★【書きおろしストーリー】夢をかなえる『終電』~ひとりでがんばるあなたへ | 藤沢あゆみオフィシャルブログ Powered by Ameba

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作家。著書29冊。相談30000件超。ananによる信頼できるカウンセラー20人の1人。NHKEテレハートネットTV出演。2023年4月「バズる!ハマる!売れる!集まる!WEB文章術 プロの仕掛け66」発売9日で増刷、7月18日枚方蔦屋書店で101人講演会開催

「ミスはミスですから値引き伝票切りますね」

社長が謝ってくれたのになぜこんなことをいってしまったのか自分でもわからない。

だけどこれ以上ここにいたら涙がこぼれそうだから、あたしは社長の顔を見ずに扉を閉めた。


あたしは、契約社員として雇われた。
いつも給料はこちらから請求書を起こして振り込まれることになっている。


最寄りの駅を降りてコンビニに駆け込んだ。

昼から何も食べていない。

もうコンビニしかあいてない時間、しかも震災以降品切れはすごくおにぎりはもちろん、サラダもパンも普通のお弁当もない。


賞味期限が昨日の鍋焼きうどんをレジに出してから気がついた。


「あ・・・昼も社長がとってくれたうどんの出前だった・・・」


その時ふと思い出した。

ファッションを志したことのあるなら知らない人はいない日本のカリスマデザイナーを追ったドキュメンタリー番組のワンシーン。

スタッフは朝までオフィスに詰め、一睡もしないで飛行機に飛び乗りパリコレの会場に向かう・・・。

どんなにきつくても・・・

彼らにはカリスマを支え、好きなブランドを作っている使命感がみなぎっていた。


そうよ、何のこれしき。

あたしには夢があるんだもの。
それは・・・

いつか、東京コレクションに出る夢。



あたし何をしてるんだろう。

この道はほんとうに東コレに続いているの?

コレクションどころか、目の前の社長一人を納得させられるデザインすらできず、ううん、パターン指示すら間違う始末。

社長が作ろうとしている世界観には共感してる。
好きなブランドの服を作る、夢のある仕事をしているはずなのに・・・


毎日毎日終電でうちにかえって大好きな服を着て出かける時間すらないじゃない!

(つづく)


あゆみですドキドキ

「夢をかなえる」

明日も22時にお届けしまっす!

最初から読みたい人はこちらを見てね。


夢をかなえる『プロローグ』

夢をかなえる『失業』

夢をかなえる『全滅』

夢をかなえる『希望』

夢をかなえる『満開』


夢をかなえる『決意』

夢をかなえる『暴力』

読んでくれてありがとう、またねドキドキ