『へうげもの 11巻』の感想 | まんが栄養素

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【マンガ感想】

 

『へうげもの 11巻 (山田芳裕)』

 

4063729192 へうげもの(11) (モーニング KC)
山田 芳裕
講談社 2010-07-23

by G-Tools

 

 

過去記事はこちら → 1巻  2巻・3巻  4巻  5巻  6巻  7巻  8巻  9巻  10巻

 

 

【あらすじ】

茶の湯と物欲に魂を奪われた戦国武将・古田織部。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千利休から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。密航の果て、朝鮮で新窯術と遭遇した織部。茶の湯とやきものの頂点は目前と思いしが、予期せぬ大地震により茶器も野望も灰燼と化す。生か死か、武か数奇か、それがますます大問題だ!!

 

 

功名よりも茶器に興味を示す人物・古田織部を主人公とした戦国時代を舞台とするマンガ。

この古田織部は実在した人物で、利休の弟子で、利休七哲のひとりであり、

織部焼・織部流の創始者としても有名な人物です。

 

戦国時代のマンガといえば、戦争で生き残り、立身出世が主流でありますが、

このマンガは『文化』・・・特に茶の湯の世界が中心に描かれています。

そのおかげで、このマンガは非常に新しい視点から戦国時代を描かれております。

千利休の影響で、茶の湯が多くの大名に流行ったことは有名ですが、

漫画というジャンルで、本格的に安土・桃山文化の世界を描いた作品は他に読んだことがありません。

そういった意味で、多くの読者にとって、『新しい作品』であると思います。

 

『戦国時代のもう一つの顔』である安土・桃山文化を描いているということで、

どうしても地味な印象を受けるかもしれませんが、文化的なことだけでなく、

ちゃんと戦国マンガらしい部分(独自解釈が多いけど)も描かれているので

そういった意味でも、戦国ファンが安心して買える作品だと思います。

 

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ここからは、11巻の感想。

11巻では、朝鮮出兵の文禄の役(1回目)が終了したところから始まりまして、

関白・『豊臣秀次』の切腹、『秀吉』の家臣団の分裂、『徳川家康』の暗躍、伏見大地震にる大損害、

そして明国との和睦など次々と歴史的イベントが描かれることとなりました。

 
その中で一番気になったのが、『豊臣秀次』の切腹による影響ですね。

『豊臣秀次』とは、『豊臣秀吉』の姉の子供で、のちに『豊臣秀吉』の養子となり、関白になった人物です。

無能な人物の多い『豊臣家』の中でも数少ない有能な人物であったようで、『豊臣秀吉』の実子・『豊臣

秀頼』が生まれるまでは『豊臣家』の跡継ぎとして活躍していたのですが、『豊臣秀頼』が生まれると

『豊臣秀吉』から疎まれるようになり、最終的に切腹させられてしまったという不運な人物です。
 
そんな『豊臣秀次』が今巻のイベントで、あらぬ罪を着せられ(?)、切腹を命じられてしまいます。

この切腹イベントは、普通の切腹イベントとは違い、『豊臣秀次』に関わった人全員に罪が課せられると

いう、非常に特殊な切腹イベントであったらしく、この作品ではそこにスポットが当てられております。

このイベントに大きく関わったのが、レギュラーキャラクター・『細川忠興』でして、『豊臣秀次』から

朝鮮出兵や数寄に使うお金を借りていたことで、『豊臣秀吉』・・・というか『石田三成』から目を付けられ

てしまい、何とかしようと、『徳川家康』を頼ることとなりました(細川だけでなく、伊達や最上も同じ)。

 

個人的に面白いと思った点は、この『秀次切腹イベント』で『徳川家康』を頼った大名たちが、

後の関ヶ原の戦いで、全員『徳川側』についたという事実でして、ここから『豊臣家』の本格的な衰退が

始まったんだな~、と私だけではなく多くの人が感じたのではないかな、と思いました。 まあ、もちろん、

朝鮮出兵が『豊臣家の衰退』の一番の原因であることは間違いないわけですが・・・。
 
まんが栄養素-へうげもの 11巻
(↑戦争を終結させるために、嘘をついてまで明国との和睦交渉を行っていた『小西行長』だが・・・)
 
そして、そんな中、明国との交渉決裂により、再び、朝鮮出兵(慶長の役)が行われることとなります。
このことにより、大名達にはさらなる負担が押しかかることとなることは間違いなく、恐らく、次巻では

その様子が描かれていくのだと思われます。 どのように分裂していくのか、非常に気になります。

次巻も楽しみです。

 

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【総評】

面白いです(^^ゞ。

歴史的イベントが次々と描かれていくので、飽きずに最後まで一気に読めました。

もうそろそろ、豊臣秀吉が死ぬと思うので、また歴史が動き出しそうです。

次巻も楽しみです。

 

点数的には

94点

です。

 

 

では、ここまで。

 

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