチャンスを活かして、少しでも生徒様皆様のお役にたつよう努力すること。
これが、日本人1000万人が英語を話せるようになるために必要だと考えています。

パソコンを使って仕事をするのは、20年前は特別でしたが、今では当たり前です。
英語を使って仕事をするのも、今ではまだ特別かもしれません。
しかし、世界の動きを考えると、20年後には当たり前になるでしょう。
この当たり前を20年後にするのではなく、15年後や10年後にする。
日本人が世界で活躍するチャンスをいち早く整える。
これがレアジョブの役割だと考えています。

今年もよろしくお願いいたします。

レアジョブCEO 加藤智久

自分のダメさを痛感した瞬間から、人は伸びはじめる

「加藤(=僕のこと)は、挫折をいっぱいしているね~」 と人からよく言われる。

小さいときから、新しいことをやるのが好きだった。
そのぶん、挫折も多かった。

高校の修学旅行にファームスティを導入しようとして、たくさん反発されたこととか、
大学でのベンチャーでの新規事業失敗とか、
社会人になってからのコンサル経験とか。

挫折するたびに、自分の改めるべき点を見つけ、
改善しようと努力し、実際に改善した。

その中でわかったことは、
自分のダメさを痛感した瞬間から、人は伸びはじめる
ということだ。

挫折した瞬間って、とても心が痛い。
自分がいかに至らなかったか、
そのせいで迷惑をかけてきたか
あのとき理解できなかったアドバイスはこういう意味だったのか、
いっぺんにわかる。
今までは目を背けていた事実が、いっぺんに自分に流れ込んでくる感じがする。
だから、「自分はダメだダメだ」って、自分を責めがちになる。

でも、
うまくいっているときに思うほど、人は優れていないし、
うまくいっていないときに思うほど、人はダメでもない。
挫折した瞬間に自分で思うほど、周りは自分のことを悪く思っていない。

むしろ、挫折した瞬間から、成長は始まっているのだと思う。
自分がうまくいかなかった理由がよくわかる。
これを繰り返してはいけないことだけは、よくわかる。

結果という意味では、まだうまくいくようにはなってはいない。
解決策という意味では、これからどう頑張ればいいのかも、まだわからない。
けれども、問題という意味では、
課題が自分にあって、問題がどういう構造になっているかだけは、理解ができた。

この、問題が把握できたっていうこと。
これは、大きな進歩だと思う。
たくさんの講師やスタッフの成長をみているけれど、
自分に問題があると認めない人は、成長が遅い。
逆に、自分の問題点を正確に把握しているスタッフって、
その後の伸びが早い。

自分がいかにダメかわかった瞬間に、自分の伸びが始まる。

何度目かの挫折でこのことに気づいた。
そのあとは、ダメさを痛感するとき、
強い心の痛みに、少しの甘美さも交わるようになった。
落ち込んだあとに、
顔を上げて正面をみすえて前に進むのが、
すぐにできるようになった。

2011年、たくさん失敗し、挫折した。
だからもう、
2012年に何をすればいいか、
だいたいわかっている。

おごらず、謙虚に、淡々と、やるべきことをやっていきたい。

辞めたスタッフからのクリスマスプレゼント

以前うちを辞めたフィリピン人スタッフから、クリスマスプレゼントが届いた。


日本人1000万人が英語を話す、そんな日をつくる日記-111223Gift


彼女が辞めたのは1年半以上も前。
在職中は相当よくケンカした。

だからこそ、こうやってプレゼントがもらえるのは、
本当にうれしいなと思う。

マザーハウスさんの台湾事業責任者の迫さんとお話した

友人の結婚式があり、台北に来た。
台湾に上陸するのは初めてで、色々と楽しかった。

なかでも、今日マザーハウスで台湾事業をやっている迫さんとお話したのが非常に面白かった。

(マザーハウス台北店
日本人1000万人が英語を話す、そんな日をつくる日記-motherhouse



台湾にマザーハウスさんが進出する際、
迫さんはいろいろな人にインタビューしたが、こう言われたという。
「日本と違い、台湾にはフェアトレードや途上国支援という概念がまだ薄い」
「マザーハウスの商品をストーリーで売ることはできず、商品力だけで売るしかない」

迫さんは実際にそうだと思い、いろいろ試してみたがなかなかうまくいかなかった。
それで、やっぱりストーリーで売ろうということにした。

すると、ちょうど社会的起業のようなニュースを探していた記者たちのニーズにかない、
いろいろメディアで取り上げてもらいやすくなったとのこと。

店で働く人を求人する際も、
他にはなかなか社会的起業という概念をもった会社がない。
だから、そういうことに興味がある学生がみんな来てくれる、とのこと。

社会にフェアトレード的な風潮がないからあきらめるんじゃなくて、
その風潮を作ってしまえばそこを独占できる、というわけで、
きわめてベンチャー的。

スティーブ・ジョブズは、
「これから伸びるトレンドに賭ける」 「トレンドが伸びるから、自社製品の売上も伸びる」
という決断をよくした。
例えば、iMacにフロッピーを載せず、代わりにCD-ROMとUSBポートを載せたように。
また、iPhoneにFlashを載せずにHTML5だけを載せたように。

それに近しいものを感じた。


日本人1000万人が英語を話す、そんな日をつくる日記-Motherhouse2






あとは、迫さんの経歴が面白かった。
迫さんは、副社長の山崎さんが正式入社したくらいのタイミングでマザーハウスにインターンとして入った。
そのあといったん三菱商事に入社したが、すぐにマザーハウスに戻った。
数人の会社の典型で、営業から出店管理、生産管理から経理などほぼすべての業務を担当。
経理では帳票入力から財務諸表の作成、資金繰りの管理までをやっていたという。
そういう経験を数年経た後、20代後半で台湾事業を任されたとのこと。

やっぱり、幅広く経験するのって、すごく大事だと思う。
事業責任者って、営業やマーケだけじゃなく、管理部門の知識も欠かせない。
何かに特に秀でているかよりも、
何か欠けているものがないかどうかが大きく問われる。

その意味で、マザーハウスさんが迫さんを台湾事業の責任者に選んだ理由がよくわかった。
・会社が数人のところから叩き上げている
・ひとつの部署だけでなく、幅広くわかる

マザーハウスさんはいい人材をしっかり育てているな、と思った。



その他、ここには書けないようなことも色々話した。
マザーハウスさんとうちは
日本と途上国の両方に会社があり、
20代で起業したという経緯は全く一緒。

業界は全く異なれど、抱えているマネジメント系の悩みは一緒。
ちょうどマザーハウスさんはうちよりも1,2年先輩の会社だから、
今うちが悩んでいることをマザーハウスさんは1,2年前に悩んでいたようで、
いろいろ勉強になったり共感したりすることが多かった。

というわけで、色々刺激を受けた一日で楽しかった。
明日は台湾での初結婚式。
楽しみです。



(追記: 上記台湾マーケティングについて、迫さんのブログにより詳しい話 があります)

他人のために働きたいという気持ち

藤野英人さんの本を二冊読んだ。

スリッパの法則

ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義

読んで色々刺激を受け、頭の中でモヤモヤとしていたことが、クリアにまとまった。

自分のためではなく、他人のために働きたいと思えるような、会社や国にできるか。
このことが、大きな成果を上げる上でなによりも重要。

他人のために働くとは、
お金やポジションのためではなく、
仕事の成果や組織や社会など、
他人のために働くこと。

例えば、職場のゴミ箱があふれている。
これを、やりすごすのか。
それとも、自分の仕事だと思って取り組むか。

他の例。
何人かでやっているプロジェクトで、大きな穴をみつけた。
この穴を埋めないとプロジェクトはおそらく失敗するが、
自分の担当分野ではないところに穴が空いている。
担当分野の人にこの穴の話をしようにも、きっと感情的に反発されるのがオチ。
このときに、やりすごすのか。
それとも、リスクを取って穴をふさぎにいくのか。
誰のために働くのかが問われている。

自分のためではなく、他人のために働こうと思えるような、会社や国であるかどうかで、
大きな成長・成果をもたらせる会社や国かどうかが決まる。

国も会社も、若いときは優秀な人に権限が与えられる。
国も会社も、若いときは真に必要な施策のコストを、みなで分担して負担しようと思える。
他人のために働きたいという気持ちがみんなに充満していれば、
自分の利害を超えて人々は動き、
国や会社といった組織の成長・成果につながり、
それはやがて個人に帰ってくるのだと思う。
 
では、次の問いは、どうやったら他人のために働こうという想いが築けるのか。

一つは、他人のために働きたいという想いの基盤、
すなわち信頼関係を、コストをかけてつくろうとしているかどうか。
信頼していない他人のためには、誰も働かない。

フィリピン人がいい例。
フィリピン人は家族をとても大事にする。
なぜ大事にするかというと、家族しか信用できるものがないからだ。
政府は腐敗でいっぱいで、失業保険のようなセーフティネットもない。
フィリピンには、明治維新も高度成長もこれまでなかった。
「フィリピンの将来のために」 で努力しても、成果が出る保証なんてない。
家族という他人か、国という他人かでいうと、
フィリピン人は日本人よりも家族をずっとずっと大事にし、
日本人はフィリピン人よりも国をずっとずっと大事にしている。

あたりまえだけど、信頼関係がない他人のためには、働けない。

だから信頼関係をどうやったら築けるか、だけど、
最低限の前提として、そこにコストをかけるかがある。

一般的に、状況のタフさと比べてコミュニケーション量が不十分だと、
信頼することが難しくなると思う。
業務量が多かったり、
上司が外国人だったり外国に行きがちだったり、
信頼関係が壊れたしまった環境だったり。
タフな状況であればあるほど、コミュニケーション量が大事になる。
短期的な成果を出すのを我慢して、長期的な成果のために、
コミュニケーションに時間を割くという決断ができるかどうかが、
信頼関係が築けるかどうかが分かれると思う。

あとは、これをやればみんなの信頼が増す何かを探し続けられるかどうか。
見つかったらコストをかけて実現させるということを、できるかどうか。
このように、信頼関係を築くためのコストをかけるというのが第一歩だと思う。


いったん信頼関係ができあがったら、
他人のために働きたいという想いを醸成するために必要なのは、トップの姿勢だと思う。

率直でグサリとくるフィードバックを、積極的に探し求めに行けるか。
自分の弱みを素直に認め、改善していこうと努力できるか。
他人のために働いてもらった人がいたら、その瞬間を見逃さず、感謝することができるか。
スキルを持った人を抜擢して権限を与える努力を怠らないか。
必要な施策がなぜ必要か、理解を得る努力を怠らないか。
他人のために働こうという想いをもった人に、無理をさせ続けないよう調節する努力ができるか。
トップ本人が、自分のためではなく他人のために働こうとしているか。

そういう姿勢を示せるトップがいれば、組織は大きく育つのだと思う。
そういうことができないと、組織や社会は育たないのだと思う。

会社の成長の上限は社長の器できまるとよく言われるが、本当にそのとおり。
まだまだ自分はできていないことが多い。
そのせいでスタッフのみんなに苦労をかけていることもたくさんある。

もっといい社長になろうと思う。

異質な人を動かせるようになりたい

昨年に引き続き 、今年も大学を休学して1年間レアジョブにフルコミットで働く学生を受け入れている。
大学1年生で休学している若者で、出身高校・大学・学部が僕と同じ。
昨年の彼 はエンジニアだったが、今年の彼は営業をやってもらっている。

そんな彼も、休学してから7ヶ月がたった。
夜、ご飯を一緒に食べながら、いろいろ話を聞いた。
ここ数か月、どんな失敗して、どんな学びがあったのか、
将来の起業につながっている気がするのかを聞いた。

彼に今ビジネスをやるとしたら何で失敗すると思うかを聞いたら、次のように答えてくれた。

「数字の感覚が甘いです」
「最後の詰めも甘いです」
「異質な人を動かしきれる気がしません」

インターンやる前と比べて、問題点が具体的になってきたのは、いい進歩だと思うと伝えた。
そして、起業における自分の役割は何だと思うようになったかを聞いた。

「大きい目標を立ち上げて、みんなをそこに向かせる、そういう役割がしたいです。」
「小さいときは秘密基地つくってみんなを呼んだように。」
「中学生の文化祭で企画を考えたように。」
「それで、いろんなひとに喜んでもらいたいと思います」

「もっというと、異質なひとをもっと動かせるようになりたいです。」
「今まで、ぬるま湯にいたと思います。」
「一緒にいて居心地がよいと思える人たちと、中高すごしてきました。」
「そうでない人たちを動かせるようになりたいです。」
「そういう人と対等に話せ、萎縮せず、適切なコミュニケーションがとれ、動かせるようになりたいです。」
「居心地のよいひとと馬鹿やるのは楽しいです。」
「でも、そうじゃないひとを巻き込んで、秘密基地をつくりたいんです」
「それで人を喜ばせたいんです」
「仲良しだけでやったら、たくさんの人を動かせないです。」
「だから、異質な人を動かせるようになりたいです」

ひとしきり彼の話を聞いたあと、僕は自分の経験を伝えた。

・僕にとって異質な相手はフィリピン人
・レアジョブを始める前に、フィリピン人の知り合いとか一切いなかった
・そんな中でも、なんとか組織をつくり、講師を3000人抱えるまでやってこれた。
・その経験からすると、異質な人を動かすためには、スティーブ・ジョブズのプレゼンのようなパフォーマンスは一切いらない
・七つの習慣とロジックが大事。
・例えば、「理解してから理解される」 文化の違う相手が自分を傷つけたとき、怒るのでもなく悲しむのではなく、なぜそうしたのか知りたくなることが大事。
・ロジックは大事。言語が違っても、カルチャーが違っても、ロジックがあれば理解し合える。
・ロジックと7つの習慣という地味なことを積み重ねて、その結果、「この人は自分のためを考えている」と異質な人に思ってもらえるかどうか。 
・思ってもらえたら、うまくいく。 パフォーマンス上手な人に、短期ではまけても、中長期で勝てるはず。

彼はこう言ってくれた。
「僕にはパフォーマンスは無理だと思ってたんですよね。」
「だから安心しました」

明日、僕の大学時代のバイブル、ロバートハリスの「エグザイルス 」を彼に贈ろうと思う。
僕がベンチャーでのインターン後、海外に目覚めるきっかけとなった本だ。

異質な人に会いたいなら、その最良の手段は海外に行くことだと思う。
社会人になると長期は難しいんで (起業するともっと難しいんで)、
学生の間にぜひ1年とか行ってきてほしいと思う。

Black eyed peas Live in Manila に行ってきました。

Black eyed peas Live in Manila に行ってきました。
Black eyed peas というのは、グラミー賞を3度受賞している、アメリカのヒップホップ・ミクスチャーグループ。

とても楽しかった。 


日本人1000万人が英語を話す、その日が来るまでをたんたんとつづる日記-blackeyedpeasinManila


Dirty bit ではじまり、I gotta feeling で終わる2時間半。
会場の盛り上がりがイマイチな気もしたが、僕は十分楽しかった。

とくに、途中では、フィリピン出身のメンバーApple の、幼少期の思い出の回想もあり、うるっときた。

Appleは、兄弟を2人亡くしてしまうような貧しさで、フィリピンで幼少期を過ごした。
そして今は、世界的なスター。
今日は彼の凱旋公演でもある。
アメリカンドリームを体現した存在で、誇らしく思った。

松下幸之助翁の、人を育てるレベル

先月のブログで、こう引用した。

> 自分の中でどんだけ確信めいて「こうだ」と思っていてもできる限り
> 自分から気付いたようにもっていくコミュニケーションがとても重要。


で、僕は松下幸之助さんが大好きなんだけれど、
江口 克彦著「猿は猿、魚は魚、人は人 松下幸之助が私につぶやいた30の言葉 」という本を読んだ。



その中に、次のようにあった。

ちょっと長くなるが、引用する。


・・・・・・・・・・・・・・
 松下さんは本当に根気を持って、持続的に、直接、人を育てた。
 松下さんは、私のことも非常に根気よく育ててくれた。その一例として、 ハーマン・カ
ーンさんの話がある。私が松下さんの傍で仕事をするようになって、四、五年ほど経った
頃だと記憶している。いつものように報告をしていると、松下さんが突然こう言い出し
た。
「君、今度、 ハーマン・カーンさんという人が来るんや。どういう人か、知っとるか」
 当時の私は、松下さんからの質問になかなか即答できず、あやふやな答えに終始し、後
で調べて改めて報告するのが常だった。しかし、このときは即答し、しかも簡潔にして正
確な返事をすることができた。
「ハーマン・カーンさんという先生は、21世紀は日本の世紀だ』と言っているアメリ力の
未来学者で、ハドソン研究所の所長です」
とすらすら答えると、松下さんは、
「そうか、そういう先生か」
と言った。翌日、松下さんは再び、まったく同じ質問をしてきた。私は「うん?」と思
い、昨日の私の返事を忘れたのかなといぶかりつつ、前日とまったく同じ答えを繰り返し
た。これでわかってくれただろう。ところが、さらにその翌日、松下さんは、
「君、今度、 ハーマン・カーンさんという人が来るんや。どういう人か、知っとるか」
と尋ねてきた。正直なところ、若かった私は頭に来た。
 この人はなぜ毎日毎日、三日連続で同じ質問をするのだ? 「人の使い方がうまい」と
か「人の育て方がうまい」などと世間では言われているが、そんなことはないじゃない
か。人の話をろくに覚えていない。いくら相手が部下とはいえ、何たることだ……。内心
そう憤慨しつつ、私は三度目の同じ答えを口にした。
「ハーマン・カーンさんという先生は、21世紀は日本の世紀だ』と言っているアメリ
カの未来学者で、 ハドソン研究所の所長です」
「そうか、そういう先生か」
 その日の午後、私は憮然とした面持ちで過ごしていた。
 しかし、その日の夕方、帰宅する松下さんの車を見送りながら、 ハッと私の心に浮かん
だことがあった。待てよ、三回も尋ねられるということは、「もっと他の情報がないか、
他の話題はないか」と確認されているのではないか。そうでなくとも、もし明日も同じこ
とを聞かれ、また四度目の同じ答えを返すとなると、それは何とも能のないことだ――。
そう思った私は、すぐに書店に行き、 ハーマン・カーンさんの著書『紀元二〇〇〇年』を
購入した。
 『紀元二〇〇〇年』の日本語訳があったのには救われたが、実に六四四頁という分厚い一
冊であった。明日も松下さんと会うが、それまでにこの本の中身を頭に入れられるのか。
今から読んで間に合うのか。そう遼巡しながらも、「えい、ままよ。やれるだけやってみ
よう」と決意して会社に戻り、机に向かって夜中の二時ごろまで読み、要旨を記録用紙三
枚にまとめた。
 それから帰宅しようと思ったが、電車もバスもない。会社で朝まで過ごそうと、応接間
の長椅子に横になった。横になったものの、なかなか眠れない。そこで再び起き上がった
とき、「そうだ、内容をカセットテープに吹き込んでやろう」というアイデアが浮かび、
カセットレコーダーを持ち出して、明け方の四時頃までかかって吹き込んだ。
その後、さすがに少し眠ったが、六時半頃には目が覚めた。起きた途端、「どうか今日
もまた松下さんから『ハーマン・カーンさんはどういう人か』と聞かれたい」と思ったこ
とを記憶している。
 昼の食事時になって、やはり松下さんは、四日連続で同じことを尋ねてきた。私は徹夜
の努力が報われた思いで、心躍らせながら新たな報告をした。松下さんは熱心に聞いてく
れただけでなく、途中で質問したり、頷いたりし、最後にはニコリと笑って「よくわかっ
た」と言ってくれた。嬉しかった。
 さらに私は松下さんにカセットテープを渡した。すると翌朝、出社してきた松下さん
は、私に柔和な笑顔を向けて言った。
「君、なかなかいい声しとるなあ」
 私は感激しつつ、「この一言はオレの声だけを誉めているのではない」と直感した。「よ
く気がついたな」「よく調べたな」「内容も十分だった」「それをよくテープに吹き込んで
くれた」……そういう意味合いも含んだ一言だと理解した私は、直立不動のまま、「この
人のためなら」と心の中で感激を抑えきれなかった。
 ここで強調したいのは、松下幸之助さんが、私が自ら気づくまで、根気よく四回も同じ
質問を繰り返していることである。
 松下さんが「人を育てる」というとき、その育て方の特徴は「根気」に尽きる。教える
教育、指示する教育ではなく、「気づかせる教育」「気づきを呼び起こす人材育成」で
あった。この、た。この、根気を持って気づかせる育成法こそ、経営成功の大きな秘訣
の一つなのである。

・・・・・・・・・・・・・・



すごい! と鳥肌がたった。
人を育てるとは、このレベルまでの忍耐力を必要とするのか! と思った。

僕も、きちんとできるようになりたい。




英語を伸ばすと、東京にいながら福岡の発展に貢献できる

今度入社する予定のスタッフと話していた。

彼は福岡出身。
福岡の発展に貢献したいんですよ、と熱く語る彼。
じゃあなんでうちなの? と聞くと、
「ひとびとの英語力を伸ばすと、東京にいながら福岡の発展に貢献できるんですよ。」
 

もっと掘り下げて聞くと、次のようなことだった。

・地理的に福岡は、韓国、中国、台湾など、アジア諸国から人を呼べる場所にある
・でも十分に呼べていない
・原因の一つは、外国人に親切な街にしきれていないから。
・そしてその最大の理由はことば。 英語ができるかどうか
・九州の人々の英語力を高めることが、彼が生まれ育った福岡の発展につながる
・面白い仕事は東京に多いが、東京にいながらにして福岡の発展につながることをするのは難しい
・レアジョブは、日本人1000万人が英語を話せるようにする、というビジョンを掲げている。
・レアジョブに入れば両方できると思った

たしかになー と僕は同意した。
グローバル化が進み、道州制が進む と、
各都市が世界の中でどれくらい魅力的かが問われる。
そのなかで、英語はとても大事だ。

フィリピンの発展だけじゃなくて、福岡の発展にもつながる仕事をしているんだなと思った。

公式facebookページと公式Twitterアカウント

レアジョブでは、公式facebookページ公式Twitterアカウント を開設しました。

このような情報を載せております。



日本人1000万人が英語を話せるようにする日記-fb2





日本人1000万人が英語を話せるようにする日記-fb1



若い担当者が試行錯誤しながらやっておりますので、
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