「これ発注したの、君か?」
社長に呼ばれた。
パターンに入れた地の目の方向が間違っていたらしい。
100着分の発注ミスで大損害だといわれた。
バシン!
ほほの辺りが熱い。
思わず手をやる。
え?
あたし・・・ぶた・・・れた。社長に・・・。
触れることはおろかじっと見ただけでセクハラといわれるこの時代に!
これって・・・
泣いたっていいようなことじゃない?!
(親にもぶたれたことがないのに・・・)
ドラマでよくある、ベタなせりふが頭に浮かんだ。
(そうよ!最終みんなで確認したはずじゃない?あたしだけが悪いって言うの?)
「もう帰って!」
社長はあやまりもせずそういう。
「だって今はミスを修正しないといけないじゃないですか!」
あたしはぶたれても仕事のことを考えられるプロ根性を見せたつもりだった。
社長は無言だった。
結局、あたしはそのまま残ってパターンを修正し、再発注をかけ、裁断しなおせるものは裁断し、仕事のすべてが終わったのは終電前だった。
「ありがとう、すまなかった・・・」
帰り際、社長は謝ってくれた。
その言葉に、あたしはこう返したのだ。
「ミスはミスですから」
(つづく)
あゆみです
「夢をかなえる」
明日も22時にお届けしまっす!
最初から読みたい人はこちらを見てね。
夢をかなえる『プロローグ』
夢をかなえる『失業』
夢をかなえる『全滅』
夢をかなえる『希望』
夢をかなえる『満開』
夢をかなえる『決意』
読んでくれてありがとう、またね