すごい音に、思わず振り向く。
社長が・・・
いきなり立体の袖をバリッと外したんだ。
そして・・・その後せきを切ったように
「あの・・・こういっちゃなんだけど、ちょっと派手すぎて私なら着て歩けません」
「コレクションの作品ならいいけど、普段着るにはね・・・」
事務の女の子と、パターンナー君はいいたい放題。
まぁね。
事務の女の子は、あたしより若くて、マルキューに卸すことを目指してるうちのブランドのターゲット年齢だけど、そしてそんな女の子がパターンナー君のような彼氏と付き合うのかもしれないけど
な、何であたしが素人にダメだしされなきゃいけないのよーーー!
社長もあたしとふたりの時は容赦ないくせに、どうして黙ってるのよ。
あたしに何か言うのが怖くなったから社員にいわせてる?
そんなの卑怯じゃない?
あたしはね。
あなたたちにダメだしされるために、今日一日がんばってたわけじゃないのよーーー!
あたしの集中力は21時の時点ですでに切れていた。
言いたいことは山ほどあるけど、どうしてこうなってるのか、異論を唱える元気もなかった。
それに・・・
また殴られたら怖いじゃない?
正直、あたしを殴った社長の真意は、あたしにはわからないままだった。
でも、くじけないの。
夜通しオフィスに詰めて一睡もしないでパリに発ったカリスマブランドのスタッフのドキュメンタリーを思い出していた。
そう、あたしには夢があるんだもの。
と、そのときだった・・・
(つづく)
あゆみです
「夢をかなえる」
明日も22時にお届けしまっす!
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読んでくれてありがとう、またね