超自己満足的自己表現 -29ページ目

05月04日のココロ日記(BlogPet)

むーちゃんめぇ…

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪

ミラー! (617)休養

 美里の緊急手術は無事終わる。一晩泊って退院だけど、やはり自宅療養しなければ。次回、妊娠した時を考えるとね、やはり十分体を回復させておかないと。



もちろん美里から事務所のほうへ連絡を入れ、半月間自宅療養の許可を得る。仕事があまりない時期でよかったかもしれない。月末には新しい仕事が入っていたみたいだし。それまでに完全に体を治しておかないと。


「ごめんなさい…。」


といつまでも謝る美里。仕方ないことだと僕は彼女をなだめる。子供たちには、ママは疲れが出てしまったからと、ゆっくりさせてあげてねと言い聞かす。



明後日にはあっちへ戻らないといけない。だから美里のお母さんが泊りに来てくれることになったから助かる。子供の事だけでも大変だもんな。僕が東京にいる間はいいとして、帰ってしまったら…と思うとねえ。隣に住む遠藤家は忙しいし…。頼めないわけないけどちょっとと思う。


 数日間、家事育児は美里のお母さんに任せて、ずっと美里のそばにいた。やっと精神的に落ち着いてきたみたいで、食欲が出て起き上がることができるようになった。家事をしようとする美里を引き留めて僕は帰り支度をする。


「美里、手術後の検診が終わってから、先生から許可を得てからにして…。何の為に美里のお母さんが来てくれたと思うの?キチンと美里が復帰できるようにだよ。わかる?」
「うん…。」
「今日の最終便で帰るけど、できる限り電話するから、きちんと療養する。わかった?」
「わかった…。」


僕は美里の横へ腰かけて、頭をなでる。


「今回は残念な結果だったけど、美里はまだ若いんだから、大丈夫だよ。次の子が元気に生まれるように…ゆっくりして…ね?」


と僕は微笑む。そして横になっている美里の額へキスをする。

ミラー! (616)隠し事

 自宅へ戻ってきた。着替える元気もなく、ソファーに体を預ける美里。ずっと下腹部に手を添えている。僕はスーツを脱いで、カバンから聴診器を取り出す。


「おなかが痛いようだね?美里。おなかの調子が悪かった?」


美里は首を振る。とりあえず診察してみる。風邪でもなさそうだが・・・。


「美里、何か隠してない?言わないとわからないこともあるんだ。僕のこと信用していないの?小児科医でも診ることくらいできるから。」


美里は頷く。そして重い口をあける。


「あのね…。まだ病院へいっていないんだけど…。妊娠しているの…。」
「に、妊娠???いつわかったの?」
「半月前…検査薬で…。」
「なんで今まで黙っていたの?おなか痛いんだろ?出血してない?今まで無理してたんじゃないの?」


美里を責めているわけじゃないけど、きつく言ってしまったので、黙り込んでしまう美里。


「とりあえず、産婦人科へ行こう。幸い近所に大きな専門病院がある。今なら診察間に合うから行こう!ここではわからないから。」


と、僕は棚から保険証を取り出して、美里の手を引いて家を出る。ぽろぽろ涙を流す美里。医者なのに美里の妊娠に気付かない僕も情けない。気付いていたらいろいろと無理させていないのに…。


 病院へ着き、手続きをする。この病院は有名な人気病院だから予約でいっぱい。とりあえず事情を説明してすぐに診てもらうようにする。待っている途中も周りからひそひそ聞こえてくる。立花真里菜がいるんだもんな。旦那に付き添われて。それも泣いているし…。


「遠藤美里さん、どうぞ…。」


と呼ばれる。


「ついていかなくてもいい?」
「いい、ここで待っていて。」


と、ゆっくりおなかをさえながら立ち上がる美里。そして10分後くらいに診察室へ呼ばれる。


「旦那さまですか?」
「ええ。はっきり言っていただいてもかまいません。僕は医師ですから。」
「では、はっきり言わせていただきます。」


と、担当医は、専門用語を交えながら淡々と話しだす。簡単に言うと流産。手術が必要で、即入院。超音波の画像を見ると、週数の割には小さいから、途中で成長が止まったのだろう。



美里は流産という言葉に涙を流す。そりゃそうだろ?せっかく授かったのに流産だから…。



僕は承諾書にサイン。そして入院手続きをする。これは仕方がないこと。美里が悪いわけじゃない。病院から優希の携帯へ連絡を入れる。優希は午前中で終わりだから、学校の隣にある幼稚園へ二人を迎えに行ってくれることになった。お母さんも忙しいのに美里の入院用の着替えを持ってきてくれるし…。僕はできる限り美里のそばにいることにした。


「ごめんなさい…ごめんなさい…。」


と謝る美里に、僕は何も言えなかった。ただ美里の手を握って微笑むくらいしか…。

ミラー! (615)妻の異変

 長男優希が新学期を迎え、小学5年生になった。朝早くから制服へ着替え、ランドセルを背負い、定期券の入ったパスケースを握りしめて家を出た。



幼稚園も今日から始まる。未来は転入だから、夫婦そろって早めに行っておかないとね。


 朝からちょっと体調が悪そうな美里。でもきちんとこの僕の為にスーツをコーデイネイトしてくれた。ネクタイの色と美里のワンピースをおしゃれに合わせている。


「大丈夫?美里。なんか顔色悪いけど…。僕は君の夫だし、医者だから隠さないでよ。」
「うん、大丈夫。緊張かな?ちょっとおなかが痛いの。大丈夫よこれくらい。どうってことないから。」


と、顔色が悪いけれど微笑む美里。未来も心配そうに美里の手を握っている。


 幼稚園へ到着。未来と美紅のクラスは離れてしまったけれど、嬉しそうに教室へはいっていく二人。それを見届け、園長先生へあいさつ。未来の書類と診断書を手渡し、いろいろ話をする。



見た目はわからないんだけど、やはり美里の調子がおもわしくない。時折下腹部を気にしている様子。早めに話を切り上げ、近くにある実父の会社駐車場に停めた車へ乗り込む。


「本当に大丈夫?」
「大丈夫よ。家へ帰って横になったら大丈夫だと思うから。」
「じゃあ、幼稚園へのお迎えはこの僕が行くから、ゆっくり休んでいたらいいよ。」
「ありがとう春希さん…。」


と言って助手席でため息をつく。



本当に心配。なんか尋常でないように思える。自宅には医療関係のものは聴診器とかそういうたぐいのもにしかないけど、少しなら診てやれるかな?病院へ行くべきか休めば治るかぐらい判断できるよね?これでも僕は医者なんだから。

ミラー! (614)休暇


 無事にイベントが終わり、やっと自宅へ帰宅。家族と温かい食事が待ち構えていた。ほんと家族っていいな…単身赴任はいやだなあ…と思いながらシャワーを浴び、着替えを済ませる。



明日からの帰省準備は、美里がすべて整えてくれていたみたいで、昨日のうちに大きな子供たちの荷物や美里の荷物などは宅配便で送ってあるらしく、明日持ち歩く荷物はシンプルにまとめてあった。さすが仕事であっち行ったりこっち行ったりしているだけはある。荷物をまとめるのがうまいのだ。


 次の日、お昼前の空いた時間に取った飛行機で、のんびり東京へ戻ってきた。隣の遠藤家へあいさつへ行き、美里の実家へもあいさつに行く。美里のとてもうれしそうな表情を見たご両親は安堵の表情で、にこやかに話していた。もちろん未来も大好きなおじいちゃんおばあちゃんにかわいがられている。血のつながりのない、優希や美紅も大切に扱ってくれて助かる。夜は、優希と未来が、前田のおじいちゃんおばあちゃんの家へ行き、進級祝いをしてもらえるみたいだ。


 家へ戻るともう新学期準備で大変。未来の幼稚園準備品がたくさんあり、名前を書いたり書類の再点検をしたりであたふた。未来は未来で、届けられた新しい制服を眺めてうれしそうに眠った。はじめて集団生活に入る未来。念願の幼稚園だもんな。ずっと母親の都合で、幼稚園も保育所も行かなかった未来。うれしくてたまらないんだろうね。


 子供たちを部屋へ寝かせ、やっと二人の時間。向こうの家は家が狭くてみんな同じ部屋で寝ていた。今晩は違う。夫婦二人の部屋で同じベッドで美里と眠る。なんだかんだいって新婚だから、夜の生活があると思いきや…。


「春希さん、ごめんね…。ちょっとダメ…。」


と拒否されてしまう。


「どうしたの?アレ?それとも疲れて体調悪い?」
「ん?ちょっと疲れているのかな…。その気になれなくて…ごめんね。」


と言ってこの僕の唇にちょっとキス。まあ美里がその気じゃないんだったらしょうがない。


「その気になったら言って。でも僕に気を遣わなくてもかまわないから。」
「ありがとう…春希さん。本当にごめんなさい。」


と、この僕の胸の中で眠る美里。



そういや本当にこのひと月でバタバタして大変だったと思うよ。やっと東京へ戻ってきたから疲れが出たんだろうと、その時思った。

ミラー! (613)ご指名

 午後はイベント中心。なんちゃら試乗とかそういうの。試乗ができないというか見るだけの衛生隊機材展示は、本当に暇そのもの。これなら救護所のほうがいいな。それかお店。衛生隊は、毎年おもちゃくじなので、子供たちでいっぱいなのだ。そっちもいいけど、やったことない。基本的に曹士がするもんだから。


 暖かい日差しについウトウトしそうになりながら、機材の前に立っている僕。時折、子連れに記念撮影を頼まれるくらいでほんと和やかだ。例の件を忘れそうなくらい…。


「中隊長、そろそろ時間です。」


時計を見ると撤収時間が近づく。


「そうだね・・・そろそろ。」


早く片付けて帰りたい。明日から東京へ戻るんだし…。


「中隊長、今週いっぱいまで休暇なんですよね?」
「んん…。金曜日は民間があるからこっちには戻っているけどね…。幹部付准尉に任せてあるから。」
「いいなあ…。家族水入らずなんですよね?奥さまは立花真里菜さんやし…。」
「家じゃ普通の女性だよ。家事もきちんとしてくれる…。ふつうふつう。全然女優オーラがないの知っているだろ?この前のBBQで。」
「ほんとマジ驚きました。あんなに素敵な女性だって…うらやましいです。」


こういうところで惚気話はやめたいけどね…。結婚してひと月経ち、落ち着いたんだよね…。


 腕時計とにらめっこしているとき、部下に呼ばれる。


「中隊長、ご指名ですよ。」


え?っと思って部下のほうを見ると、女の子たち集団。ああ、来たよと思いながら、苦笑。


「遠藤さん!覚えてますか?防災展で…。」
「あ、覚えてますよ…。」


本当にうれしそうに僕の顔を見つめる女の子たち。かっこいいかっこいいと、キャーキャー言ってるんだよね。そんなにいい男か?僕って…。制服着るとかっこよく見えるもんだ。


「約束覚えてますか?」
「約束?」
「メルアド交換してください!って。本当ならお付き合いをお願いしたいんですけどね…。」
「あ、すみません…。ひと月前に結婚して…。今は妻子持ちですから…。」
「メルアドだけでもいいですか?もし会えたら交換すると…。」


そういやその場しのぎでいったね…。仕方がない…約束したんだもんな…。



赤外線通信でメルアドのみ交換する。もちろんこちらから送らないし、送られても返事の保証はないとね。すると、女の子のお連れさんが思い出したように…


「あ!この人って!確か…。」
「何、なに?」
「確か立花真里菜の…!」


はいはいそうです…。立花真里菜の旦那ですとも。違う意味で騒がしくなる女性集団。妻は女性たちの憧れだもんな。ファンが多いのも事実。


「あの…そろそろよろしいですか?撤収時間が来たので…。」


と、収拾がつかなくなった現状を何とかしようと声をかける。とりあえず写真を一緒に撮って帰ってもらった。



まあ、この子からこれから何度もメールが入ることになるんだけど、浮気なんて考えもせず、適当に返事できるときに返事していたのは言うまでもないけどね…。

本棚を覗くと (今日のテーマ)

BlogPet 今日のテーマ 本棚を覗くと
「小説と実用書とマンガ、どれが一番多いですか?」
今のところ、実用書?かな。
ほとんどイラストや漫画、小説の資料です♪


つうことは…自衛隊関連ばかりってことで^^;

ミラー! (612)桜まつり

 桜祭り…。朝からたくさんの人たちが、駐屯地の一般開放に訪れる。一般開放は年に3回…。桜祭り、納涼祭と秋の創立記念祭。僕の仕事は昼過ぎからだから、それまで家族と過ごす。



昨日と違って、隊員たちのお店が出ていたり、いろんなイベントをしていたり。車両に乗せてもらえるところもある。もちろん一通り、子供たちと回った。優希や美紅は見慣れているけれど、未来は初めてなんだよね。去年の記念祭は呼ばなかったし…。


「パパ!未来ね、パパみたいに自衛隊さんになりたいな!」


と、今までお医者さんになりたいと言っていた未来。このころの子供って色々夢が変わって面白い。そういや優希もこれくらいの時に、いろいろ変ったものだ。


 衛生車両展示前で、足を止める美里。


「春希さんって、この車両担当なんでしょ?」
「うん、この移動病院型の最新車両がね…。医官だけど、雑用も多いよ。」
「でも、この車両を使って災害地とか海外支援とか行くんでしょ?一昨年もこの車両で海外へ行ってきたし…すごいと思うわ。」
「そうかな…。早く使いこなせる隊員を養成して、病院一本になりたいんだけどね…。」


と苦笑…。



ほんとそうだよ。僕の中隊内では、医官というよりも技官に近いかもしれない。医務室にいることって少ないし…。デスクワークメインだしね。あと1年か2年…。我慢すればいいのかな…。もちろん使える隊員も増えてきた。でもまだまだで…。


 時間はあっという間に過ぎる。家族との時間は午前中まで。午後から僕は仕事だし、家族は東京へ帰る準備をしないといけないから、門まで見送る。


「じゃあ、パパ、早く帰ってきてね!」


と子供たちが手を振ってくれた。そう、明日は代休とか有給を利用して、東京へ帰るんだよね。姿が見えなくなるまで見送った後、僕は午後からの展示用に作業服へ着替える。配給された弁当を急いで食べ、更衣室で迷彩服へ。迷彩服に部隊帽をかぶって衛生機材の展示ブースへ。そして隊員と交代。


「中隊長…。中隊長を探している女性がいたんですが…。」
「え?誰?」
「なんか2月の防災展で知り合ったとか…?」


なんかいやな予感がする。そういやなんかしつこく迫られて約束した記憶がある…。桜祭りで会えたら、携帯メールアドレス交換しますって…。もちろん押し切られてだけど…。


「で、午後からここにいるって言ったか?」
「え?言いましたが…。お知り合いのようでしたので…。」


あちゃー…。どうしよう…まずいよね…。マジで…。逃げたい気分…。

ミラー! (611)家族

 僕の新妻のお披露目を兼ねた衛生隊のBBQも無事終わり、春休みも残り少なくなった。あと残った行事と言えば、駐屯地の桜祭りだ。毎年駐屯地にある桜並木、そして駐屯地の一部を開放して桜祭りを楽しんでもらうというもの。運悪く、この日は仕事になってしまった。展示物担当…。それも例の衛生隊機材ね。ま、一応午後からということで…。午前中は家族サービス。


 前日は、夕方以降のみの開放。それも桜並木のみね。前日の土曜日まで僕は準備などで仕事があったから、駐屯地にいた。で、仕事が終わった後、厚生センター前で待ち合わせして、家族で桜見物をして帰宅するという計画。



ささっと仕事を終え、待ち合わせの17時。衛生隊の建物から急いで厚生センターへ。いたいた。僕の家族。未来と美紅が僕に気付き、手を振っている。


「パパ!こっちこっち!」


ってね。


「ごめんごめん…。遅れた?」
「ううん…。今来たところだから。」


と微笑む美里。ちびたちはまるでこの僕を取り合うように、飛びついてくる。


「美紅、パパと手を繋ぐんだもん。」
「未来もパパと!」


と、どちらがこの僕と手をつなぐか喧嘩を始めた。かばんはリュックスタイルでよかったよ…。


「未来、美紅。片手ずつならいいよね?」
「うん!」


と、美紅は左、未来は右の手をつなぐ。


「ほんと相変わらず、未来と美紅は…。」


と苦笑する優希。優希も本当は手を繋ぎたかった?ちょっとすねている優希に、美里は声をかける。


「優君、ママと手をつなぐ?」


優希は顔をぱあっと赤くして一応断った。


 家族そろってきれいに咲いている桜を眺める。この桜祭りが終わり、一時僕は数日だけど東京へ戻る。美紅と未来の幼稚園へ行く為なんだけどね。未来の初登園だしね…行ってやらないと。これまでほんと仕事で忙しいという理由で、優奈にまかせっきりで、あまり行事に行ってやれなかった。これからもそうだろうし…できるだけ行けるときは行ってやらないとね…。

ミラー! (610)大食い優くん?

 和気あいあいとしているうちに、現地へ到着。もちろん部下たちもみんな揃っていて、一緒に荷物を運んだりしている。衛生隊で出席できるものが出席している。結構な数に驚く。



子供だけでも、何人いるんだろう。10人以上いると思う。小さい子からそうだな・・・小学校高学年くらいまで。男中心になって準備を進める。女性たちは女性たちで、子供の面倒をみる人や、セッテイングする人それぞれ。ちょっと人見知りをする未来を、美紅が引っ張って子供たちの輪の中へ入っていく。



美紅は未来と一緒にいるようになってずいぶん明るくなった。まるで双子のように仲がいい。まあ、半分同じ血が流れているんだけどね…。



優希はというと、ま、ねえ…。小さい子のほうが多いから、日陰に座って本を読んでいる。10歳を過ぎてほんとおとなしくなった。以前のように食べなくなったし。以前はほんと底なしっていうくらい食べてた。幼稚園時代も大食い優君と言われてたくらいね。


 BQが焼けだして、隊員たちも家族たちも楽しげに食べながら話している。案の定、美里の周りには人だかり。人気女優といっても、ほんと普通の奥さんって感じの美里。周りにもなじんで楽しそうだ。本当にこういう場は初めてなのかな?一人さみしそうに食べている優希の横に僕は座り、一緒に食べる。



部下たちがいろいろしてくれるから楽だ。すると背格好が優希ぐらいの女の子が、優希のところへやってくる。手には大盛りの食べ物…。もしかして?


「優希君でしょ?遠藤優希君。」
「うん…何?」
「大食い優君。覚えてる?歩。佐藤歩。」


ああやっぱり歩ちゃんだ。思った通り、すごくかわいくなっている。お母さん、とてもきれいな人だから。歩ちゃんは、手に持っている食べ物を優希に渡す。優希はちょっと嫌そう。


「あ、ありがとう…でも僕、こんなに食べられないよ。」
「え?だって大食い優君でしょ?幼稚園の時すごく大きなお弁当箱だったじゃない?それでも足りなくていつもかなしそうに…。」
「もう昔の僕じゃないよ。もう普通。」
「え~~~じゃ、優君。歩と一緒に食べようよ。いいよね?」
「ま、いいけど…。」


と、歩ちゃんは優希の横へ座って、優希の皿へ半分入れた後、にこにこしながら食べ出した。優希は恥ずかしそうに下を向いて食べている。


「優君はこっちに住むの?」
「ううん。これからもずっと東京だと思う。東京の中学受験するし…。」
「やっぱり頭いいんだね。歩はあまり頭良くないし。パパの転勤あるかもしれないから、公立だよ。いいなあ…東京。デイズニーランドとか行きたいな。まだいったことないんだ。」


ほんと優希は恥ずかしそうにしている。もしかして恋をしたとか?優希は親ばかかもしれないけど、顔はいいほうだと思うしね。二人はほんと1年間だったけど、一緒に通園もしたし、官舎の公園で遊んだ仲。当時からほんとかわいい子で、優奈が優希のお嫁さんがあんなかわいい子だったらねなんて冗談で言ってたくらい。ま、僕はそっと二人から離れた。邪魔でしょ?親が傍にいたらね。


 一流女優というのに、よく動き、よく話す美里。メンバーみんな初めはどう扱おうかと悩んでいたみたいだけど、女優というのを忘れて、仲良く楽しんでいる。関係者以外の人にもいろいろ声をかけられたみたいだけど、朗らかに答える美里。なんだか安心した。これならなんだか大丈夫な気がした。最後は、同僚の子供たちと一緒にボール遊びをしたりして、今までない表情を見ることができた。


「美里、大丈夫?疲れてない?」
「ん?大丈夫。女優のお仕事に比べたら、楽しいし、私子供が好きだから。」


と微笑みながら、車へ荷物を運ぶ。車の後部座席には未来と美紅が疲れたのか眠っている。ほんと楽しい春休みの思い出ができたと思う。帰り道、部下の女の子たちも、美里も眠っている。起きているのは僕と優希。優希といろいろ楽しかったことを話す。


「あのね、パパ。ゴールデンウイークに歩ちゃん東京へ呼んでもいい?」
「え?」
「歩ちゃんとデイズニーランドへ行こうと思うんだ。歩ちゃんは行ったことないって言うから。」
「ゴールデンウイークはどこもいっぱいだよ。それでもいいの?」
「だって、夏休みまで待てないよね。歩ちゃんのママもいいっていったし。新幹線か飛行機で一人で行くって。」


と言って優希は嬉しそうな表情をする。もしかして恋をしたとか?まあしてもおかしくないしね。もうお年頃だし。いつの間にか優希もすやすやと眠っている。本当にうれしそうな表情で…。