涙がこぼれて止まらなかった。
そしてあたしは・・・
声をあげて泣いていた。
地震があった被災地で
医療活動をしたという看護婦さんのブログ・・・。
大変な状況なのに
彼女は
「みんなと家族になった。
絶対また来ます」
と書き
毎日朝の4時まで何も食べずに働いて
一週間お風呂に入っていないのに
目を覆いたくなるような状況ばかりなのに・・・
最後に彼女は
帰りたくないとまで書いていた。
ほんの数日前まであたしと同じ
都内でひとり暮らしの
どこにでもいる女の子。
でも
被災地にいった一週間で
彼女は女神のように
気高い人になっていた。
あたしはそれから
色んなブログを読んだ。
物資を集めて被災地にいった芸能人の話し。
すごいお金を寄付した社長さんの話し。
そして何よりも悲しいのは・・・
被災地の人のことを思って心を痛める気持ちよりも
自分が誰の役にも立ってない現実。
こんなときにひとりなことが一番悲しくて
泣いているという現実。
情けなすぎてこんなこと誰にも言えない。
会社は1週間休みになった。
会社がはじまるまで
あたしは誰にもあわなかった。
逢おうと言えば会えたのかもしれない。
だけど・・・
そばにいてと言える彼氏は・・・いない。
誰かに必要な人にもなれず
誰かを必要とすることもできない。
「あたしって・・・ひとりぼっちだ」
家族は電話をくれた。
だけど・・・
もしも住んでるところが被災地だったり
原発いよいよヤバかったら
さすがに実家に帰るけど
そこは居場所だとは思えなかった。
あの日・・・
フリーランスのデザイナーをしているあたしは
プレゼンを控えてうちにこもって仕事をしていた。
そう。
大々的にプレゼンをするために
自宅で仕事をしていたので
でかけなかったおかげで電車が止まって帰れなくなる
と言うことがなかったのだ。
この会社には数か月前に転職したばかりだった。
マルキューでよく買うブランド。
たまたま求人してることを知って
ほかの会社に行きながらこっそり受けた。
最近、雑誌にもよく載っているブランドだけど
実はまだ始まって間もなくて
ちょうど新しいブランドを構築していこうとしているタイミングだったと
入社してから知った。
ラッキーだった。
夢に少しだけ近づけた気がした。
夢?
今その言葉は
なんだかすごく非現実に思えた。
夢より何より
あたし・・・
このまま勤められるのだろうか?
言いしれぬ不安が押し寄せたそのとき
エリアメールの着信音が鳴った。
あたしはびくっとしてケータイを投げつける。
「こわいよ・・・もうひとりはやだ・・・」
(つづく)
あゆみです
今夜からお話を書いてみたいと思います。
「夢をかなえる」
ヒロインは都内でひとり暮らしの女性
夜22時に毎日お届けします。
お楽しみにね