暇な職場だという淡い期待が裏切られ、毎日つまらない仕事が続いている。
以前の仕事は、俺が頑張らないと間違いなく困った事態に追い込まれる人がたくさんいた。
その人たちのためには、どんな仕事でも、なんとしても締め切りまでに間に合わせるという必要があった。
今度の仕事は、俺がしなくても、誰も現実には困らないけれど、とりあえずやらざるを得ないという仕事が多い。
例えば、毎月の社内報の発行。
A4サイズのページを8ページを作る。
責任者は別にいるけれど、事実上、僕が編集長で記事を書いて印刷までする。
発行しなくても、世の中には何の支障もないことだし、誰も気にしてないと思うけれど、やらないわけにはいかない。
そんな社会的責任は軽いけれど、たまってくるとヘビーな細々とした仕事を毎日うんざりするほど頼まれる。
土曜日には600ページを超える書類を80冊印刷して冊子にしなければならない、という仕事を頼まれた。
いきなりサービス残業ですか…。
取れるはずのない代休をくれるという。
印刷機は一度に原稿が100枚分しか入らないし、途中に見出しを挟む必要があるので、事務量は相当なものになる。
途中で印刷機が壊れ、業者を呼び出さなくてはならなくなったときには「もうダメかな」と諦めかけた。
それでもパートの女の子が午前10時から午後6時まで手伝ってくれたし、業者も30分ほどで修理に来てくれたので助かった。
6時からは1人きりだったので、ずっとi-podでX JAPAN BEST~FAN'S SELECTION~を聴きながら印刷をしたり冊子の形に綴じたりしていた。
昔、名古屋で仕事をしていた頃、隣の席の子がX JAPANのファンで、追っかけをしていた。
彼女が好きだったのはhideだったけれど、当時の僕は聴きもしないで馬鹿にしてた。
「Xジャンプとかするんでしょ。」
hideが亡くなってhideミュージアムができたと聞いたときも、彼らの音楽を聴いたことがなかったので、ふーんとしか思わなかった。
聴いているうちに、X JAPANというバンドは、圧倒的にhideのギターが優れていたんだ、とわかってきた。
リッチー・ブラックモアとレインボーみたいな感じだ。
ギターに較べると、(怒る人がいっぱいいるかもしれないけれど)ボーカルはかなり落ちる。
yoshikiの美意識が、このバンドを特異なものにしたのは否定できないにしても、hideの功績っているのは大きいよな、って思った。
圧倒的に高レベルのギターとボーカルがいるハードロックバンドっていうのが、昔は洋楽でもいなかった。
ギターがいいバンドはボーカルがダメで、ボーカルがいいバンドはギターがダメ。
ガンズ・アンド・ローゼズが「アペタイト・フォー・ディストラクション」を出したとき、「とうとうそういうバンドが現れた」という喜びがあったけれど、同時にハードロックのゴールを見せられた気がして、それから急速にハードロックに興味がなくなった。
X JAPANはyoshikiが曲の最後に英語で囁くのがどうも今ひとつよくわからないけれど、聴いてみてなかなかよかった。
それでもこのアルバムはよくわかってないファンが選んだベストらしく、X JAPANはもっと優れた曲を多く残しているらしい。
もっと前にちゃんと聴いていたら、あの子ともX JAPANについていろんな話ができたのにな、って後悔した。
日曜日は、社内報に載せる「おすすめレシピ」のために料理をして、写真を撮った。
以前から考えていた若鶏の胸肉料理で、少し焼きすぎたけれどまあまあだった。
それから土曜日の夜、仕事の帰りに買ったマンガを5冊、読んだ。
のりつけ雅春の「上京アフロ田中」(小学館)1巻と2巻、中村光の「聖☆おにいさん」(講談社)1巻と2巻、末次由紀の「ちはやふる」1巻だ。
「上京アフロ田中」はまあまあ面白かったけれど、特に目的もなく生きている様が物足りない。
ブッダとイエスが現代の東京で暮らす、という設定はなかなか面白いが、特に何をするわけでもない。
力のある人が、誰も救わずにただ無為に過ごしているというのが僕はどうしてもダメで2巻目の途中で読むのが嫌になってしまった。でも、最後までとりあえず読んだ。
その点「ちはやふる」は小学生が主人公のマンガだが、頑張るマンガでなかなかいい。
何の取り柄もないと思っていた女の子が、競技カルタに才能があることに気づき、努力をする。
僕は、やっぱりこういうマンガが好きだ。
女の子の夢は「お姉ちゃんがミスコンでいつか1位になること」。
でも彼女は「そんなのは夢とは言わない。自分のことでないと夢にしたらいかん」と同級生に言われて、初めて自分で努力することに目覚める。
今、売れてる青年コミックは、目的を失い、日々をそれなりに楽しく過ごすことを描いているのに対し、女の子の売れているコミックは目的を持って一途に頑張る姿を描いていて好対照だ。
「働きマン」「のだめカンタービレ」も女の子が頑張る話しだ。
男の若者が夢を持ちづらく、夢を目指したマンガっていうのがリアリティを持てないせいがあるのかもしれない。
なんてマンガを読んで能書きたれている俺もどうかとは思うけど…。
あーあ。まったくなあ。



















































