ミラー! (612)桜まつり | 超自己満足的自己表現

ミラー! (612)桜まつり

 桜祭り…。朝からたくさんの人たちが、駐屯地の一般開放に訪れる。一般開放は年に3回…。桜祭り、納涼祭と秋の創立記念祭。僕の仕事は昼過ぎからだから、それまで家族と過ごす。



昨日と違って、隊員たちのお店が出ていたり、いろんなイベントをしていたり。車両に乗せてもらえるところもある。もちろん一通り、子供たちと回った。優希や美紅は見慣れているけれど、未来は初めてなんだよね。去年の記念祭は呼ばなかったし…。


「パパ!未来ね、パパみたいに自衛隊さんになりたいな!」


と、今までお医者さんになりたいと言っていた未来。このころの子供って色々夢が変わって面白い。そういや優希もこれくらいの時に、いろいろ変ったものだ。


 衛生車両展示前で、足を止める美里。


「春希さんって、この車両担当なんでしょ?」
「うん、この移動病院型の最新車両がね…。医官だけど、雑用も多いよ。」
「でも、この車両を使って災害地とか海外支援とか行くんでしょ?一昨年もこの車両で海外へ行ってきたし…すごいと思うわ。」
「そうかな…。早く使いこなせる隊員を養成して、病院一本になりたいんだけどね…。」


と苦笑…。



ほんとそうだよ。僕の中隊内では、医官というよりも技官に近いかもしれない。医務室にいることって少ないし…。デスクワークメインだしね。あと1年か2年…。我慢すればいいのかな…。もちろん使える隊員も増えてきた。でもまだまだで…。


 時間はあっという間に過ぎる。家族との時間は午前中まで。午後から僕は仕事だし、家族は東京へ帰る準備をしないといけないから、門まで見送る。


「じゃあ、パパ、早く帰ってきてね!」


と子供たちが手を振ってくれた。そう、明日は代休とか有給を利用して、東京へ帰るんだよね。姿が見えなくなるまで見送った後、僕は午後からの展示用に作業服へ着替える。配給された弁当を急いで食べ、更衣室で迷彩服へ。迷彩服に部隊帽をかぶって衛生機材の展示ブースへ。そして隊員と交代。


「中隊長…。中隊長を探している女性がいたんですが…。」
「え?誰?」
「なんか2月の防災展で知り合ったとか…?」


なんかいやな予感がする。そういやなんかしつこく迫られて約束した記憶がある…。桜祭りで会えたら、携帯メールアドレス交換しますって…。もちろん押し切られてだけど…。


「で、午後からここにいるって言ったか?」
「え?言いましたが…。お知り合いのようでしたので…。」


あちゃー…。どうしよう…まずいよね…。マジで…。逃げたい気分…。