ミラー! (610)大食い優くん? | 超自己満足的自己表現

ミラー! (610)大食い優くん?

 和気あいあいとしているうちに、現地へ到着。もちろん部下たちもみんな揃っていて、一緒に荷物を運んだりしている。衛生隊で出席できるものが出席している。結構な数に驚く。



子供だけでも、何人いるんだろう。10人以上いると思う。小さい子からそうだな・・・小学校高学年くらいまで。男中心になって準備を進める。女性たちは女性たちで、子供の面倒をみる人や、セッテイングする人それぞれ。ちょっと人見知りをする未来を、美紅が引っ張って子供たちの輪の中へ入っていく。



美紅は未来と一緒にいるようになってずいぶん明るくなった。まるで双子のように仲がいい。まあ、半分同じ血が流れているんだけどね…。



優希はというと、ま、ねえ…。小さい子のほうが多いから、日陰に座って本を読んでいる。10歳を過ぎてほんとおとなしくなった。以前のように食べなくなったし。以前はほんと底なしっていうくらい食べてた。幼稚園時代も大食い優君と言われてたくらいね。


 BQが焼けだして、隊員たちも家族たちも楽しげに食べながら話している。案の定、美里の周りには人だかり。人気女優といっても、ほんと普通の奥さんって感じの美里。周りにもなじんで楽しそうだ。本当にこういう場は初めてなのかな?一人さみしそうに食べている優希の横に僕は座り、一緒に食べる。



部下たちがいろいろしてくれるから楽だ。すると背格好が優希ぐらいの女の子が、優希のところへやってくる。手には大盛りの食べ物…。もしかして?


「優希君でしょ?遠藤優希君。」
「うん…何?」
「大食い優君。覚えてる?歩。佐藤歩。」


ああやっぱり歩ちゃんだ。思った通り、すごくかわいくなっている。お母さん、とてもきれいな人だから。歩ちゃんは、手に持っている食べ物を優希に渡す。優希はちょっと嫌そう。


「あ、ありがとう…でも僕、こんなに食べられないよ。」
「え?だって大食い優君でしょ?幼稚園の時すごく大きなお弁当箱だったじゃない?それでも足りなくていつもかなしそうに…。」
「もう昔の僕じゃないよ。もう普通。」
「え~~~じゃ、優君。歩と一緒に食べようよ。いいよね?」
「ま、いいけど…。」


と、歩ちゃんは優希の横へ座って、優希の皿へ半分入れた後、にこにこしながら食べ出した。優希は恥ずかしそうに下を向いて食べている。


「優君はこっちに住むの?」
「ううん。これからもずっと東京だと思う。東京の中学受験するし…。」
「やっぱり頭いいんだね。歩はあまり頭良くないし。パパの転勤あるかもしれないから、公立だよ。いいなあ…東京。デイズニーランドとか行きたいな。まだいったことないんだ。」


ほんと優希は恥ずかしそうにしている。もしかして恋をしたとか?優希は親ばかかもしれないけど、顔はいいほうだと思うしね。二人はほんと1年間だったけど、一緒に通園もしたし、官舎の公園で遊んだ仲。当時からほんとかわいい子で、優奈が優希のお嫁さんがあんなかわいい子だったらねなんて冗談で言ってたくらい。ま、僕はそっと二人から離れた。邪魔でしょ?親が傍にいたらね。


 一流女優というのに、よく動き、よく話す美里。メンバーみんな初めはどう扱おうかと悩んでいたみたいだけど、女優というのを忘れて、仲良く楽しんでいる。関係者以外の人にもいろいろ声をかけられたみたいだけど、朗らかに答える美里。なんだか安心した。これならなんだか大丈夫な気がした。最後は、同僚の子供たちと一緒にボール遊びをしたりして、今までない表情を見ることができた。


「美里、大丈夫?疲れてない?」
「ん?大丈夫。女優のお仕事に比べたら、楽しいし、私子供が好きだから。」


と微笑みながら、車へ荷物を運ぶ。車の後部座席には未来と美紅が疲れたのか眠っている。ほんと楽しい春休みの思い出ができたと思う。帰り道、部下の女の子たちも、美里も眠っている。起きているのは僕と優希。優希といろいろ楽しかったことを話す。


「あのね、パパ。ゴールデンウイークに歩ちゃん東京へ呼んでもいい?」
「え?」
「歩ちゃんとデイズニーランドへ行こうと思うんだ。歩ちゃんは行ったことないって言うから。」
「ゴールデンウイークはどこもいっぱいだよ。それでもいいの?」
「だって、夏休みまで待てないよね。歩ちゃんのママもいいっていったし。新幹線か飛行機で一人で行くって。」


と言って優希は嬉しそうな表情をする。もしかして恋をしたとか?まあしてもおかしくないしね。もうお年頃だし。いつの間にか優希もすやすやと眠っている。本当にうれしそうな表情で…。