今週も1週間、ずっと毎日10時過ぎまで残業していた。


夕食を食べにいけるときは行くが、行っている時間がないときは、カップラーメンを食べて、あとは亀田製菓の柿の種を食べている。
手が汚れないし、書類も汚れないからだ。
6袋パックのものを買うことが多いが、朝・昼・晩に食べて1日でなくなることもある。

カロリーゼロのコカコーラ ゼロも1日に5缶くらいは飲む。
ざっと計算すると毎日1.8リットルも飲んでいる計算になる。

俺なんか4年間も食い続けて、飲み続けているんだから、亀田製菓と日本コカ・コーラには表彰してもらいたいよな、なんて同僚と話をする。


週末は、実家に帰ることにした。
多くの同僚は週末も出勤するらしいが、僕にはもうそんなガッツがない。
きっと月曜日からの僕が週末の分も働いてくれるだろう。


土曜日の昼頃に実家に着いて、母親が作ったカレーを食べて、あとはほとんど寝ていた。
5時頃に夕食を食べ、ビールを飲んでいると、今このときも職場では同僚たちが仕事をしていることを忘れてしまいそうになる。


夕食が早いせいで、田舎の夜は長い。


水野敬也の「夢をかなえるゾウ」(飛鳥新社)を読んだ。
180万部を超えるベストセラーなのだそうだ。


夢をかなえるゾウ

10時頃に読み終わった。
中学生の頃に読んだら、きっと面白かったんだろうな、と思った。


例えば彼女に読ませたい本というのであれば、この本はお奨めだ。
悪いことが書いてある本ではないし、どうしたら人に愛されるか、という点では優れたことが書いてある。


僕にはこの本はダメだ。
インドの神が、貧困で苦しむカンボジアでもタイでもフィリピンでもなく、日本でぬくぬく育ったサラリーマンを応援する、という設定からして、腹立たしい思いに駆られたし、「インドの神なんかこんなもんでいいだろ」という作者のおごりや、神を描く際の視野の狭さ、不誠実さ、経験のなさといったものにも嫌な気分になった。
一言で言えば、底が浅くて傲慢だ。


でもまあ、僕は少数意見なんだろう。
実際に売れているわけだし、この1冊で人生が大きくいい方向に変わった人もいることだろうし。


俺はこんな本を読んだって変わらない。ずっと負け犬のままだ。
でも俺はそれでもいいや。


実家から帰ってきて、DVDで「ライフ・イズ・ミラクル」を観た。


ライフ・イズ・ミラクル

紛争下のボスニアを舞台にした映画で、観る側の心の幅を大きく広げさせる映画だ。


以前、向田邦子さんだったか(それすら忘れた)、「戦時中、私は高校生で、明日、生きられるかどうかわからない状態だったけれど、そして事実、多くの級友が空襲で死んだけれど、普段の生活では笑っていました」と話していたのを思い出す。


この映画でも、戦争に巻き込まれた庶民を描いているが、日本の映画と違い、戦争だからといって全員が全員、涙の海を漂っているわけではない。



ライフ・イズ・ミラクル1

戦争下でも、息子が捕虜に捕られた後でも恋はするし、チェスも楽しむ。
それが人間なんだと思う。


ライフ・イズ・ミラクル2

最初は、いったい何の映画なんだとイライラしながら観ていたけれど、ラストは悲しみでも喜びでもない感情に襲われて、涙が出てきた。
理屈通りではなく、合理的な説明がつかないストーリーだけど、なぜか心をつかんで離さない。
表面上はきつい映画だが、中身は優しい映画だ。


ライフ・イズ・ミラクル3

俺はやっぱり、ツンデレ系が好きなんだなって思った。

先週の1週間も忙しかった。


今年、転勤してきたばかりの同僚が、仕事が多いということにも目を輝かせているのを見ると、眩しく見えて仕方がない。


僕が転勤してきたときはそうではなかった。
毎日が忙しいことにうんざりとして、仕事と責任が重いこともつらかった。
職場に長くいる人が、情報をなかなか教えてくれなくて、「自分で盗め」という風潮も僕は嫌だった。


僕は何でも教えることにしている。
情報を独り占めしていると、その人に聞かないと仕事が進まないから、人よりも優位に立ったような錯覚を起こすのかもしれないけれど、くだらない価値観だと思う。
どこまで行っても仕事上の悩みはあるんだから、早く一人前になって僕と同じ悩みを共有してもらった方がずっと僕自身のためにもなる。


先日、以前の上司に会ったら、「以前は違和感があったけれど、職場の顔になってきたな。」と声をかけられた。
もともと持っていた何かを失ったな、という意味かと思って「そうですか…。」なんて答えたけれど、後から褒め言葉だったのかな?って思い直した。
でもゆっくり考えても、喜ばしいことなのか、悲しいことなのか、よくわからない。


夜の9時頃に、屋上でタバコを吸う。
冷たい雨を見ながらのときもあるし、星を眺めながら吸っていることもある。
遠くに見える街の明かりがきれいだ。
屋上には必ず、何人かの人がいる。
顔を見合わせても、誰も何も言わずにタバコを2本くらい吸って、震えながらまた職場に戻っていく。


金曜日は10時まで残業した。
疲れ果てていて、ちょっと目をつぶったら眠ってしまいそうだったけれど、11時頃からスナックに飲みに行った。
ちょうど混み合ってきた時間帯だったらしく、女の子たちが忙しく働いているのを見ながら、のんびりとカウンターに座って飲んでいた。


午前1時30分頃まで飲んで、帰りにスナックの女の子に送ってもらった。
車にガソリンを入れて欲しいという。
「この前、ガソリン入れたばかりだから、ほんの少しだけだよ。」
「本当に?」
満タンにするのを見ていたら、飲み代よりも高くついた。
でも僕は優しいので、そんなことも全部許してしまう。


土曜日にはジャック・ケッチャムの「閉店時間」(扶桑社ミステリー)をベッドのなかで読んだ。


閉店時間

中編集で4作が載っている。
どれも不道徳でひどい話しばかりなので、読んでいる人の人格が疑われそうだ。
それでも、4作のうち巻き込まれ型の悲惨なサスペンスである「ヒッチハイク」は、展開が早くておもしろかった。
でも、人に勧めるような本ではない。


土曜日は、季節の変わり目のせいなのか、疲れているせいなのか眠たくて仕方がなかった。
夜に眠れなくなると困ると思って、無理に起きて、以前86年までやっていた「桃太郎電鉄USA」の続きをダラダラと99年までやって、99の物件駅をすべて踏破して、COMの「えんま」と「さくま」に完勝した。


桃鉄USA

99駅をすべて踏破したら感動すると思っていたけれど、大したことなかったし、ラストもきっと感動すると思って、それだけを考えてやっていたんだけど、期待はずれだった。


日曜日は、午前中は家で仕事をして、夕方から友達と1時間30分ほどかけて、山形村にあるシネマコンプレックスに出かけていった。
「ブーリン家の姉妹」をまだ上映しているのが山形村にあるアイシティ・シネマだけだったからだ。


このシネコンでも「ブーリン家の姉妹」の上映期間は次の金曜日までで、夜に1度しか上映しない。
始まるのは19時35分から。


ブーリン家の

待っている間に、同じく上映期間が次の金曜日までで、同じく夜に1度しか上映しないショーン・ペンが監督した「イントゥ・ザ・ワイルド」を観たくなってきた。
始まるのは19時20分から。


イントゥ・ザ・ワイルド


どちらか1本を観れば、もう1本は映画館で観ることは、もう一生ないだろう。


僕は、映画はほとんどDVDで観るけれど、映画館で映画を観るということについて、すごく大事だと思っているので、真剣に悩んだ。
悩んだけれど、結局、「イントゥ・ザ・ワイルド」を観た。



イントゥ・ザ・ワイルド1

裕福な独りの若者が、すべてを捨て、持っている金も焼き、アラスカの荒野で暮らすことを自分に課す。
多くの彼を愛してくれる人に背を向け、自分一人の力でどこまでできるのか、彼は自分を試す。
http://intothewild.jp/top.html



イントゥ・ザ・ワイルド2

見ながらいろんなことを考えた。
考えどころが満載の映画なのだ。


僕は、大学時代に山登りをしていた。
中央アルプスの縦走をすることになっていた日の前日は台風が来ていた。
家に電話をすると、もうそのときは病気で寝ていた父親が、危険だから行かないでくれ、と言った。
でも、僕は言うことを聞かなかった。


台風自体は去っていたものの、翌日の登山を開始したときも、まだ雨が降り続いていた。
中央アルプスの山脈のうち、南側半分には登山道がない。
2メートルほどに伸びた笹薮をかき分けながら進む。
雨に打たれていると8月の丹沢でも死ぬと知識では知っていたが、9月の中央アルプスで、僕はそれを実感していた。


笹薮で体力を消耗し、冷たい雨に全身を打たれて、僕はテントを広げることさえできなかった。
先輩たちがテントを設営してくれるのを、ただ震えながら見ていた。
夕食は、何を食べたのかまったく覚えていない。
「着替えずに寝ろ。その方が服が乾く。」
先輩にそう言われて、雨で濡れた体のままシュラフにもぐって寝た。


翌朝には服は乾いていた。
朝から青空が広がっていた。
遠くに、緑のドームのような形をした、芝生に覆われているかのような山が見える。
「あそこまで行ったら、ハイキング気分で楽しいだろうな。」
でも近づいてみると、そこも2メートルほどの高さの笹薮に全体が覆われた山だった。


登りでは笹薮の力が強く、一歩踏み出すのに、すごく体力が必要だった。
左右の足がそろってしまうと、気力が萎えるので、どちらかの足が必ず前に来るように、それだけを気をつけて、僕はゆっくりと登った。
下りは全力で走った。
笹薮で足下はまったく見えなかったが、僕は平気だった。
ときどき、笹薮のなかに倒木があって、足を取られると2メートルくらいダイブした。
顔を随分と笹の葉で切ったし、ザックに結びつけておいた金属製のカップは石にぶつかって凹みだらけだった。
でも全然、平気だった。


1年は僕が1人だけだったので、朝飯は僕が一人で4人分を作った。
3時に「起床」と怒鳴りながら起きても誰一人として起きてこず、ご飯が炊きあがって、小さな声で「メシ」と言うといっせいに起きてくる先輩たちに、「本当はもっと前から起きていたんだろ。手伝えよ。」と文句を言いながら食べた朝飯を覚えている。


2センチほどの足場しかなく、下は数百メートルの絶壁。
毎年数人は滑落して亡くなるという宝剣岳の鎖場も、震えながらカニ歩きで渡った。
頂上に立っても恐怖感がいつまでも残り、「俺がここで死んだら、追悼登山はこの山でやってくださいね。俺だけがこんな怖い思いをするのは嫌だ」などとわがままを言っていた自分を思い出す。


登山靴の下に見えていた、数百メートルの絶壁は、今でも目に焼き付いている。
風の音も、一歩踏み出すごとに、「人は死のうと思えば簡単に死ねるもんだな」って考えたことも今でも覚えている。


「イントゥ・ザ・ワイルド」で、主人公の青年が、ザックを背負いアラスカに向かう姿を見て、老人が涙を落とす。
似たような涙を、僕も見たことがある。
縦走を終えて実家に帰ってきたときに、祖母が泣いていたのだ。
玄関に置いてあったボロボロになった僕のザックを見ながら「こんな苦労をするなんてかわいそうだ」と祖母は泣いていたのだ。


「泣くことないよ。僕はべつにつらくないよ。」
僕は笹の葉で切れた顔のまま笑っていた。


今では、手を振って笑いながら玄関を出た僕の気持ちも、泣きながら見送ってくれた祖母の気持ちもわかる。
世間知らずで、困ったときは先輩が何とかしてくれると思っていた僕にとって、山登りはちょっと危険なだけのゲームだった。


心配をしてくれた祖母も、父親ももう死んでしまった。


映画を見終わって、帰りの車のなかでも、いろいろとこの映画について考えた。


彼の「社会」というものに対する反感は、僕も以前には持っていたものだ。
彼は徹底した「個」や完璧な「自由」を求めて、アラスカの荒野のなかで、すべてを捨てて、独りだけで生きようとする。
でも彼が最後に理解したように、幸福というのは、人と分かち合えて初めて感じられるものだ。
社会がなければ、幸せもない。


今なら、この映画がまだ理解できる。
もう少し若かったら、僕にはほとんど理解ができなかったと思う。
でも、この映画をもっと僕は若いときに観て、理解ができたなら、今よりもずっと幸せになっていただろうと思う。



月曜日は9時30分頃から仕事だった。
8時頃からすでに仕事に来ている同僚がいた。
僕は10時から12時まで別室で話し合いがあったので、そこに行き、「きっと僕が戻る頃には彼も家に帰っているんだろうな」なんて思っていた。


実際に僕が職場に戻ると、彼はまだ職場にいて、他の係員も3人ほど増えていた。
3連休の間、ほとんどの人は1日しか休んでいないらしい。
「君たちは、本当に仕事が好きなんだね。」
信じられない気分で、僕は頭を振った。

一週間、毎日10時過ぎまで残業をしていた。
それでもまだ帰るのは早い方で、他の係員は全員、僕が帰った後も残業をしている。
金曜日にもなると頭がぼんやりとしてくる。
それでも月曜日締め切りの仕事がいくつかあるので、残業もしなくちゃいけないし、日曜日も仕事をしなければならない。
仕事ばかりの人生で、何が楽しくて生きているのかさっぱりわからない。


木曜日に出張していた同僚が、出張先で受けた研修の講師が、僕のどストライクの女性だった、という。
「俺にどストライクの女ってどんな女なんだよ。」
「基本的にツンデレ系ですよ。きっついんだけど、2人だけになると甘いって感じの。」
「俺ってツンデレ系が好きなのか?」
「絶対好きですよ。Mだし。」
「俺が?」
考えてみたら確かに好きかもしれない。
考えているうちに派手好きでさっぱりした女が僕はかなり好きなような気がしてきた。
「確かに好きかも。」
「でしょう?」
暖房の切れた部屋で残業しているときに、楽しいのはこんな会話だけだ。


土曜日は1日休むことができた。
髪を切って、帰りに鶏の胸肉を買って帰ってきた。
キッチンがきれいになったので、料理も楽しい。
鶏の胸肉をフライパンで焼いて食べた。


土曜日の深夜、なかなか寝付けなくて「真珠の耳飾りの少女」という映画をDVDで観た。


真珠の耳飾りの少女

スカーレット・ヨハンソンの演技も素晴らしいが、何よりも構図が美しく、風景の切り方が、絵画のようだ。
静かな映画だが、観ているうちにじわじわと心に沁みてくる。


真珠の耳飾りの少女1

この映画を観れば、「真珠の耳飾りの少女」という絵の歴史や背景、奥行きといったものを知ることができる。


真珠の耳飾りの少女2

そして、この絵のなかの少女をきっと好きになる。


本当に価値あるものというのは理解するのに時間と能力が必要だ。
今は時間も能力も仕事に費やしているので、趣味にまで手が回らない。
以前は、俺は自分の人生のために仕事をしているんであって、仕事のために生きているんじゃない、なんて格好のいいことを言っていたが、もう完全に逆転した。
俺は仕事のために生きている。
…なんて人生だ。


今、数冊の本を行き帰りの電車の中で読んでいるが、なかでもスティーブン・ミルハウザーの「ナイフ投げ師」(白水社)という短編集は本当に毒がある。


ナイフ投げ師

まだ途中なので、最終的にいい本なのか判断できない段階ではあるが、この短編のなかに入っている「ある訪問」という話しは気分が悪くなる。


親友が、結婚したから家に来い、と9年ぶりに手紙をくれる。
そこで、遠くの過疎化した街まで車に乗って会いに行く。


その親友の結婚した相手というのが、アリスという名の60センチほどの巨大なカエルで、2人は本当に仲良くしている。
その2人を見ている主人公の心理描写が実にリアルで、主人公同様、段々と気分が悪くなってくるのだ。


本の帯には「ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に噛まれることと似ていて、いったんその魔法に感染してしまったら、健康を取り戻すことは不可能に近い」とある。
以前読んだ似たタイプの、バリー・ユアグローの「たちの悪い話」よりも読者を引きつける力は弱く、難解だ。


たちの悪い話

作者の技術の高さには驚かされるが、こういう本は理解するのに本当に力がいるので、どうもなかなか読み進める気にもなれない。


ひぐちアサの「おおきく振りかぶって」(講談社)の11巻が出ていたので買ってきて読んだ。


おおきく振りかぶって11

10巻目を読んでしばらく経つので、もう誰が誰やら話しももうすっかり忘れていて、それほど楽しめなかった。


日曜日の午前中、先週とは別の友達が部屋の掃除を手伝ってくれた。
冷蔵庫や電子レンジ、流し台の下にある引き出しを掃除してくれた。
電子レンジの奥からは真っ黒に小さく乾燥したソーセージが出てきて、笑った。
部屋は本当に格段にきれいになりつつある。
きれいな部屋で生活するのはとても嬉しい。


午後は、仕事に行った。
別に話し合っていたわけでもないのに、係員がほぼ全員そろっていた。
昨日も来たという同僚もいた。
細かい資料を作成して、同僚と話し合って何度も作り直す。
7時過ぎに疲れて帰ってきたが、まだまだ残っている係員がほとんどだ。
俺にはもうそんなガッツもない。


家に帰って、きれいになった部屋で静かにタバコを吸う。
自分の部屋でタバコを吸うなんて、もう何年ぶりだろうか。
高校時代に部屋でタバコを吸っていて、母親に怒られたことを、ぼんやりと思い出した。


**おまけ**


(おいしい)鶏の胸肉の焼き方。


1 フライパンを熱し、オリーブオイルをなじませる。
2 火を弱めて、塩を軽く振った鶏の胸肉を入れる。油がパンパンと破裂するほどの熱にはしない。シューシューという音がベスト。
そうは言っても油は跳ねるので、鶏を焼きながら、キッチンペーパーで余分な油をどんどんと拭き取っていく。
3 7分ほどしたらひっくり返すが、このときにも一応、オリーブオイルを引き、香り付けをする。そして、余分な油を拭き取る。
4 鶏肉の場合には、焼いている最中に出てくる肉汁はすべてキッチンペーパーで拭き取っていい。
5 両面であわせて15分ほど焼くと、だいたい食べ頃だ。本当に食べ頃を知りたい人は、焼く前に鶏肉の重さを量り、その0.8倍の重さになったところで焼くのをやめれば確実だ。
でも俺はめんどくさいのでそんなことはしない。
6 ここらで鶏肉にウイスキーをかける。本当は白ワインやブランデーなんかがいいのだろうけれど、そんなものが俺の部屋にあるわけがない。
7 さらに粗挽きのコショウ(種類は適当。とにかく粗挽きでちょっとかけ過ぎと思うくらいかけた方が俺は好きだ)を振りかける。
8 皿に盛りつけて、上から塩を振りかけて、レモン汁を大量にかける。
9 できあがり。どんなに味付けに失敗しても、黙って全部食べるのが、男というものだ。

仕事が忙しくなってきた。
10時前にはなかなか帰ることができない。
家に帰ってから、DVDを観ると、1日はもうおしまいだ。


それでも、飲み会があり、1週間のうちに2日も飲みに出かけた。
お世話になった人からの誘いだと、なかなか断りづらい。


締め切りをたくさん抱え込んでいるのに、お酒を飲み始めるとすぐに忘れてしまい、まあそのうちに俺も頑張るだろ、なんてつい気楽に考えてしまう。
そして、締め切りがいよいよ目の前に迫ってくると死ぬほど後悔する。
いつものことだけど、今回は本当にピンチだ。
仕事量の目算を誤った。


DVDで「インファナル・アフェアⅢ」を観た。


インファナルアフェアⅢ

Ⅱまでがとてもよかったので期待していた。

Ⅲもいい映画だが、Ⅱほどの圧倒的な力は感じなかった。


インファナルアフェアⅢ

それでも因果がめぐるというこの物語のメインは、いつまでも心に残り、また優秀な人が倒れるたびに喪失感を感じざるにはいられなかった。


因果が巡るといえば「ブーリン家の姉妹」もようやく読み終わった。


ブーリン家の姉妹 下

キャサリンという妃を追い落とし、妃の座を奪ったアン。
もう少し、穏やかさを持ち合わせていれば、もし男の子を産んでいたら…。
歴史に「もし」はないが、彼女の人生はまったく違ったものになっていたはずだ。


あとがきを読むと、キャサリンの娘メアリーは、アンの娘のエリザベスを幽閉し、プロテスタントを弾圧したのだという。
まさに因果は巡るといった感じだ。


多くのプロテスタントが殺され、ウォッカ・ベースのトマトジュースを入れたカクテル「ブラッディ・マリー」の名前の由来にもなったという。


読み終わって、考えどころの多い小説だったと、改めて思う。
「ブーリン家の姉妹」がどんな映画になっているのか想像もつかないが、時間ができたら観に行きたいと思った。


先週、ウエスティンホテルのキングサイズのシングルに泊まったとき、部屋がとても快適だった。
「俺の部屋はどうも落ち着かない」
快適な生活は望みだが、実現は難しいなあ、なんて思っていた。


土曜日に、友達の女の子が、バイトとして部屋の掃除に来てくれることになった。
僕は普通に掃除をして、彼女は流し台を磨いてくれた。


油汚れに覆われていた流し台はかつての輝きを取り戻して、見違えるようになった。


「この家には無駄なものが多くて、必要なものがない」
綿半に買い物に行き、彼女のいう必要なもの(ふきん掛け、キッチンマットなどなど)を買った。
その後、松栄というとてもおいしい寿司屋で寿司を食べ、解禁になったばかりのカニも食べた。
そしてまた部屋に戻った。


彼女がいろいろとセッティングしてくれた流し台は、本当に料理ができそうな感じがした。
今までは、どうもいい加減だった。
三角コーナーもなかった。
あれば確かに便利だ。


その後、部屋も大幅に模様替えをすることになった。
今までは、掃除機が常にコンセントに接続され、部屋の中央に置いてあったが、部屋の隅に立てかけるだけで、大きな空間が取れることがわかった。
床の上、テレビ、タンスの上など至る所に置いてあった、シェーバーや整髪料、かゆみ止め、電動肩たたき機、アロマで使う精油のビン等々が片付けられるととてもすっきりした。


整理してみると、今まで狭く感じていた部屋が、広く、さっぱりとした感じになった。


「本当にありがとう。きれいになって、僕は本当に嬉しいよ。」
最後に、彼女はどうしたら流し台をきれいに保つことができるのか、など多くの知恵を教えてくれた。
その道の優れた人の言うことは黙って聞くものだ。
僕も素直に聞いていた。


彼女が疲れ果てて帰ったのはもう11時を過ぎていた。
まだ完全ではないが、僕もどうしたら、より快適な空間が作れるのかわかってきた。


部屋が半日で劇的に変わった。
これからはもっともっと部屋をきれいにしていきたいと思った。


日曜日の午後は仕事に行った。
僕の係はほぼ全員が顔をそろえた。
残業代も出ないのに。


2時間ほど経ったあと、僕は続きは家でやることにして帰った。
みんなはまだまだ残って仕事をする。


来週は月曜日から全力疾走しないと締め切りに間に合わない。
大変だが、最後までやりきろうと思う。


今夜もまだまだ仕事をするつもりだ。
頑張ったけどやりきれなかった、なんて選択肢はないから、なんとしてもやらざるを得ない、というのが本音だけれど。

以前、風邪を引いたとき、寒くて仕方がないので掛け布団を2枚重ねて眠っていた。
風邪がよくなってからも、掛け布団をしまうのが面倒で、そのまま寝ていた。
ところが、今週になって、夜寝るときに、掛け布団が1枚しかなかった。
寝るたびに、おかしいなあ、2枚あったはずなのに…って、不思議に思っていた。
でもあんまり気にもしていなかった。


土曜日に、洗濯をして、洗濯物を干そうと久し振りに窓を開けたら、掛け布団が干してあった。
そういえば、1週間前に干して忘れていた。


1週間干しっぱなしの布団は、ちょっと湿気を帯びていた。
掛け布団の匂いをかいで「なんだか秋の匂いがする」なんて言ってみた。
別に匂いもしなかったけれど。


10月27日の月曜日に発表があって「採石業務管理者試験」に合格した。
法令は90点、技術は80点だった。
合格率は30%ほどだったらしい。
それを聞くと、易しい試験のようにも思えるけれど、僕はかなり努力をしたので、正直嬉しかった。


TOEICの成績も帰ってきた。
リスニングが390点、リーディングが375点で計765点だった。
もう少し高得点を取れたような気がしていたけれど、気のせいだった。
自分のなかでは715点を目標にしていたので、目標点にまでは到達できて、まあまあの喜びだ。
次の目標は800点。もうそんなに高い望みでもないように感じてきた。


これで、履歴書に書ける資格がまた増えた。


行政書士
宅地建物取引業主任者
一般旅行業務取扱主任者
アロマテラピーアドバイザー
秘書検定2級
電話級アマチュア無線技師
英検準1級
乙種危険物取扱主任者第1類~6類(全類)
採石業務管理者
TOEIC765点


こうして今まで取得した資格等を書き出してみると、体系立っていないでたらめな取り方だが、味わい深い面もあって気に入っている。


土曜日は、朝早くに起きて、「インファナル・アフェアⅡ」を観た。


インファナル・アフェアⅡ



インファナルアフェアⅡ

ストーリーも面白かったし、俳優も演技もよく、隙がない作りだ。
音楽もよく、特に主題歌は、僕の胸を打った。僕のための歌のようだった。


土曜日の午後には、東京の恵比寿にいた。
従兄弟の結婚式の前夜祭のためだ。
僕のためにとってくれた部屋は、ウェスティンホテルのキングサイズの部屋だった。
こんなに大きなシングルの部屋に泊まるのは初めてだ。


前夜祭ということで、中華の店で食事をして、その後、姉と姪とウェスティンホテルのバーでカクテルを飲んだ。


日曜日の結婚式もウェスティンホテルで行われた。
料理が素晴らしく、堪能した。
「たらば蟹とフォアグラのグラタン 西京味噌風味」などは、力強く深みもあり、強烈な印象を残す味で、おいしかった。
結婚式は、おしゃれだったし、とにかく料理がよかったので、よかった。


日曜日の夜に、新幹線のなかで「ブーリン家の姉妹」を読みながら長野に帰ってきた。


ブーリン家の姉妹 上

ブーリン家の姉妹 下

ようやく上巻を読み終わり、下巻も200ページほどは読んだ。
この本を読んでいると、女性の世界というのを垣間見られる。


昔、5人兄弟で姉が1人、妹が3人、という男の友達がいた。


僕は幼稚園の頃からの友達だが、彼は僕のように「いい子」では全然なかった。
僕たちは別にクリスチャンではないのだけれど、小学6年生まで、カトリックの幼稚園でイタリア人の神父に、英語と聖書を習っていた。
6年生になると、東京の教会に連れて行ってくれる。
そんな年まで幼稚園に通ったのは、もう3人だけになっていた。


東京の教会では、多くのシスターが出迎えてくれて、「よく来たわね」と笑顔だった。
僕は教会にはいるとき、靴をそろえて脱いで、って思っていたのだけれど、その友達は靴を散らかして脱ぎ、ずらっと並んだシスターたちに「世話になるな」と声をかけて、勝手に奥の部屋に入っていった。
僕も慌てて彼の後を追った。
僕たちは小学生なのにポーカーなんかしていて、どこの教会でもはしゃいでいたので、最終的にはどこの教会でも運動場以外には行ってはいけないことにされた。
どこの教会でもやることなすことあきれられ、彼といただけで伝説になった。


彼はいつもケンカをし、多くの人をいじめていたが、僕にはとても親切だった。
「おまえをいじめちゃいけないって、おばあちゃんに言われているから」だそうだった。


高校に入ってから、僕たちはよく、高校の屋上でタバコを吸いながら、授業をさぼっていろんな話をしていた。
彼は高校時代にも、多くの伝説を作り、僕にとっては憧れの人だった。
彼も僕と同じく大学浪人をしたのだが、予備校の寮に入り、1年間で200枚の始末書を書いたらしい。
ここまで来ると、始末書ももう日記だ。


彼は姉が1人、妹が3人と、女性ばかりに囲まれて生活していたし、ガールフレンドも多かったが、そんな彼であっても、「女は信じられない」らしい。
妹たちは、かわいい女の子ばかりなので、僕たちはうらやましがっていたが、「全然うらやましくなんかない」と彼は言う。
仲のいいボーイフレンドがいても、家に帰れば辛辣な悪口だらけ。
何も知らない相手がかわいそうだと、遠い目をしながら、彼は話していた。


この本は、そんな女性の理解しがたい一面も緻密に、そして的確に描いている。
人生を操ろうとやり過ぎの感のあるアンも、それからアンと人生に引きずられているメアリーも、見た目は優雅であっても、必死だ。
苦しい息づかいが聞こえてくる。
そして「なぜ、彼女がそうしたのか」わかる気がする。


月曜日の祝日には、友達2人と木曽にドライブに行った。
木曽町にある「時香忘(じこぼう)」という、おそば屋で、イカスミのそばを食べた。


時香忘のイカスミそば

http://gourmet.yahoo.co.jp/0004592571/M0020011807/  
そばは、今まで食べたなかでも1、2を争うほどのうまさだったが、そば湯も濃厚でおいしく、いい味だった。


それから木曽馬の里に行き、木曽馬を見た。
木曽馬は短足の農耕馬であまり賢くはなさそうな馬だが、優しい目をしていて、俺が大金持ちだったら家にも一頭欲しいな、って思うような馬だ。
僕は今までに3回くらい木曽馬に乗ったことがあるが、今回は乗らなかった。


木曽馬の里


木曽馬


それから、イワナを釣りに釣り堀に行った。
3人で一匹ずつ釣り、その場で塩焼きにしてもらって食べた。
最初はお客は僕たちだけだったが、僕たちが帰る頃には家族連れでいっぱいになっていた。


釣り堀かめちゃん

釣り堀1


そして、権兵衛トンネルを通って伊那に行き、菓匠Shimizuというお菓子屋でケーキを買って、その店の庭にあるテーブルに座って食べた。
http://www.kasho-shimizu.com/
濃厚で深い味のケーキが多かった。


その後、松本のパルコに行き、僕がいつもお世話になっているトミー・フィルフィガーの店でブラック・ジーンズとシャツを買った。
ブラック・ジーンズは随分と前から欲しかったので、手に入って嬉しかった。


松本パルコ


それから松本にあるベッソーネというイタリアンのお店でおいしい生パスタを食べて、また長野に帰ってきた。
http://www.bbgroup.co.jp/vesso_top.php


今回のドライブも、とても楽しかった。


この3連休は多くの人と会って話しをし、また、数多くの本当においしい料理を食べた。
いい映画も観たし、とても充実していた。


そうは言っても、僕の人生は客観的に見たらきっと大失敗なんだろうけれど、笑って大空を眺め、いつか運命を覆そうって、そんな風に思った。



**おまけ**


「長空」byビヨンド (「インファナル・アフェアⅡ」の主題歌)


振り返っても過去は変えられない
今さらどう補えるのだろう
正解も間違いもない ただ原因と結果だけ
心の迷いは決して振り払えない


人生に喪失がつきものなら もう逃げるまい
虚しさに襲われても これからの年月 独り取り残されても
たとえ自由を失っても 永遠に耐え続けよう


笑って大空を眺め いつか運命を覆そう


お前は お前 俺は俺の道を行く
微笑みの陰で 心には葛藤が渦巻き
道が道を滅ぼし 人は操られていく


やっと悟った 絶対的な結果はない
恩讐の灯火は吹き消せない
お前も俺も日々 生と死に向き合う
喜びも悲しみも 紙一重にすぎない


人生に喪失がつきものなら もう逃げるまい
虚しさに襲われても これからの年月 独り取り残されても
たとえ自由を失っても 永遠に耐え続けよう


笑って大空を眺め いつか運命を覆そう


お前は お前 俺は俺の道を行く
微笑みの陰で 心には葛藤が渦巻き
道が道を滅ぼし 人は操られていく


笑って大空を眺め いつか運命を覆そう


お前は お前 俺は俺の道を行く
微笑みの陰で 心には葛藤が渦巻き
道が道を滅ぼし 人は操られていく

日曜日にソフトボールの試合があった。
先週の日曜日には、一緒にTOEICの試験を受けた友達がキャッチボールの相手をしてくれた。
そして今週の土曜日には別の友達がが寝不足だというのに、朝9時30分頃から1時間30分もキャッチボールの相手をしてくれた。


でも、負けてしまった。


僕のチームはここのところ負けなしだったんだけど、今日は2試合とも負けて、しかもどちらもほぼコールド負けだった。
僕はずっとピッチャーをしていて、打たれてはいけないところで長打を許してしまった。


2試合投げて四死球が1。誇れるのはそこだけだ。


打撃も5打数2安打とふるわなかった。
2安打と言ってもクリーンヒットは1本だけで、あとの1本は正確にはエラーだろう。
4打数1安打といったところだ。
最終回の最終打席では1アウト1、2塁で、強い3塁ゴロを打ってしまい、3塁はそのままベースに入り、2塁にボールが渡ってあっという間にゲームセットにしてしまった。


ピッチャーフライの落球なんてことも久し振りにした。


いいところは何もないゲームだったけれど、ゲームの最中も、終わってからも実はすごく楽しかった。
どんなに打たれても、自分の心が折れなくて、仲間のエラーも笑って見ていられた。


でも今、こうして試合を振り返ると、正直言って悔しい。
悔しいけれど、もう終わったことなので仕方がない。
次回までには練習をして、今度は勝ちたいと思う。


最近、フィリッパ・グレゴリーの「ブーリン家の姉妹」(集英社文庫)という本を読んでいる。


ブーリン家の姉妹 上

イギリスの貴族階級の愛憎劇が描かれていて、この愛憎劇がすぐに実際の政治力や経済力に反映してしまうあたりに驚かされる。
国王の愛人になったとたんに、新造の戦艦に自分の名前がつけられたりするのだ。


よくこんなことを国民は許していたよなあ、なんて思う。
まあ、王様だから仕方がないのか…。


それから本当につい最近まで、イギリスの上院が世襲制の貴族で占められていたことに改めて気づく。
よく今まで国民は許していたよなあって思う。


そこでちょっと日本の政治を考えてみたら、日本の立法権も事実上の世襲制だった。
イギリスでも今は世襲制を廃止の方向で改革を進めているのに、日本では敵味方の政党にそれぞれ兄弟がいて、国会で議論をしたりしている。
家族会議が国会なのだ。


さらに言えば、イギリスの上院議員は無給だ。年金もない。
日本の世襲議員たちは無給で十分なほどの資産を持っているのに、未だに給与も年金も受け取る。


俺たちの気持ちなんかやつらにわかるものか。


ソーラ・バーチ主演の「ゴースト・ワールド」という映画をDVDで観た。


ゴーストワールド

高校を卒業した芸術的才能がある少女が、自分の住む世界に不平や不満をぶつける。
当然、社会からは拒絶され、それが彼女をまた苦しめる。
でも彼女も自分の生き方を変えられない。


大学生の頃、横浜の学習塾でバイトをしていたことがあった。
狭い机に座り、先生がホワイトボードに書く言葉を一生懸命写している小学生を見ていると、その頭の上げ下げの仕方といい、必死さといい、ケージで身動きを取れないようにして促成飼育しているニワトリのブロイラーのようだった。
「気持ちの悪い世界だなあ」って思った。


夜は、小学生の皆さんを玄関でお見送りをする。
「車に気をつけて」
声をかけなくてはいけないことになっていたけれど、バカバカしくて俺は一度も声をかけなかった。
「あなたも声をかけなさい」と言われて「くだらねえ」と答えた。


田舎の小学生は、こんなに勉強する必要がないし、僕は小学生のとき、学校の授業でも平安時代よりあとの歴史を教えてもらったことが一度もない。
何も疑問を感じずに、くだらない勉強を集団でしている小学生が気持ち悪かった。
僕が、勉強というものを、絵を描くような個人的なもののように感じていることにも原因があるのかもしれない。


結局、そこでのバイトは、くわえタバコでバイトの仕事をしていて、やめさせられた。
「本当に、なんなのよ。あの子は。信じられない。」
バイトをやめるとき、その塾の従業員のひどく怒った声が聞こえてきた。
「小学生から優しいお姉さんと思われている」と思いたがっているような人だった。
「くそばばあ」
つぶやきながら、塾を出た。


僕は、そのやめさせられたことを、どこか負い目に感じていたけれど、この「ゴースト・ワールド」を見て、傲慢で不安定な世界観を持っていたのは俺だけじゃなかったんだって思って、少し嬉しかった。


ゴーストワールド1

僕は、この映画でソーラ・バーチが演じているイーニドみたいな、自分を持っている変わった子は好きだ。
「若い間は、自分の居場所がないって感じたら、逃げていいんだよ。逃げた先で成長すれば、克服できるようになっているから。」
僕は、どうしようもない現状から逃げ出す女の子を、諦めて頑張ろうとする女の子と同じくらい応援したい。


「インファナル・アフェア」という映画もDVDで観た。


インファナルアフェア

リメイクした「ディパーテッド」の方を先に観ていたのだが、こちらのオリジナル映画の方が僕は気に入った。


ディパーテッド

「男たちの挽歌」と同じ香港映画だ。
でもこの「インファナル・アフェア」には「男たちの挽歌」に感じたような古くささがまったくない。


男たちの挽歌

美しく、それでいて必要なものはすべて撮ってある。
脚本も素晴らしく映像も美しく、演技も実にいい。


インファナルアフェア1

悪いことをした奴は、それだけの現実の報いを受けろ、という「ディパーテッド」に対し、「インファナル・アフェア」の方は、報いは受けなくとも、一生苦しめ、長寿こそ苦しみだ、というアジア的なものの考え方に成り立っていて、僕はこちらの方が思想的にはむしろ深い感じがする。


思想的な深さはともかく、誰にでもわかりやすく、単純に面白い映画でもあり「ショーシャンクの空に」と同様に、誰が観ても「いい」というハリウッド的な映画でもある。


ショーシャンクの空に

僕にとってもこの映画は、今観るべき映画だったし、観てとてもよかったと思った。


二ノ宮知子の「のだめカンタービレ」(講談社コミックスKiss)の21巻も読んだ。

のだめ21

特に面白い話しもなく、鮮やかな進展もなく、だらだらと続いていく。
もう読む価値も、随分と薄れてきたように思う。


日曜日の夜、東京で大学浪人をしている姪と電話で話をした。
「俺はさあ、浪人の頃、頑張ってって言われるのが大嫌いだったんだよ。頑張ってってあんたは言うだけで俺に何してくれるわけでもないだろって思ってさあ。だから頑張ってって言われるたびに、相手をにらみつけていたんだ。だから、浪人生の君に、俺、なんて言ったらいいかわからないよ。」
「私はそんなにひねくれてないから大丈夫。頑張って、でいいよ。」
「そうかあ。じゃあ、俺もこれからも漢字検定とか受けるし、試験頑張るから、一緒に頑張ろう。」
「そんなに雑学つけてどうするの?」
「さあ?わからないけど。」


話しをしていると、姪はよく笑う。
つらい時期だけど、少しでも気分が楽になったらいいなって思った。

風邪薬をたくさん飲んで寝ていたら、明け方になって体が寒くて仕方がない。
熱を測ったら34度7分しかなくて、「俺はこのまま死ぬのだろうか」なんて考えていた。
もう一度測り直したら34度9分。
あまりに寒いので、掛け布団を引きずり出してきて、掛け布団の上に重ねてかけた。
布団に入るとき、あまりに布団の山が高くて、自分がビッグマックになったような気がした。


仕事は徐々に忙しくなってきた。
金曜日も9時まで残業をして、それから飲みに行った。
ネクタイを締めたままビジネスバッグを持って店に入る。
スナックの女の子に「サラリーマンが来た」などと言われる。


「まだ風邪を引いているんだ。12時には帰るから。」
でも12時には、帰らなかった。


「今度、漢字検定を受けようと思うんだ。」
女の子に声をかけられる。
「ふーん。じゃあ。俺も受けるよ。」
今度2月に漢字検定の2級を受けることにする。


女の子たちと話しながらゆっくりと焼酎などを飲んでいたら、体が温まってきたせいか、なんだか風邪が治ったような気がしてくる。


最後にはカラオケでレディオ・ヘッドの「ノー・サプライゼズ」を歌った。

結局、午前3時の閉店までいた。
OKコンピューター
家の前までスナックの女の子に車で送ってもらい、別れる。
「楽しかったよ。今日は。」
「今日も。でしょ。」
「うん…。そうだっけ。」
笑いあって別れる。


翌朝は9時に起きた。
風邪はかなりよくなっていたけれど、声はちょっとおかしなままだ。
髪の毛を切りに行って、その帰りにいくつか公園や小学校に寄る。


来週の日曜日に、ソフトボールの試合があるので、ピッチング練習がしたかった。
実家の近くには練習に適した石垣やコンクリートの壁があるのだが、長野市内では、ただのコンクリートの壁がなかなか見つからなかった。


友人は「共立小学校のプールの壁がいい」と言っていたが、行ってみたら高さが1メートルほどしかなく、その上にあるフェンスも低いため、ちょっとボールが指に引っかかっただけで、ボールがプールの中にまで入ってしまいそうで、諦めた。


家に帰って、DVDで「ぼくんち」という映画を観た。


ぼくんち

僕の好きな西原理恵子の漫画を映画化したもので、主演を観月ありさがしている。
観月ありさとコウイチくん役の真木蔵人は頑張って演じているが、テレビでよく見る芸人の方々は、とても演技が下手で、もう2度と映画に出てくるなって思った。


ぼくんち1


全体として、なんでもありの作り手が楽しんじゃった映画になっている。
B級なんだからこんなもんだろっていう甘えや手抜きを感じる。
今どき、小さな船のなかでハイヒールで足踏みしたら、浸水しちゃって、たいへんたいへんなんてシーンで笑う奴がいるか?
それを冒頭に持ってくるあたり、本当にダメだよなあって思った。


この映画が救われているのは、西原理恵子が漫画のなかで一太や二太に言わせているセリフをそのまま映画で使っていることだ。

ラストシーンはそうだったから、よかった。


この映画が独自で作り上げた世界のどこかがいいというわけではない。

いろんな意味でダメな映画だと思った。


日曜日も洗濯をしたりして、ダラダラと過ごしていた。
窓の外は昨日と同じ、すごくきれいな秋の晴れた1日だった。
ソフトの練習もできないし、特に外に出る必要も感じないので、家のなかでぐだぐだとしていた。


昼過ぎになって一緒にTOEICを受けた女の子からメールが来ていたので、電話をする。
暇そうだったので、「ソフトボールでキャッチボールをしよう」と言った。


「でも、グローブないし。それに、私、キャッチボールなんてしたことないかも。」
「大丈夫だから。すぐできるようになるよ。」


2時30分にコンビニで会って、それからスポーツ・デポに行って、ソフトボール用の一番安いグローブを買ってあげる。
「はい。プレゼント。」
それから、河川敷のグランドに行った。


買ったばかりのグローブは固いけれど、見たところ、スポットが深くて使いやすそうだった。
彼女は最初はぎこちない動きだったけれど、だんだんと慣れてきて、最後は僕が本気で投げた暴投のボールも手を伸ばしてしっかり取っていた。
僕もボールの回転や体の動かし方を確認できて、とてもよかった。


「なんだか、幸せですね。」
ボールを投げながら、彼女がそう言う。
空は青くて、他のグランドでは小学生たちが野球をしている。
川の近くでは釣りをしている人がいて、ボール遊びに夢中になっている子供や家族連れがいる。
「本当だね。なんだか、いいね。」


キャッチボールは2時間くらいして、それから、最初に会ったコンビニにまで送ってあげて、彼女と別れた。

風邪はだいぶよくなっていた。


そういえば、昨年はゴーちゃんにピッチング練習を付き合ってもらったんだよなあって思い出した。


夜には、DVDで「マッチ・ポイント」という映画を観た。


マッチポイント

真面目なテニスコーチが、コーチをしていた上流階級の青年を通じて、その家族と知り合いになり、彼の妹と結婚をする。
彼を家族に紹介してくれた上流階級の青年にはノラという恋人がいて、彼女は男がすべてを投げ出してしまうような抵抗しがたい魅力を持っていた。
テニスコーチは結婚前からノラと関係を持っていたが、次第に夢中になって…。


オープニングが意味深く、映画に一気にのめり込まされる。


「テニスの試合でネットに当たったボールが、上にあがる。その瞬間、ボールがどっちに落ちるか。運良く向こうのコートに落ちたら勝ち。こっちに落ちたら、負けだ。」


とてもいい映画で、アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」のような犯罪者側のスリルを十分に堪能できる。
そしてラストも、僕向きだ。


太陽がいっぱい

イギリスに1か月ほど暮らしていたことがあるが、この映画の舞台もロンドンなので、ロンドンの町並みやパブのことなどいろいろと思い出して、懐かしかった。
美術館も数多く紹介され、この映画はロンドンの観光名所案内にもなっているようだ。


マッチポイント1

それにしてもノラの魅力的なこと。僕もあの魅力には絶対に抵抗できない。
相手にされないのが幸せというものだ。


そして、僕はこうも思った。
もういつまでもロックなんて聴いていないで、そろそろオペラなんかも聴いてみようって。




**おまけ**


ノー・サプライゼズ(byレディオ・ヘッド)


ゴミ処理場のようにいっぱいになっている心。
仕事はゆっくりと君を殺していく。
傷はいつまでも治らない。


君はとても疲れて不幸に見えるよ。政府を倒すんだ。
やつらは俺たちのために話すことなんてないんだから。


俺は静かな生活を送るよ。
一酸化炭素とも仲良くやっていくつもりなんだ。
不安なことも、驚くこともない、
不安なことも、驚くこともない、
不安なことも、驚くこともない
静かに、静かに。


これが僕の最後の発作だ。
僕の最後の腹痛だ。
不安なことも、驚くこともない、
不安なことも、驚くこともない、
不安なことも、驚くこともない。どうか…。


なんてきれいな家なんだ。
なんてきれいな庭なんだ。


不安なことも、驚くこともない、
不安なことも、驚くこともない、
不安なことも、驚くこともない。どうか…。

今回の採石業務管理者の試験では、市場に出回っている問題集が1冊しかない。
かなり手応えのある問題集で、大きく「法令編」と「技術編」に別れているが、技術編は数学的にも難しく、何度も挫折しそうになった。


採石業問題集

それでも、ダラダラと3ヶ月ほどかけて10月2日までに1度目を終えて、2度目を10月6日までに終え、3度目を10月9日までに終えた。
3度目のときには、できなかった問題に付箋を貼っていて、9日の夜中にすべての付箋をはがし終わった。


10日の午前中に、安曇野市にあるふれあいホールで試験だった。
当日は朝から風邪気味で、長野から高速道路の運転をしていると、体が所々だるくて、痛かった。


試験会場につくと、駐車場はほぼいっぱいだった。
きっとこんなマイナーな試験を受けるのは10人くらいしかいないだろうと勝手に思っていたのだが、実際には60人近くが受けに来ていた。


試験自体は2時間もあり、時間配分の心配は不要な試験だ。
多くの人は1時間も経たないうちに帰ってしまう。
問題集と同じ問題が出れば、100%解く自信があったが、そういう訳にはいかない。
微妙に知らないことを聞かれて、4つの選択肢から2つまでは簡単に絞れるけど、そこから先がわからない、という問題が多かった。


時間だけはたっぷりあるので、終わった後もう一度解き直した。
どこで選択肢を迷ったのか、メモ書きを残して、それから技術編の計算問題は計算式をきれいにまとめた。
それだけしても、30分以上時間が余っていたので、帰ることにした。
周りには、もう15人ほどしか残っていなかった。


試験のできは、ボーダー線上。
でも、できる限りのことはしたんだからと諦めがつくほど、最後は僕もよく勉強をした。


仕事は3時まで休みを取っていたので、帰る途中で戸倉上山田温泉の万葉超音波温泉に寄っていく。

風邪でノドと体の関節が痛かったのだが、不思議と温泉に入ると痛みがなくなる。
ゆっくり温泉に入ってから職場に行った。


その日の夜は、以前から約束していたスナックに飲みに行った。
この頃には、完全に風邪にやられていて、頭がぼんやりして関節が痛かった。
「なんだか眠そうな顔をしてますよ。」
女の子にそう、声をかけられて、12時頃に家に帰った。


翌朝は、8時に起きたが、まだ体が痛い。
玄米100%の朝食を食べて、それからまた寝た。
夕方になってようやく起きて、DVDで「キッチン・ストーリー」という映画を観た。


キッチンストーリー

スウェーデンの家政学の調査隊が、ノルウェーにやってくる。
ノルウェーの独身男性の台所での行動パターンを調べるためだ。
調査員のフォルケは、イザックという老人の観察にあたる。
観察においては「会話禁止」、「交流禁止」。
最初は敵対心がかいま見えるほど険悪な2人だったが、だんだんとうち解けていく。


キッチンストーリー2

出だしから退屈で、途中も退屈で、何度も観たまま寝そうになったけれど、最後まで観た。
キッチンの皿やトレーをかけておく棚が素敵で、いいインテリアだなあ、なんてストーリーに関係ないところに注目していた。


でも、見終わってすごくじーんと来た。
ロマンスがあるわけでも、何かに成功するわけでもないこの映画。
ただ失うだけの生活なんだけれど、男の静かで深い友情と悲しみを、ゆっくりと撮っている。
こんなに辛抱強い映画を撮る監督や、会社は立派だと思う。
もし俺がプロデューサーだったら、この映画の価値を最後までわからないまま、脚本を読んだだけで捨ててしまう。
最後まで観て、でも本当によかった。


日曜日には絲山秋子の短編集「ラジ&ピース」(講談社)を読んだ。

ラジ&ピース

主人公はフリーアナウンサーで、コンプレックスの固まりのへそ曲がりの女だ。
年は32歳。友達も一人もいないし、恋人もいない。欲しくもないと強がっている。


「キスは嫌い」
「なんで」
「不衛生な感じがする」
そんな風に始まった不器用な恋も、数ヶ月で終わる。終わらせたといった方がいいかもしれない。


仕事はできる。
フリーのアナウンサーとしての仕事は完璧。
絲山秋子さんの本を読んでほっとするのは、音楽のセンスが優れていることだ。
ロックにしろ、ポップスにしろ、選ぶ曲がいい。
主人公が「ロッキング・オン」を毎号買っていて、高校の頃から知らない音楽を聴くのが好きって設定だったら、そうせざるを得ないのだろうけれど。


そんなに薦めないけれど、俺は、こういうへそ曲がりで仕事ができる女ってのは、かなり好きで、でも現実にはあんまり会ったことがなくて、さびしいことだ。


本に一緒に載っている「うつくすま ふぐすま」は男と別れる話しだ。
よく女の子は別れるのは悲しいことだというけれど、今まで僕は半信半疑でいた。
別れると決めたときの女の子はすごく楽になったように見える。
僕も女の子の思いが両肩からはずれたような気がして、ちょっと嬉しいような気もする。


この話しは、そんな開放感を正面から書いた話しで、決して多くの人に受け入れられる小説じゃないし、作品としてもいい出来だとは思わないけれど、こういうコンセプトで女の人が小説を書いているってことが気に入った。


月曜日になっても体の痛みは消えない。
熱もないのに、こんなに体が痛いのはなぜだろう、と思っていた。
ノドも痛いままだ。
「エルマーのぼうけん」を英文で読もうと思っていたんだけど、1ページも読まないうちに挫折してしまう。


「でも、どうして熱はないってわかったんだっけ?」
よく考えてみたら、熱を測ってなかった。熱がないなんて、思いこみだったのだ。
測ってみたら38度近くの熱があった。
ショックで寝込む。


起きたとき、少し気分がよかったので、コンビニに行き、梅酒を買ってくる。
溶かして飲む風邪薬の「ドリスタン」をお湯に溶かして、梅酒で割って飲んだらとてもおいしくて幸せな気分になった。


そしてそのまま眠った。
寝ながら、最悪の連休だったなって思った。

月曜日と火曜日の夜、2日かけてDVDで「セクレタリー(秘書)」という映画を観た。
自傷癖があり、自分を傷つけるための裁縫箱と治療用のバンドエイドを手放せない女性が、弁護士事務所で働き始めるという話しだ。


セクレタリー


彼女には彼もいるのだが、優しい彼とは違う、働き先の厳しい弁護士に惹かれてしまう。
その弁護士は、タイプミスをした箇所を大きく赤いペンで囲み、彼女を叱りつける。
なぜ、一人で職場に来られないんだ!何だその服装は!ウォークマンは持ってくるなと言っただろう!髪の毛をいじるな!
弁護士の叱り方はだんだんとエスカレートしていく。
机の上に、タイプミスをした紙を置き、立っている秘書に、その紙の両側に肘をつくように命じる。
突き出した格好になった尻を弁護士は叩く。
秘書があとから叩かれた尻を鏡に映して見ると、真っ赤に腫れ上がっている。
そしてその秘書はそれを見て激しく欲情するのだ。


セクレタリー


精神的に不安定だったMの女性が理想的なSの男性と出会って、心の平穏を取り戻す、そんな純愛?映画だ。
運命的な出会いって、こういうことだよなあって思った。


俺はでも、同じタイプの映画では、やっぱり「理髪店主の哀しみ」の方が好きだ。

理髪店主の哀しみ

水曜日は職場の飲み会だった。
係で一番、もてる男が「俺あてに送ってきたFAXにご短刀者様って書いてあったんだよ。きっと、わざと担当と短刀を間違えたんだよ。失礼だ」などと言う。
「それって、どこら辺が失礼なわけ?俺のは短くなんかない。長くて太いって意味?」
「牛刀様だったら失礼じゃないんだ。」
あまりにくだらない会話で笑ってしまう。


職場にときどきマンションを買いませんか?とか先物取引をしませんか?という電話がかかってくる。
それで少し腹立たしく思っていた。
昼休みに電話をとったら「投資話なんですが」と突然話し始めたので、ついむっとした。
「投資話?」威嚇したら「いえ。あの。東芝なんですけど」だって。
聞き間違いや、誤変換ってよくあることだよな。


木曜日はちょっとした地元のパーティーがあって、多くの偉い人と会った。
久し振りに会えて、親切に声をかけてくれる人もいたし「君はまだ結婚していないのか?お母さんを安心させてあげなさい」などとお叱りを受けたりもした。
ホテルの料理はとてもうまかったし、パーティーも最後は全員で「ふるさと」なんかを歌ったりして、ちょっと不思議な気がしたけど、それなりに楽しかった。


金曜日は早めに家に帰って、採石業務管理者の試験勉強をするつもりだったけれど、やっぱり全然しない。
前にTどんと会津に旅行したとき、Tどんが「桃太郎電鉄USA」にはまっているのを不思議な気持ちで見ていたけれど、自分がはまってしまい。夜遅くまでずっとゲームをしていた。


桃鉄USA

土曜日は朝からしっかり勉強をするはずが、DVDで「ジェイ・チョウを探して」という香港の映画を観たり、「桃太郎電鉄USA」をしたりしてなかなか勉強までたどり着かない。


ジェイ・チョウを探して

「ジェイ・チョウを探して」という映画は、こんなストーリーだ。
田舎町で暮らしているポポという少女が、恋人と別れる。
その恋人とはじめて寝たあと、午後ずっと聴いていた曲がジェイ・チョウというアーチストの、すべての曲が終わってから7分後にかかる「隠された曲(hidden track)」だった。
アルバム自体が500枚しか作られなかったため、その曲は幻の名曲で、彼女はその曲を姉のいる香港で探す…。


映画自体は、センスが古くさくて、まるで裕次郎の時代の映画を観ているようだった。
裕次郎の映画は本人もイカしている、と思っているんだろうけど、今の時代に見るとイタい。
そんな感じで、この映画もイケてるつもりで撮っているんだろうけど、全然イケてない。CGやアニメにも無駄が多い。おしゃれじゃない。


この映画が救われているのは、ポポという女の子の不思議な魅力だ。
決して美人ではないけれど、どこか惹かれる。
思春期の女の子ってこんななんだよなあって思い出す。


中学生だった頃、女の子がそばを通ると甘いような匂いがするので、不思議に思って隣の席の女の子に聞いたことがある。
「どうして女の人ってみんないい匂いがするの?」
その子は少し考えて、僕に諭すように言った。
「それは、仕方がないの。」


この映画を観ているときも、この女の子のどこにそんな魅力があるんだろうって考えた。
「それは、仕方がないの。」
そんな声が聞こえてくるようだった。


結局土曜日は、ほとんど勉強をしなかった。
自己嫌悪に陥りそうだった。


最近、携帯電話の調子が悪い。
2つ折りの携帯電話なのだが(ソフトバンクの922SH)、電話をかけようとすると電源が落ちたり、メールを何度削除しても、1時間ほど経つと復活してしまう。


ソフトバンクの支店に持って行った。
「8月に買ったばかりの携帯電話なんだけど1日に何度も電源が落ちるんです。ほかにもいろいろと不都合なことが。」
「そうですか。」
目の前でその状態を示そうとするが、たまたま電源が落ちない。
「本当に何度も落ちるんです。今は大丈夫ですけど。」
「壊れていると言っても再現性がないものは受付できません。」
「再現性…。ほかにもこういう状態の人っていないんですか?」
「いません。あなただけです。」
不親切で不誠実な態度にすごく腹が立ったけれど、仕方がない。
結局、電話機を渡すこともないまま、家に戻った。


ソフトバンクの故障受付に電話をする。
「たぶん、電源の接触が悪いのだと思います。電池ボックスの金属端子の部分と電池の金属部分を乾いた布で拭いてみてください。それで、直らなければ、再度電話をしてください。」
それで直るのかなあって思ったけれど、やってみたら直ってしまった。
今までの苦労は何だったんだ?と思った。


落ち着いて考えてみた。
電気製品の故障は「まず電源から疑え」というのは鉄則だし、症状から考えても電源に原因がありそうなことはわかりそうなものだ。
電池の残量が常にフルだからと言っても、非接触の時間がないというわけではないのだ。
理屈はわかっていても実践できなかった自分に対してバカだなあって思った。


もちろん、点検すらしようとしなかったソフトバンクの店員の応対は最低の部類だと思うし、本当の故障でも「再現性がない」の一言で片付けられそうだけど。
保証期間内は故障受付自体をしなくてすむように、そういう対応をしろというマニュアルでもあるのだろうか?


でも、もうそんなこともどうでもいいことだ。
来週の金曜日が試験だというのに、日曜日もそれほど勉強は進まなかった。
まだ数時間あるから、今からでも頑張って欲しい。
少しはやる気を出せよな。俺…。

月曜日の仕事帰りに、千石劇場に寄って蒼井優の「百万円と苦虫女」という映画を観た。


百万円と苦虫女

http://nigamushi.com/

特にいい映画でも悪い映画でもない。人にも勧めない。
成り行きで器物損壊でつかまった女が、誰も自分を知らないところに行きたくなって、百万円貯めては次の場所に行くというルールで各地を転々とする物語だ。
苦虫女というタイトルではあるけれど、蒼井優は愛想がなくても十分に魅力的で、苦虫女というタイトルには似合わない。
器物損壊罪という罪のへなちょこさもあって、「前科者」だからと社会に叩かれるという設定が、僕には無理があるように思えてならなかった。
「やむを得ずに人を殺してしまい、百万円を貯めて各地を転々とする、弟には優しいが、性格の悪い女」くらいじゃないとなあ。
蒼井優には、こんなアイドル映画のようなぬるま湯につかったようなストーリーでなく、もっとギリギリの状況を演じて欲しい。
彼女にはそれだけの演技力と美しさがあると思う。


火曜日の秋分の日は、日曜日に受けるTOEICの試験のために、朝からだらだらと英語の問題集を解いていた。
すぐに飽きるので、10分勉強しては30分休み、また10分勉強しては40分休み…という感じだった。
夜の8時頃になって、ようやく本気で英語の勉強をする気になって、それからは真剣に勉強をした。


水曜日は早く帰ることができたが、木曜日と金曜日にはいくつもの課にまたがる大きな仕事が発生し、英語の勉強どころではなくなった。


すべての課に大量の資料作成を依頼しなければならないので、とりあえず金曜日に会議を開くことになり、木曜日は久し振りに残業をして、同僚と会議の準備をした。


そして金曜日。
男ばかりの会議で、誰も誰かにいいところを見せる必要がないからなのだろうか。
僕だけなのかと思っていたが、誰もが仕事が嫌いらしい。
真剣な顔で30人近い男たちが「それはそちらでやればいいのでは…」などと互いに仕事を押しつけあう様子は、実に醜いものだ。
僕もたっぷりと背負わされ、会議の後も他の課に呼ばれ「おまえがやればいいじゃないか。俺たちよりおまえが頑張ればいいんだ」などとさらに押しつけられた。


自分に仕事が来ないように、上司に、仕事を受けなくてもいい理由を資料にしてそっと差し入れる部下、というのを目の当たりにして、その気持ち悪さに「俺がやる」と言い切ってしまって余計に仕事を抱え込んだりした。
金曜日は他の仕事でもいろいろなところからご指名を受けて、あちこち走り回って話しをつけた。


「今日は疲れたなあ。」
7時過ぎに職場を抜け出して、屋上で、同僚とタバコを吸う。
遠くに国道を走っていく車のヘッドライトが見える。
なんだかきれいだな、と思ったりする。


ストレスが溜まるとキレて電話の受話器を叩きつけたり、怒鳴り出す同僚がいるのだが、彼も最近は仕事が立て込んできている。
タバコを吸いながら、今日、彼がもう少しでキレるところだったという話しで盛り上がる。
「俺が電話で交渉しているときに、彼がキレそうになったら、みんな逃げちゃうんだもん。ちょっと他の課に行ってきます、とか言ってさあ。」
「ふざけてるよなあ。」
疲れているので、そんな話しでもおかしくて仕方がない。
「俺もいつ受話器が叩きつけられるかビクビクしながら話してるんだよ。で、今度は電話機のつながりが悪いってまたキレそうになるしさあ。それはおまえが原因だろってツッコミたくなるんだけどさあ。」
「おまえが受話器を叩きつけるからだろって。」
2人でゲラゲラ笑っていた。


土曜日は、真剣に英語の勉強をする予定だったが、時間が経つにつれて意欲がトーンダウンし、午後になってからはDVDで「迷子の警察音楽隊」というイスラエルの映画を観た。


迷子の警察音楽隊

エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊が、イスラエルの文化局からアラブ文化センターの開所にあわせて招待される。
ところが、空港で待っていても誰も出迎えに来ない。
仕方がなくバスで行くことになるのだが、楽団員が聞き間違えて、目的地によく似た名前の小さな全然違う街にたどり着いてしまう(ペタハ・ティクヴァ市が正しく、着いたのはベイト・ハティクヴァ市)。


オープニングはこんな字幕から始まる。
「かつてエジプトの警察音楽隊がイスラエルへ来た。覚えている国民は少ない。大したことじゃなかった。」


画面の切り方がオープニングからとてもうまくて、静かなユーモアと優しさにあふれた映画だ。
カメラがうまくて、印象深いシーンが多い。
空港のバス乗り場で立って待っている音楽隊。
砂漠のなかの小さな街の寂しい道を大きな楽器を引きずりながら、歩いていく音楽隊。
ローラースケート場で、カップルの誕生を助けてやる楽団員。
お世話になったマダムとの別れ、…などなど。
実直な楽隊長の人生の重みも感じる。

エジプトの音楽は、曲調といい歌詞といい、演歌のようだった。
俺は観ながら何度も「こういう映画が観たかったんだよ」って思った。
僕はこういう哀しくて、ユーモアがあって、静かな映画が大好きだ。


映画のなかでエジプト人もイスラエル人も母国語のように自由に英語を操っているのには驚いた。
俺ももっと英語を勉強しようって思った。
バグダッド・カフェじゃないけれど、世界のどこかには、僕にとって今よりましな場所がきっとあると思っているから。


バグダッドカフェ

映画を観てからは少し真面目に勉強したけれど、思っていたよりは進まなかった。
それでも、火曜日から「新TOEIC TESTリーディング スピードマスター」(Jリサーチ出版)、「新TOEIC TEST英文法スピードマスター」(Jリサーチ出版)、「新TOEICテスト完全攻略入門編」(高橋書店)の3冊の問題集をやり始めて、土曜日の夜の1時30分には、そのすべてをとりあえずだけど終わらせることができた。


新TOEIC TESTリーディング スピードマスター

新TOEIC TEST英文法スピードマスター

新TOEICテスト完全攻略入門編

日曜日は朝9時に起きて、任天堂DSで久し振りに「TOEIC TEST DS トレーニング」の実力テストをやってみた。


TOEICTEST


あれだけ勉強したのに全然、解けなくて、予想点数は560点。
すっかり落ち込んだ。
「これなら、前回の方がまだましじゃないか。」


試験会場までの車のなかで、ハード・ファイのアイ・シャル・オーヴァーカム(俺は克服してやる)を大音量でかけながら、元気を絞り出した。


ハードファイ

この日のTOEICの試験には、僕の友達も受けに来ているはずだった。
試験が終わった後、お茶でもしようってことになっていた。
もしかしたら、同じ教室で受けることになるかもしれないな、とは思ったけれど、まさか隣同士になるとまでは思っていなかった。
「頑張ろうね。」
互いに励まし合って試験を受けた。


試験のできは、精一杯頑張ったけれど、それほどできたように思えなかった。
それでも、最後の問題まで、時間はギリギリだったけれど解くことができて、そのことはとても嬉しかった。
前回は、最後の問題までたどり着くことすらできなかったから。


長野日赤の前のロイヤル・ホストでその友達とお茶をして、ケーキを食べた。
「最近、何してるの?」
「ニュージーランドにワーホリに行くって話しはどうなったの?」
僕が何か聞くたびに、ハッと息をのむ彼女を見ていると何かいけないことを聞いてしまったような感覚になる。
「僕も一応、勉強したんだよ。今回は。今週になって3冊問題集を解いたし。」
そういうと彼女は「私は会場に来ていた人や、いろんな人に謝りたい。全然、勉強していませんでした」などと言うので笑ってしまった。


5時頃に彼女とは別れて、家に帰った。
疲れてはいたけれど、問題を最後まで解けたことでなんだか嬉しかった。
どうせ点数は大したことがないだろうけれど「俺、今回の試験はちょっと頑張ったよな」って思った。
誰もほめてくれないけれど、僕は僕を知っている。
いろいろあったなかで、俺にしては頑張った方だ。


明日からは「採石業務管理者試験」に向けての勉強を始める。
健康診断のようなTOEICの試験とは違い、今度の試験は、受かるか落ちるかの本当の試験だ。
思っていたよりかなり難しい試験だし、残された日も少ないけれど、落ちたくない。
今日はゆっくり休んで、でも、明日からは真剣に取り組みたい。