月曜日の朝、寝ながらNHKラジオで基礎英語1を聴いていたら、突然、音が飛んだ。
「ラジオ放送って時間が決まっているんだから、音飛びしちゃったら、困るよな。」なんて思いながら寝ていた。
いつもより早く終わったような気がする。
どうするのかなあ?基礎英語2がいつもより早く始まるのかなあ?なんて思ったけれどそんなことはなく、その間のつなぎに音楽が流されていた。
「そりゃそうだ。」って寝たまま思った。


最近、再び仕事が忙しくなり、12時前には帰れなくなった。
家に着いて、風呂に入り、本を読む。
風呂から出るともう1時近い。


あまり寝ないでいると、かえって目がさえてしまうことがある。
眠くならないときは、バランタインというウイスキーをラッパ飲みする。


My Kiasu Life in JAPAN-バランタイン

先日、そうやって飲みながらふと、「なぜ宇宙は膨張するのか」という仮説を思いつき、熱心にその思いつきをメモした。
「物体が移動した体積*距離により、新たな空間を創造する」という説だったが、あとで読み返してみたら理屈が穴だらけで、とても読めるようなものではなかった。
そんなふうにしながらバランタインをしばらく飲むと、たいてい、死んだように眠れる。


先日、バランタインがとうとう空になってしまったので、以前から置いてあった日本酒の一升ビンを取り出してみた。
自宅で一升瓶を開けるのは初めての経験だった。
蓋が、こんなに固いものだとは知らなかった。
マイナスドライバーをテコのように使って、なんとか蓋を開ける。


とっくり?そんなものが俺の部屋にあるわけがないので、コップ?も面倒なので、いつものようにラッパ飲みをしてみた。
日本酒は妙に甘くて、このまま寝たら虫歯になりそうだなって思った。
それから一升瓶はやっぱり、重いなって思った。
この話を同僚にしたら「すさんだ生活を送っていますね。」なんて言われた。
もう一升瓶のラッパ飲みなんてしない。
ラッパ飲みするならバランタインに限る。


土曜日も出勤で、午後2時頃に職場に行ったら、もうみんな来ていて遅いくらいだった。
「10時までは働く」なんて言っている人もいた。

残業代も出ないのに、みんなよく働くよ。
窓の外は春めいた光に満ちていて、「こっちは楽しいよ」って呼びかけているかのようだ。
鳥が窓の外から不思議そうに僕たちを眺めている。
どこをどう間違えちゃったんだろうな。
人生を考えるとき、いつも失敗したという思いに駆られてしまう。


パーシヴァル・ワイルドの「検死審問-インクエスト-」(創元推理文庫)を読み終わった。


My Kiasu Life in JAPAN-検死審問

1951年に出版された本で、ミステリー小説の古典である。
道徳的な小説で名声を得た女流作家の家のパーティーで殺人事件が起きる。
その事件の真実を裁判のなかで明らかにしていくスタイルなので、ほとんどのストーリーは会話である。
当時は斬新な手法だったのかもしれないし、ユーモアも当時としては優れていたのだろう。
江戸川乱歩が絶賛したらしいが、高度なユーモアや頭脳を駆使する現代のミステリーを知っている僕には面白みがよくわからなかった。


ジェフリー・アーチャーの「プリズン・ストーリーズ」(新潮文庫)も読み終わった。

My Kiasu Life in JAPAN-プリズン・ストーリーズ

9編からなる短編集だが、訳者のせいなのかアーチャーのせいなのか、往年の輝きはない。
それでも「この水は飲めません」「ソロモンの知恵」「この意味、わかるだろ」の3編は面白かった。
「この水は飲めません」は、こんな短編だ。


サンクト・ペテルブルグの5つ星ホテルの洗面台に、「この水は飲めません」と書かれた小さなプラスチック・カードがあった。
妻を殺そうとした大金持ちの男は、このプラスチック・カードを隠し、妻にこの水を飲ませ続ける。
妻に渡すエビアンもこの水に詰め替える周到ぶりだ。
そして、妻は病気になる。
彼は幸せになったのだろうか…(結末は**おまけ**に書いておきます)。


この本は作者であるアーチャー自身が牢獄に入れられたことをきっかけに、書かれている。
そんな環境であっても、人は知性を放棄せず、伸びたいと思えば、伸びることができるのだと、彼の本は語っているように思う。


DVDでスター・ウォーズの「エピソード1 ファントム・オブ・メナス」を観た。


My Kiasu Life in JAPAN-エピソード1

もともとそうだったと言われればそれまでだが、大人が観て感心するような映画ではない。

そもそも共和国と連合軍の争いは税金の賦課が原因だったと知ってびっくりした。


My Kiasu Life in JAPAN-ファントム・オブ・メナス1
(ファイナル・ファンタジーの風景によく似ている)


My Kiasu Life in JAPAN-ファントム・オブ・メナス2
(うーん。この着ぐるみが異星人だって言い張られてもなあ)


My Kiasu Life in JAPAN-ファントム・オブ・メナス3

(長いビームサーベルを持った方が勝つと思う。)

観ながら「ジェダイの帰還」の頃から違和感はあったんだよな、って思い出した。
僕は「帝国の逆襲」が好きだった。でも、もうそれも昔の話しだ。


My Kiasu Life in JAPAN-帝国の逆襲1

(なんだかほっとする昔のスター・ウォーズ)

My Kiasu Life in JAPAN-帝国の逆襲2

(登場人物のなかでは、R2D2(左側の機械)が一番好きだった)

漢字検定の試験が迫って来つつあるが、行きの電車の中でも本ばかり読んでいて、まったく勉強する気配がない。
酔っぱらった状態で申し込んだので、メールアドレスを間違えて登録したのだろう。
オンラインで登録したのに受け付けたのという返事すらなく、漢字検定を受けられるのかどうかさえ、実はよくわかっていない。
仕事は忙しいし、俺、なにやってんだろって焦ることばかりだ。


**おまけ**


(この水は飲めません の結末)


妻が病気になったと聞いたホテルのフロントは、医者を呼ぶかどうか主人に聞くが彼は断る。
翌朝、夫の企みどおり、妻は死んでいた。
死因はシベリウス病。水道水が汚染されているため、水道水の飲み過ぎで彼女は死んだ。
そして、夫も死んだ。
この病気はウイルス性のとても感染力が強い病気であるためだった。

昔、東京で仕事をしていた頃、職場の女の子が遅刻した。
「不思議なんですよ。タイムスリップが起きて、瞬きをしたら2時間経っていたんです。」
電話口で彼女は、いかにも不思議そうな口ぶりで言っていた。
「言い訳はいいからさっさと出てこい。」
「いえ。本当なんですって。不思議だ。」
女の子はいつまでもタイムスリップをしたことにこだわっていた。


朝は時間があっという間に経ってしまう。
長いこと不思議だったけれど、朝は体の運動能力が低く、動きが緩慢なために時間を短く感じるのだと、最近、何かのテレビ番組で知った。
細かく、早い動きをする昆虫は、彼らなりに長い一生を楽しんでいるのだと、何かの本で読んだことがある。
そんなものなのかな、なんて思う。


朝6時から英語のラジオ放送を聴くようになってから、朝の準備のスピードが速くなった。
6時から放送は始まり、僕はまだ寝たままだ。
寝ながら、でも頭のなかでは結構ちゃんと聴いている。
「中学校1年生でも、もうこのレベルの英語が話せるのか…」と少し、焦る。
6時30分に目を覚ますと、体の動きが速い。
脳が起きていたせいなのかな、なんて思う。


最近は乗る電車も一本早くなった。
人通りの少ない道を駅まで歩いていくと、景色がいつもよりもきれいに見えるような気がする。


「黄金のままではいられない」というロバート・フロストの詩がある。
「アウトサイダー」というコッポラの映画で使われた詩で、朝の美しさをうたった詩だが、それは青春の輝きにも通じるところがある。


My Kiasu Life in JAPAN-outsiders1
(アイドル勢揃い)


My Kiasu Life in JAPAN-outsiders2

(自首する?は?聞こえねえなあ。)マットディロンの声が聞こえてきそうだ。

My Kiasu Life in JAPAN-outsiders3
(ポニーボーイが詩を朗読するシーン。たぶん、そう。)


「黄金のままではいられない」(訳は僕が適当にした)


萌えいずる緑は、黄金色に輝く。
でもそれを捉えておくことはできない。
萌えいずる葉は、花のようだ。
でもそれも、ひととき。
やがて葉は葉に戻る。
エデンは悲しみに沈む。
朝陽の輝きは、ただの一日になる。
黄金のままではいられない。


朝の通勤途中、そんな詩を思い返したりする。
だからといって何か特別なことがあるわけでもない。
電車が空いているので、2月28日に受験予定の漢字検定2級の試験勉強ができるぐらいだ。
早起きは三文の徳というが、逆に言えば早起きしても、三文程度の利益があるくらいなのだと思う。
自分はするけれど、早起きなんか人には全然勧める気にはならない。


漢字検定2級。
完全になめていたけれど、絶対受かるというレベルに持って行くのは意外と大変だということに気づいた。
そして、僕の漢字力も勉強をするにつれて、逆に落ちてきているような気がする。
つい先日も同僚と話しをしていて恥ずかしい思いをした。
「最近、流行ってるらしいよね。はくとうダイエット。」
「はくとう?桃ですか?」
「ちがうよ。白いお湯って書くんだよ。」
「それ、さゆじゃないですか。」
「あ。」


土曜日も早く起きた。
9時頃、かつての上司から電話がある。
「今日、新聞社の観光地取材がある。夜は泊まりだ。お前の名前で予約も入れてある」などとふざけたことを言う。
観光地取材の話しは、その記者から聞いていた。
でも、お昼にどこかで会って、食事でもしようという程度の話しだった。
「僕も泊まるんですか。」
「当たり前だ。」
「宿泊代は?」
「払わなきゃ、しょうがないだろう。」
「…。」


記者に連絡を入れると、「君も泊まるらしいな」と言う。
「ええ。僕もさっき知りましたよ。」


5時頃に宿泊予定の旅館に着く。
夜は副市長なんて偉い人まで挨拶に来て、ビールや日本酒をたくさん飲んだ。
そして、僕の部屋に戻って、記者や元上司と持って行ったワインを2本空けた。


いつ寝たのかわからなかった。
7時頃に起きると、僕は灰色のセーターとブラックジーンズのままふとんに潜って寝ていた。
まだ酔っているような感じがしたので、地下1階にある風呂に行った。
酔い覚めの時に、一気に気持ち悪くなるのではないかと不安だった。


気持ち悪くならないように体調を元に戻すのは、ハドソン川に飛行機を軟着陸させるよりも難しい気がする、なんて酔った頭で考えていた。


風呂に入ったら、気分がよくなってきた。
風呂をはしごすることにして2階にあがり、今度は2階にある露天風呂に入った。
雪がちらついていて、なかなか風情があった。


誰も起きてこないので、一人で朝食を取った。
僕は部屋番号を間違って記憶していて、人のテーブルで朝食を取っていた。
でも、最後まで気がつかなかったので、全然平気だった。
朝食はとてもうまくて、おかわりを2度もした。


記者はひどい2日酔いだった。
それでも予定していた取材はすべてこなした。
結局、僕も最後まで取材に同行して、記者を長野駅まで送った。


記者を送ったあと、最近買ったマーク・ゴールデンバーグのベスト盤「ザ・ベスト・オブ・マークゴールデンバーグ」の「絵葉書」それから「旅の誘惑」という曲を聴きながら車を走らせる。
こんなに気持ちよく車を走らせることのできる曲も珍しい。


My Kiasu Life in JAPAN-markgoldenberg

夕方、家に帰ると、思ったよりも疲れていた。
記者ほどではないが、僕も体調が完璧ではなかったせいかもしれなかった。

先日、ヒストリーチャンネルで、第2次世界大戦で日本のゼロ戦と戦ったアメリカ軍兵士の体験談を放送していた。


彼の戦闘機と日本のゼロ戦は正面から撃ち合い、互いに撃墜されたのだという。
彼はパラシュートで脱出。海面に着水し、ゴムボートで一晩、海をさまよった。
翌朝、発見され、彼を救うため水上飛行機がやってきた。
水上飛行機は2人乗りで、すでに2人乗っていたので、彼は翼に乗ることになっていた。
彼が翼に乗ると、水上飛行機はバランスを崩してひっくり返り、そのまま沈没。
「遭難者が1人から3人になってしまったんです。」
次の水上飛行機には3人が翼にバランスよく乗り、帰ってこられたのだという。


翌日、この話を同僚とする。
「アメリカだから笑い話ですんでるけれど、日本だったら責任問題になるよな。」
「貴重な飛行機を…。おまえは…ってことに絶対になりますよね。」
「もともと資源に差があり過ぎなんだよな。」
それでも、水上飛行機がひっくり返ってしまったことを想像するとおかしくてたまらなくなり、2人で笑っていた。


木曜日の夜の9時頃、つまらない会議のテープ起こしなどをしていたら、携帯電話が鳴った。
トシオからだった。中学校時代の友達のお母さんが亡くなったのだという。
「そっちじゃ、そういう情報がないと思って。元気にしているのか。」
「ああ。まあな。うーん。元気にしてるんだろうな。」
自分が元気に暮らしているのか、今ひとつ自信がない。


土曜日には実家に帰り、その友達の家にお菓子と香典を持って行った。
線香をあげるとき、お母さんの遺影を見て「ああ、俺もいろいろと世話になったんだなあ。」という気がしてきて「ありがとうございました。」と心のなかで何度もお礼を言った。
久しぶりに見る友達は、寂しそうではあったけれど、元気そうでもあった。
「まだ実感がないんだ。ときどき入院していたから、今でもまだ入院しているんだって気になるんだよ。認めたくないからなのかな?認めなくちゃいけないんだろうけど。」
「そうだよな。でも、しょうがないよな。」
「うん。しょうがない。本当に。しょうがない。」
何と言ったらいいのかあまりよくわからない。


その友達はフラワーデザイナーの仕事をしていて、内閣総理大臣賞を取ったことがある。
今年も3月の全国大会に長野県代表として出るらしい。
「すごいな。そういう才能こそみんなが持ち得ないものなんだから伸ばすべきだよ。」
僕は芸術的な才能がある人は、単純に尊敬してしまう。


実家に帰って、自分の部屋に入ると、あまりの寒さに何もする気がなくなり、温かい布団にもぐって、漆原友紀の漫画「蟲師」10巻(アフタヌーンKC)と河合克敏の漫画「とめはねっ!」4巻(ヤングサンデーコミックス)を読んだ。


My Kiasu Life in JAPAN-ムシ師10

「蟲師」はいつもの高い水準をキープしている。
面白いのに、最終巻なのだそうだ。だれない作者のモチベーションの高さに好感が持てるけれど、「香る闇」の元ネタはさんざん漫画で使われてきた古典的なSFだ。もう少し進化させるなり、工夫があってよかったと思う。


My Kiasu Life in JAPAN-とめはねっ4

「とめはねっ!」は少しは面白くなってきたけれど、底が浅くてわかりやすすぎる。でも、それは僕と感性が合わないだけで、一般的には多くの支持を得ているのかもしれない。


そのほかにも、途中まで読み進めていたとり・みきの漫画「山の音」(チクマ秀版社)と井坂幸太朗の小説「重力ピエロ」(新潮文庫)も読み終わった。


My Kiasu Life in JAPAN-山の音

とり・みきの絵柄を僕はよく知っていると思っていたけれど、この「山の音」はタッチが全く違う。
ストーリー自体はかなり乱暴で、ちょっとひどいなと思うほどだけれど、それでも面白く読み進められるのは、彼が本当に漫画家として実力があるからなのだと思う。


先日ヒストリーチャンネルで、昔、月はもっと地球の近くにあって、その引力によって潮の満ち引きは今よりも強烈で、満ち潮になるたびに何100mとか何1000mといった大津波が襲いかかってきていたのだという(そうして、地球上の陸地から塩分が溶け出し、海は塩辛くなったのだ)。
そういった知識をふんだんに盛ったハードSF漫画を僕は以前から読みたいと思っていて、とり・みきさんが若い頃に、そういった知識を持っていたら、きっと描いてくれただろうに、と悔しい思いがする。
宇宙・気象・地球・時間の最先端の理論を、まともに正面から取り上げた漫画が今までない。まいど1号もうち上がったことだし、微生物分野では「もやしもん」医学では「ブラックジャック」からの系譜があるのだから、そろそろ本格的地学漫画にも期待したいところだ。


My Kiasu Life in JAPAN-重力ピエロ

「重力ピエロ」はなかなか面白かった。話のうまさ、センスのよさ、正確で豊富な知識、人生の達観度などなどは、文句がつけようがなく、特に父親はその胆力といいユーモアのセンスといい、僕には遠く及ばない理想像を描き出していて、「こういう人になりたい」と思った。
でも「ゴールデン・スランバー」を読んだときのような主人公への共感は今ひとつで、読むのに少し疲れた。
弟が主人公である兄を引き込んだ理由も、補欠になったとたんに「これは僕のゲームじゃない」と試合にまったく興味がなくなるという主人公の感覚も、僕には持ち合わせていないもので、よく理解ができなかった。


実家から長野に帰る途中で、ちょっと喫茶店に寄った。
そこから出るときに、建物の基礎部分に車をこすってしまい、ため息をついた。
板金に持って行ったら、凹みはないから塗装だけだけど、5万円近くかかると言われ、さらにため息が深くなった。


反省のために、板金から自分の家まで歩いて帰った。
空気は冷たく、夕日が眩しく、空の青さが心に沁みた。
歩きながら「夕食、何を食べようか…。」って思ったけれど、すぐに「おまえなんか、今日の夕食は抜きだ。リンゴでもかじってろ。」って思って、今日の夕食は抜きにした。

今週は、疲れのせいなのか風邪のせいなのか、体がだるかった。
それでも金曜日は飲みに出かけていった。
おいしいタイ料理を食べて、飲んだ。


店はタイ人が経営している大きな店だったけれど、お客は僕たちしかいなかったので、ストーブの近くにあるソファーに座って食事をした。
生ビールはサーバーのなかが凍っていたみたいで、アイスクリームのような状態で出てきた。
そしてそれはそれでおいしかった。


2日酔いというわけではなかったけれど、土曜日はほぼ一日寝ていた。
汗がたっぷりと出るので、「やっぱり風邪を引いていたのかなあ」などと思う。
そろそろ漢字検定の勉強も始めよう、とは思うものの、なかなかやる気も出ない。
それはまあ、いつものことだけれど。


今週は風呂のなかで広瀬正の「エロス」(集英社文庫)とE・W・ハイネの「まさかの結末」(扶桑社ミステリー)を読んだ。


My Kiasu Life in JAPAN-エロス

「エロス」は、ほのぼのSFという感じで、想像以上につまらなかった。
第二次世界大戦開戦前後の東京の様子を知るにはいいかもしれないけれど、ストーリーはつまらなく、どこが傑作なのか理解ができない。
昔、広瀬正の「鏡の国のアリス」や「マイナス・ゼロ」を面白いと思って読んでいた時期があったけれど、あれは幻だったのだろうか。


「まさかの結末」も、今どきこの程度の話しで驚く奴がいたら、そっちの方がよっぽどまさかだ。
でも、湯船に浸かりながら読むにはこの程度の本がちょうどいいことも事実だ。

My Kiasu Life in JAPAN-まさかの結末

死体安置所で目覚め、心配で家に帰ったら、息子は相続財産のことしか目がなく、妻は浮気をしていた。
頭に来て、息子の隠し持っていた拳銃で妻を撃ち殺し、再び死体安置所に戻って睡眠薬を飲んで死ぬ、そんな男の話だけが斬新だった。


ヴィム・ヴェンダース監督の「都会のアリス」をDVDで見た。
白黒の映画だが、画面から春の、伸びやかな空気というか、怠惰な気持ちを起こさせるような空気を感じる。

僕好みの映画ではないけれど、印象深い作品ではある。


My Kiasu Life in JAPAN-都会のアリス

この映画に出てくるアリスは、9歳。


My Kiasu Life in JAPAN-都会のアリス1


体は子供だが、考えていることはかなり大人びている。

何をどうすれば、大人の男はいうことを聞くのか、彼女はわかっているような気がする。




以前、オーストラリアに行ったとき、友達の家に泊まっていた。


My Kiasu Life in JAPAN-オーストラリア1
※そいつのアパートの窓からは、こんな景色が見える。この写真には写っていないが、右手にハンガーブリッジも見えた。被写体がよければ、俺でもこのくらいの写真が撮れる。


1週間ほどいたが、観光したのは初日だけで、昼間は食事以外は基本的に寝て過ごし、夜は飲みに行ったりカジノに行ったりした。

My Kiasu Life in JAPAN-オーストラリア2

※お腹がすいていたので、ついつい頼みすぎてしまう。奥に見えるエビのフリットは「おまえが頼んだんだからおまえが食え」と罵り合いに発展。信じられない話だが、それを毎回繰り返していた。


My Kiasu Life in JAPAN-オーストラリア3
※この旅行でのベストショット。TOEICの試験に出てきそうな写真でもある。

〔予想問題〕

(A)そのビール瓶は花に囲まれています。

(B)ヨットが売りに出されています。

(C)写真の右側に、ビールのコップが中途半端に写っています。

(D)ビールはもうほとんどありません。

☆正解は(C)。手前の皿も切れていて、実に味のある写真です。


ある朝、俺がトイレに行ったら、友達がちょうど出てきたところだった。
「おお。」
「ああ。」
人間味の乏しい会話をしてトイレに入った途端、あまりの悪臭に吐きそうになった。
「臭すぎだろ!」
文句を言っていたら、友達がトイレに入りマッチを擦った。
その途端、魔法のように匂いが消えた。
「この機能があるから、世の中からマッチはなくならないんだ。」
得意げに語っていた友達の顔が目に浮かぶ。



My Kiasu Life in JAPAN-都会のアリス2

この映画でも、アリスがマッチを持ってトイレに入ってくる。
「何に使うんだ?」
風呂に入ったままの男が聞く。
「匂い消し。」
そんな彼女を見て、僕は「大人だなあ」って思う。


映画を見終わった後、クリーニング店にワイシャツなどを出して、ドライブをした。
斉藤和義が気に入って、最近は車のなかで彼の音楽ばかりを聴いている。


My Kiasu Life in JAPAN-俺たちのロックンロール

「都会のアリス」の冒頭で、フィリップがアメリカの旅行記を書こうと目的地もなく車を走らせる。
そんなドライブを僕もしようと思ったのだけれど…。


結局、あれこれ買い物をしてしまって、アリスがいたら「満足にドライブも楽しめなくて、くだらないものを欲しがるのね」って言われるだろうなあって思った。

職場の暖房は5時になると切られてしまう。
足下に小さな電気ヒーターを置いて、仕事をしているが、それでも寒い。
ひざかけをしながら仕事をしようと、家に着いてからAMAZONでひざかけを検索した。
そして値段が手頃な、カスタマーレビューでも「ふわふわでしっとり」と絶賛の「マイクロファイバー・ブランケット ユニコーン」というのを注文した。


職場に届けてもらい、さっそく使うことにする。
ちゃんと画像を見ていなかったのが失敗だった。
まさかこんなピンクの縁取りの子供向け毛布が届くとは思っていなかった。


My Kiasu Life in JAPAN-ひざかけ

「こんなの腰に巻いて仕事していたら変態だと思われるぜ。」
「大丈夫ですよ。もう十分、変態だと思ってますから。」
「ふざけんな。うるせえよ。」


周りの目を少し気にしながら腰に巻いて、仕事をする。
そしてトイレに行こうと立ち上がったら、「おっさん、今まで仕事してたんじゃなくて猫と遊んでいたんだろ」っていうくらい、ズボンに真っ白な毛が張り付いていた。
「ああ。もう。」
いらつきながらガムテープでズボンについた毛を取っていく。


賢明な人なら、ここでこの毛布を使うのをやめてしまうのだろう。
でも、僕は使う。
どうしてかというと、もう一枚買うのが「めんどくさい」からです。


土曜日から仙台に1泊2日の旅行に行くことにした。
仙台に行くのは2度目だ。
長野から大宮まで新幹線「あさま」に乗り、大宮から仙台までは新幹線「はやて」に乗る。
旅行会社の人がいろいろと考えてくれたので、往復の電車料金は指定席代等すべて込みで18,000円だった。


初めて仙台に行ったのは、東北大学の受験のときだった。
とても受かるような成績ではなく、気持ちもすさんでいた。
受験番号の取り違えでも起きない限り、僕が受かるのは不可能に思えた。
願書を出すのが遅かったので、受けた会場は東北大学ではなく仙台第一高校だった。


朝、ゆっくり食事をして、タクシーを拾った。
「仙台第一高校まで。」
僕が言うと、タクシーの運転手は何しに行くのだと聞いてきた。
「東北大学の受験だよ。」
「何時から?」
時間を言うと、タクシーの運転手は慌てた。
「遅刻するかもしれないぞ。」
「ああ。べつにいいんだよ。」
答えが気に入らなかったのか、それから延々とタクシーに乗っている間、説教をされた。
「入り口まで回っている暇がない。このグランドを突っ切って行け。」
僕は仕方なく、タクシーを降りて、走った。
それで、試験時間には間に合ったけれど、試験はやっぱりほとんどわからなかったので、落ちたのは最初の1教科でわかっていた。


昼には、高校の近くの喫茶店まで食事に行った。
「フレンチ・トーストとコーヒー。」
僕が頼むと、マスターはパンの両面をフライパンで焼いた後、大量の上白糖を袋からだぼだぼとパンの上に落とした。
「なんてことするんだよ。」
溶けかかった上白糖を載せたトーストを前に、僕は腹が立って仕方がなかった。
仙台って本当に東北の田舎なんだ、と思った。
来年はもう受けないようにしよう、と思った。


あの頃のことを思い出すと、当時の自分の生きることの不器用さと甘さに苦い思いがこみ上げてくる。
僕にとっての大学受験は「人生をステップアップするための大切なチャンス」ではなく「いわれもなく無理矢理背負わされた理不尽な重荷」でしかなかった。
だから真剣に向き合うこともなく、それでいて「なんとかなるだろ」と高をくくっていた。
そんな甘い考えだったから、大学は当然すべて落ちた。


そんなことを思い出しながら、新幹線あさまに乗って、伊坂幸太郎の『ゴールデン・スランバー』(新潮社)を読んでいた。


My Kiasu Life in JAPAN-ゴールデン・スランバー

発車まであともう少し、というときになって、座席の後ろの人から突然「今日は大宮の部署まで出張ですか?」といきなり声をかけられた。
振り向くと、隣の課の人だった。
「なんの折衝に行くんですか?」
「行かないよ。俺は今日、旅行に行くんだよ。」
「旅行?経理の人がこんな時期に旅行なんて行っていていいんですか?」
「いいんだよ。うるさいなあ。」
見回すと、僕の知っている人が他にも何人かいた。
仲のいい前の職場の仲間同士で旅行に行くのだという。
「この人は経理の重鎮で、私はもう毎日、いじめられて…。」
紹介されながら、さんざんからかわれた。


少し寝ていこうと思っていたが、『ゴールデン・スランバー』が思っていた以上に面白く、わくわくしながら読んでいた。
こういう国家権力とマスコミを敵に回して、相手を出し抜く話しが僕は好きだ。
ご都合主義的なところもかなりあるけれど、娯楽小説としては、この程度であれば目をつぶる。


仙台駅で友達と会った。
駅舎の外に出ると、デパートやビル群に圧倒される。
「仙台ってこんなに都会だったんだ。」
長野は雪だったが、仙台は快晴だった。
そして、仙台は長野よりもはるかに大きな都市で、比べものにならないくらい洗練されていた。
雪の降るなかを東北地方の田舎に行くのだからと、軽登山靴(&足用のウェイト)を履いてきた僕は少し場違いな感じがした。


去年の8月にオープンしたばかりというパルコに行く。
友達にパルコカードを作らされるが、応対してくれた女の子がかわいい。
「仙台ってかわいい子が多いよなあ。」


昼ご飯に「小判寿司」というかなりきちんとしたお寿司屋さんに行く。
ブドウエビという、初めて見る深い赤色のエビを握ってもらう。
肉厚で濃厚な味がする。


壱弐参(いろは)横町などをぶらついたあと、バスに乗って、瑞鳳殿(伊達政宗の墓)やメディア・テーク(市民会館)などを見る。
瑞鳳殿をお参りしている人のほとんどが若い人だったのには驚いた。
ゲームソフトの関係で、また伊達政宗の人気が高まっているらしい。
伊達政宗が死んだとき、殉死した人が15人もいると知って、その人たちは気の毒だなあって思った。
メディア・テークで売られている本はかなりおしゃれで、センスがいいなあって思った。



My Kiasu Life in JAPAN-瑞鳳殿
※写真下手だなあ。カメラを持つ手が斜めだったので、斜めに撮れました。



夜は、牛タンのタタキを食べに、雅(まさ)という店に行った。
友達が絶賛するように、ここのタタキはおいしかった。
お店の女性も色っぽくてきれいだった。
それから、もう1軒、おしゃれな店に行って飲んだ。


翌日の日曜日には、仙台駅にあるパン屋で食事をした後、松島に行った。
このパン屋で応対してくれた女の子もかわいかった。
一緒に行った友達は、松尾芭蕉が松島に行って「松島や ああ松島や 松島や」という句を詠んだ、というが僕は信じられない。
「そんなこと言い出したら、仙台や ああ仙台や 仙台やってのもありだろ。」
そして、今ネットを調べてみたら、やっぱり芭蕉はそんなセンスのない句を詠んでいない。
当たり前だけど。



My Kiasu Life in JAPAN-松島海岸

※つまんない写真だなあ

松島海岸駅で電車を降りて「仁王丸」という観光船に乗る。
以前ヒストリーチャンネルで、人類がある日突然滅びたときのシミュレーションをやっていたのを見ていたら、人類が滅びると、人間に依存して生活をしているためにカモメも相当数が減るらしい。
仁王丸の後ろのデッキでは、子供たちがかっぱえびせんをカモメにやっている。
船に近づいてきて、子供たちの手からかっぱえびせんを奪って逃げていく。
カモメがかっぱえびせんを食べるのを見ながら、「確かにお前たち、依存しすぎ」って思った。


My Kiasu Life in JAPAN-仁王丸のカモメ

※もうちょっとなんとかならないのかよ。下の子とか、隣のおっさんとか。


松島では、生ガキ、焼きガキ、カキの天ぷらなどを食べた。
いつも思うのだが、東北のカキは、広島やパリやオーストラリアのカキよりもずっとおいしい。


それから仙台に戻って、長野に帰った。


帰りの新幹線では友達のお薦めで、三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」(文春文庫)を読みながら帰ってきた。



My Kiasu Life in JAPAN-まほろ駅前多田便利軒

とても読みやすい本で、半分眠りながら電車で読むには最適の本だった。
この本に出てくる行天という男は、どこか奥田英朗の小説に出てくる伊良部に重なるところがある。
こういうクセのある男が出てくる小説は面白い。
家に着くまでには、ほとんど読み終わっていた。


翌日、旅行を付き合ってくれた友達からメールが来た。


『…それにしても、仙台の感想が「女の子が可愛い」ってことと、「都会だ!!!」ってことだけで、観光に対する熱意はまったく感じられなかったので、次回来る時は、本当にすごいシンプルでいいんだな、って分かりました。もう今すぐ次回のプラン立てられちゃうくらいです。
そして、次回は、90度でお辞儀する可愛いウエイトレスさんを見せてあげたいです。』


次回?
僕がまた仙台に行くのかわからないけれど、でも仙台は僕にとって、なんだかちょうどいいくらいに都会で、センスがよくて、いい街だなあって思った。
でももう仙台で暮らすことは一生ないだろうと思ったら、さびしい気持ちがした。

12月29日に実家に帰った。
テレビを見ないようにしていたら時間ばかりがたくさんあった。
お墓参りをしたり、駐車場代を払いに行ったり、生牡蠣の殻を剥いたり(今年も50個も岩牡蛎が届いた)、細かい買い物なんかを頼まれてしたけれど、基本的には暇だった。
こんなにやることのない贅沢な時間の使い方ができるのは、本当に久しぶりだった。


暇だと、僕は本を読む。
小学生の頃、隣の家に別のクラスの女の子が住んでいて、ときどき僕を見ている、と言っていた。
「僕、何していた?」
「いっつも本を読んでる。」
自覚はあったけれど、人に言われると新鮮だった。
きれいな女の子だったけれど、恋とかには発展しなかった。
大切なストライクを僕はいつも見逃す。


29日から31日までに、漫画2冊と本を6冊読んだ。
漫画は石川雅之の「もやしもん」(講談社イブニングKC)7巻と、浅野いにおの「世界の終わりと夜明け前」を読んだ。


「もやしもん」7巻。


My Kiasu Life in JAPAN-もやしもん7

僕には、あれだけの才能を埋もれさせておく樹教授の教育者としての無能さ、そうでなければ怠慢な態度が許せない。女の子がゴスロリ着ているのも、もういい加減飽きろよって言いたくなる。
僕にはもう「もやしもん」は意味のない豆知識獲得漫画でしかない。


「世界の終わりと夜明け前」。


My Kiasu Life in JAPAN-世界の終わりと夜明け前

浅野いにおの絵はとてもうまいし、本当に天才なんだろうと思う。
でも、いつまでも同じところで足踏みをしているような感じがする。狭い世界の小さな問題をえぐる漫画もいいけれど、もっと大きな視点で、大きな問題を描いてほしい。


本はスティーグ・ラーソンの「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」(早川書房)上・下巻、海堂尊の「チーム・バチスタの栄光」(宝島社文庫)上・下巻、梨木香歩の「西の魔女が死んだ」(新潮文庫)、トルーマン・カポーティ(村上春樹訳)の「ティファニーで朝食を」(新潮文庫)を読んだ。


「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」は世界で800万部を売ったスウェーデン発のベストセラーだ。


My Kiasu Life in JAPAN-ミレニアム1 上

読み始める前に、冒頭に載っている北欧の地図や、ヴァンゲル家の系図、登場人物表を眺めたときには、その広がりの大きさに読み切れるかどうか不安になったものだが、上巻の中ほどから一気に止まらなくなった。


もともと小学生の頃から、僕はスウェーデンの小説が好きだった。
「ニルスのふしぎな旅」も「長くつ下のピッピ」もスウェーデンだ。
少し範囲を広げて北欧ということであれば、アンデルセンから始まって、怒ると髪の毛が逆立ち火花を散らすトールの神が出てくる「北欧神話」まで、小学生の頃にかなりの量を読んだ。
僕の基本的な価値観の一部は「ニルスのふしぎな旅」で形成されたと自覚しているところもあるし、ピッピは当時の僕の憧れだ。


My Kiasu Life in JAPAN-ミレニアム1 下

ミレニアム1に出てくるドラゴン・タトゥーの女ことリスベット・サランデルは、訳者あとがきによれば、長くつ下のピッピがモデルになっているという。
彼女の非凡さはすべてにわたっていて、精神的に問題があるとしても、俺はどうしてもこういう女に憧れてしまう。
上巻のラストで、彼女が弁護士である後見人に復讐をするシーンは、暴力的かつ理知的でいつまでも印象に残る。


「チーム・バチスタの栄光」もサスペンスの形で社会に問題点を訴えるという点で、「ミレニアム1」と似たタイプの小説だ。


My Kiasu Life in JAPAN-チーム・バチスタ 上


My Kiasu Life in JAPAN-チーム・バチスタ 下

上巻はダレるが、下巻で厚生省官僚である白鳥が現れてから、とたんに話が生き生きと動き出す。白鳥の存在がこの本をユニークなものにしている。
面白い小説だが、ベースには作者の勤務医としての静かな怒りがある。医師のおかれている現状はこうで、このように改善すべきだ、という骨太の主張を、サスペンスの形で読者に飲み込みやすくしている。
スケールや人物の多様性と言うことでは「ミレニアム1」に劣るが、サスペンスとしてのできはかなりいいと思う。


「西の魔女が死んだ」は、中学生になったばかりの少女が、イギリス人のおばあちゃんの元で立ち直る小説だ。


My Kiasu Life in JAPAN-西の魔女が死んだ

少女の純粋さ、鼻につく小生意気さ、弱さ、潔癖さ、偏見、自分や自分を守ってくれるものへの愛情…。
この小説の中には、そんな「少女」しか持っていない世界が切り取られている。
中学生の頃、トイレに行くのにも手をつないで行く同級生の女の子たちを、僕は「へんな奴ら」と冷めて見ていたけれど、確かに彼女たちが持っている世界には、俺には思いもよらないような美しい部分がある。
そして、僕はこうして少女の世界を読んで、「ふーん」と思う。
その程度が、互いのために、いいんだと思う。


「ティファニーで朝食を」を僕は読んだことがなかった。


My Kiasu Life in JAPAN-ティファニーで朝食を

読むまでは、オードリー・ヘップバーンのようなかわいい女の子が出てくるラブコメディーだと思っていたけれど、女の子(ホリー)はかなり性悪な美人だった。
主人公はホリーの倫理観に、とてもついていけない。ホリーも主人公の倫理観に合わせるなんてまっぴら。派手好きで無鉄砲で前後の見境がなくて状況判断ができない。論理的に考えれば最悪の女なんだけれど、主人公同様に、僕も惹かれる。
ホリーが星占いと縁を切ったときのセリフが印象的だ。
「退屈な結論だけど、要するに『あなたが善きことをしているときにだけ、あなたに善きことが起こる』ってことなのよ。」
読み終わって、僕はホリーを失った主人公と同様の寂しさとほっとした気持ちと、世界中のどこかにいるはずのホリーを見守る温かい気持ちに包まれた。
それから、この本に一緒に載っている「クリスマスの思い出」はとてもいい話で、幸せとはどういうことか、とても考えさせられる。


年末に友達と携帯電話で話をした。
「私はやっぱり、今年のベストの映画は『ダークナイト』だった」と彼女はいう。


My Kiasu Life in JAPAN-ダークナイト1

「俺は『イントゥ・ザ・ワイルド』かなあ?」
「私はその映画、たぶん観ないと思う。つらくなりそうで。」


彼女が薦めてくれた映画がよかったおかげで、今年は良質の映画を多く観ることができた。
映画について言えば、個人的には『落下の王国』を映画館の大画面で観られなかったことが、少し心残りではある。


2008年に僕が観た映画・DVDのベスト10。


1 イントゥ・ザ・ワイルド
「自由」とか「個人の尊厳」が世界中で何よりも大切な概念だ、と信じてきた僕にとってはかなり衝撃的な作品だった。日本でのさまざまな評価を読むことがあるけれど、この映画の本質を突いていると僕が思えた評価にはまだ出会っていない。考えどころが満載。僕は今でもときどきこの映画のことを考える。


My Kiasu Life in JAPAN-イントゥ・ザ・ワイルド

2 インファナル・アフェアⅡ


My Kiasu Life in JAPAN-インファナル・アフェアⅡ

3 スパニッシュアパートメント

My Kiasu Life in JAPAN-スパニッシュアパートメント

4 吠える犬はかまない
My Kiasu Life in JAPAN-barkdog2

5 海辺の家

My Kiasu Life in JAPAN-海辺の家
6 サンキュー・スモーキング
My Kiasu Life in JAPAN-サンキュースモーキング

7 ホット・ファズ

My Kiasu Life in JAPAN-ホットファズ
8 ノッキング・オン・ヘヴンズ・ドア

My Kiasu Life in JAPAN-ノッキング・オン・ヘブンズドア1
9 π
My Kiasu Life in JAPAN-パイ

10 運命を分けたザイル


My Kiasu Life in JAPAN-運命を分けたザイル1

それから、昨年はあまり本を読まなかったし、漫画も手放しで褒めるほどいいものに出会わなかったから、本と漫画のベスト10はなし。


正月は午前中に実家の外側を巡っている水道管が破裂するという華々しいイベントで幕を開けた。
水道管から道路に向かってスプリンクラーのように水が噴き出している。
通りがかりの人が教えてくれたので、家を飛び出した。


止水栓が見つからないので、とりあえずガムテープで水の吹き出し口を押さえ込んで、業者に連絡をとった。
30分ほどで来てくれた。
業者の人が手際よく、水道管を交換するのを眺めていた。
こんな故障が他でもあるらしく、作業中にも、業者の人の携帯電話には次々に仕事の依頼がきていた。
「請求書はまた今度お持ちします。」
正月に呼び出して申し訳ない、と帰りに日本酒を1本渡した。


それから初詣に行ったり、親戚の家に挨拶に行ったりもしたけれど、暇なときは布団に潜ったまま漢字検定2級の本を眺めていた。
「要は単純に記憶力勝負の試験ってことだろ。」
見ているうちに、簡単な試験のように思えてきた。
遅くとも3月までにはちゃんと勉強をして、2級の資格を取ってしまおう、と思った。


3日の夜に長野に帰ってきた。
P!NKの「SO WHAT」と斉藤和義の「SUNDAY」を何度も車のなかで聴いた。


My Kiasu Life in JAPAN-P!NK ファンハウス

My Kiasu Life in JAPAN-俺たちのロックンロール

家に着くと、年賀状が届いていた。


微笑ましい気分で年賀状を読んでいたが、昔、赤坂の駅前で俺が制止するのも聞かず駐輪してあった自転車を蹴り倒していた男から「もうそろそろ大人になりましょう。」と一言だけ書いた年賀状が届いていて「ふざけるな」と怒った。

タイマー付きのラジオを買った。
朝6時になると、基礎英語が聞こえてくるようにセットをした。。
ベッドのなかで、まぶたを閉じたまま、なんとなく聴いているうちに、だんだんと目が覚めてくる。
中学生の頃からしっかり聞いていたら、もっと話せるようになったのかもしれないな、って聞きながら思う。
子供向けの番組なので、おじさんが(先生)妙にはしゃいでいるのが気になるけれど、内容は悪くない。


火曜日には、女の子の友達を2人連れて、軽井沢のブレストン・コートホテルにクリスマス・プレミアムディナーを食べに行った。
http://www.blestoncourt.com/
もっと本格的なフレンチ料理を想像していたのだが、思ったよりもボリュームが少なく、サービスもテンポが遅く、味も魚料理以外は大したことがなかった。
テーブルはカップルが多く、僕たちみたいに3人で座っている席は珍しいくらいだった。
女の子は2人とも彼氏がいる。
「何の意味があるんだよ。」
「利用されてるだけじゃん。」
職場で話すとみんなから忠告を受けるが、ちょっと無理をすれば行けるくらいの店で、僕が興味がありそうなお店を見つけてくる才能はなかなか大したものだ。


水曜と木曜は遅くまで残業をしたが、金曜日の夜は、係の忘年会で飲みに行った。
同僚とついつい飲み過ぎてしまい、いつの間にか翌日になっていた。
「今日、俺、誕生日なんだよ。」
お祝いだと4時まで飲んだ。
最後はもうこれ以上、飲めない、食べられないという状態で帰宅した。


翌日の土曜日は仕事があったのに、強烈な二日酔いで職場まで行けなかった。
一歩でも歩くと気持ちが悪くなってしまう。
無理して、二日酔いを克服しようと、食事を作って食べた。
でも2時間後には、すべてを吐いていた。


ひたすら苦しく、体をくの字に折り曲げて、じっと耐えていた。
テレビを見る気力もなく、テレビの音を子守歌代わりに聞きながら眠っていた。


4時くらいになって、ようやく体が回復してきたけれど、吐くのが怖くて何も食べず(昔は酔うと無理に吐いていたけれど、吐くのは低カリウム血症や、吐瀉物による食道の裂傷の危険性があることなどを知ってから、あまり吐かないようにしている)、風呂につかりながら、郷ひろみの「ダディ」(幻冬舎)を読んだ。


My Kiasu Life in JAPAN-ダディ

2日酔いで風呂につかりながら読むにはちょうどいいような本で、深みはないものの、なかなか楽しめる作りになっている。


以前、赤坂のベルリッツに通っていた頃、「さっきまで、郷ひろみにレッスンをしていたんだ。静かな男だよ。いい男だ」と講師が言っていた。
小学校へのお受験に家族が必死になる様子は、僕にはさっぱり理解ができないし、彼の几帳面で細かな性格も、もし彼の友達だったらうんざりするだろうけれど、基本的にはお金持ちでまっとうな人なんだな、という気はした。
結構、おまえっていい奴じゃんかよ。って言ってやりたいような気がした。


ちなみに噂なので真実はわからないが、川島なお美はベルリッツで英会話のレベルが2しかなかったのに、試験結果に激怒して「私はレベル6よ」と言い張ったらしい。そして無理矢理6からスタートをした。
彼女を教えるマンツーマンの講師は、必ず「ハンサムで」ある必要があり、毎回、彼女を「ほめなくてはいけない」ことになっているらしい。


郷ひろみがバッシングを受けた妻に「成功していくということは、ある意味で社会に喧嘩を売っていくのと同じ」だと言う。
才能があるのに、世間を恐れて、それを世の中に示さない方が間違っていると。
僕もそう思うし、なかなかいい意見で印象に残った。


結局、完全に体が回復しなくて仕事に行けなかった。
誰が批難するわけでもないが、自分自身に対して残念な気持ちでいっぱいになった。


夜は、DVDで「インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国」を観た。

My Kiasu Life in JAPAN-インディ1

昔はすごく面白い映画だと思っていたけれど、内容にまったくの進化がなく、つまらなかった。
この映画からは訴えるものが何もない。


My Kiasu Life in JAPAN-インディ2

僕がこの映画に親近感を持つのは、インディ・ジョーンズのモデルになったアンドリュース隊が好きだからだ。
アンドリュース隊については、小学生の頃に本を読んでずっと憧れていた。
寝ているだけで襲いかかってくるモンゴル犬、自動車をプレゼントしたらバッテリーだけ外して部下を感電させては喜ぶ部族長、襲いかかる砂嵐、そして恐竜の卵の発見…。
タイトルも忘れてしまったが、この本は僕を未知の世界に連れて行ってくれた。


実はアンドリュース隊は、もともとは恐竜の化石を求めていたのではなく、最古の人類の骨を探していたのだと知ったのは大人になってからだった。


My Kiasu Life in JAPAN-インディ3

今回のインディは、知的なイメージが随分と薄れ、行き当たりばったりに大暴れをする。
そういう設定じゃなかったのにな、とさびしい気分になった。


My Kiasu Life in JAPAN-インディ4


日曜日は、さすがに仕事に行った。
さっき帰ってきた。
職場にはほかの同僚も来ていて、彼も昨日はずっと吐いていました、と言っていた。


これから実家に帰って年を越す。
大量の本を持って帰る。
暇だからきっとかなりの量を読むことができると思う。


そして新年を迎えたら、いい年になるように、努力をしたいと思う。

火曜日に仕事を半日休んで免許証の書き換えに行った。
過去5年間に違反はないと思うのだけど、ゴールドにはならず、通常の免許証だった。


30分のビデオを観て、1時間30分の講義を受ける。
この講義そのものが、なんらかの刑罰なのでは、と思うほど退屈でつらかった。
僕の前の席に座った男は、携帯電話で麻雀をしていた。
環境に対する、生物としての対応の仕方をかいま見たような気がした。
俺がダーウィンなら、精神的進化論を書いているところだ。


「自動車運転致死傷罪という刑が作られた。今までは、業務上過失致死傷罪だった。大きな変更点は、「業務上」という要件が抜けたこと。」
ふーん、と思いながら聞く。
「今までは「業務上」でないとこの法律では処罰できなかった。」
うんうん。
「つまり、いずれにしても、気をつけて運転しろと言うことだ。」
がっかり。あのなあ…。


寝る価値しかないような講義だったので、一通りもらった資料を読んで、半分寝ながら聞いていた。


寝ながら、以前、姉から聞いた話を思い出した。


僕の叔父の一人に大会社の社長がいた。
京大を出て、就職した際には、優秀な人材が来るということで花火が上がったのだという。
その後もエリート街道をまっしぐら。
そんなわけで、当然、運転免許証は持ってないし、車は後部座席にしか乗ったことがなかった。


そんな叔父を姉がバス停まで送ることになった。
助手席に乗り込んだ叔父に、姉が「シートベルトをお願いします」と言った。
叔父は「わかりました。これですね」とシートベルトを引き出し、そのまま首にかけたのだという。
姉はそれ以上、何も言えずに車を発進させた。
それから、左右を見るたびに、首にだけシートベルトをした叔父が目に入り、おかしくて仕方がなかった、と言う。


ふと、頭を上げる。
「シートベルトは、死を止めるベルト、シオトメベルトです。」
講師はうまいことを言ったと思ったのか、満面の笑みだ。


講義が終わったとき、講師に「実に意味のない、つまらない講義だった」と伝えたかったが、やめておいた。


人事書類を提出することになった。
僕は「男ばかりの忙しい職場」に飽き飽きしていたので、「女性の多い、暇そうな部署」ばかりを考えに考えて転勤希望先にした。


提出後、すぐ係長に呼ばれた。
「本当に、今の職場を出たいのであれば、よく考えて、真面目に書け。」
「世界一、真面目に書きましたよ。」
「とにかく、書き直せ。このままではダメだ。」


仕方がないので、戻された人事書類を受け取り、飲み友達である別の係長に相談に行った。
「アホか。おまえは。いきなりそんな部署に行ったら、問題を起こして左遷されたって思われるぞ。」
「俺はそれでもいいけどなあ。」


相談結果を踏まえて、もう一度、書き直して提出したら今度は受け取ってくれた。
それでもまだ、不満そうだった。
「これだけは言っておきたいってことあるか?」と言うので「若い女の子が多いところがいい」と言ったら、「そんなところはない」と冷たく言われた。


土曜日は、東京に出張だった。
夜8時頃から、東京にいた頃の仲間と会って飲んだ。
仲間の一人は、明日TOEICの試験を受けるのだと言っていた。
「何点くらい取れるの?」
「前回は885点で、前々回は890点。」
「マジですか!」
久し振りにいろんな話しを聞いた。
みんな何回も結婚しているらしい。
「おまえも1回くらいしろよ」と言われるが、そんな予定が全くないところが俺のすごいところだ。


最終の新幹線で長野まで帰ってきて、駅前でラーメンを食べる。
「長野に帰って来ちゃったんだなあ」とさびしく思う。


DVDで「アイ・アム・デビッド」を観た。


My Kiasu Life in JAPAN-アイアムデビッド

家族と引き離され、ブルガリアの収容所で育ったデビッドが、収容所を脱走する。

My Kiasu Life in JAPAN-アイアムデビッド1

目指すのは、デンマーク。
ギリシャ、イタリア、スイスと彼は歩き続ける。


淡々と撮った映画で、感動も薄いが、子供が観て、「知恵」や「決断」といったものを学ぶにはいい映画だと思う。


My Kiasu Life in JAPAN-アイアムデビッド2

この映画を観るまで、まったく思いつかなかったが、収容所から脱出して街中に溶け込もうとするときに、「石けん」がとても大事だと知った。
薄汚く、くさかったら、それだけで警戒されてしまう。


My Kiasu Life in JAPAN-アイアムデビッド3

ストーリーはかなり都合がよく、大人が観るには物足りない。
飢えているという設定の割には、デビッドはかなり健康そうで違和感も覚える。
でも、子役にそこまで求めるのは無理なのかもしれない。


My Kiasu Life in JAPAN-アイアムデビッド4

日曜日には、職場に行った。
冬にしては暖かい一日だったが、北側にある僕の職場は寒かった。
休みだというのに、僕の係は3人も仕事に来ていた。


土曜日の出張の報告をして、対応を検討する。


僕が帰るときも、3人はまだ仕事を続けていた。
帰るとき、「お疲れ様」と声をかけられて、少し恥ずかしかった。

金曜日は、職場の忘年会があった。
戸倉上山田温泉で1泊する。


ほとんど男ばかりの飲み会で、恋とか出会いはまったく無縁の飲み会だ。
コンパニオンもいない。
職場の同僚の1人が、女装してミニスカートのサンタの格好をしていた。
女装映えのするスタイルらしく、妙にセクシーできれいだった。


10時頃まで、ひたすら飲み続け、それからまた部屋に戻って飲む。
僕は、2次会場の部屋には行かず、幹事の部屋に行ってずっと同僚と桃太郎電鉄をしていた。
今回も、わざわざ桃太郎電鉄とPS2を持って行った。


夜の2時頃に飲み会も終わり、僕は麻雀に誘われた。


年間を通してネット麻雀をしているが、夏の間は何をどうやっても勝てなかった。
どんなゲームでもそうだが、麻雀も最終的には自分との戦いだ。
運が向いた一瞬に勝てるか否か。
そのときの集中力で勝負は決まるような気がする。


最近は、麻雀で負けなくなった。
(元?)柔道の石井が言うように「鮮やかな技で勝たなくても、勝ちは勝ち」ということに徹しようとしているからだろうか?
ずっと気を張るのではなく、勝負の一瞬をかぎ分けて、そのときだけに集中しようとしているからなのだろうか?
本当のところはよくわからない。


4時までビールを飲みながら麻雀をして、1位だった。
でも、最初から勝つだろうなって思っていたから(負ける気がしなかった)喜びも薄かった。
トイレに行ったら、誰かが豪快に吐いたあとらしく、吐瀉物が床を覆っていた。
大学時代に戻ったような気がした。


朝は7時に起こされて、ご飯を食べた。
旅館の朝ご飯のおかずが多かったので、僕はご飯を3杯もお代わりして、食べ過ぎてあとから苦しかった。


結局、温泉には1回も入らなかった。
着替えすらせず、睡眠時間も短かったので、あまり1泊したという実感がなかった。


家では疲れと2日酔いとでふらふらしていた。
よく眠った1日だった。


DVDで(今頃だけど)バットマンの映画である「ダークナイト」を観た。


My Kiasu Life in JAPAN-ダークナイト1

恥ずかしながら、観終わるまで、ダークナイトというのはジョーカーが冗談半分で自分自身につけた名前だと思っていた。
ポスターにもダークナイトってタイトルの下に、ジョーカーがいるし…。
バットマンのことだったのか…。
確かに。考えてみれば、それはそうだ。


My Kiasu Life in JAPAN-ダークナイト2

音楽も、キャストも演技もいいし(特にジョーカーの存在感!)、文句のつけられないいい映画だけど。
でもどこか、例えばどうしたらドラマが深くなるか、とか、どうしたらバットマンの存在にリアリティを感じさせることができるか、といったところに、高度な頭脳を集めて、市場調査をしましたっていうハリウッドの計算高さを感じてしまって、純粋な気持ちで僕は楽しめない。


My Kiasu Life in JAPAN-ダークナイト3

この映画には通常のアクション映画にはないリアリティがあるが、ちょっと冷静に考えると、なんであんな変な格好をしてからでないと悪と戦えないんだよ、って根本的な疑問にぶつかってしまう。
バットマンとジョーカーは、どっちもコスプレーヤーだから妙に通じるところがあって、でも似ているからこそ憎み合っているんだろ、なんて思ってしまう。


2時間30分もの長い映画だって、観終わってから気づいたほど、正直、面白かったんだけど…。
心から楽しめなかったと思うのは、僕がハリウッド映画の存在そのものを好きだけど、嫌いだからなんだと思う。


日曜日には、友達にちょっとした頼み事をして、それから時間があるというので、一緒に長野ロキシー1に「ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン! 」を観に行った。
http://hotfuzz.gyao.jp/


My Kiasu Life in JAPAN-ホットファズ

コメディ映画だとばかり思っていたのだが、違っていた。
タランティーノ風のアクション、本格的なサスペンスの要素も盛り込み、ちょっと変わった映画に仕上がっている。


ロンドンで検挙率ナンバーワンの超敏腕巡査が、「君と仕事をすると、自分がバカに思えてくる」という理由で、ど田舎に左遷される。
その村は、まったく犯罪のない、美しい村なのだが、何かがおかしいことに気づく。
事故が、やたらに多いのだ。それも、限りなく事件に近い事故が…。
しかし、警察の他の署員は取り合ってくれない。
あくまでも事故だと言い張るばかり。
巡査はだんだんと自分の頭がおかしいのではないかと悩み出す…。


My Kiasu Life in JAPAN-ホットファズ2

ストーリー自体は笑いよりも緊張が続く映画だ。
個々のアクションはかなり笑えるけれど。


My Kiasu Life in JAPAN-ホットファズ3

話しは全然変わるけれど、この前、ヒストリーチャンネルでDday以降の対ドイツ戦争の記録を見ていたときに、あるアメリカ兵の話に思わず笑ってしまった。
彼は言う。
「初めて、イギリス軍と出会ったとき、最初は彼らは自分たちのことを信じてくれなかった。ドイツ兵が攪乱しようとしているのではないかって疑っていたらしい。でも、やがてその疑いも解けて、一緒に戦った。
ある時、銃撃戦の最中に、気づいたらイギリス兵が周りから一人もいなくなっていた。慌てて、逃げたらイギリス兵が集まって座っていた。
『何をしているんだ!』って怒ったら、イギリス軍のやつらは『お茶の時間だから』なんて言うから『アメリカの海兵隊にはお茶の時間なんてない』って怒りましたよ。」


そんな伝統なのだろうか。
イギリスのアクションは、真面目なんだけど、どこか緩いところがあって心の奥の方でおかしみを感じて笑ってしまう。


おかしかったといえば、この映画のエンドロールも面白かった。
僕はもともとエンドロールはあまり観ない方だけど、映画館では暗いし、周りの迷惑になると思ってつまらないキャスト名の羅列を眺めていることが多い。


この映画では一羽の白鳥が(もちろん本物の白鳥)、重要な役を演じている。
役者の名前を観るという気もなく眺めていたら、警察官1とか、スーパーの店員1とかいう役名に並んで、白鳥という役名も並んでいて、そこに「エルビス」って名前がついていて笑った。


友達とはその後に別れて、1人で家に帰ってきて、鶏の胸肉を焼いて食べた。
忘年会でもらった大量の赤ワインをかけて、仕上げた。
まあまあのできだった。


今日はよく晴れていたのに寒かった。
まるで俺の心のような、すがすがしい1日だった。

職場に入っている食堂のオーナーが変わった。
鶏肉が豚肉や牛肉に較べて安いせいか、夕食は鶏肉ばかり。
そしてどの料理も信じられないくらいまずい。
「俺のお口には合わねえよ。」
ただのキャベツの千切りでさえも乾燥していてまずい。


同僚に文句を言う。
「なんだよ。あの干からびたキャベツは。俺の家の近くで女の友達が飼っていたウサギの方がよっぽどましな草を食べさせてもらっていたぜ。」
同僚も言う。
「この前、キャベツの千切りの上に切ったトマトが載っていたんです。そしたら、食堂のおばちゃんが、僕の目の前で、「あ、乾いてる」って言いながら、指でそのトマトをひっくり返してから渡してくれたんです。」
「すごいサービスだな。」
「笑うしかありませんでした。」
あの料理がまずいと思うのは、どうも僕だけではないことがわかってきた。
腹が空いているのに、夕食のプレートが出てくると、ひょっとしたら俺、今、暴行を受けてんのかな?なんて思ったりする。


金曜日は、10時まで残業して、それから久し振りに高い店に一人で飲みに行った。
店の女の子が心を込めて書いたという手紙をくれる。手紙は僕あてになっている。
「生まれて初めて書いたラブレターなんだよ。」
「マジで?嬉しいよ。」
互いに気持ちのこもらない言葉のキャッチボールをする。
帰ってきてその手紙を読んだら「仕事が忙しいって言いながら全然、お店に来ないから、もっと来るように。」という趣旨だった。
すごく心に沁みた。傷口にヨーチンを塗られたように。


接客業は大変なんだよ。
頭では大丈夫でも体が先にストレスでまいっちゃう。
私、円形脱毛症になっちゃったの。明日、病院に行くんだ。
ダイエットもしてるんだよ。
体の線も崩しちゃいけないし。


そんな話しを聞きながら、飲んで、高いお金を払う。
「アホとしか思えん」「完璧にマゾですね」同僚にも言われる。
確かに、冷静な頭で考えると俺もそう思う。


土曜日には、先日のお店の女の子へのメールを他の女の子に誤発信してしまった。
そして受信したその女の子から指摘されるまで、まったく気づかなかった。


「私あてに送信してますよ」ってメールが来た。
そのときの気持ちを何と言ったらいいか…。
とにかく最悪だった。


土曜日にDVDで「運命を分けたザイル」を観た。


My Kiasu Life in JAPAN-運命を分けたザイル1

実話を映画化したものだ。
イギリスの2人のクライマー(ジョーとサイモン)が、南アメリカのアンデス山脈にある標高6600mのシウラ・グランデ峰の西壁初踏破を目指す(まったく関係のない話だけれど、中学生の頃に理科で習った「安山岩」はアンデス山脈で取れる石って意味なんだよ。知ってた?知りたくもなかった?あ、そう。)。
映画のなかで、ジョーとサイモンがそのとき、何を感じて何を考えていたのか本人のインタビューが挟まれている。


My Kiasu Life in JAPAN-運命を分けたザイル2

My Kiasu Life in JAPAN-運命を分けたザイル3

西壁を無事に登頂し、下山をする最中にジョーが雪庇を踏み抜いて滑落し、足を折る。
6000メートル級の登山の行程途中で足を折ったら、それはすぐに死を意味する。
サイモンはジョーの救出を図るが、失敗し、ジョーを宙づりにしてしまう。
体力も環境も限界になり、悩んだ末にサイモンはジョーと繋がっていたザイルをナイフで切断する。


予定より日数はかかったものの、何とかサイモンはベースキャンプにまで戻る。
そしてジョーは、クレバスのなかに落ちて、まだ生きていた。
地上には絶対に出られない垂直の氷で囲まれたクレバスのなかで目を覚まし、彼は折れた足のまま必死の脱出を図る。


この映画が優れているのは、映像だ。
「バーティカル・リミット」を観たとき、クレバスのなかが作り物で、嘘っぽくてひどいなあって思ったけど、この映画では、クレバスのなかの青い光まで本物だ。


My Kiasu Life in JAPAN-バーティカル・リミット

雪山の美しさ、厳しさ、ダブルアックス(両手にそれぞれ氷を砕く斧を持ち、それを氷の壁に打ち込む)で登っていく男たちの強靱さ。


俺が初めての雪山の時は、登山靴の下に装着したアイゼンでスパッツを切り裂いてしまい、それだけで「もう俺登るのやめた」などとわがままを言っていたのを思い出す。


ラッセルのスピードにも目を見張る。
あれだけの装備を持って登るなんて…。
俺なら45メートルのザイルすら途中で捨てないと登れないだろう。


冬山の経験がある人には、彼らがどのくらいすごいのか実感ができると思う。
そうでない人には、あまりわからない映画かもしれない。



日曜日には、ようやくタイヤを冬タイヤに替えた。
6000メートル級の山で荷物を持ち上げるどころか、平地で18インチのタイヤを4本、駐車場まで運ぶだけで、死にそうになる。


ガソリンスタンドで、4本のタイヤを交換してもらい、足回りの塗装もしてもらう。
待ち時間の間に、スタンドに置いてあった高橋ヒロシの「クローズ」(少年チャンピオン・コミックス)という漫画を2巻まで読んだ。


My Kiasu Life in JAPAN-クローズ1

My Kiasu Life in JAPAN-クローズ2

漫画自体も面白かったが、作者のジャパニーズ・ロックへの思い入れがなかなか楽しかった。
「スライダース」「ブルーハーツ」そして「RC」。


My Kiasu Life in JAPAN-RC

「横道坊主」や「モッズ」なんかも、偏ってるけどいいセンスしてるなあって思った。


家に帰って昼寝をしてから、DVDで「ノッキング・オン・ヘブンズドア」というドイツの映画を観た。


My Kiasu Life in JAPAN-ノッキング・オン・ヘブンズドア1

脳腫瘍でもう余命があまりないと宣告された男と、骨肉腫でもう生きられないと宣告された2人の男が病院で出会う。
食堂に行き、レモンと塩を探し、テキーラを飲む(ちなみに、テキーラはソルト・ファーストという飲み方が一般的。左手の甲に塩を盛り、それをなめた後、テキーラをショットグラスで一気飲みする。その後、焼け付く口のなかをレモンをかじって爽やかにするのだ。たいてい5回ほどやれば酔っぱらう。)。


My Kiasu Life in JAPAN-ノッキング・オン・ヘブンズドア2

「俺は海を見たことがない」一人の男が言う。
「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ」
2人は海を見に行くことにする。
盗んだ車はギャングの車。
グローブボックスに入っていた拳銃を使って、ガソリン代を強盗する。
次に、服を着替えるために洋服店で買い物をし、金がないので、目の前にあった銀行でも強盗をする。
それで2人は警察にもギャングにも追われる。


My Kiasu Life in JAPAN-ノッキング・オン・ヘブンズドア3

ストーリーは、僕の好きなB級映画チャーリー・シーンの「ザ・チェイス」に似ている。


My Kiasu Life in JAPAN-ザ・チェイス

そして画面からはタランティーノの影響も感じた。
アクション・コメディではあるけれど、もともとが死ぬ運命なので、手放しのハッピーエンドというものはこの2人にはあり得ない。


My Kiasu Life in JAPAN-ノッキング・オン・ヘブンズドア4

この映画はドイツ映画だ。
ドイツ人は、言葉に出さないと状況を理解しない、逆に言うと言葉を大事にしている民族ナンバーワンだという説がある。


この映画でも、銀行強盗に入った際、拳銃を突きつけられた女性銀行員が両手をあげたまま男に言う。
「黙っていたら先に進まないわ。」
それで男が聞く。
「当ててみろ。俺は何が欲しいんだと思う?」
別の両手をあげた男の銀行員がしばらく考えてから、「お金ですね!」と言う。
しばらく考えないとわからないあたりが、ドイツ的だなあって思った。


悲しい話しではあるが、面白く作ってあって、俺はこういう映画も好きだ。