ミラー! (611)家族
僕の新妻のお披露目を兼ねた衛生隊のBBQも無事終わり、春休みも残り少なくなった。あと残った行事と言えば、駐屯地の桜祭りだ。毎年駐屯地にある桜並木、そして駐屯地の一部を開放して桜祭りを楽しんでもらうというもの。運悪く、この日は仕事になってしまった。展示物担当…。それも例の衛生隊機材ね。ま、一応午後からということで…。午前中は家族サービス。
前日は、夕方以降のみの開放。それも桜並木のみね。前日の土曜日まで僕は準備などで仕事があったから、駐屯地にいた。で、仕事が終わった後、厚生センター前で待ち合わせして、家族で桜見物をして帰宅するという計画。
ささっと仕事を終え、待ち合わせの17時。衛生隊の建物から急いで厚生センターへ。いたいた。僕の家族。未来と美紅が僕に気付き、手を振っている。
「パパ!こっちこっち!」
ってね。
「ごめんごめん…。遅れた?」
「ううん…。今来たところだから。」
と微笑む美里。ちびたちはまるでこの僕を取り合うように、飛びついてくる。
「美紅、パパと手を繋ぐんだもん。」
「未来もパパと!」
と、どちらがこの僕と手をつなぐか喧嘩を始めた。かばんはリュックスタイルでよかったよ…。
「未来、美紅。片手ずつならいいよね?」
「うん!」
と、美紅は左、未来は右の手をつなぐ。
「ほんと相変わらず、未来と美紅は…。」
と苦笑する優希。優希も本当は手を繋ぎたかった?ちょっとすねている優希に、美里は声をかける。
「優君、ママと手をつなぐ?」
優希は顔をぱあっと赤くして一応断った。
家族そろってきれいに咲いている桜を眺める。この桜祭りが終わり、一時僕は数日だけど東京へ戻る。美紅と未来の幼稚園へ行く為なんだけどね。未来の初登園だしね…行ってやらないと。これまでほんと仕事で忙しいという理由で、優奈にまかせっきりで、あまり行事に行ってやれなかった。これからもそうだろうし…できるだけ行けるときは行ってやらないとね…。