月曜日の仕事帰りに、千石劇場に寄って蒼井優の「百万円と苦虫女」という映画を観た。


百万円と苦虫女

http://nigamushi.com/

特にいい映画でも悪い映画でもない。人にも勧めない。
成り行きで器物損壊でつかまった女が、誰も自分を知らないところに行きたくなって、百万円貯めては次の場所に行くというルールで各地を転々とする物語だ。
苦虫女というタイトルではあるけれど、蒼井優は愛想がなくても十分に魅力的で、苦虫女というタイトルには似合わない。
器物損壊罪という罪のへなちょこさもあって、「前科者」だからと社会に叩かれるという設定が、僕には無理があるように思えてならなかった。
「やむを得ずに人を殺してしまい、百万円を貯めて各地を転々とする、弟には優しいが、性格の悪い女」くらいじゃないとなあ。
蒼井優には、こんなアイドル映画のようなぬるま湯につかったようなストーリーでなく、もっとギリギリの状況を演じて欲しい。
彼女にはそれだけの演技力と美しさがあると思う。


火曜日の秋分の日は、日曜日に受けるTOEICの試験のために、朝からだらだらと英語の問題集を解いていた。
すぐに飽きるので、10分勉強しては30分休み、また10分勉強しては40分休み…という感じだった。
夜の8時頃になって、ようやく本気で英語の勉強をする気になって、それからは真剣に勉強をした。


水曜日は早く帰ることができたが、木曜日と金曜日にはいくつもの課にまたがる大きな仕事が発生し、英語の勉強どころではなくなった。


すべての課に大量の資料作成を依頼しなければならないので、とりあえず金曜日に会議を開くことになり、木曜日は久し振りに残業をして、同僚と会議の準備をした。


そして金曜日。
男ばかりの会議で、誰も誰かにいいところを見せる必要がないからなのだろうか。
僕だけなのかと思っていたが、誰もが仕事が嫌いらしい。
真剣な顔で30人近い男たちが「それはそちらでやればいいのでは…」などと互いに仕事を押しつけあう様子は、実に醜いものだ。
僕もたっぷりと背負わされ、会議の後も他の課に呼ばれ「おまえがやればいいじゃないか。俺たちよりおまえが頑張ればいいんだ」などとさらに押しつけられた。


自分に仕事が来ないように、上司に、仕事を受けなくてもいい理由を資料にしてそっと差し入れる部下、というのを目の当たりにして、その気持ち悪さに「俺がやる」と言い切ってしまって余計に仕事を抱え込んだりした。
金曜日は他の仕事でもいろいろなところからご指名を受けて、あちこち走り回って話しをつけた。


「今日は疲れたなあ。」
7時過ぎに職場を抜け出して、屋上で、同僚とタバコを吸う。
遠くに国道を走っていく車のヘッドライトが見える。
なんだかきれいだな、と思ったりする。


ストレスが溜まるとキレて電話の受話器を叩きつけたり、怒鳴り出す同僚がいるのだが、彼も最近は仕事が立て込んできている。
タバコを吸いながら、今日、彼がもう少しでキレるところだったという話しで盛り上がる。
「俺が電話で交渉しているときに、彼がキレそうになったら、みんな逃げちゃうんだもん。ちょっと他の課に行ってきます、とか言ってさあ。」
「ふざけてるよなあ。」
疲れているので、そんな話しでもおかしくて仕方がない。
「俺もいつ受話器が叩きつけられるかビクビクしながら話してるんだよ。で、今度は電話機のつながりが悪いってまたキレそうになるしさあ。それはおまえが原因だろってツッコミたくなるんだけどさあ。」
「おまえが受話器を叩きつけるからだろって。」
2人でゲラゲラ笑っていた。


土曜日は、真剣に英語の勉強をする予定だったが、時間が経つにつれて意欲がトーンダウンし、午後になってからはDVDで「迷子の警察音楽隊」というイスラエルの映画を観た。


迷子の警察音楽隊

エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊が、イスラエルの文化局からアラブ文化センターの開所にあわせて招待される。
ところが、空港で待っていても誰も出迎えに来ない。
仕方がなくバスで行くことになるのだが、楽団員が聞き間違えて、目的地によく似た名前の小さな全然違う街にたどり着いてしまう(ペタハ・ティクヴァ市が正しく、着いたのはベイト・ハティクヴァ市)。


オープニングはこんな字幕から始まる。
「かつてエジプトの警察音楽隊がイスラエルへ来た。覚えている国民は少ない。大したことじゃなかった。」


画面の切り方がオープニングからとてもうまくて、静かなユーモアと優しさにあふれた映画だ。
カメラがうまくて、印象深いシーンが多い。
空港のバス乗り場で立って待っている音楽隊。
砂漠のなかの小さな街の寂しい道を大きな楽器を引きずりながら、歩いていく音楽隊。
ローラースケート場で、カップルの誕生を助けてやる楽団員。
お世話になったマダムとの別れ、…などなど。
実直な楽隊長の人生の重みも感じる。

エジプトの音楽は、曲調といい歌詞といい、演歌のようだった。
俺は観ながら何度も「こういう映画が観たかったんだよ」って思った。
僕はこういう哀しくて、ユーモアがあって、静かな映画が大好きだ。


映画のなかでエジプト人もイスラエル人も母国語のように自由に英語を操っているのには驚いた。
俺ももっと英語を勉強しようって思った。
バグダッド・カフェじゃないけれど、世界のどこかには、僕にとって今よりましな場所がきっとあると思っているから。


バグダッドカフェ

映画を観てからは少し真面目に勉強したけれど、思っていたよりは進まなかった。
それでも、火曜日から「新TOEIC TESTリーディング スピードマスター」(Jリサーチ出版)、「新TOEIC TEST英文法スピードマスター」(Jリサーチ出版)、「新TOEICテスト完全攻略入門編」(高橋書店)の3冊の問題集をやり始めて、土曜日の夜の1時30分には、そのすべてをとりあえずだけど終わらせることができた。


新TOEIC TESTリーディング スピードマスター

新TOEIC TEST英文法スピードマスター

新TOEICテスト完全攻略入門編

日曜日は朝9時に起きて、任天堂DSで久し振りに「TOEIC TEST DS トレーニング」の実力テストをやってみた。


TOEICTEST


あれだけ勉強したのに全然、解けなくて、予想点数は560点。
すっかり落ち込んだ。
「これなら、前回の方がまだましじゃないか。」


試験会場までの車のなかで、ハード・ファイのアイ・シャル・オーヴァーカム(俺は克服してやる)を大音量でかけながら、元気を絞り出した。


ハードファイ

この日のTOEICの試験には、僕の友達も受けに来ているはずだった。
試験が終わった後、お茶でもしようってことになっていた。
もしかしたら、同じ教室で受けることになるかもしれないな、とは思ったけれど、まさか隣同士になるとまでは思っていなかった。
「頑張ろうね。」
互いに励まし合って試験を受けた。


試験のできは、精一杯頑張ったけれど、それほどできたように思えなかった。
それでも、最後の問題まで、時間はギリギリだったけれど解くことができて、そのことはとても嬉しかった。
前回は、最後の問題までたどり着くことすらできなかったから。


長野日赤の前のロイヤル・ホストでその友達とお茶をして、ケーキを食べた。
「最近、何してるの?」
「ニュージーランドにワーホリに行くって話しはどうなったの?」
僕が何か聞くたびに、ハッと息をのむ彼女を見ていると何かいけないことを聞いてしまったような感覚になる。
「僕も一応、勉強したんだよ。今回は。今週になって3冊問題集を解いたし。」
そういうと彼女は「私は会場に来ていた人や、いろんな人に謝りたい。全然、勉強していませんでした」などと言うので笑ってしまった。


5時頃に彼女とは別れて、家に帰った。
疲れてはいたけれど、問題を最後まで解けたことでなんだか嬉しかった。
どうせ点数は大したことがないだろうけれど「俺、今回の試験はちょっと頑張ったよな」って思った。
誰もほめてくれないけれど、僕は僕を知っている。
いろいろあったなかで、俺にしては頑張った方だ。


明日からは「採石業務管理者試験」に向けての勉強を始める。
健康診断のようなTOEICの試験とは違い、今度の試験は、受かるか落ちるかの本当の試験だ。
思っていたよりかなり難しい試験だし、残された日も少ないけれど、落ちたくない。
今日はゆっくり休んで、でも、明日からは真剣に取り組みたい。