雨のあとのにおい -6ページ目

このところ、焼酎に耽り。

困った。

昨日買った焼酎がとてもうまい。

困った。

今日買った焼酎も、奥深い味わいがあり、これまたうまい。

昨日買って飲んだ焼酎があまりにもよかったので、

今日、最近体のために日本酒から焼酎に切り替えたという父親に、

焼酎を4本買って送った。

昨日買った焼酎は大海酒造「くじらのボトル綾紫」。

紫芋で仕込んでいるのだそう。

とても綺麗で強い香りがたまらない。

昨日、ちびりちびりとロックでいってたら、知らぬ間に寝ていた。

今日買ったのは岩川醸造「源太郎蔵」。

つんとくる香りはないが、甕壷で1年間熟成させているらしく、

まろい中に奥深い味わいと香りがある。

酒に弱いわりに、うまい酒が大好きなので、

こういうときはとても困る。

色々呑みたくなって、呑んで、ふらんふらんになるのが目に見えるからだ。

もとはといえば、もっぱら日本酒にて酔えりだったのだが、

友達に連れて行ってもらった京都の焼酎バーで

うまい焼酎というものを自らの舌で体験、体感し、

焼酎もいいじゃないか、と焼酎に開眼したのであった。

そして行きつけの酒屋は日本酒のみならず、焼酎の品揃えも粋なものであったのだ。

この、自分のミーハーっぽいところは好きでも嫌いでもないが、

なんとなく視野が広がっていくような気もするので悪くもない。

ただ、平日にこんなに酔っ払うのもあまり慣れないので変な気分だが、

気持ちのよろしいこと限りないのでまた明日も呑みたい。

ねこのごんごん

昨日、絵本屋さんで一冊の絵本を買った。

ずっと欲しいと思い続けていた一冊で、

半分忘れかけていたけれど、

限定的に再版された特別版なるものが、

いつも行く絵本屋さんの棚に、さも何気なく陳列されていた。

けれど、やっぱりすごい。

瞬間目に飛び込んできた。

「なんであるの?」っていう疑問と、

「手に入っちゃうの?」っていうどぎまぎとした感じ。

手にとって、パラパラとめくる。

ひゃー、やっぱ、すごい。

匂う匂う。たまんない。

その時、たぶんとてもにやけた気持ち悪い顔をしていたと思う。

もったいないので、家でまったり味わう。

工藤直子さんは、理由がわからなく好きなもののほうが、

理由がわかる好きよりも強いと思うって言ってたけど、

なんだか、そんな気持ちがわかる。


そんなだから、昨日から僕は、

大好きなものがそばにあって、なんかぽーってしてる。

木曜から引きずってる風邪のせいじゃなしに。


大道あや 「ねこのごんごん」

WALK SLOWLY

京都、鴨川沿いをゆく。

今日は空も晴れ、のどかな冬の日差しがとてもきれいであたたかだった。

このところ、変に焦っていたり、仕事に追われてしまったり、

ちょっと、落ち着かないような気分が続いていたけれど、鴨川を歩いていたら、

びっくりするくらいすんなりと肩の力が抜けていった。

この感覚はなんだろう、でも、なんか、助かったよ。

きらきら光る川面も、

川べりの桜の老木も、

犬を連れて散歩しているおじいちゃんも、

みんないい表情してる。

こんなとき、一人で難しい顔をしていても仕方ないな。

そんなことを考えて、なんだか気の大きくなった僕は、

気に入りの店で、衝動買いを重ねて帰ってきたのでした。

で、やっぱりどうしてだか、鴨川を歩いていたら、

くるりが頭の中で鳴っていた。

僕のシャツは君の涙と鼻水で色が変わってしまった。

久しぶりに豚キムチチャーハンを作った。

僕の作るそれはいたってシンプルだ。

ごま油でネギを炒め、続いて豚肉、キムチを入れる。

頃合を見てご飯を入れて、パリッと炒めたらそれで完成だ。

コツは、豚肉もキムチもけちらずにたくさん入れることと

美味しいキムチを使うこと、だ。

この作り方は、学生時代に一人暮らしをしていた頃から

ずっと変わらない。

そしてこの料理にはひとつの思い出がある。


学生時代、吹く風が少しずつ冷たくなってきた秋ごろ、

僕らは親しい人とお別れをしなければならなかった。

僕は、先輩と一緒に見送りに行くことに決め、

いろいろと荷物を準備していた。

出発の時間が迫っていたが、僕はとてもお腹がすいていて、

時間がないにもかかわらず、お弁当を作ることにした。

冷蔵庫に、少しの豚肉と、ネギ、キムチを見つけ、

瞬時に、豚キムチチャーハンを作ろうと思った。

弁当箱にも詰めやすそうだという気もした。

作っている間、先輩から電話がかかる。

もうちょっと待ってくださいとお願いして、

急いで仕上げて弁当箱に詰める。

いろいろな荷物とアツアツの弁当箱を持って、

僕はふたりの先輩と、水色の軽自動車で出発した。

僕はすぐにでも食べたかったが、ひとりでモグモグしてるのも悪いなと思って、

そのままにしておいた。

しかし、すぐに、何か匂わないか?ということになり、

豚キムチチャーハンの存在が明らかになった。

狭い車内に豚キムチチャーハンの匂いが充満し、

先輩にはおまえ何考えてんだよとさんざん怒られる。

僕は、においの元を胃袋にしまえばいいんでしょと思って、

後部座席でひとりバクついていた。

少し冷めた、豚キムチチャーハン。

キムチの味が豚肉にもご飯にもしっかり滲みていた。

少し焦げたキムチの匂い。

やや酸味のあるキムチの味。

空の胃袋にとてもおいしかった。

まったくおめーはよー、とか言われながらも、

僕はバクバク食べた。

すごくおいしいのにな。

でもちょっと、選択を間違えたかな。なんて思いながら、

ガヤガヤと僕らの旅が始まっていた。


脆く、崩れそうだった僕の気持ちを、

豚キムチチャーハンが、そっと暖めてくれた。

静かな車内をそっとあかるくしてくれた。ちょっと強烈な匂い付きだけど。

僕はあの日の豚キムチチャーハンを決して忘れることはないだろう。

そして、これからも、豚キムチチャーハンを作るたびに、

僕は、あの日のことを、あの頃のことを思い出し続ける。

銀河

猿1月20日金曜日、フジファブリックのライブに行ってきた。

所は名古屋クラブダイアモンドホール。

一緒に行った友人は、このところ色んな波が次々とやってきているようで、

ため息色に染まっている。

彼は踊る気力もなく、酒を3杯煽り、朦朧ついでにつまみのミックスナッツのピスタチオを

暗闇に紛れて殻までガリガリ噛み砕いて食べてしまった。

僕はといえば。

僕はといえば、序盤から飛ばしまくる彼らのステージに導火線着火オン、

攻めに攻めて気が付けばステージから3列目にて汗と涙にまみれていた。

なんだろう、「銀河」のグルーヴ感は!いったいぜんたい凄すぎる!

しかしながら「茜色の夕日」はかなり染みたし、

「虹」、アンコール1の「陽炎」、アンコール2の「花屋の娘」では、

会場全体が熱気ですっかり靄がかかるほどで、

僕はもうぐったりまるっぽ。


ただし!それだけでは終わらなかった!


友人と帰路につく途中、近鉄名古屋駅で藤原ヒロシに遭遇。

ポーターのリュックにガムテープが張ってあるじゃないの。

帰りの電車の中、有名人を見た高揚感と、

とっさに会釈をして当然の如く無視されていた友人の姿が、交互に僕を襲う。

でも、「オレ、この前藤原ヒロシ見たんだぜ!」って、誰に自慢したらいいんだろう・・・。

そしてバックトゥ四日市。

その後、友人とラーメンをすすり、勢いでカラオケ突入(意外にもかなり盛り上がった)、

最後は元気出せよとバンプオブチキンを歌う僕。

次の日、友人は朝から出勤、宿直までこなしたらしい。

合掌。

PING PONG

もうこれで何回目になるかわからないが、

松本大洋「ピンポン」を読み通した。

何度読んでも発見があり、そのときによって、

引っかかる場面、言葉が違う。

正直言うと、ピンポンを手に取るときは

たいてい落ち込んでいたり、あまり元気のないときだ。

何日かかけて、じっくりと読んでいく。

そして、読み進めるうちにこころがなんとなく

軽くなっていく。とても自然に。違和感なく。

不思議と、ピンポンを読み終える頃には

底から這い出す糸口をつかんでいることが多い。

すごい作品だなあ。と、つくづく思い馳せている。

そんな作品を生み出した松本大洋の母であり、詩人の

工藤直子さんの講演会を来月聴きに行く予定だ。

工藤さんは工藤さんで素晴らしい作品が多く、

自分は「のはらうた」を読んでぶったまげた覚えがある。

忘れていたこどもの頃の色んなことを、フラッシュバックのように

思い出してしまうほど強烈な体験だった。

ぼくはそんなふたりの素晴らしい感性に、何度となく励まされて

頭を上げて、ぼんやり前を向いて歩いてる

THE STROKES

このところ、ヴァシティ・バニヤンやダンカン・ブラウン、シガーロスなどを聴いて、

半ば牧歌的で薄闇色の心象風景を形成していたさなか、

ストロークスの新作が通風孔を開け放ってしまった。

最高にかっこいい。しびれた。しびれ倒した。

「かっこいい。」って、ありそうで、あんまりない。

かっこいいに遭遇すると、なんか気持ちが強くなる気がする。

そんな気がするな。

そうそう、ビリー・コーガンもかっこよかったっけなあ。


回想音楽 * スマッシング・パンプキンズ 「tonight tonight」

冬休みのこと

12月30日から1月3日までの冬休みがあっという間に終わってしまった。

北海道育ちの僕には短すぎるけれど、

仕事のペースから行けばずいぶんとゆっくりできる時間でもあった。

でも、そんな冬休みを僕は半分くらい棒に振った。


思い出すのは去年の正月。

就職して初めての長い休み。

気が抜けたのか、休みの突入と同時に風邪が悪化。

年越しそばを食べることもなく、雑煮を食べる気力も失い、

ひとり寂しい異郷の地にて、静かに、静かに寝正月を過ごした。

それでも、3か日のうちには回復の兆しも見え、

招かれてご馳走していただいたりという良い思い出もある。


それに比べ、今回の正月はいい滑り出しだった。

体調は優れ、年末にかけての夜更かしもなんのその、

正月に向けて食料を買出ししたり、犬と緑地公園に行って走ったり、

好きに過ごしていた。

そして大晦日。

ご馳走でも食べようと、牡蠣や刺身などの生もの、酒、お肉なんか買い込んで

たらふく食った。

酔っ払って暖かな電気カーペットの上で寝て夜中に目が覚め、

準備していた年越しそばを無理やり食べ、初詣にも行った。

そして、直後異変が起きる。

おなかがゆるい。そして身体の節々が痛い。

ある悪夢のような思い出が頭をよぎる。

それはあさりに当たったときの出来事を・・・。

明くる朝目が覚めて、猛烈な吐き気とだるさ、ふらつき、発熱、腹痛、下痢。

・・・・・・そんなはずはないさ。

振り切るように眠って目覚めた元旦の朝、待ちかねたように腹痛が襲う。


以来今年の3か日は毎日トイレットペーパーを1ロール消費し、

微妙な身体のだるさ、風邪っぽさ、やりきれなさを抱え、

異郷の地でひとり静かに寝正月を過ごした。

それでも、強がって、最初のうちは買い込んだ食糧をがっつり食べた。

雑煮ももち3つ入れて食べた。

でも、僕のおなかはいつもヘルプを叫んでいた。

僕は、心底情けなかった。

いろいろ計画していたこともすべてつぶれた。

ため息色に染まる僕の部屋。

うちのユキは初めての生理が来ていて、

その体臭が鼻についてさらに気分が萎える。

あきらめて僕は昨日からお粥を食べている。

おかげで、多少は快方に向かっているような気がするが・・・。

まあ、なってしまったものは仕方ない。

食あたりか、胃腸風邪か、ノロウィルスかは知らないが、

寝正月の中でも、本に読み耽り、得るものはいくつもあった。

本当に。

でもこんな強がり、来年は絶対言いたくないね。

ユキと雪

先週、北海道へ里帰りしてきた。

なんだか地図で見るより遥かに近く感じた。

そして、空から見る地元の風景は畑のパッチーワークみたいでとても綺麗だった。

旅の連れ合い、ユキも、初めての空の旅を難なく過ごしたようで安心安心。

家族にもすぐになついてとても可愛がられて、お姫様気分ご満悦のユキが、

ほんのわずかな時間に、僕の愛用のベルトをずたずたに引きちぎって遊んでいたのだけは

ぼくをちょっぴり悲しくさせました。

だけど、家族の中のユキはいままで僕が気付いていなかったことをいろいろと見せてくれて、

ユキも僕もお互いにいい経験をしてきたと思う。

それと、ユキがいることで家族の雰囲気も全然変わってしまうことにも驚かされた。

僕の父親も母親も、これほどまでにひとなつっこい犬だと思っていなかったらしく、

帰ってくると、毎回嬉しそうに真っ先に出迎えてくれて、ぺろぺろしてくれたり、

歩くとトコトコと後ろをついてくる姿にやられ、初孫でもできたかのようにもうデレデレだった。

特に父はデレンデレンで、猫なで声でユキを呼んではべろべろと顔中舐められて

いひいひ言ったり、甘い声で寝かしつけていて、孫ができたら凄いことになりそうだと、なんとなく思った。

母も、そんな父の前では「べたべたしすぎてユキが嫌がってるよ」とか言って、

少し引いて見ていたけど、別の時にはユキちゃんユキちゃんとたいそう可愛がっていて、

なんだか面白かった。

遊びに来たぼくの妹もすぐにハートをつかまれたようで、写真を何十枚と撮ったり、

ユキとよく遊んでくれた。

ご飯の時にはテーブルに足をかけて、ほんとうにかわいらしくおねだりするので、

みんなユキが気になっていて、僕はほんとうに、凄いもんだなあと思っていた。

そして、ユキの存在をとっても愛おしく思った。

北海道から帰る前の前の日、プレゼントのように雪が降った。

家の近くではすぐに溶けてしまったけど、

僕がこの季節がもっとも美しいと思っている帯広の緑ヶ丘公園には

まだ雪が残っていて、ユキと一緒に雪を見たり、雪の上を歩き回ったり、

そんなことができて、本当に嬉しかった。

身体の模様の白い部分が多いからユキと名づけて、

いつか本当の雪を見せてやりたいと思っていたのがこんなに早く実現するなんて。

北海道から帰ってきて、また二人暮らしが始まった。

ユキはいつもかまってもらえた環境に慣れたためか、前より寂しがり屋になったような気がする。

いまはちょっといびきをかいて寝ているけれど。

安らかな表情で、ぐっすり眠るかわいいユキ。

北海道の雪の上で遊んでいる夢や、愛してくれる家族の夢でも見ているだろうか。

 

ワンダーフォーゲル

秋の初め、夜の空に渡り鳥を見た。

隊列を組んで南に向かっていた。

白鳥だった。


以前にもこんな光景を見たことがある。

大学卒業を控えた3月の寒い薄墨色の夜の空に何度も。

白鳥は北を目指して飛んでいた。

4年間暮らした土地や、

親しい友人との惜別の時が近いことを日に日に感じていた頃で、

卒業後の進路もはっきり決まっていない不安もあってか、

北を目指す白鳥の姿にいろいろなものを重ねて見ていた。


そして現在の土地に来て1年が経つ。

今見る渡り鳥は、その時とはまた違った感慨を抱かせる。

それは自分の経てきたここ何年かの道のりをありありと実感させる。

しかし、変わらぬ感慨もある。

自らが過ごすのに適当な場所を目指して旅を続ける、

彼ら渡り鳥に対するどうしようもない憧れだ。

僕がいずれこの土地を離れるときが来るだろう。

その時自分のあるべき場所にあるべき姿で辿りついていることができるだろうか。


散歩音楽 * くるり 「ワンダーフォーゲル」