8月31日、BS-TBS 《土曜デラックス》 枠で放映した 「バトルシップ」 を観ました。
‟戦いは海から始まる- エイリアンの侵略と各国の連合艦隊が広大な太平洋で激闘を繰り広げるアクションアドベンチャー”
実にキャッチ―なラテ欄。エイリアンものならボヤっと観られるかなと(いつもですがw)、お酒のお供にした次第です。
2012年5月公開の 「BATTLESHIP」。ボードゲームから題材を採ったとかで、たしかにミリタリーアクションというにはゲームっぽいというか凄惨な描写はないというか。
ナガタとアレックス(左) 襲来のエイリアン(右)
遠い宇宙の惑星と交信を試みるビーコンプロジェクトから数年、ハワイのオアフ島では世界14ヶ国が参加する環太平洋合同軍事演習が開催されていました。スポーツ大会など親睦を深めるイベントも込みです。
主役は駆逐艦の乗員アレックス・ホッパー大尉(テイラー・キッチュ)。中佐である兄ストーン(アレクサンダー・スカーシュゴード)の引きで海軍に入隊するも、直情的で粗野な態度、兄に迷惑をかけてばかりのトラブルメーカーでした。
そこへ降ってわいた異星人の襲来。謎のエネルギーフィールドでハワイ諸島がバリヤー封鎖され、外洋から孤立した演習の艦隊は、攻撃を受け大きな被害が出ます。
バリヤー内にいる米艦隊でもっとも階級が高いのは、大尉であるアレックス。図らずも指揮権を任されることになり、孤立無援のなか日本の海上自衛隊員ナガタらの協力を得て、エイリアンの侵略に対抗する手立てを練ります......
リアーナ演じるコーラ(左) リーアム・ニーソンは上官(右)
演習に参加していた海上自衛隊員ナガタ役に浅野忠信(エミー賞おめでとう)、アレックスの恋人サマンサの父で上官のシェーン提督にリーアム・ニーソン、駆逐艦を操縦するコーラ兵曹に歌手のリアーナ、という妙に豪華な演者です。
なのにあまりヒットはしなかったらしく、続編を作れば作れそうなエンディングにも関わらずパート2はなし。製作費2億ドル強に対しトータル配収3億ドル弱と、まあトントン。ワースト作品に贈られるラズベリー賞には、2012年度最多ノミネートだったそうです(笑)。
それでも映画としてはエイリアンの襲来とその蹂躙ぶり、それと戦うアレックス、ナガタ、コーラらのアクションは迫力があり、ストーリーもけっしてつまらない映画ではないです。クライマックスはなかなかのカタルシス。
しかしアレックスのキャラクターがぜんぜん受け付けられない。ただの性格の悪い乱暴者で、フラフラしていたのを咎めた兄が性根を叩き直すため海軍に入隊したいきさつだったのが、エイリアンが襲ってくるや急に勇気あるリーダーに豹変するという。
なにせ、部下のコーラには 「ドナルド・トランプとマイク・タイソンのミュータント」 と悪態をつかれるくらいなので、下の下の人間性がわかりましょう(トランプって2012年の時点でそうだったんですね)。こういう人物が軍人になると思うと、在日米軍の犯罪が絶えないのもわかる気がします。
襲来するエイリアンは、特殊メイクで真猿っぽい風貌ながら人類そっくり。目があって鼻口があって、手足があって直立歩行し、宇宙服を着て銃器を構えています。いくらなんでも遠い星から来た生物がここまで人類に似てるなどありえなそうな(笑)。
とはいえ、セリフの端々にはなにかとアイロニックなものがあります。交信信号をキャッチしたエイリアンが地球に来訪してくるのを知った天文研究員ザパタいわく、
「コロンブスと現地人の出会いみたいだね。エイリアンがコロンブスで、ボクらが現地人ね」
また浅野忠信さん演じる日本人ナガタがいい役なのは、東日本大震災で米軍が災害救助活動に従事した縁かららしい。
映画のフィクションかリアルなのか知りませんが、アメリカの士官学校では座学で ‟孫子の兵法” を習うそうで、アレックスがやたらナガタの提案に対し、「孫子の作戦か?」 と返します。
「孫子は中国だよ」 と渋い顔のナガタにアレックスは 「同じようなもんだ。中国も日本も身の程をわきまえず、隙あらばアメリカを出し抜こうとしてる」
......この映画でいちばん笑いました。