『へうげもの 6巻』の感想 | まんが栄養素

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【マンガ感想】

 

『へうげもの 6巻 (山田芳裕)』

 

406372672X へうげもの 6服 (6) (モーニングKC)
山田 芳裕
講談社 2008-03-21

by G-Tools

 

 

過去記事はこちら → 1巻  2巻・3巻  4巻  5巻

  

 

【あらすじ】

茶の湯と物欲に魂を奪われた戦国武将・古田織部。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千利休から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。関白・秀吉の号令一下、北野大茶湯挙行。空前絶後のわび数奇EXPOに、織部イノチガケ。生か死か、武か数奇か、それがますます問題だ!!

 

 

功名よりも茶器に興味を示す人物・古田織部を主人公とした戦国時代を舞台とするマンガ。

この古田織部は実在した人物で、利休の弟子で、利休七哲のひとりであり、

織部焼・織部流の創始者としても有名な人物です。

 

戦国時代のマンガといえば、戦争で生き残り、立身出世が主流でありますが、

このマンガは『文化』・・・特に茶の湯の世界が中心に描かれています。

そのおかげで、このマンガは非常に新しい視点から戦国時代を描かれております。

千利休の影響で、茶の湯が多くの大名に流行ったことは有名ですが、

漫画というジャンルで、本格的に安土・桃山文化の世界を描いた作品は他に読んだことがありません。

そういった意味で、多くの読者にとって、『新しい作品』であると思います。

 

『戦国時代のもう一つの顔』である安土・桃山文化を描いているということで、

どうしても地味な印象を受けるかもしれませんが、文化的なことだけでなく、

ちゃんと戦国マンガらしい部分(独自解釈が多いけど)も描かれているので

そういった意味でも、戦国ファンが安心して買える作品だと思います。

 

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さて、本編は、『北野大茶湯』が描かれております。

この『北野大茶湯』とは、1587年に豊臣秀吉が主宰した茶会のことで、

茶人を名乗るものを集合させ、その者たちの創意工夫された茶の湯を楽しむという大イベントです。

 

巻数を重ね、段々と数奇者としての威厳が出てきてた主人公・織部は、

この『北野大茶湯』をきっかけに、師匠・千利休を超えるべく様々な工夫を凝らしますが、

これが見事なまでに空回りな展開でして、師匠・千利休からは、

 

千利休 「あなたのなさっておることはわびではございません」

      「古田織部正様は天下一どころか未熟者でございます」

 

と呆れかえられてしまいます(^^;。

まあ、ここ最近の自信過剰とも思える織部の姿が描かれ続けていましたので、

この千利休による『織部の伸びきった鼻をへし折る』イベントは、ある意味スカッとしたのは秘密(笑)。

 

また、利休は利休で、兄弟子より『過ぎたるはなお及ばざるが如し』と指摘され、

その後、わび数奇を教えている弟子(?)の元を訪れるわけですが、

そこで自らが提唱する『わび数奇』の限界を知ることとなります。

利休もまた『過ぎたるはなお及ばざるが如し』という予想外な展開に驚きつつも、

その後は憑き物が落ち、フレンドリーになった利休が描かれたのも、良い感じでした(^^ゞ。

 

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【総評】

今巻は、この2人の『挫折』と『新たなる境地』をテンポ良く描いておりまして、

物語も徐々に徐々にですが、佳境に近づいてきております。

豊臣秀長の死も近いということは、千利休の死も近いということ。

次巻は・・・ついに利休の死が描かれるのでしょうか?

 

点数的には

90点

です。

 

 

では、ここまで。

 

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